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追想編
優等生の王女はどうして銃を持つ劣等生の王女に惹かれるに至ったのか
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私は三度目の駅馬車を使用し、今度は王都へと向かっている。思えば王都には追放されてからも二度訪れた。
追放されてからは一度も訪れる事が無いと思っていた王都に二度も訪れたのだ。そして、今度は三度目だ。私は王都へと向かう馬車に揺られながら、ミッドナイト・スペシャルの事を考えていく。
あの粗悪品の銃が何処まで影響を及ぼすのかを。王都にまで影響していたとすれば、かなり厄介だ。あの粗悪品の銃はかなり流れているという事になるだろう。
つまり、相当の資金源が共和国に基ドラッグス大統領とクラウン元生徒会長の元に流れているという事になるだろう。
私がそんな事を考えながら、トランクを眺めていると、トランクの中に幼い頃に使用したハンカチが混じっている事に気が付く。
このハンカチはかつて幼い頃に妹に貰ったものだった。
そう、妹とまだ親密になる前の話、幼い頃の思い出話だ。
私と妹は同じ日に生まれ、同じ髪色、殆ど同じ顔で産まれた。
両親は初めての子供であったから大変喜んだらしい。噂によれば、母が私と妹を産み落とした日には人々が大手を振って出産を喜んだらしい。
出産の翌日には馬車でのパレードが行われたのだから、王家の力の凄さが窺えるだろう。
私と妹は全く同じに育てられたが、私が射撃技術に秀でてあまり勉学の才能には恵まれなかったのに対し、天は妹には私とは真逆の才能を与えたのだった。
当然、両親はあまり良い顔をしなかったし、妹もあまり私とは話したりしなかった。
正直、今、私を慕ってくれている人物とは同一だとは思えない程に違っていたのを覚えている。
正直に言えばその頃の私は孤独だった。
両親からは落ちこぼれの烙印を貼られ、妹からもあまり話しかけられない。
唯一、私に話しかけてくれるのは同い年にして代々、王家に忠誠を誓う執事の家系、パンサー家の少年、ピーターだった。正直に言えばあの噴水の前で跪いて私に忠誠を誓ってくれた時には驚いたものだ。
思えば幼少期の私はそんな彼を離したくない。そんな一心で彼を振り回していたように思われる。
かくれんぼの時に一緒に隠れたのはいい思い出だ。
その直後だったのかもしれない。あの決定的な事件が起こったのは……。
お姉様がいらっしゃる。私はその報告を忌々しげに吐いた家庭教師のローゼス夫人から聞かされた時に思わず小躍りしたくなる程に嬉しくなった。
だが、夫人はいや、この宮殿の殆どの人間はお姉様を王女だとは認めていない。
そのため、まだ文章上では正式な王女だと定められているのにも関わらず、雑な態度や或いは居ない者として扱う者も多い。勿論、ティンク・ベル騎士団長やマルトー・パンサーなどの例外もいる事は知っている。
けれど、大抵の人はお姉様に対してあまり良い感情を抱いてはいない。
落ちこぼれのレッテルを貼られるというのは辛いものだ。
そんな事を考えながら、私は部屋に用意されていたワインを啜る。
ワインのグラスに映る顔が私を見つめる。私を弾劾しようとせんばかりに私の瞳は私を射抜く。
“お前はまだお姉様に恩を返せていない”と。“お前はまだお姉様に何もしていない”と。
グラスの中の私に何も言い返さずに私は目を逸らしてしまう。
あの事件の時に私は無力だった。私はまだ小さな子供だったと言い訳を行ったのだが、そんな言い訳は通じる事なくグラスに映る私は冷たい視線で跳ね除けていく。
私は黙ってワインを飲み込む。そして、その記憶の事を頭の中から落とそうとしたのだが、どうも上手く頭から落ちない。
あれはまだ私と姉が10歳の時の話だ。
当時、勉学が出来ない姉にあまり良い感情を持たずに過ごしていたあの時だ。
私が部屋の中で読書をしていた時に、一人の見慣れない短い黒い髪にそばかすだらけのメイドが私の扉を開けて頭を下げて、
「初めまして、姫様……私、レイ・フリードマンと申します。今日から、私があなた様のお世話をさせて頂きます」
思えばこの時に見慣れない人物が来ていたのだから、警戒するべきだったのだろう。
