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第一章『この私、カーラ・プラフティーが処刑台のベルを鳴らせていただきますわ』
死地を抜けて
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絶体絶命というのは今のような状況のことを言うのだろう。カーラは頭の中で今の状況を冷静に整理していた。
目の前には多くの兵士が攻め寄せており、背後には路地の突き当たりの壁が広がっている。絶体絶命というのは今のような状況を指していうのだろう。
不幸中の幸いというのは周りが暗くて自分たちの顔がよく見えないことだろうか。
カーラとレキシーが互いにそれぞれの得物を構えて国軍兵士を睨んでいた時だ。先程まで武器を構えて対峙していたはずのフォレストが立ち塞がり、二人に対して逃げるように諭したのだ。
心境の変化に戸惑う二人にフォレストは大きな声で怒鳴り付けた。
その中には味方であるはずのミーモリティへの反抗心も確かに含まれていた。
「勘違いするなッ!オレがお前たちを助けるのはオレの獲物がこんな雑魚どもに奪われたくないからだッ!それにオレだって死ぬつもりはないッ!ここでお前たちを逃したらお前たちとまた戦うつもりなんだからなッ!」
カーラはその言葉を聞いて優しい笑顔を向ける。フォレストは確かに敵である。それは間違いない。だが、カーラは既にフォレストが好きになっていた。
演技とはいえ彼が好々爺として見せる態度や戦士としての振る舞いが嫌いではなくなっていたのだ。
カーラはレキシーと共に壁を登り、屋根の上に登ると、その下で熱心に国軍の兵士たちと切り結んでいるフォレストに向かって心の中で感謝の言葉を投げ掛けた。
(ありがとうございます。フォレストさん。また機会があればその時は今度こそ万全の姿勢でお相手致しますわ)
二人は屋根を伝って夜の闇に紛れた。こうして屋根を伝い終わった後は足を立てないように地面に降りて、その足で国軍の目を掻い潜って自宅へと戻っていくというものであった。
足音を立てないように二人は胸をドキドキと激しく動かしながら夜の闇の中を鼠のように進んでいったのである。
やっとの思いで自宅へ戻ると、二人は机を囲んでの反省会を行なっていた。
「……私が軽率な駆除を提案したばかりにレキシーさんを巻き込んでしまって本当に申し訳ありませんわ」
カーラが謝罪の言葉を述べる。
「謝ってもらわなくても構わないよ。それよりもまさか、有償と無償の駆除があたしらの知らないところで結び合っていたとはね。意外だったよ」
「えぇ、ですが、今回の件で無償の方も警戒を強くなされるでしょうから駆除も難しくなるでしょうね」
「……難儀なものだねぇ」
レキシーは大きな溜息を吐きながら言った。こうなってしまって今日のところは早めに風呂に入って寝るのがいいだろう。
だが、万全の準備を施したというのに二人はいい夢を見て眠ることができなかった。というのも、二人の夢に大勢の兵士たちを相手に立ち回るフォレストの姿が見えたからだ。
どうも放置してきたようで寝覚めが悪かった。二人が唸り声を上げながらそれぞれの部屋で寝台から起き上がると、お互いに寝覚めが悪そうに頭を掻いていた。それでも身支度を整えて階下で朝食を作ろうとした時だ。
扉を勢いよく叩く音が聞こえた。カーラとレキシーの両名が扉の前で武器を構えて相手を確認すると、声の主は自分たちのギルドマスターであった。
二人が慌てて扉を開けると、そこには真剣な表情を浮かべたギルドマスターの姿が見えた。
「マスター。どうなさったんですの?こんな朝早くに……」
マスターは答える代わりに二人に一枚の紙を手渡す。紙には二人に伯爵邸に来るようにという指示が書かれていた。
伯爵邸には裏切り者のフォレストという男を捕らえていると書かれており、二人が来なければフォレストを殺すという旨まであった。
「今朝早くにこの手紙が酒場のカウンターの上に置かれていてね。何事かと思って開いたら、お前たち二人の名前が書かれていたから……」
「わかりましたわ。私伯爵邸に向かわせていただきます」
「ちょっと待ちなよ!そいつは罠だよ、行ったら殺されちまうよ!」
