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入学編
騎士の会との合流
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「それで、こいつどうするのさ?」
ジードはすっかりと気を失ったアウグストを引きずる自身の妻に向かって問い掛ける。
ルイーダは余裕ぶった笑みを口元に浮かべながら答えた。
「決まっているであろう。どこかに此奴を隠して、討論会の日にもし、万が一の事が起きでもすれば、此奴を人質にし、生徒会長の辞任を突き付ける」
「けど、奴らがそれに応じますか?奴らの事だ。ハインリヒ先生の事など無視して、我々を攻撃するでしょうね」
ハンスは生徒会への嫌悪感からか、心底忌々しいと言わんばかりの口調で吐き捨てる。
「ならば、エックにでも、記事を書かせるか、タイトルは『生徒会、自身の学園の生徒を見捨てる!?』などはどうだろうか?」
ルイーダは目を輝かせながら、指を鳴らして、二人に提案したが、それを聞いたジードは残念そうに首を横に振って、
「今からわざわざエックの元に行くのか?あいつはおれと違って、クルーガーの寮暮らしだ。その最中にクレメンティーネの息のかかった生徒にでも見つかってみろ、討論会を潰す大義名分を得たとばかりに、お前を捕縛するだろうな」
と、淡々とした調子で理由を述べていく。
「……そうか、ならば、此奴を何処かにしまうとするか」
「この街の騎士の会の倉庫にしまうというのはどうでしょう?そこならば、生徒会も勘付かないでしょう」
「それは名案だ!」
ジードの同意の言葉に彼の妻も同調していた事から、この提案は満場一致で可決される事になった。
ルイーダが最後に腹を打って意識を失わせたアウグストを酔っ払いを介抱しているというフリをしながら、連れていく事にしたのは正解だったらしい。
学園の問題児と教師がいる姿に違和感を持つ人がいるにはいたが、それでも、通報するには至らなかったらしい。
少なくとも、そうしないと判断してくれた事には感謝するべきだろう。
ルイーダは安堵の溜息を吐いた後に街外れの赤い煉瓦の倉庫へと彼を放り投げる。
入口から四番目の位置にある小さな倉庫。
そこが、アウグスト・フォン・ハインリヒの当面の住処になるだろう。
ハンスの話によれば、騎士の会の仲間が彼が死なないように配慮してくれるという。
彼によれば、一日に二回はスープとパンによる食事が出るだろうし、なんならば、横になる程度のマットも支給されるという話である。
「いたせり尽くせたりという奴だな」
ジードが感心したように言う。
「あぁ、なにせ、死なれては困るからな。あいつの息子はこのおれを殺そうとしたが、それでも、立場は立場だ」
そう語るハンスの声色には怒りの色が混じっていた。
二人は何も言わずにその日はアパートに戻るばかりである。
だが、翌日になり、事件は起きた。あろう事か、校内に居た騎士の会の面々が暴走し、生徒会に武器を持って押し掛けるという事件を起こしてしまったのである。
ハンスにとっても、学園内の同志がこのような事件を引き起こしてしまうのは予想外の事であったらしく、彼の声が大きく上ずっている事をルイーダは見逃さない。
彼女は興奮している彼を宥め、生徒会の面々が出てくるよりも前に、血走った目を向け、腰に下げている拳銃をガチャガチャと鳴らしている三人の騎士の会の同志を宥めていく。
ルイーダの必死の説得により、三人の過激派は一旦は生徒会室の扉の前から離れて行ったが、同時にそれはラッキーオフィサーのヨーゼフ並びに生徒会の過激な生徒たちを出動させる大義名分になったらしい。
三人の男子生徒はヨーゼフの指揮の元に拘束されてしまう。
両腕に縄を掛けて拘束する姿はさながら、囚人の様であり、ルイーダに同行して、生徒会室の前を訪れた、ジードはその不快感に目を背けたが、彼の妻である高貴な騎士は生徒会の横暴に対し、ハッキリとそれを口に出す。
「その人たちが何をしたのか、いかなる理由で囚人の様に扱われるのかを私は聞きたいのだが」
ヨーゼフは彼女の回答に対し、落ちそうになった眼鏡を人差し指で上げると、御伽噺に登場する狼の取り巻きの狐の様な卑劣な笑顔を浮かべながら答えた。
