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第一章『この私、カーラ・プラフティーが処刑台のベルを鳴らせていただきますわ』
伯爵の切り札
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「貴様ッ!マルグリッタに何をした!?」
ベクターは長椅子の上から立ち上がったかと思うと、新たな婚約者となったマルグリッタの前に立ち塞がり、あれほど恐ろしいはずの兄に向かって剣を突き付けた。
「この無礼な女を突き飛ばしたのだ。何か問題でもあるのか?」
フィンは冷ややかな視線を向けながらベクターに向かって問い掛けた。
その後でフィンは腰に下げていた剣の鍔に手を掛けた。
この時点でベクターは怒りよりも恐怖の方が勝ったらしい。剣を握る手が強く震えるのが見えた。
同時にその背後で震えているはずのマルグリッタがこちらを睨んでいることに気がつく。
どうやら先程見せた気の弱さは優しさは偽りものであるらしい。そしてそれらで覆い隠した真の心というのはどこまでも醜いものであるらしい。
フィンが弟と新たに弟の婚約者となった悪女を睨んでいた時だ。セバスチャンが大きな声で笑い始めた。
呆気に取られる三人を放置して、セバスチャンは笑い続けていく。
そして笑いが収まった後で、ひどく冷静な顔を浮かべて言った。
「いやぁ、殿下のカーラを思う心には恐れ入りましたな。恋は盲目というがまさにその通りだ」
セバスチャンは長椅子の上から立ち上がったかと思うと、三人の間に割って入り、フィンの肩を馴れ馴れしく叩きながら言った。
「しかし、暴力というのはいけませんな。ましてや相手は王太子殿下……万が一にでも王太子を害するようなことがあればあなたの父君がお怒りになられるでしょうな」
その言葉を聞けばフィンも鞘を収めるしかできなかった。だが、相手を射殺さんばかりに睨むフィンを見て和解は不可能と確信したのか、伯爵は二人に宮廷に帰るように指示を出す。
二人は不満な様子で部屋を出ていき、後にはフィンとセバスチャンだけが残された。
セバスチャンは長椅子に腰を掛けると、残っていた茶を飲み干し、フィンを見つめた。
「いやぁ、どうでしたかな?久方振りにお会いした弟君とその婚約者は」
「どうしたもこうしたもない。貴様はなんの意図があってあの二人をここに連れてきたのだ?」
「警告ですよ。殿下」
「警告だと?」
「えぇ、もしあなたが私に金を払わずにいたのならば今度はもっとすごい秘密をあのお二方に……いいや、全国民に公表させていただきましょうかな。そうなれば、次の国王はベクター殿下にお決まりでしょうし、あなた様も投獄でしょうな。下手をすれば死罪かもしれません」
「……なるほど、そうした意味での警告か……オレが金を払わなければこうなると……」
フィンはギリギリと歯を鳴らしながら懐から財布を取り出して机の上に放り投げる。
勢い余って中の袋から金貨が転がるほどであったが、セバスチャンは転がった金貨すらも逃さずに一枚ずつ拾い上げ、自身の懐の中へと仕舞う。
「では、殿下、これは手付け金としていただいておきましょう。あっ、そうだ。殿下。手付け金をいただきましたのでそのお礼として、最後に非常に役に立つことを教えて差し上げましょう」
セバスチャンはニヤニヤとした笑みを浮かべながら言った。
「私を駆除人に殺させようとしても無駄ですよ。私は常に万全の備えをしておるのですからな」
セバスチャンは高笑いをしながら悔しそうな表情で拳を握るフィンを放置してその場を去っていく。
セバスチャンは警備隊の建物の前に停めていた自身の馬車の中へと乗り込み、御者に行き先を告げる。
馬車の車輪の音が夜の街の中でゴトゴトと大きな音を立てて動いていく。
セバスチャンが乗る馬車が向かっていくのは城下を出た先にある巨大な教会であった。
だが、そこは一般的に人々が神に許しを乞いに行ったり、神官に悩みを相談したりする普通の教会ではなかった。
巨大な二本足のドラゴンを描いたとされるステンドグラスが頂上に貼られた二本の塔が聳え立っており、訪れる人々を見下ろしていた。
