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入学編

生徒会との対決!

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フォーレンゲルダ家の二人がヨーゼフ。後に加わったラインハルトと強烈な死闘を繰り広げているのと同じ頃、檀の上ではルイーダが更なる証人請求の用意を行なっていた。

「更に加えて、生徒会は私が邪魔だと判断するのと同時に、刺客を用意したな?剣術部顧問のアウグストがその証拠だッ!」

「あ、アウグスト先生は今は行方不明のはずよ!まさか、あなた達が……」

「そう、彼の身元は我々が預かっている。ちゃんと食事は与えているから、痩せて死ぬなんて事はないぞ」

「や、やはり、貴様らかッ!この落ちこぼれの〈獲物〉どもがッ!」

コルネリアはいきりたつのと同時に、、腰に下げていた少しばかり特殊な形をした拳銃を取り出す。
それは、拳銃というよりも、どちらかと言えば長銃をそのまま切り取ったものらしい。
そんな事を考えていると、敵自らがその手の内を明かしてくれたのである。

「これは、猟銃を改良したものなんだ。これで、キミらの頭を撃ち抜くくらいは当たり前だとだけは言っておくか」

「全く飼い犬というのは直ぐにその牙を剥きたがって困るな。どうだ、試してみるか?そいつが私の胸を撃ち抜くのが早いか、それとも」

ルイーダはそう言って、手際よく鞘から剣を抜いて、その剣先をコルネリアの首元に突き付けていく。
その間に掛かった時間は瞬きをする暇もないほどの一瞬である。
コルネリアはそれを見て、思わず腰を抜かしてしまったらしい。

折角、拳銃の形へと改造した猟銃を地面の上に落とし、すっかりと怯えた表情を浮かべていく。
それに苛立ったのか、乱暴に机を蹴り上げるクレメンティーネ。
コルネリアを掴み上げると、彼女の耳元でハッキリと「役立たずめ」と口にし、そのまま彼女を檀の上に放り投げる。

「ほぅ、本性を表したな」

ルイーダが感心したように言う。

「黙れ、お前たちのせいで、私の学園は滅茶苦茶よ。百万回切り刻んでも飽き足らないけれど、その損害賠償はひとまず、あなたの体で償わせてもらいましょうか。あなたの体を切れば、お洒落な服が作れるでしょうね」

クレメンティーネは腰に下げていた赤色の回転式の拳銃を突き付けながら言った。銃倉に薔薇の紋章が刻まれているため、どうやら、この拳銃は観賞用も兼ねているらしい。

「この拳銃で死ぬ準備はできたかしら?嫌ならば、私を馬鹿にした事を取り消すのならば、許してあげてもいいけれど」

「冗談であろう?貴様の考えになど、同調してたまるものか」

ルイーダはそう言うのと同時に鋭く光る剣先を突き付けながら、反抗の意思を示す。
クレメンティーネもそれに負けじと、観賞用兼実戦用の拳銃の銃口を突き付ける。
彼女の銃口から生じる光が闇の光であると表現するのならば、ルイーダの剣の先から生じる光はまさしく聖なる白い光と体現するべき、光であろう。

二つの対照的とも言える光が檀の上で光り輝くのをコルネリアは地面の上で眺めていた。
両者が互いに睨み合いを続ける中で、先に動いたのはクレメンティーネの方である。
彼女は引き金を引いて、自身の魔法を絡ませた特殊な弾丸を発射していく。

それは強力な毒液に塗れた怪しげな紫色をした弾丸。
当たれば、彼女は即死であっただろう。
だが、彼女は高速魔法を利用して、その弾丸をくぐり抜けて、クレメンティーネの懐へと潜り込む。
このまま腹を殴り、彼女の意識を奪い、戦闘不能へと追い込もうとしたのだが、その時に彼女の目が大きく見開かれた。

「フフ、伝説の高速魔法を利用できると思っているのが、あなただけだと思っているのなら、それは大きな間違いよ!」

クレメンティーネはルイーダと同じスピードを出して、追い縋っていく。
同時に拳銃を構えてその引き金を引いていく。
高速魔法という恩恵に預かれるのは本人のみである。したがって、原則として、弾丸そのものが通常の倍のスピードになる事はない。

魔法の使用中は両者ともに弾丸が止まったように見えるのである。
だが、その場に魔法の効力が切れるまで、押し留めておけば、弾丸は直撃する筈である。
クレメンティーネはそのまま格闘技術を用いて、彼女を押し留めようとしたが、彼女はヨーゼフの報告を忘れていたらしい。

彼女が黒色に溢れた炎の魔法を使用できるという事である。
地獄の炎のような黒色の火炎がクレメンティーネの目の前まで迫り、彼女は退却を余儀なくされた。
そのために、折角、直前まで迫っていた弾丸は炎によって飲み込まれる羽目になってしまった。

だが、それでも彼女は容赦はしない。即座に彼女の目の前へと追いすがり、彼女をねじ伏せると、その首元の近くに剣を突き刺す。

「終わりだ。降伏したらどうかな?」

「フン、誰がッ!」

彼女はプライドのために強がってみせたが、それはルイーダの目の前では意味がなさなかったらしい。
ルイーダは地面に突き刺したはずの剣を一度大きく引き抜くと、今度はその反対側に大きく突き刺していく。

「どうだ?まだ降伏する気にはなれんか?」

「わ、わかったわよ!降伏する!あんたに全てを譲るわ!」

「……それでいい」

ルイーダはクレメンティーネが幼児のように泣き喚きながら命乞いをする姿を見て、彼女の意図を察したのか、剣を引き抜くのと同時に、覆い被さるようになっていた自身の体を離し、彼女から背中を向けて去っていく。

(バカめ!油断したわね!)

クレメンティーネは起き上がるのと同時にまだ手に持っていた拳銃の銃口を突き付ける。
そして、彼女に気が付かれるよりも前に、素早く引き金を引いていく。
ジードやハンス、そして、コルネリアらが指摘するよりも前に引いたのだから、気付かれる筈がない。
そう高を括っていたのだが、物事は彼女の望むまま、雪辱を晴らすという筋書きで進むわけにはいかなかったらしい。

ルイーダは弾丸が自身の目の前にまで迫る寸前に振り向くのと同時に、竜の炎を使用して弾丸を焼き尽くすと同時に、高速魔法を利用して、再びクレメンティーネの元へと向かっていく。
クレメンティーネは慌てて、同じ魔法を利用して、講堂の檀の上から慌てて飛び降りて、スローモーション状になっている生徒たちを押し分けて逃亡しようとしたのだが、彼女の魔法は所詮は付け焼き刃に過ぎない。伝説の騎士の速さの前には敵わなかったらしい。
彼女は講堂の入り口の前にて追い付かれ、その右腕を組み伏せられかと思うと、そのまま強引に地面の上へと叩き付けられてしまう。

「ま、待って!お願い、やめてちょうだい……もう降参よ!」

「降参?降参というのは背を見せた相手に銃を向ける行動の事をいうのかな?」

ルイーダの指摘は正論であり、それを盾にして責めてくる彼女の言い分を言い負かすだけの屁理屈は彼女は思い付けなかった。
同時に、不穏な思いが頭の中をよぎっていく。それは自分自身の処遇である。
『殺される』という言葉が浮かぶのと同時に、彼女は押し倒されて今は地面とキスをしている自分の体を精一杯に震わせていく。

そんな彼女を見て、ルイーダは不敵な笑いを口元に浮かべるのであった。
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