だが、当時の私はこの城にいる人はみんな、いい人ばかりだと思っていたので警戒心を持たずに迎え入れてしまった。
「ええ、よろしくお願いしますわ。私がこの国の王女、シンディですわ」
私は頭を下げ返して新しい侍女を受け入れる。
侍女の奇妙な点は見慣れないという点だけではなく、彼女は外では私に付いて来る事なくひたすら部屋の中で私の世話をしたのだ。
ある日、疑問に思った私は彼女に向かって問い掛けた。
「どうして、あなたは部屋から出た時の私の面倒をみようとはしないの?」
「……陛下からの御命令です。陛下は部屋の内では面倒を見るように言われましたが、外では敢えて私を外し、一人で出来るようにさせよという思し召しなのです」
私は父の名前を使われると納得せざるを得なかった。私は首を縦に動かして彼女の奇妙な行動を受け入れた。
彼女が部屋付きの侍女となり、二週間が経った頃だろうか、城の射撃室の前で姉と当時の射撃の家庭教師、ベルナルド・タイガーの怒鳴り合う声が廊下にまで届いたらしい。
私が扉に耳を済ませて二人の会話を聞いていると、どうやら、凶悪犯をめぐる処置で揉めているらしい。
「幾ら、凶悪犯って言っても人権くらいはあるわ!どうして、そんな簡単に撃ち殺すなんて言えるんです!」
「オレは賞金稼ぎとして半生を送ってきたんだッ!あんな外道どもに同情の余地は殆どねぇ!」
どうやら、家庭教師の男は丁寧な言葉さえ使わずに姉を怒鳴り付けていた。
どの教師も姉を落ちこぼれと見ているとはいえ、最低限は丁寧語を使うのだが、よりにもよって一番得意な教科の教師に敬語を用いられる事なく怒られるとは。
その時の私はいよいよ姉に呆れ始めていた。そして、その場から姉が走り去っていくのを見届けた。
それから、私は目の前に立っている黒色のカウボーイジャケットにジーンズパンツというラフな格好に長い金色の髪をした男を睨む。
当時の私はこの男があまり好みではなかったためか、この様な態度を取ったのだと思われる。
ともかく、私は敵を睨む様な視線で彼を睨んだのだが、男は怯む事なく逆に私を睨み付けて姉を追い掛けに向かった。
いま、思えば彼は私にはあまり関心を払ってはいなかったのだと思われる。
私は射撃教師に与えられた部屋を眺めたが、銃ばかり飾られている光景に嫌気が差して帰っていたのを覚えている。
何となく銃は野蛮だというイメージがあったのだろう。
今、思えばそんな事はないのに。私はその事を思い出して笑った。
追放されてからは一度も訪れる事が無いと思っていた王都に二度も訪れたのだ。そして、今度は三度目だ。私は王都へと向かう馬車に揺られながら、ミッドナイト・スペシャルの事を考えていく。
あの粗悪品の銃が何処まで影響を及ぼすのかを。王都にまで影響していたとすれば、かなり厄介だ。あの粗悪品の銃はかなり流れているという事になるだろう。
つまり、相当の資金源が共和国に基ドラッグス大統領とクラウン元生徒会長の元に流れているという事になるだろう。
私がそんな事を考えながら、トランクを眺めていると、トランクの中に幼い頃に使用したハンカチが混じっている事に気が付く。
このハンカチはかつて幼い頃に妹に貰ったものだった。
そう、妹とまだ親密になる前の話、幼い頃の思い出話だ。
私と妹は同じ日に生まれ、同じ髪色、殆ど同じ顔で産まれた。
両親は初めての子供であったから大変喜んだらしい。噂によれば、母が私と妹を産み落とした日には人々が大手を振って出産を喜んだらしい。
出産の翌日には馬車でのパレードが行われたのだから、王家の力の凄さが窺えるだろう。
私と妹は全く同じに育てられたが、私が射撃技術に秀でてあまり勉学の才能には恵まれなかったのに対し、天は妹には私とは真逆の才能を与えたのだった。
当然、両親はあまり良い顔をしなかったし、妹もあまり私とは話したりしなかった。
正直、今、私を慕ってくれている人物とは同一だとは思えない程に違っていたのを覚えている。
正直に言えばその頃の私は孤独だった。
両親からは落ちこぼれの烙印を貼られ、妹からもあまり話しかけられない。
唯一、私に話しかけてくれるのは同い年にして代々、王家に忠誠を誓う執事の家系、パンサー家の少年、ピーターだった。正直に言えばあの噴水の前で跪いて私に忠誠を誓ってくれた時には驚いたものだ。
思えば幼少期の私はそんな彼を離したくない。そんな一心で彼を振り回していたように思われる。
