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追想編
身内を守るという決意!
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長椅子からそのまま地面へと落ちた私は悲鳴をあげたのだが、彼女はそんな私の悲鳴など気にする事もなく乱暴に部屋の外へと出そうとする。
私が彼女の顔を見て恐怖のために動けない事も彼女を苛立たせる原因となったらしい。
メイド服から趣味の悪い薔薇色のドレスに着替えた女は私の頬を強く叩いて、
「早くしなッ!あんたのせいだよ!あんたのせいであたしの計画はトチ狂っちまったんだから……」
と、怒鳴った。鬼のような表情で睨まれては私も動かざるを得ない。
私がその場からやっとの思いで膝を立てた時だ。長椅子の下に隠れていた姉が小さな両手で拳銃を握って現れたのだ。
「待ちなさいよ!それ以上、私の妹を傷付けるんだったら、私が許さないわよ!」
誘拐犯の女は一瞬首を傾げたようであったが、直ぐに明るい顔を向けて、
「あー誰かと思えば出来損ないのウェンディ王女じゃん!健気に妹を助けにやってきたのぉ~偉いねぇ~」
「黙りなさいッ!さっさと妹を離さないとーー」
と、息巻く姉を誘拐犯の女は容赦なく蹴り付けた。まだ小さかった姉はそのまま壁へと打ち付けられてしまう。
だが、彼女はそれでも容赦する事なく倒れている姉の腹を容赦なく蹴り付けていく。
姉が蹴られる。姉が殴られる。決して良い成績ではなかったものの、いつも仲良くしようとしてくれた姉が……。
姉が傷付く表情を見て、私は頭の中でこれまでの姉への所業が思い出されてしまう。
私は懸命に話しかけてくれる姉に、一緒に遊びたいと話す姉に私はどうしていたのだろう。
落第生と関わるのは嫌だとそっぽを向いていたのではないか。
弱る姉を見て私は思わずに叫んでしまう。
「やめろ!お姉様を……お姉ちゃんを虐めるなァァァ~!!!」
その時の私は自分でも冷静ではなかったのかもしれない。恐らく、姉を永遠に失ってしまうかもしれないという恐怖が私を突き動かしていたのだ。
だが、そんな勇気を振り上げた私にも容赦なく彼女の足は私を蹴り上げた。
勢いよく蹴り上げられた私は地面の上に倒れてしまい、痛みのために恐怖のために涙を流していた。
だが、そんな私を見ても彼女は眉間に青筋を立てて怒っていたのだ。
彼女は私の腹を容赦なく蹴り付け、私を蹴り殺そうと足を大き上げていた。
だが、二度目の足の攻撃は不思議な事にとうとう訪れなかった。
私が両方の目蓋を恐る恐る開けて眺めてみると、誘拐犯の女の右足を姉が懸命に止めていたのだ。
「待ちなさいよ……妹には……あたしの大切な家族には絶対に手を出させたりなんてしないから……」
「うっせーんだよッ!落ちこぼれのガキが偉そうな事を抜かすんじゃあねーよッ!」
彼女はそう言って右足で縋り付いていた姉を強制的に蹴り落とす。
更に運の悪い事に姉が隠し持っていた拳銃が懐から地面の上に落ちてしまう。
すると、例の誘拐犯の女は落ちていた拳銃を拾い上げて姉に向かって銃口を突き付けた。
「ここまであたしを散々苛立たせてくれやがって……許さねぇ、お前だけは絶対に地獄に落としてやるよ……」
「……それならそれで妹だけは助けてあげて!」
姉はそれまでとは一変して彼女に懇願し始めた。しかも、自分の命を守るための命乞いではなく、私の助命嘆願だ。
だが、彼女はそれを嘲笑う。
「うるせー。バーカ。あたしを散々舐めてた奴の願いなんて聞くとでも思ってるの?まぁ、いいや、あんたを殺した後には絶対にあんたの妹は殺してやるから」
彼女は性格の悪い言葉で姉の決意を嘲る。そして、目の前で絶望の表情で打ちひしがれる姉を見て笑っていた。それもただの笑いではない。高揚感に満たされた笑いだ。
私は祈った。神に。姉の命だけは助けて欲しい、と。姉は私にとっての王子様だ。悪い魔女に助けられていた私という王女を助けてくれた勇敢な王子様なのだ。
だから、私は懸命に神に祈った。そして私の祈りが届いたのか、はたまたようやく到達したのか、扉を蹴破ってあの射撃教師が現れた。
彼は拳銃を構えて彼女の命を狙ったのだが、彼女はそれよりも早くに扉を蹴破って入ってきた男に向かって引金を引く。
それを見た瞬間に姉は一目散に射撃教師の元にまで駆け寄り、彼を揺すっていく。
