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冒険編
フランツ・フォン・ツェーンという男
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ここで、時間はヘルマンが諜報機関の長官から電話を受けたとった直後にまで遡る。
「総統にお伺いしたいのですが」
「何かしら?」
国家の総統であるエルダーは本を読み終えた直後であったらしく、満足そうな顔を浮かべて諜報機関の長の質問に答える。
「どうして、ヘルマンなんぞにもう一度、機会をお与えになられるのですか?総統は今や、正式の手段でオーランジュを手に入れようとなさろうとしておられる。それならば、さっさとあの男の責任を問い、処刑なされたほうがよろしいのでは?」
「フフフ、そうね。確かに、ヘルマルは処刑したほうがいいかもしれないわ」
「……総統。まさか、あなたは!?」
「ええ、そのまさかよ。私はヘルマンの中にいるフランツにチャンスを与えたのよ。ヘルマンはお馬鹿さんだけれど、フランツはそうじゃあないわ。ヘルマンを殺すついでにあの子まで失うのは我が党……いいえ、ガレリアにとっての損害よ。だから、最後のチャンスを与えたの」
エルダーはそう言うと、再び本を読む作業へと戻っていく。
彼女は執務や演説の合間に何冊も本を読む。エルダーは読書家としても知られており、一日に必ず二冊は本を読む事を心掛けているという。
彼女からすれば、自分は教養がないから読書でそれを補っているという。
だが、彼から見れば、彼女は自分たちより何倍も肥大した頭脳を持っているように思える。
特に歴史に関してはピカイチで、竜暦を実際に見ていたかのように語る彼女の史観には党員の誰もが一目を置いている。
彼は彼女が本を読む姿を暫く、絵画でも眺めるかのように眺めた後にそのまま部屋を去っていく。
後はフランツが上手くいく事を願うばかりである。
時間は再び現在へと戻り、彼はルイーダと王宮のフロアスペースにて激しい激闘を繰り広げていた。
剣と短刀にそれから、鈍器のような拳によ戦闘が続いていく。
部下たちも、オーランジュ王国の兵士たちもこの戦いには介入できないでいるらしい。
誰もが武器を構えたまま、超高速で動く二人が戻るのを見守っていた。
だが、どちらも全力で戦っているのだろう。一向に姿が見えない。
「一体、どうなっている」
幼年の国王は側に控えていた執事に向かって尋ねるのだが、彼は首をかしげ、申し訳なさそうに両肩をすくめるばかりである。
そもそも高速魔法か擬似高速魔法を使える人間でなければ見られないのだから、当たり前といえば当たり前ではある。
だが、それでも、彼は主人の疑問に応えられない事が申し訳なかったに違いない。
だが、国王の守りに付いているジードには二人の姿がハッキリと見えていた。
ルイーダとフランツが激しい斬り合いを続けてはいるものの、拳を用いて、一歩先をリードする彼が有利に戦いを進めているという現実に。
ジードは万が一、フランツが攻めてきた場合には国王を跳ね飛ばしてでも守る所存である。
今のところは彼は赤い宝石の付いた剣のみを狙っているというが、併合に邪魔な国王を殺してもおかしくはない。
ジードがルイーダと共に迎撃に向かわなかったのはそのためである。
だが、恐怖心に駆られたルイーダの姿を見ると、ジードの手が無意識のうちに拳を作って震えている事に気が付く。
それでも、彼は下唇を噛み締めていた。フランツは拳による攻撃と短刀による攻撃の両方とを加えて、ルイーダを圧迫していく。
「ハッハッ、どうしたッ!?先程までの勢いがなくなってきているようだが!?」
フランツは得意気な顔を浮かべると同時に、ルイーダの真上から拳を突き上げていく。
ルイーダはそれを剣を斜め上に構えて防ぐ。
単なる拳ではあるのだが、思った以上の衝撃がのしかかり、彼女の体、全体に途方もない痛みを与えていく。
同時に、彼女の体が音を立てて勢いよく、背後へと下がっていく。
「ぐっ、ァァァァァ」
ルイーダの口から悲鳴が溢れていく。フランツはその隙を逃さない。
彼は咆哮を上げて、もう片方の手でルイーダの腹部を狙う。
それでも、彼女は剣を振り上げて拳を話すと、そのまま体を捻って、短刀を巧みに交わす。
そして、そのまま遠心力に任せて、フランツの元へと飛び、フランツの頬を殴り付ける。
フランツはこの時に初めて悲鳴を漏らす。