「何って、こいつらが生徒会に危害を加えようとしたからですよ。危険な生徒を拘束し、多くの生徒の安全を守る。それが、生徒会並びにラッキーオフィサーの役割なんです。もっとも、ラッキーオフィサーは二人も抜けてしまったので、私を除けば、後は一人しか居ませんけどね」
「そのお方は何処に居られるのだ?是非とも、合わせて頂きたいな」
「フフ、キミは何も知らないようだな。彼は我々の切り札……キミが最悪の手を使わない限りは出番がないよ」
「安心しろ、ヨーゼフ。今も討論会の日も何もしない。私個人としては貴様のその不味い面を張り倒してやりたいが、そんな事をすれば、私自身が不利になる事は目に見えてわかっているからな。こちらとしても、生徒会がフリードリヒ王の様な暴挙に出る事がなければ、武力を使う事などはせんさ」
『フリードリヒ王』という言葉が彼の高いプライドを刺激したらしい。
彼はわざと大きな声で舌を打つと、先程まで小突いていた騎士の会の一人を乱暴に地面の上にて叩いたかと思うと、立ち上がって、ルイーダと対等な視線を合わせる。
「……貴様、我々を愚弄する気か?」
「愚弄も何も真実を告げただけだ。それとも、何か、事実を告げられるのがそんなにも気に食わなかったのかな?」
「前から気に入らなかった。女のくせにそんな乱暴な言葉を使うのがな」
ヨーゼフは拳を強く握り締めながら、目の前のルイーダを強く睨む。
普通の人ならば、ヨーゼフの剣でも突きつけられたかのような鋭い視線に成す術もなく怯えていただろう。
気の弱い者ならば、謝罪の言葉を述べていたかもしれない。
だが、この女騎士は違った。この横暴な執行官の男に対し、毅然とした態度を貫き続けた。
「お淑やかという言葉は私には合わぬ。いや、昔はそれなりにしおらしい言葉も使ってはいたが、目覚めてからはそれも滅多に……いや、殆ど使わんな。その事がキミの気に触れたらしいな」
最後は皮肉混じりに告げた。この事が、ヨーゼフの中の理性という鎖で縛られていた、怒りという名の竜を解放させてしまったらしい。
彼は腰に下げていた拳銃。それも、先端の尖った旧式の自動拳銃を取り出して、ルイーダへと突き付けた。
「このクソ女が、よくもそんな事を言えたな……殺してやるぞ。絶対に殺してやるぞ!」
「やってみろ、正当な理由もないのに、引き金を引けば、殺人罪で刑務所に入るのはキミだぞ」
ルイーダは怯える様子を見せる事もなく、平然とした調子で言い放つ。
ジードはすっかりと気を失ったアウグストを引きずる自身の妻に向かって問い掛ける。
ルイーダは余裕ぶった笑みを口元に浮かべながら答えた。
「決まっているであろう。どこかに此奴を隠して、討論会の日にもし、万が一の事が起きでもすれば、此奴を人質にし、生徒会長の辞任を突き付ける」
「けど、奴らがそれに応じますか?奴らの事だ。ハインリヒ先生の事など無視して、我々を攻撃するでしょうね」
ハンスは生徒会への嫌悪感からか、心底忌々しいと言わんばかりの口調で吐き捨てる。
「ならば、エックにでも、記事を書かせるか、タイトルは『生徒会、自身の学園の生徒を見捨てる!?』などはどうだろうか?」
ルイーダは目を輝かせながら、指を鳴らして、二人に提案したが、それを聞いたジードは残念そうに首を横に振って、
「今からわざわざエックの元に行くのか?あいつはおれと違って、クルーガーの寮暮らしだ。その最中にクレメンティーネの息のかかった生徒にでも見つかってみろ、討論会を潰す大義名分を得たとばかりに、お前を捕縛するだろうな」
と、淡々とした調子で理由を述べていく。
「……そうか、ならば、此奴を何処かにしまうとするか」
「この街の騎士の会の倉庫にしまうというのはどうでしょう?そこならば、生徒会も勘付かないでしょう」
「それは名案だ!」
ジードの同意の言葉に彼の妻も同調していた事から、この提案は満場一致で可決される事になった。
ルイーダが最後に腹を打って意識を失わせたアウグストを酔っ払いを介抱しているというフリをしながら、連れていく事にしたのは正解だったらしい。
学園の問題児と教師がいる姿に違和感を持つ人がいるにはいたが、それでも、通報するには至らなかったらしい。
少なくとも、そうしないと判断してくれた事には感謝するべきだろう。
ルイーダは安堵の溜息を吐いた後に街外れの赤い煉瓦の倉庫へと彼を放り投げる。
入口から四番目の位置にある小さな倉庫。
そこが、アウグスト・フォン・ハインリヒの当面の住処になるだろう。