教会の前は一本道となっており、しっかりとした石で整備されて馬車や人が通りやすくなっていた。
一方で教会の周りには家畜たちを逃さないための巨大な柵が貼られ、その中で牛や豚といった家畜たちが眠る姿が見受けられた。
教会の運営する酪農に携わる人間の数は一般の牧場の数とは比較にもならないに違いない。
これもさまざまな人物から与えられる布施のお陰だろう。セバスチャンは馬車の窓からその光景を見ながら内心この教会をいや、この教会が祀る神とほれを信仰する人々に軽蔑の念を抱いていた。
長い一本道を通り過ぎ、教会の入り口の前で黒い宗教服を纏った僧に出迎えられ、馬車を降りてこの教会にある応接室へとセバスチャンは通された。
応接室は宗教関係の建物とは思えないほどに贅を尽くされた部屋となっていた。
壁紙も床も上等なものが惜しみもなく使われており、中央に置かれた机とそれを挟んで向かい合う長椅子の周りには動物の毛をふんだんに使ったと思われる絨毯が敷かれていた。
かつて寄付の話をするために教会を訪れた際に好奇心に負けて、裸足で踏んだことがあったが、ふわふわとした感触が心地良くセバスチャンの心を捉えたことを思い出した。
そして、机の上には高価なギヤマンのグラスとブドウを使って造られた酒が置かれていた。
ギヤマンのグラスも酒も上等のものであった。窓から差し込む陽の光に照らされて光る青色のギヤマンは例え自分であっても手に入れるのは難しいだろう。
セバスチャンは改めて教会の規模の大きさを思い知らされた。
そして、来客を待たせるのも教会の余裕の表れだろう。
セバスチャンが足を踏み鳴らしながら待っていると、長身に丸い眼鏡をかけた壮年の男性が姿を現した。
「お待たせして申し訳ありません。私です。ジェームズ・モランです」
「モランさん。どうしてここまで私を待たせるのですか?」
「失礼、我らが神、ネオドラビア様に祈祷を続けていたものですから」
長身の男は丁寧に頭を下げながら非礼を詫びた。下げた頭からは年齢に相応しい白髪が目立って見えた。
「随分と熱心なのですな。それはあなたが大司教だからですか?」
セバスチャンはくだらない理由で待たされたのだと悟り、皮肉めいた口調で尋ねた。
だが、大司教はそんなことは気にも止めずに話を続けていく。
「いいえ、この世界をお作りになられたのはディアドルボードの神ですので、その世界に住まわせていただいている我々がその神に感謝の言葉を述べるのは当然のことなのです。ここの教会における私の役割は無関係です」
セバスチャンには理解できない世界であった。ネオドラビアというのは彼らが唯一の絶対的存在であるドラゴンだ。
来る途中に見たステンドグラスの中に描かれていたドラゴンがそれだ。
緑の鱗に巨大な二本の足に両手、悪魔を思わせるような角と顔をし、背中には悪魔のような翼を生やしている。
セバスチャンは初めて見た時にはその神に嫌悪感を覚えたのだが、時と場合というのは彼も弁えている。
その神に対して嫌悪感を抱くのは帰りの馬車の中だけだ。
セバスチャンは低い声で目の前に座る大司教に向かって問い掛けた。
「……それで今回の相談なのですが、おたくの地下組織から有能な人物を二名ほどお貸し願えないでしょうか?少しばかり厄介な相手を敵に回してしまいましてな」
セバスチャンはそうして密かに大司教の手の中に金貨を何枚か入れる。大司教は仮にも聖職者という立場であるにも関わらず、渡された金貨を躊躇うこともなく受け取り、自身の服のポケットの中へと入れた。
「……いいでしょう。それに伯爵閣下からは以前にも莫大な寄付金をいただきましたからな。その恩もお返ししなくては……私どもの組織から強力な者を二名ほどお貸しさせていただきましょう」
大司教は満面の笑みを浮かべながら言った。
大司教はそのまま両手を大きく叩く。
すると、床下が開いたかと思うと、大司教と同じような僧服を着た老人と小柄な中年の男の姿が見えた。
「お呼びでしょうか?大司教」
「……忠実なる神の戦士たちよ。我らの偉大なる支援者様に危機が迫っております。あなた方の手でその危機を排除しておあげなさい」
二人の男は口元を緩めながら言った。