だが、すぐに頬を手の甲で拭い、もう一度、拳と短刀とを構えてルイーダと向かい合う。
「今の一撃は痛かったぜ。全く、久しぶりだぜ、俺をこんな風にぶん殴った奴はよぉ」
「では、前に殴った奴とやらは誰だ?ここまで貴様相手に奮闘したのだ。教えてくれてもいいだろう?」
「そうだな、オレがまだ国立魔銃士育成学園に通ってた頃だから……もうだいぶ前だな。確か奴の名前はグレゴリー・サトレッサーと言ったな」
「……聞き間違いでなければもう一度尋ねるが、確かにそいつの名前はグレゴリー・サトレッサーと言ったんだな?」
「そうだが、あんたの知り合いか?」
ルイーダは答えない。だが、彼女の表情からフランツはそれを肯定と受け取った。
暫くの間は両者の間に微妙な空気が流れていたが、やがて、フランツは雄叫びを上げて、その空気を壊すと、ルイーダの元へと拳を振り上げていく。
ルイーダと暫くの間は剣を振って戦っていたのだが、やはり、二人の頭の中には『グレゴリー・サトレッサー』という言葉がしこりのように付いて離れない。
というのも、フランツからすれば、グレゴリーというのは他ならぬ自身を殺した相手であるのに対し、ルイーダからすれば、グレゴリー・サトレッサーという名前はルイーダ同様に千年前に見た魔法使いの名前であるからだ。
戦いの最中であるというのに、ルイーダの頭の中に浮かぶのはグレゴリーが放った一言である。
『キミは光の魔法に溺れている。いずれ、キミはその身を破滅に委ねる事になるだろう。その力に溺れている限りはな』
今の今まで取るに足らない言葉だと思い、彼の存在もろとも記憶の片隅に放置された状態であったのだが、なぜか、この瞬間に思い出されたのだ。特にあの言葉は光の魔法であの邪悪な竜を倒した後に嵌められた殺された自分からすれば十分に納得ができる言葉なのだ。
この言葉が頭の中に響き渡って行った後には堰を切った後の堤防の水のように頭の中にグレゴリーに関する情報や彼と交わしたやり取りが流れこむ。
そして、目の前で戦っていた筈のフランツも今のルイーダと同じ状況になったらしい。
突然、彼が苦しみ始めたかと思うと、前のヘルマンと同じ顔になってしまっていた。
ヘルマンへと戻った彼は部下を連れて、そのまま城を後にしていく。
だが、それはジードが許さない。五人の前に立ち塞がると、自身の力を用いて、五人を城の中へと閉じ込めたのである。
「総統にお伺いしたいのですが」
「何かしら?」
国家の総統であるエルダーは本を読み終えた直後であったらしく、満足そうな顔を浮かべて諜報機関の長の質問に答える。
「どうして、ヘルマンなんぞにもう一度、機会をお与えになられるのですか?総統は今や、正式の手段でオーランジュを手に入れようとなさろうとしておられる。それならば、さっさとあの男の責任を問い、処刑なされたほうがよろしいのでは?」
「フフフ、そうね。確かに、ヘルマルは処刑したほうがいいかもしれないわ」
「……総統。まさか、あなたは!?」
「ええ、そのまさかよ。私はヘルマンの中にいるフランツにチャンスを与えたのよ。ヘルマンはお馬鹿さんだけれど、フランツはそうじゃあないわ。ヘルマンを殺すついでにあの子まで失うのは我が党……いいえ、ガレリアにとっての損害よ。だから、最後のチャンスを与えたの」
エルダーはそう言うと、再び本を読む作業へと戻っていく。
彼女は執務や演説の合間に何冊も本を読む。エルダーは読書家としても知られており、一日に必ず二冊は本を読む事を心掛けているという。
彼女からすれば、自分は教養がないから読書でそれを補っているという。
だが、彼から見れば、彼女は自分たちより何倍も肥大した頭脳を持っているように思える。
特に歴史に関してはピカイチで、竜暦を実際に見ていたかのように語る彼女の史観には党員の誰もが一目を置いている。
彼は彼女が本を読む姿を暫く、絵画でも眺めるかのように眺めた後にそのまま部屋を去っていく。
後はフランツが上手くいく事を願うばかりである。
時間は再び現在へと戻り、彼はルイーダと王宮のフロアスペースにて激しい激闘を繰り広げていた。
剣と短刀にそれから、鈍器のような拳によ戦闘が続いていく。
部下たちも、オーランジュ王国の兵士たちもこの戦いには介入できないでいるらしい。
誰もが武器を構えたまま、超高速で動く二人が戻るのを見守っていた。
だが、どちらも全力で戦っているのだろう。一向に姿が見えない。
「一体、どうなっている」
