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追跡編
エルダー・リッジウェイとの対峙
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「……何か、勘違いをしておられるのではなくて?私はあなたにお会いした事などありませんが」
「ほぅ、惚けるつもりか?竜暦元年にフリードリヒ王をたぶらかして、私を殺したのは貴様だろう?」
その言葉を聞いて、騒つくのは宿の人々。それに憤りを感じ、ホルスターに下げている拳銃を抜いたり、手に持っている散弾銃や機関銃を構えるのはマナエ党の党員たち。
彼女の親衛隊である。マナエ党における総統親衛隊はエルリカのような金髪碧眼で、筋肉隆々という彼女好みの美男子で構成されており、揃っているだけで絵になるような人物である。
その顔と体の逞しさから彼女の寵愛を受けているだけあり、彼女への忠誠心は党の誰よりも強かった。
それだけに、本当に引き金を引きかねない状況であったのだが、彼女はそれを手で静止させ、ルイーダに向かって微笑む。
数多くのガレリア国民を虜にした笑顔であるが、ルイーダには通用しなかったのか、先程と同様の仏頂面を浮かべて、エルダーを睨むばかりである。
彼女はこれ以上は話しても無駄だと思ったのか、大きく溜息を吐いた後にルイーダと向き直って、互いにその視線を交わす。
互いが互いを睨み合っているので、側から見た人々からは二人の視線から火花が生じているように見えた。
だが、エルダーは流石は総統というべきか、視線を外すとすぐにまた、あの笑みを浮かべて口を開く。
「……可哀想に、あなたは騎士道物語を読み過ぎて、私を物語の魔女と混在してしまったのね。私を嫌う人たちによく見られる傾向だわ」
「……ふざけるなッ!私が貴様に唆されたフリードリヒ王に嵌められたルイーダ・メルテロイ本人だッ!」
「騎士道物語は素晴らしいものよ。けれど、お話とごっちゃにしちゃうのはよくないわね」
頭に血が昇っているルイーダに対し、冷静沈着に「淑女」という風貌を漂わせて、諭すように話すエルダー。
どちらに分があるのかは明白の事実である。
「ここら辺で、お引き取り願おうか、それとも、こっちの方がいいか」
親衛隊の一人と思われる青年が腰に下げていた拳銃を突き付けながら言った。
「やれるのなら、やってみろ」
だが、ルイーダは引かない。むしろ、胸を張りながら、男へと近付いていく。
その挑発に男は乗るつもりだったらしい。「野郎!」と声を上げて、引き金を手を当てようとした時だ。
「やめなさい」
と、背後から嗜める声が聞こえてきた。冬季の海の上に浮かんで、膜のように貼られている薄い氷のように冷たい声だ。
それを聞いた親衛隊の男は不本意ながらも、銃をホルスターの中へと仕舞う。
「部下の躾がなっていないようだな。魔女よ」
「魔女じゃあないと言っているでしょう?もうここら辺でその話はやめにしてもいいでしょ?あなたの馬鹿げた質問に答えてあげたのだから、今度はあなたが私の質問に答えてくださらない?どうして、国立魔銃士育成学園の制度を勝手に変えたのかしら?」
「差別的であり、今の竜暦千年という時代にそぐわないと感じたからな」
「あれはあくまでも区別するものでーー」
「クレメンティーネもそんな詭弁を用いていたな。もっとも、あいつの場合はその場で堂々と反論し、罷免させたがな」
「例の写真でしょ?知ってるわ」
エルダーはどうやら、全国紙の報道でこの事件を知ったらしい。
「ご存知ならば話が早い。早速、あんなものはーー」
「秩序に反しているわ。即座に戻しなさい」
エルダーは彼女を前にして堂々と言い放つ。
そう言わさせるだけの権威と権力が彼女にはあった。
おまけに足を組みながら、古の女王という雰囲気まで醸し出しているのだから、誰も逆らえないだろう。
ただ一人の反抗者を除いて。
「貴様の言いたい事はわかった。だが、私は戻さない。絶対に、だ」
「……特例を認めるわけにはいきません。即座に直しなさい」
「直せと言われて、直すバカがいるものか」
ルイーダの口元からは冷笑が垣間見えた。明らかに彼女の事を愚弄しているという態度に、親衛隊の怒りは頂点に達したらしい。