かくれんぼの時に一緒に隠れたのはいい思い出だ。
その直後だったのかもしれない。あの決定的な事件が起こったのは……。
お姉様がいらっしゃる。私はその報告を忌々しげに吐いた家庭教師のローゼス夫人から聞かされた時に思わず小躍りしたくなる程に嬉しくなった。
だが、夫人はいや、この宮殿の殆どの人間はお姉様を王女だとは認めていない。
そのため、まだ文章上では正式な王女だと定められているのにも関わらず、雑な態度や或いは居ない者として扱う者も多い。勿論、ティンク・ベル騎士団長やマルトー・パンサーなどの例外もいる事は知っている。
けれど、大抵の人はお姉様に対してあまり良い感情を抱いてはいない。
落ちこぼれのレッテルを貼られるというのは辛いものだ。
そんな事を考えながら、私は部屋に用意されていたワインを啜る。
ワインのグラスに映る顔が私を見つめる。私を弾劾しようとせんばかりに私の瞳は私を射抜く。
“お前はまだお姉様に恩を返せていない”と。“お前はまだお姉様に何もしていない”と。
グラスの中の私に何も言い返さずに私は目を逸らしてしまう。
あの事件の時に私は無力だった。私はまだ小さな子供だったと言い訳を行ったのだが、そんな言い訳は通じる事なくグラスに映る私は冷たい視線で跳ね除けていく。
私は黙ってワインを飲み込む。そして、その記憶の事を頭の中から落とそうとしたのだが、どうも上手く頭から落ちない。
あれはまだ私と姉が10歳の時の話だ。
当時、勉学が出来ない姉にあまり良い感情を持たずに過ごしていたあの時だ。
私が部屋の中で読書をしていた時に、一人の見慣れない短い黒い髪にそばかすだらけのメイドが私の扉を開けて頭を下げて、
「初めまして、姫様……私、レイ・フリードマンと申します。今日から、私があなた様のお世話をさせて頂きます」
思えばこの時に見慣れない人物が来ていたのだから、警戒するべきだったのだろう。
だが、当時の私はこの城にいる人はみんな、いい人ばかりだと思っていたので警戒心を持たずに迎え入れてしまった。
「ええ、よろしくお願いしますわ。私がこの国の王女、シンディですわ」
私は頭を下げ返して新しい侍女を受け入れる。
侍女の奇妙な点は見慣れないという点だけではなく、彼女は外では私に付いて来る事なくひたすら部屋の中で私の世話をしたのだ。
ある日、疑問に思った私は彼女に向かって問い掛けた。
「どうして、あなたは部屋から出た時の私の面倒をみようとはしないの?」
「……陛下からの御命令です。陛下は部屋の内では面倒を見るように言われましたが、外では敢えて私を外し、一人で出来るようにさせよという思し召しなのです」
私は父の名前を使われると納得せざるを得なかった。私は首を縦に動かして彼女の奇妙な行動を受け入れた。
彼女が部屋付きの侍女となり、二週間が経った頃だろうか、城の射撃室の前で姉と当時の射撃の家庭教師、ベルナルド・タイガーの怒鳴り合う声が廊下にまで届いたらしい。
私が扉に耳を済ませて二人の会話を聞いていると、どうやら、凶悪犯をめぐる処置で揉めているらしい。
「幾ら、凶悪犯って言っても人権くらいはあるわ!どうして、そんな簡単に撃ち殺すなんて言えるんです!」
「オレは賞金稼ぎとして半生を送ってきたんだッ!あんな外道どもに同情の余地は殆どねぇ!」
どうやら、家庭教師の男は丁寧な言葉さえ使わずに姉を怒鳴り付けていた。
どの教師も姉を落ちこぼれと見ているとはいえ、最低限は丁寧語を使うのだが、よりにもよって一番得意な教科の教師に敬語を用いられる事なく怒られるとは。
その時の私はいよいよ姉に呆れ始めていた。そして、その場から姉が走り去っていくのを見届けた。
それから、私は目の前に立っている黒色のカウボーイジャケットにジーンズパンツというラフな格好に長い金色の髪をした男を睨む。
当時の私はこの男があまり好みではなかったためか、この様な態度を取ったのだと思われる。
ともかく、私は敵を睨む様な視線で彼を睨んだのだが、男は怯む事なく逆に私を睨み付けて姉を追い掛けに向かった。
いま、思えば彼は私にはあまり関心を払ってはいなかったのだと思われる。
私は射撃教師に与えられた部屋を眺めたが、銃ばかり飾られている光景に嫌気が差して帰っていたのを覚えている。
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