カーラはしばらくの沈黙の後で口から捻り出すように答えた。
「……わかっていますわ。でも、昨晩あのお方は自分が殺される覚悟で私たちを助けてくださった……今度は私たちが報いる番ではありませんの?」
そう言われてしまってはレキシーとしても重い腰を上げるより他にない。
カーラとレキシーは互いに得物を服の中に隠しながら伯爵家に向かう。
その途中でどうしても付いてくると言い張って聞かないヒューゴとギークの両名も共に。
伯爵家の屋敷の前には多くの兵士が今すぐにでも戦争が起こると言わんばかりに警戒体制を持って見張っていた。
四人はセバスチャンからもらった手紙を見せて門の前を通る。
これで中に入ることができた。いよいよここからである。運が良ければ屋敷の中で伯爵と相討ちになって果てることができるだろう。ただし、これは最高の場合の事例である。普通ならば大量の兵士によってこの場で殺されるか、そのまま国捕えられた末に駆除人としての殺しを暴かれて死刑になるかもしれない。
だが、四人は覚悟ができている。今更そのようなことを恐れる必要はない。
二人が屋敷の中を歩いていくと、初老の気が弱そうな執事が現れたかと思うと、丁寧に頭を下げて四人に向かって言った。
「あなた方がレキシー先生御一行様ですね?旦那様からあなた様方を旦那様の部屋に案内するように仰せつかっております。どうぞ、こちらへどうぞ」
四人が執事の案内を受けて伯爵の部屋に向かうと、物珍しい家具が置かれ、巨大なシャンデリアなどが飾られた豪華絢爛な部屋の中にある一際目立つシャンデリアの下に存在する天蓋付きの巨大な赤色のベッドの中でセバスチャンは苦しい息を立てて眠っていた。ベッドの周りにはセバスチャンの娘であるメーデルや護衛の兵士の他にレキシーを襲撃した男の姿が見えた。
「これはどういうことだい?」
レキシーの問い掛けに畏っていた執事が何が起こったのかを説明していく。
話によれば昨日の晩に何を思ったのか、フォレストごと二人を葬るために兵士を娘の職場の前へと派遣した直後に胸の痛みを訴えた後に胸を抑えてその場に倒れ込んだのだという。
幾らメーデルや部下たちが呼んでも意識を取り戻さずに昏々と眠り続けているのだという。
メーデルが目を泣き腫らしながら父親であるセバスチャンの体を揺らし続けているが、セバスチャンが目を覚ます気配は見えない。
これまでに弱みを握っていた名医たちも見たこともないような病状には匙を投げてしまい、最後にダメ元でレキシーたちに白羽の矢が立ったのだという。
だが、レキシーの言葉も期待を裏切ることはなく他の名医たちと同じ言葉を吐くばかりであった。
それを聞いたメーデルはレキシーの胸ぐらを掴み上げて、泣き叫ぶ。
「ふざけるなッ!パパに不満があるから見殺しにしようとしてるんだろッ!この野郎ッ!殺してやるッ!」
「じゃあ、あたしらを殺したら誰があんたのパパの面倒を見るんだい?」
それを聞いたメーデルが拳を握り締めながら引っ込んだ。それを見た小男が大きな声で笑い声を上げながら言った。
「ハハッ、面白いな。流石は伯爵殿が一目置いていた殺し屋たちだ。ちょっとやそっとのことじゃ動揺しねぇな」
「お褒めに預かり光栄ですわ。こうして閣下のお宅に伺わせていただき、閣下のご面倒を見させていただいたのですから当然、フォレストさんもお返し願えますよね?」
「……それは無理だな」
小男もといイーサンは即答で返した。
「なぜですの?」
カーラが強い口調で問い掛ける。だが、小男は物怖じもせずに口元に怪しげな笑みを浮かべながら言った。
「あいつがあんたらを庇って支援者様と敵対しちまったからさ。例え本人が望まぬ形であったとしてもな……」
イーサンの話によれば昨晩のうちにフォレストが支援者の軍隊に剣を構えたことが伝えられ、イーサンは激昂した大司教によって破門の処分を下されてしまったらしく、例えここで解放したとしてもまた命を狙われるのが関の山ということだ。
その事実にカーラが声を上げながらイーサンに問い掛けた。
「は、破門!?あれだけ長く仕えてきた方を!?」
「そうだよ。そいつが教団の規則なんだね。逆らえば大司教だろうが、歴戦の勇士殿だろうが容赦なく破門だ。例外はねぇ」