各々が武器を構えて、一斉にその銃口をルイーダの頭へと向けていく。
だが、ルイーダはめげる事なく、彼女を睨む。
一触即発の状態の中、助け舟を出したのは彼女の夫である。
ジードフリード・マルセルはその日一番の勇気を振り絞り、宿の机の上に額を擦り付けて、許しを乞う。
ジードの無防備な姿並びにひたむきな姿勢が親衛隊の怒りを解いたのだろう。
二人は宿を追い出され、二人の家であるアパートへと向かっていく。
夜の街の中、風が吹く中で、ジードは妻の無礼な態度を嗜めていた。
「お前、どうかしてるぞ!総統にあんな口を聞くなんて!」
「総統?どんな御大層な肩書きかは知らんが、あいつは魔女だぞ。フリードリヒ王を唆し、私や私の騎士団を殺した」
ルイーダは強く拳を握り締めていく。彼女なりに思うところがあったのだろう。
普段とは違う彼女の態度を見て、思うところがあったのだろう。
ジードは何も言わずに妻の隣を歩いていく。
翌日、エルダー・リッジウェイは総統としてのスピーチを依頼され、夜の闇の中、スポットライトに照らされながら、行っていく。
話し方は小鳥が囀るかのように綺麗で、それでいてその言葉の端々には綺麗な響きがあり、それを聞いている人々はなんとも言えない心地良さを感じていく。
わかりやすい内容に何度も繰り返す単純な単語。人々の熱狂を煽るための敵国の存在も忘れてはならない。
人々が軍服の魔女のスピーチに熱狂する様をルイーダは街の喫茶店で紅茶を啜りながら眺めていた。
街の喫茶店は普段はその寡黙な雰囲気に似つかわしい重厚な音楽が流れるのだが、この時間はラジオに代わり、総統のスピーチを流す事になっているらしい。
お陰で、彼女は外でも、喫茶店内でも総統のスピーチを聞く羽目になった。
耳障りな演説のために、普段ならば飲めるはずの紅茶がやけに苦く感じてしまう。
お陰で、紅茶の中に砂糖とミルクを入れる事になってしまった。
「忌々しい。魔女め……いつか、その地位から引きずり落としてやるぞ」
店主は幸いにも、彼女のその言葉を聞いてはいなかった。
と、いうのも店の外と内で繰り広げられている演説に夢中になっていたからだ。
ルイーダはそんな店主にも嫌悪感を感じながら、手元の紅茶を一気に飲み干した。
「ほぅ、惚けるつもりか?竜暦元年にフリードリヒ王をたぶらかして、私を殺したのは貴様だろう?」
その言葉を聞いて、騒つくのは宿の人々。それに憤りを感じ、ホルスターに下げている拳銃を抜いたり、手に持っている散弾銃や機関銃を構えるのはマナエ党の党員たち。
彼女の親衛隊である。マナエ党における総統親衛隊はエルリカのような金髪碧眼で、筋肉隆々という彼女好みの美男子で構成されており、揃っているだけで絵になるような人物である。
その顔と体の逞しさから彼女の寵愛を受けているだけあり、彼女への忠誠心は党の誰よりも強かった。
それだけに、本当に引き金を引きかねない状況であったのだが、彼女はそれを手で静止させ、ルイーダに向かって微笑む。
数多くのガレリア国民を虜にした笑顔であるが、ルイーダには通用しなかったのか、先程と同様の仏頂面を浮かべて、エルダーを睨むばかりである。
彼女はこれ以上は話しても無駄だと思ったのか、大きく溜息を吐いた後にルイーダと向き直って、互いにその視線を交わす。
互いが互いを睨み合っているので、側から見た人々からは二人の視線から火花が生じているように見えた。
だが、エルダーは流石は総統というべきか、視線を外すとすぐにまた、あの笑みを浮かべて口を開く。
「……可哀想に、あなたは騎士道物語を読み過ぎて、私を物語の魔女と混在してしまったのね。私を嫌う人たちによく見られる傾向だわ」
「……ふざけるなッ!私が貴様に唆されたフリードリヒ王に嵌められたルイーダ・メルテロイ本人だッ!」
「騎士道物語は素晴らしいものよ。けれど、お話とごっちゃにしちゃうのはよくないわね」
頭に血が昇っているルイーダに対し、冷静沈着に「淑女」という風貌を漂わせて、諭すように話すエルダー。
どちらに分があるのかは明白の事実である。
「ここら辺で、お引き取り願おうか、それとも、こっちの方がいいか」
親衛隊の一人と思われる青年が腰に下げていた拳銃を突き付けながら言った。