「先生!先生!しっかりしてよ!お願いだからッ!」
彼は血塗れになった腹を右手で抑えて、代わりに左手で姉が流していた涙を拭う。それから、どうして自分がここにいるのかを話していく。
「……オレはあの後にたまたま夜なのに出歩くお前が気になってな……こっそりと痕をつけたら、お前が馬車になるじゃあねぇか。心底から驚いちまったよ……だから、オレは馬でお前の後を付けた。それで、早朝に奇襲を仕掛けた……けど、このザマさ……」
それから彼は左手で姉に腕を求めた。
「……やれ、ウェンディ。お前だったら、必ずあのクソヤローを撃ち殺せる筈さ。こいつであいつを地獄に送ってやれ」
射撃教師はそう言って自分の持っていた回転式拳銃を姉に手渡す。
姉はそれを受け取って誘拐犯の女に涙を流しながら向ける。
だが、彼女は動じない。それどころか嘲笑うように彼女を眺めていた。
「その銃を下ろしなさいな。お姫様……温室育ちのあんたにゃあ、それは単なる護身のための道具かもしんねーけどさ、あたしらにとってはそれは幼い頃から、持ってる玩具だよ。あんたに扱えるわけがないね」
彼女のいう事は事実のように感じられた。実際に姉は両手を震わせて拳銃を持っていたからだ。
誘拐犯の女が引き金に手を掛けようとした時だ。姉は叫んだ。
「このド外道がァァァァ~」
姉はそう叫ぶのと共に銃を放つ。姉は反動で背後に倒れながらも、見事に相手の腹を撃ち抜いていた。
私は腹を抑えて痛みを訴える誘拐犯を他所に、姉の元へと駆け寄っていく。
だが、姉は扉の前で倒れている射撃教師の元へと寄っていく。
射撃教師優しく頭を撫でて、
「お前は強いよ……虎は死して尚、皮を残すというが、お前は立派にオレの跡を継いだ立派なガンマンになってくれそうだ」
そう言い残すと彼は気力を使い果たしたのか、そのまま息絶えてしまう。
部屋の中に暫く姉の泣き叫ぶ声が聞こえた。
暫く泣いた後に姉は私の方に向き直って、先程までの涙を引っ込めて私の方に向き直る。
「……無事で良かったわ。帰りましょう?私たちの家に」
姉は強い。私はそう思った。射撃教師の男を亡くして悲しい気持ちを私のために無理矢理押し潰して私に笑顔を向けたのだ。
この時からだろう。私が姉に心を惹かれたのは……。私は童話の中に出てくる強くて逞しい王子様はここに居るのだと強く感じた。
そして、誓った。私は生涯をかけてお姉様にこの親愛を生涯捧げよう、と。
私が彼女の顔を見て恐怖のために動けない事も彼女を苛立たせる原因となったらしい。
メイド服から趣味の悪い薔薇色のドレスに着替えた女は私の頬を強く叩いて、
「早くしなッ!あんたのせいだよ!あんたのせいであたしの計画はトチ狂っちまったんだから……」
と、怒鳴った。鬼のような表情で睨まれては私も動かざるを得ない。
私がその場からやっとの思いで膝を立てた時だ。長椅子の下に隠れていた姉が小さな両手で拳銃を握って現れたのだ。
「待ちなさいよ!それ以上、私の妹を傷付けるんだったら、私が許さないわよ!」
誘拐犯の女は一瞬首を傾げたようであったが、直ぐに明るい顔を向けて、
「あー誰かと思えば出来損ないのウェンディ王女じゃん!健気に妹を助けにやってきたのぉ~偉いねぇ~」
「黙りなさいッ!さっさと妹を離さないとーー」
と、息巻く姉を誘拐犯の女は容赦なく蹴り付けた。まだ小さかった姉はそのまま壁へと打ち付けられてしまう。
だが、彼女はそれでも容赦する事なく倒れている姉の腹を容赦なく蹴り付けていく。
姉が蹴られる。姉が殴られる。決して良い成績ではなかったものの、いつも仲良くしようとしてくれた姉が……。
姉が傷付く表情を見て、私は頭の中でこれまでの姉への所業が思い出されてしまう。
私は懸命に話しかけてくれる姉に、一緒に遊びたいと話す姉に私はどうしていたのだろう。
落第生と関わるのは嫌だとそっぽを向いていたのではないか。
弱る姉を見て私は思わずに叫んでしまう。
「やめろ!お姉様を……お姉ちゃんを虐めるなァァァ~!!!」
その時の私は自分でも冷静ではなかったのかもしれない。恐らく、姉を永遠に失ってしまうかもしれないという恐怖が私を突き動かしていたのだ。
だが、そんな勇気を振り上げた私にも容赦なく彼女の足は私を蹴り上げた。
勢いよく蹴り上げられた私は地面の上に倒れてしまい、痛みのために恐怖のために涙を流していた。