イーサンの表情が少しばかり物悲しそうな表情であったのは長年尽くしてきたのにも関わらず、破門されてしまったフォレストを思い遣ってことだろうか。
そんなことを考えているとセバスチャンが目を覚ました。
目の前には多くの兵士が攻め寄せており、背後には路地の突き当たりの壁が広がっている。絶体絶命というのは今のような状況を指していうのだろう。
不幸中の幸いというのは周りが暗くて自分たちの顔がよく見えないことだろうか。
カーラとレキシーが互いにそれぞれの得物を構えて国軍兵士を睨んでいた時だ。先程まで武器を構えて対峙していたはずのフォレストが立ち塞がり、二人に対して逃げるように諭したのだ。
心境の変化に戸惑う二人にフォレストは大きな声で怒鳴り付けた。
その中には味方であるはずのミーモリティへの反抗心も確かに含まれていた。
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カーラはその言葉を聞いて優しい笑顔を向ける。フォレストは確かに敵である。それは間違いない。だが、カーラは既にフォレストが好きになっていた。
演技とはいえ彼が好々爺として見せる態度や戦士としての振る舞いが嫌いではなくなっていたのだ。
カーラはレキシーと共に壁を登り、屋根の上に登ると、その下で熱心に国軍の兵士たちと切り結んでいるフォレストに向かって心の中で感謝の言葉を投げ掛けた。
(ありがとうございます。フォレストさん。また機会があればその時は今度こそ万全の姿勢でお相手致しますわ)
二人は屋根を伝って夜の闇に紛れた。こうして屋根を伝い終わった後は足を立てないように地面に降りて、その足で国軍の目を掻い潜って自宅へと戻っていくというものであった。
足音を立てないように二人は胸をドキドキと激しく動かしながら夜の闇の中を鼠のように進んでいったのである。
やっとの思いで自宅へ戻ると、二人は机を囲んでの反省会を行なっていた。
「……私が軽率な駆除を提案したばかりにレキシーさんを巻き込んでしまって本当に申し訳ありませんわ」
カーラが謝罪の言葉を述べる。
「謝ってもらわなくても構わないよ。それよりもまさか、有償と無償の駆除があたしらの知らないところで結び合っていたとはね。意外だったよ」
「えぇ、ですが、今回の件で無償の方も警戒を強くなされるでしょうから駆除も難しくなるでしょうね」
「……難儀なものだねぇ」
レキシーは大きな溜息を吐きながら言った。こうなってしまって今日のところは早めに風呂に入って寝るのがいいだろう。
だが、万全の準備を施したというのに二人はいい夢を見て眠ることができなかった。というのも、二人の夢に大勢の兵士たちを相手に立ち回るフォレストの姿が見えたからだ。
どうも放置してきたようで寝覚めが悪かった。二人が唸り声を上げながらそれぞれの部屋で寝台から起き上がると、お互いに寝覚めが悪そうに頭を掻いていた。それでも身支度を整えて階下で朝食を作ろうとした時だ。
扉を勢いよく叩く音が聞こえた。カーラとレキシーの両名が扉の前で武器を構えて相手を確認すると、声の主は自分たちのギルドマスターであった。
二人が慌てて扉を開けると、そこには真剣な表情を浮かべたギルドマスターの姿が見えた。
「マスター。どうなさったんですの?こんな朝早くに……」
マスターは答える代わりに二人に一枚の紙を手渡す。紙には二人に伯爵邸に来るようにという指示が書かれていた。
伯爵邸には裏切り者のフォレストという男を捕らえていると書かれており、二人が来なければフォレストを殺すという旨まであった。
「今朝早くにこの手紙が酒場のカウンターの上に置かれていてね。何事かと思って開いたら、お前たち二人の名前が書かれていたから……」
「わかりましたわ。私伯爵邸に向かわせていただきます」
「ちょっと待ちなよ!そいつは罠だよ、行ったら殺されちまうよ!」
カーラはしばらくの沈黙の後で口から捻り出すように答えた。
「……わかっていますわ。でも、昨晩あのお方は自分が殺される覚悟で私たちを助けてくださった……今度は私たちが報いる番ではありませんの?」
そう言われてしまってはレキシーとしても重い腰を上げるより他にない。