幼年の国王は側に控えていた執事に向かって尋ねるのだが、彼は首をかしげ、申し訳なさそうに両肩をすくめるばかりである。
そもそも高速魔法か擬似高速魔法を使える人間でなければ見られないのだから、当たり前といえば当たり前ではある。
だが、それでも、彼は主人の疑問に応えられない事が申し訳なかったに違いない。
だが、国王の守りに付いているジードには二人の姿がハッキリと見えていた。
ルイーダとフランツが激しい斬り合いを続けてはいるものの、拳を用いて、一歩先をリードする彼が有利に戦いを進めているという現実に。
ジードは万が一、フランツが攻めてきた場合には国王を跳ね飛ばしてでも守る所存である。
今のところは彼は赤い宝石の付いた剣のみを狙っているというが、併合に邪魔な国王を殺してもおかしくはない。
ジードがルイーダと共に迎撃に向かわなかったのはそのためである。
だが、恐怖心に駆られたルイーダの姿を見ると、ジードの手が無意識のうちに拳を作って震えている事に気が付く。
それでも、彼は下唇を噛み締めていた。フランツは拳による攻撃と短刀による攻撃の両方とを加えて、ルイーダを圧迫していく。
「ハッハッ、どうしたッ!?先程までの勢いがなくなってきているようだが!?」
フランツは得意気な顔を浮かべると同時に、ルイーダの真上から拳を突き上げていく。
ルイーダはそれを剣を斜め上に構えて防ぐ。
単なる拳ではあるのだが、思った以上の衝撃がのしかかり、彼女の体、全体に途方もない痛みを与えていく。
同時に、彼女の体が音を立てて勢いよく、背後へと下がっていく。
「ぐっ、ァァァァァ」
ルイーダの口から悲鳴が溢れていく。フランツはその隙を逃さない。
彼は咆哮を上げて、もう片方の手でルイーダの腹部を狙う。
それでも、彼女は剣を振り上げて拳を話すと、そのまま体を捻って、短刀を巧みに交わす。
そして、そのまま遠心力に任せて、フランツの元へと飛び、フランツの頬を殴り付ける。
フランツはこの時に初めて悲鳴を漏らす。
だが、すぐに頬を手の甲で拭い、もう一度、拳と短刀とを構えてルイーダと向かい合う。
「今の一撃は痛かったぜ。全く、久しぶりだぜ、俺をこんな風にぶん殴った奴はよぉ」
「では、前に殴った奴とやらは誰だ?ここまで貴様相手に奮闘したのだ。教えてくれてもいいだろう?」
「そうだな、オレがまだ国立魔銃士育成学園に通ってた頃だから……もうだいぶ前だな。確か奴の名前はグレゴリー・サトレッサーと言ったな」
「……聞き間違いでなければもう一度尋ねるが、確かにそいつの名前はグレゴリー・サトレッサーと言ったんだな?」
「そうだが、あんたの知り合いか?」
ルイーダは答えない。だが、彼女の表情からフランツはそれを肯定と受け取った。
暫くの間は両者の間に微妙な空気が流れていたが、やがて、フランツは雄叫びを上げて、その空気を壊すと、ルイーダの元へと拳を振り上げていく。
ルイーダと暫くの間は剣を振って戦っていたのだが、やはり、二人の頭の中には『グレゴリー・サトレッサー』という言葉がしこりのように付いて離れない。
というのも、フランツからすれば、グレゴリーというのは他ならぬ自身を殺した相手であるのに対し、ルイーダからすれば、グレゴリー・サトレッサーという名前はルイーダ同様に千年前に見た魔法使いの名前であるからだ。
戦いの最中であるというのに、ルイーダの頭の中に浮かぶのはグレゴリーが放った一言である。
『キミは光の魔法に溺れている。いずれ、キミはその身を破滅に委ねる事になるだろう。その力に溺れている限りはな』
今の今まで取るに足らない言葉だと思い、彼の存在もろとも記憶の片隅に放置された状態であったのだが、なぜか、この瞬間に思い出されたのだ。特にあの言葉は光の魔法であの邪悪な竜を倒した後に嵌められた殺された自分からすれば十分に納得ができる言葉なのだ。
この言葉が頭の中に響き渡って行った後には堰を切った後の堤防の水のように頭の中にグレゴリーに関する情報や彼と交わしたやり取りが流れこむ。
そして、目の前で戦っていた筈のフランツも今のルイーダと同じ状況になったらしい。
突然、彼が苦しみ始めたかと思うと、前のヘルマンと同じ顔になってしまっていた。
ヘルマンへと戻った彼は部下を連れて、そのまま城を後にしていく。
だが、それはジードが許さない。五人の前に立ち塞がると、自身の力を用いて、五人を城の中へと閉じ込めたのである。
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