「やれるのなら、やってみろ」
だが、ルイーダは引かない。むしろ、胸を張りながら、男へと近付いていく。
その挑発に男は乗るつもりだったらしい。「野郎!」と声を上げて、引き金を手を当てようとした時だ。
「やめなさい」
と、背後から嗜める声が聞こえてきた。冬季の海の上に浮かんで、膜のように貼られている薄い氷のように冷たい声だ。
それを聞いた親衛隊の男は不本意ながらも、銃をホルスターの中へと仕舞う。
「部下の躾がなっていないようだな。魔女よ」
「魔女じゃあないと言っているでしょう?もうここら辺でその話はやめにしてもいいでしょ?あなたの馬鹿げた質問に答えてあげたのだから、今度はあなたが私の質問に答えてくださらない?どうして、国立魔銃士育成学園の制度を勝手に変えたのかしら?」
「差別的であり、今の竜暦千年という時代にそぐわないと感じたからな」
「あれはあくまでも区別するものでーー」
「クレメンティーネもそんな詭弁を用いていたな。もっとも、あいつの場合はその場で堂々と反論し、罷免させたがな」
「例の写真でしょ?知ってるわ」
エルダーはどうやら、全国紙の報道でこの事件を知ったらしい。
「ご存知ならば話が早い。早速、あんなものはーー」
「秩序に反しているわ。即座に戻しなさい」
エルダーは彼女を前にして堂々と言い放つ。
そう言わさせるだけの権威と権力が彼女にはあった。
おまけに足を組みながら、古の女王という雰囲気まで醸し出しているのだから、誰も逆らえないだろう。
ただ一人の反抗者を除いて。
「貴様の言いたい事はわかった。だが、私は戻さない。絶対に、だ」
「……特例を認めるわけにはいきません。即座に直しなさい」
「直せと言われて、直すバカがいるものか」
ルイーダの口元からは冷笑が垣間見えた。明らかに彼女の事を愚弄しているという態度に、親衛隊の怒りは頂点に達したらしい。
各々が武器を構えて、一斉にその銃口をルイーダの頭へと向けていく。
だが、ルイーダはめげる事なく、彼女を睨む。
一触即発の状態の中、助け舟を出したのは彼女の夫である。
ジードフリード・マルセルはその日一番の勇気を振り絞り、宿の机の上に額を擦り付けて、許しを乞う。
ジードの無防備な姿並びにひたむきな姿勢が親衛隊の怒りを解いたのだろう。
二人は宿を追い出され、二人の家であるアパートへと向かっていく。
夜の街の中、風が吹く中で、ジードは妻の無礼な態度を嗜めていた。
「お前、どうかしてるぞ!総統にあんな口を聞くなんて!」
「総統?どんな御大層な肩書きかは知らんが、あいつは魔女だぞ。フリードリヒ王を唆し、私や私の騎士団を殺した」
ルイーダは強く拳を握り締めていく。彼女なりに思うところがあったのだろう。
普段とは違う彼女の態度を見て、思うところがあったのだろう。
ジードは何も言わずに妻の隣を歩いていく。
翌日、エルダー・リッジウェイは総統としてのスピーチを依頼され、夜の闇の中、スポットライトに照らされながら、行っていく。
話し方は小鳥が囀るかのように綺麗で、それでいてその言葉の端々には綺麗な響きがあり、それを聞いている人々はなんとも言えない心地良さを感じていく。
わかりやすい内容に何度も繰り返す単純な単語。人々の熱狂を煽るための敵国の存在も忘れてはならない。
人々が軍服の魔女のスピーチに熱狂する様をルイーダは街の喫茶店で紅茶を啜りながら眺めていた。
街の喫茶店は普段はその寡黙な雰囲気に似つかわしい重厚な音楽が流れるのだが、この時間はラジオに代わり、総統のスピーチを流す事になっているらしい。
お陰で、彼女は外でも、喫茶店内でも総統のスピーチを聞く羽目になった。
耳障りな演説のために、普段ならば飲めるはずの紅茶がやけに苦く感じてしまう。
お陰で、紅茶の中に砂糖とミルクを入れる事になってしまった。
「忌々しい。魔女め……いつか、その地位から引きずり落としてやるぞ」
店主は幸いにも、彼女のその言葉を聞いてはいなかった。
と、いうのも店の外と内で繰り広げられている演説に夢中になっていたからだ。
ルイーダはそんな店主にも嫌悪感を感じながら、手元の紅茶を一気に飲み干した。
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