カーラとレキシーは互いに得物を服の中に隠しながら伯爵家に向かう。
その途中でどうしても付いてくると言い張って聞かないヒューゴとギークの両名も共に。
伯爵家の屋敷の前には多くの兵士が今すぐにでも戦争が起こると言わんばかりに警戒体制を持って見張っていた。
四人はセバスチャンからもらった手紙を見せて門の前を通る。
これで中に入ることができた。いよいよここからである。運が良ければ屋敷の中で伯爵と相討ちになって果てることができるだろう。ただし、これは最高の場合の事例である。普通ならば大量の兵士によってこの場で殺されるか、そのまま国捕えられた末に駆除人としての殺しを暴かれて死刑になるかもしれない。
だが、四人は覚悟ができている。今更そのようなことを恐れる必要はない。
二人が屋敷の中を歩いていくと、初老の気が弱そうな執事が現れたかと思うと、丁寧に頭を下げて四人に向かって言った。
「あなた方がレキシー先生御一行様ですね?旦那様からあなた様方を旦那様の部屋に案内するように仰せつかっております。どうぞ、こちらへどうぞ」
四人が執事の案内を受けて伯爵の部屋に向かうと、物珍しい家具が置かれ、巨大なシャンデリアなどが飾られた豪華絢爛な部屋の中にある一際目立つシャンデリアの下に存在する天蓋付きの巨大な赤色のベッドの中でセバスチャンは苦しい息を立てて眠っていた。ベッドの周りにはセバスチャンの娘であるメーデルや護衛の兵士の他にレキシーを襲撃した男の姿が見えた。
「これはどういうことだい?」
レキシーの問い掛けに畏っていた執事が何が起こったのかを説明していく。
話によれば昨日の晩に何を思ったのか、フォレストごと二人を葬るために兵士を娘の職場の前へと派遣した直後に胸の痛みを訴えた後に胸を抑えてその場に倒れ込んだのだという。
幾らメーデルや部下たちが呼んでも意識を取り戻さずに昏々と眠り続けているのだという。
メーデルが目を泣き腫らしながら父親であるセバスチャンの体を揺らし続けているが、セバスチャンが目を覚ます気配は見えない。
これまでに弱みを握っていた名医たちも見たこともないような病状には匙を投げてしまい、最後にダメ元でレキシーたちに白羽の矢が立ったのだという。
だが、レキシーの言葉も期待を裏切ることはなく他の名医たちと同じ言葉を吐くばかりであった。
それを聞いたメーデルはレキシーの胸ぐらを掴み上げて、泣き叫ぶ。
「ふざけるなッ!パパに不満があるから見殺しにしようとしてるんだろッ!この野郎ッ!殺してやるッ!」
「じゃあ、あたしらを殺したら誰があんたのパパの面倒を見るんだい?」
それを聞いたメーデルが拳を握り締めながら引っ込んだ。それを見た小男が大きな声で笑い声を上げながら言った。
「ハハッ、面白いな。流石は伯爵殿が一目置いていた殺し屋たちだ。ちょっとやそっとのことじゃ動揺しねぇな」
「お褒めに預かり光栄ですわ。こうして閣下のお宅に伺わせていただき、閣下のご面倒を見させていただいたのですから当然、フォレストさんもお返し願えますよね?」
「……それは無理だな」
小男もといイーサンは即答で返した。
「なぜですの?」
カーラが強い口調で問い掛ける。だが、小男は物怖じもせずに口元に怪しげな笑みを浮かべながら言った。
「あいつがあんたらを庇って支援者様と敵対しちまったからさ。例え本人が望まぬ形であったとしてもな……」
イーサンの話によれば昨晩のうちにフォレストが支援者の軍隊に剣を構えたことが伝えられ、イーサンは激昂した大司教によって破門の処分を下されてしまったらしく、例えここで解放したとしてもまた命を狙われるのが関の山ということだ。
その事実にカーラが声を上げながらイーサンに問い掛けた。
「は、破門!?あれだけ長く仕えてきた方を!?」
「そうだよ。そいつが教団の規則なんだね。逆らえば大司教だろうが、歴戦の勇士殿だろうが容赦なく破門だ。例外はねぇ」
イーサンの表情が少しばかり物悲しそうな表情であったのは長年尽くしてきたのにも関わらず、破門されてしまったフォレストを思い遣ってことだろうか。
そんなことを考えているとセバスチャンが目を覚ました。
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