「造作もないことで」
セバスチャンは二人から発する圧に思わず萎縮させられたが、彼は確信を得た。
この二人ならば確実にカーラを始末してくれる、と。
ベクターは長椅子の上から立ち上がったかと思うと、新たな婚約者となったマルグリッタの前に立ち塞がり、あれほど恐ろしいはずの兄に向かって剣を突き付けた。
「この無礼な女を突き飛ばしたのだ。何か問題でもあるのか?」
フィンは冷ややかな視線を向けながらベクターに向かって問い掛けた。
その後でフィンは腰に下げていた剣の鍔に手を掛けた。
この時点でベクターは怒りよりも恐怖の方が勝ったらしい。剣を握る手が強く震えるのが見えた。
同時にその背後で震えているはずのマルグリッタがこちらを睨んでいることに気がつく。
どうやら先程見せた気の弱さは優しさは偽りものであるらしい。そしてそれらで覆い隠した真の心というのはどこまでも醜いものであるらしい。
フィンが弟と新たに弟の婚約者となった悪女を睨んでいた時だ。セバスチャンが大きな声で笑い始めた。
呆気に取られる三人を放置して、セバスチャンは笑い続けていく。
そして笑いが収まった後で、ひどく冷静な顔を浮かべて言った。
「いやぁ、殿下のカーラを思う心には恐れ入りましたな。恋は盲目というがまさにその通りだ」
セバスチャンは長椅子の上から立ち上がったかと思うと、三人の間に割って入り、フィンの肩を馴れ馴れしく叩きながら言った。
「しかし、暴力というのはいけませんな。ましてや相手は王太子殿下……万が一にでも王太子を害するようなことがあればあなたの父君がお怒りになられるでしょうな」
その言葉を聞けばフィンも鞘を収めるしかできなかった。だが、相手を射殺さんばかりに睨むフィンを見て和解は不可能と確信したのか、伯爵は二人に宮廷に帰るように指示を出す。
二人は不満な様子で部屋を出ていき、後にはフィンとセバスチャンだけが残された。
セバスチャンは長椅子に腰を掛けると、残っていた茶を飲み干し、フィンを見つめた。
「いやぁ、どうでしたかな?久方振りにお会いした弟君とその婚約者は」
「どうしたもこうしたもない。貴様はなんの意図があってあの二人をここに連れてきたのだ?」
「警告ですよ。殿下」
「警告だと?」
「えぇ、もしあなたが私に金を払わずにいたのならば今度はもっとすごい秘密をあのお二方に……いいや、全国民に公表させていただきましょうかな。そうなれば、次の国王はベクター殿下にお決まりでしょうし、あなた様も投獄でしょうな。下手をすれば死罪かもしれません」
「……なるほど、そうした意味での警告か……オレが金を払わなければこうなると……」
フィンはギリギリと歯を鳴らしながら懐から財布を取り出して机の上に放り投げる。
勢い余って中の袋から金貨が転がるほどであったが、セバスチャンは転がった金貨すらも逃さずに一枚ずつ拾い上げ、自身の懐の中へと仕舞う。
「では、殿下、これは手付け金としていただいておきましょう。あっ、そうだ。殿下。手付け金をいただきましたのでそのお礼として、最後に非常に役に立つことを教えて差し上げましょう」
セバスチャンはニヤニヤとした笑みを浮かべながら言った。
「私を駆除人に殺させようとしても無駄ですよ。私は常に万全の備えをしておるのですからな」
セバスチャンは高笑いをしながら悔しそうな表情で拳を握るフィンを放置してその場を去っていく。
セバスチャンは警備隊の建物の前に停めていた自身の馬車の中へと乗り込み、御者に行き先を告げる。
馬車の車輪の音が夜の街の中でゴトゴトと大きな音を立てて動いていく。
セバスチャンが乗る馬車が向かっていくのは城下を出た先にある巨大な教会であった。
だが、そこは一般的に人々が神に許しを乞いに行ったり、神官に悩みを相談したりする普通の教会ではなかった。
巨大な二本足のドラゴンを描いたとされるステンドグラスが頂上に貼られた二本の塔が聳え立っており、訪れる人々を見下ろしていた。
教会の前は一本道となっており、しっかりとした石で整備されて馬車や人が通りやすくなっていた。
一方で教会の周りには家畜たちを逃さないための巨大な柵が貼られ、その中で牛や豚といった家畜たちが眠る姿が見受けられた。