ハンスの話によれば、騎士の会の仲間が彼が死なないように配慮してくれるという。
彼によれば、一日に二回はスープとパンによる食事が出るだろうし、なんならば、横になる程度のマットも支給されるという話である。
「いたせり尽くせたりという奴だな」
ジードが感心したように言う。
「あぁ、なにせ、死なれては困るからな。あいつの息子はこのおれを殺そうとしたが、それでも、立場は立場だ」
そう語るハンスの声色には怒りの色が混じっていた。
二人は何も言わずにその日はアパートに戻るばかりである。
だが、翌日になり、事件は起きた。あろう事か、校内に居た騎士の会の面々が暴走し、生徒会に武器を持って押し掛けるという事件を起こしてしまったのである。
ハンスにとっても、学園内の同志がこのような事件を引き起こしてしまうのは予想外の事であったらしく、彼の声が大きく上ずっている事をルイーダは見逃さない。
彼女は興奮している彼を宥め、生徒会の面々が出てくるよりも前に、血走った目を向け、腰に下げている拳銃をガチャガチャと鳴らしている三人の騎士の会の同志を宥めていく。
ルイーダの必死の説得により、三人の過激派は一旦は生徒会室の扉の前から離れて行ったが、同時にそれはラッキーオフィサーのヨーゼフ並びに生徒会の過激な生徒たちを出動させる大義名分になったらしい。
三人の男子生徒はヨーゼフの指揮の元に拘束されてしまう。
両腕に縄を掛けて拘束する姿はさながら、囚人の様であり、ルイーダに同行して、生徒会室の前を訪れた、ジードはその不快感に目を背けたが、彼の妻である高貴な騎士は生徒会の横暴に対し、ハッキリとそれを口に出す。
「その人たちが何をしたのか、いかなる理由で囚人の様に扱われるのかを私は聞きたいのだが」
ヨーゼフは彼女の回答に対し、落ちそうになった眼鏡を人差し指で上げると、御伽噺に登場する狼の取り巻きの狐の様な卑劣な笑顔を浮かべながら答えた。
「何って、こいつらが生徒会に危害を加えようとしたからですよ。危険な生徒を拘束し、多くの生徒の安全を守る。それが、生徒会並びにラッキーオフィサーの役割なんです。もっとも、ラッキーオフィサーは二人も抜けてしまったので、私を除けば、後は一人しか居ませんけどね」
「そのお方は何処に居られるのだ?是非とも、合わせて頂きたいな」
「フフ、キミは何も知らないようだな。彼は我々の切り札……キミが最悪の手を使わない限りは出番がないよ」
「安心しろ、ヨーゼフ。今も討論会の日も何もしない。私個人としては貴様のその不味い面を張り倒してやりたいが、そんな事をすれば、私自身が不利になる事は目に見えてわかっているからな。こちらとしても、生徒会がフリードリヒ王の様な暴挙に出る事がなければ、武力を使う事などはせんさ」
『フリードリヒ王』という言葉が彼の高いプライドを刺激したらしい。
彼はわざと大きな声で舌を打つと、先程まで小突いていた騎士の会の一人を乱暴に地面の上にて叩いたかと思うと、立ち上がって、ルイーダと対等な視線を合わせる。
「……貴様、我々を愚弄する気か?」
「愚弄も何も真実を告げただけだ。それとも、何か、事実を告げられるのがそんなにも気に食わなかったのかな?」
「前から気に入らなかった。女のくせにそんな乱暴な言葉を使うのがな」
ヨーゼフは拳を強く握り締めながら、目の前のルイーダを強く睨む。
普通の人ならば、ヨーゼフの剣でも突きつけられたかのような鋭い視線に成す術もなく怯えていただろう。
気の弱い者ならば、謝罪の言葉を述べていたかもしれない。
だが、この女騎士は違った。この横暴な執行官の男に対し、毅然とした態度を貫き続けた。
「お淑やかという言葉は私には合わぬ。いや、昔はそれなりにしおらしい言葉も使ってはいたが、目覚めてからはそれも滅多に……いや、殆ど使わんな。その事がキミの気に触れたらしいな」
最後は皮肉混じりに告げた。この事が、ヨーゼフの中の理性という鎖で縛られていた、怒りという名の竜を解放させてしまったらしい。
彼は腰に下げていた拳銃。それも、先端の尖った旧式の自動拳銃を取り出して、ルイーダへと突き付けた。
「このクソ女が、よくもそんな事を言えたな……殺してやるぞ。絶対に殺してやるぞ!」
「やってみろ、正当な理由もないのに、引き金を引けば、殺人罪で刑務所に入るのはキミだぞ」
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