だが、そんな私を見ても彼女は眉間に青筋を立てて怒っていたのだ。
彼女は私の腹を容赦なく蹴り付け、私を蹴り殺そうと足を大き上げていた。
だが、二度目の足の攻撃は不思議な事にとうとう訪れなかった。
私が両方の目蓋を恐る恐る開けて眺めてみると、誘拐犯の女の右足を姉が懸命に止めていたのだ。
「待ちなさいよ……妹には……あたしの大切な家族には絶対に手を出させたりなんてしないから……」
「うっせーんだよッ!落ちこぼれのガキが偉そうな事を抜かすんじゃあねーよッ!」
彼女はそう言って右足で縋り付いていた姉を強制的に蹴り落とす。
更に運の悪い事に姉が隠し持っていた拳銃が懐から地面の上に落ちてしまう。
すると、例の誘拐犯の女は落ちていた拳銃を拾い上げて姉に向かって銃口を突き付けた。
「ここまであたしを散々苛立たせてくれやがって……許さねぇ、お前だけは絶対に地獄に落としてやるよ……」
「……それならそれで妹だけは助けてあげて!」
姉はそれまでとは一変して彼女に懇願し始めた。しかも、自分の命を守るための命乞いではなく、私の助命嘆願だ。
だが、彼女はそれを嘲笑う。
「うるせー。バーカ。あたしを散々舐めてた奴の願いなんて聞くとでも思ってるの?まぁ、いいや、あんたを殺した後には絶対にあんたの妹は殺してやるから」
彼女は性格の悪い言葉で姉の決意を嘲る。そして、目の前で絶望の表情で打ちひしがれる姉を見て笑っていた。それもただの笑いではない。高揚感に満たされた笑いだ。
私は祈った。神に。姉の命だけは助けて欲しい、と。姉は私にとっての王子様だ。悪い魔女に助けられていた私という王女を助けてくれた勇敢な王子様なのだ。
だから、私は懸命に神に祈った。そして私の祈りが届いたのか、はたまたようやく到達したのか、扉を蹴破ってあの射撃教師が現れた。
彼は拳銃を構えて彼女の命を狙ったのだが、彼女はそれよりも早くに扉を蹴破って入ってきた男に向かって引金を引く。
それを見た瞬間に姉は一目散に射撃教師の元にまで駆け寄り、彼を揺すっていく。
「先生!先生!しっかりしてよ!お願いだからッ!」
彼は血塗れになった腹を右手で抑えて、代わりに左手で姉が流していた涙を拭う。それから、どうして自分がここにいるのかを話していく。
「……オレはあの後にたまたま夜なのに出歩くお前が気になってな……こっそりと痕をつけたら、お前が馬車になるじゃあねぇか。心底から驚いちまったよ……だから、オレは馬でお前の後を付けた。それで、早朝に奇襲を仕掛けた……けど、このザマさ……」
それから彼は左手で姉に腕を求めた。
「……やれ、ウェンディ。お前だったら、必ずあのクソヤローを撃ち殺せる筈さ。こいつであいつを地獄に送ってやれ」
射撃教師はそう言って自分の持っていた回転式拳銃を姉に手渡す。
姉はそれを受け取って誘拐犯の女に涙を流しながら向ける。
だが、彼女は動じない。それどころか嘲笑うように彼女を眺めていた。
「その銃を下ろしなさいな。お姫様……温室育ちのあんたにゃあ、それは単なる護身のための道具かもしんねーけどさ、あたしらにとってはそれは幼い頃から、持ってる玩具だよ。あんたに扱えるわけがないね」
彼女のいう事は事実のように感じられた。実際に姉は両手を震わせて拳銃を持っていたからだ。
誘拐犯の女が引き金に手を掛けようとした時だ。姉は叫んだ。
「このド外道がァァァァ~」
姉はそう叫ぶのと共に銃を放つ。姉は反動で背後に倒れながらも、見事に相手の腹を撃ち抜いていた。
私は腹を抑えて痛みを訴える誘拐犯を他所に、姉の元へと駆け寄っていく。
だが、姉は扉の前で倒れている射撃教師の元へと寄っていく。
射撃教師優しく頭を撫でて、
「お前は強いよ……虎は死して尚、皮を残すというが、お前は立派にオレの跡を継いだ立派なガンマンになってくれそうだ」
そう言い残すと彼は気力を使い果たしたのか、そのまま息絶えてしまう。
部屋の中に暫く姉の泣き叫ぶ声が聞こえた。
暫く泣いた後に姉は私の方に向き直って、先程までの涙を引っ込めて私の方に向き直る。
「……無事で良かったわ。帰りましょう?私たちの家に」
姉は強い。私はそう思った。射撃教師の男を亡くして悲しい気持ちを私のために無理矢理押し潰して私に笑顔を向けたのだ。
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