教会の運営する酪農に携わる人間の数は一般の牧場の数とは比較にもならないに違いない。
これもさまざまな人物から与えられる布施のお陰だろう。セバスチャンは馬車の窓からその光景を見ながら内心この教会をいや、この教会が祀る神とほれを信仰する人々に軽蔑の念を抱いていた。
長い一本道を通り過ぎ、教会の入り口の前で黒い宗教服を纏った僧に出迎えられ、馬車を降りてこの教会にある応接室へとセバスチャンは通された。
応接室は宗教関係の建物とは思えないほどに贅を尽くされた部屋となっていた。
壁紙も床も上等なものが惜しみもなく使われており、中央に置かれた机とそれを挟んで向かい合う長椅子の周りには動物の毛をふんだんに使ったと思われる絨毯が敷かれていた。
かつて寄付の話をするために教会を訪れた際に好奇心に負けて、裸足で踏んだことがあったが、ふわふわとした感触が心地良くセバスチャンの心を捉えたことを思い出した。
そして、机の上には高価なギヤマンのグラスとブドウを使って造られた酒が置かれていた。
ギヤマンのグラスも酒も上等のものであった。窓から差し込む陽の光に照らされて光る青色のギヤマンは例え自分であっても手に入れるのは難しいだろう。
セバスチャンは改めて教会の規模の大きさを思い知らされた。
そして、来客を待たせるのも教会の余裕の表れだろう。
セバスチャンが足を踏み鳴らしながら待っていると、長身に丸い眼鏡をかけた壮年の男性が姿を現した。
「お待たせして申し訳ありません。私です。ジェームズ・モランです」
「モランさん。どうしてここまで私を待たせるのですか?」
「失礼、我らが神、ネオドラビア様に祈祷を続けていたものですから」
長身の男は丁寧に頭を下げながら非礼を詫びた。下げた頭からは年齢に相応しい白髪が目立って見えた。
「随分と熱心なのですな。それはあなたが大司教だからですか?」
セバスチャンはくだらない理由で待たされたのだと悟り、皮肉めいた口調で尋ねた。
だが、大司教はそんなことは気にも止めずに話を続けていく。
「いいえ、この世界をお作りになられたのはディアドルボードの神ですので、その世界に住まわせていただいている我々がその神に感謝の言葉を述べるのは当然のことなのです。ここの教会における私の役割は無関係です」
セバスチャンには理解できない世界であった。ネオドラビアというのは彼らが唯一の絶対的存在であるドラゴンだ。
来る途中に見たステンドグラスの中に描かれていたドラゴンがそれだ。
緑の鱗に巨大な二本の足に両手、悪魔を思わせるような角と顔をし、背中には悪魔のような翼を生やしている。
セバスチャンは初めて見た時にはその神に嫌悪感を覚えたのだが、時と場合というのは彼も弁えている。
その神に対して嫌悪感を抱くのは帰りの馬車の中だけだ。
セバスチャンは低い声で目の前に座る大司教に向かって問い掛けた。
「……それで今回の相談なのですが、おたくの地下組織から有能な人物を二名ほどお貸し願えないでしょうか?少しばかり厄介な相手を敵に回してしまいましてな」
セバスチャンはそうして密かに大司教の手の中に金貨を何枚か入れる。大司教は仮にも聖職者という立場であるにも関わらず、渡された金貨を躊躇うこともなく受け取り、自身の服のポケットの中へと入れた。
「……いいでしょう。それに伯爵閣下からは以前にも莫大な寄付金をいただきましたからな。その恩もお返ししなくては……私どもの組織から強力な者を二名ほどお貸しさせていただきましょう」
大司教は満面の笑みを浮かべながら言った。
大司教はそのまま両手を大きく叩く。
すると、床下が開いたかと思うと、大司教と同じような僧服を着た老人と小柄な中年の男の姿が見えた。
「お呼びでしょうか?大司教」
「……忠実なる神の戦士たちよ。我らの偉大なる支援者様に危機が迫っております。あなた方の手でその危機を排除しておあげなさい」
二人の男は口元を緩めながら言った。
「造作もないことで」
セバスチャンは二人から発する圧に思わず萎縮させられたが、彼は確信を得た。
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