王立魔法学院の落第生〜王宮を追放されし、王女の双子の姉、その弱い力で世界を変える〜

アンジェロ岩井

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オール・ザ・ソルジャーズマン編

王都動乱 パート3

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「エルンスト・ライアン中将だったわね?まずはお礼を言うわ。一対一の決闘に参加してくれてありがとう」
「勘違いするな。私は単に王宮を乗っ取る前にこれ以上部下を減らしたくないから、そう判断したに過ぎない」
エルンスト中将はホルスターから拳銃を抜き取り、私に向かって地面に放り投げると足でそれを蹴って私の元へと寄越す。私が罠かと思って蹴り飛ばされてここに来た拳銃を警戒して見つめていると、目の前の老将は大きな声で笑い出して、
「安心したまえ、それはただの拳銃さ。何も仕掛けていないただの武器だ。キミはこれまでの私の部下との戦闘で弾を失っている筈だからね。公平に勝負するためには弾の入った武器を寄越すのが一番だ」
私はそう言ってライアンから渡された武器を拾い上げる。その武器は質素ながらもキチリとした作りの黒塗りの回転式拳銃。
恐らく、軍人用拳銃なのだろう。私が蹴り渡された拳銃を眺め、それまで使っていた自動拳銃をホルスターに仕舞い新たにその拳銃に私が持ち替えた時だった。ライアンは周囲に隠れている武器に命令して拳銃を渡すように叫ぶ。
すると、近くの建物に隠れていた部下がわざわざライアン中将の元に武器を持って現れた。
ライアン中将は現れた部下に礼を言って武器を受け取るとそれを握り直し、私に向かって銃口を突き付ける。
「どうだ?この男の武器は先程、私がキミに投げた武器と同じ武器だ。私の言う意味は分かるね?」
要するに、銃の性能に差は無いと言いたいのだろう。
それでこそ決闘というものだ。老齢の中将は私が首を盾に動かすのと同時に戦いを始まるという宣言を行い、たちまち自身の周りに結界と思われる紋様を張り巡らせていく。
基礎魔法、肉体強化に連なる魔法或いは空間操作系統に位置する魔法であるに違いない。
中将の下に派生した紋章からは大きな閃光の弾が飛び交い、私に向かっていく。
地面の上で大きく転がってそれを避けて私を身を交わす。
私は避けた方向を確認する。あの弾は確実にレンガの地面やその上に敷かれた線路を粉々に砕いていた。
それだけでこの男の魔法がどれ程危険なものかは想像に値する。
私の顔から一筋の汗が流れ落ちていく。この男の魔法はあまりにも危険すぎる。どうやって対処しようと考えていると、もう一度天井から例の光の弾が落ちていく。
今度は逃げる事なく左手の掌を広げて光を吸収していく。
光の弾を吸収する際にはそのあまりの大きさと吸収時の反動で私は転んでしまったのだが、結果的にはそれが幸いし、他の弾は私の先程まで立っていた筈の位置をくり抜いていた。
人生何があるのかは本当に分からない。私はボソッと笑うと、男の魔法を使用して周囲の地面に男が出したの同じ紋章を繰り出していく。
紋章から出たのは男と同じ光の弾。先程までは中将の武器として世に出た弾が今は中将への武器としてこの世に現れたのだ。
この紋章仕立ての地面に敷かれた結界というのはそこから光の弾を作り出すという魔法であったからだ。
だが、男はもう一度結界を敷き、光の弾を作り出していく。
互いに互いの生み出した弾幕が地上の標的に襲い掛かっていく。
私は転がり、前へと逃亡する事により、弾の回避に成功した。ライアン中将も同じであったらしい。
結果的に互いに前へと転がった事は距離を縮める事になったらしい。
私は前よりも距離の近付いた中将に向かって銃を突き付けた。
中将もそれに応じて私と全く同じ拳銃を向ける。
互いにここで魔法を使用するのは野暮だと判断したのだろう。
互いに体勢を立て直すし、横向けに走りながら互いに銃を放つ。
乾いた音が同時に夕焼けの街に鳴り響く時に仲間や味方である王国の兵士たち、それに敵である中将の部下たちがどんな反応をしたのかは分からない。
だが、彼らはすれ違いが終わった後に倒れずに立っていた方が勝者だと感じたに違いない。
結論から言えばこの戦いに勝利したのは私だった。
中将の撃った弾は確実に私の左肩に直撃したのだが、私は中将の腹に銃撃を喰らわせた。
それが私の勝因だ。結論から言えば運が良かったに過ぎない。
また、互いに魔法を使わずに勝負をしようと決めたのも偶然だ。
だが、私はそれらに助けられて今、この場に立っている。王国を救えと神が命令しているのだろうか。それとも、運命の力というのはここまで強烈なのだろうか。
そんな事を考えていると私の頬に血反吐が吐かれてしまう。どうやら、中将の血だったらしい。
せめてもの仕返しとばかりに血を私に吐き付けたのだろうか。いや、この男の穏やかな表情を見るにどうも違うらしい。
男はまるで自分の子供を孫を見るかのような穏やかな顔で私に向かって笑い掛ける。
「み、見事だ……どうやら、私はここで終わるらしい。だが、私は自分が間違っていたとは思わん。この国には強力な軍備が必要だ。この国を守るためにはな……」
「悪いけれど、その考えには同意できないわ。あなたは国の……国民を守る筈の銃を他の人を傷付けるためだけの銃に変えようとしたのよ。だから、私はあなたの意見に賛同しない。最後にこれだけは言っておくわ」
その言葉を聞いて中将は弱々しく私の言葉を肯定する言葉を呟く。
そして、彼が穏やかに眠ろうとした時だ。突如、市街地に二度目のそれもマシンガンを使用しての銃声が響く。
私は真下に横たわる男を険しい視線で睨むが、男の顔も大きく見開かれていた事から彼自身も想定していなかった事である事に間違いない。
老将は私をその腕で大きく引き寄せると私に向かって叫ぶ。
「ムシが良い話だが、最後に頼めるのはキミだけだッ!キミにあの銃声を発させた勢力を倒してもらいたいッ!頼むッ!この通りだッ!」
老将は私の腕を離すと両手を合わせて私に向かって懇願する。
だが、もう一度血反吐を吐くと地面に倒れて二度と目を覚ます事は無かった。
私は老将にも周囲にも聞こえない声で馬鹿よと小さな声で呟く。
そして、私は拳銃を構えて市街地へと走っていく。
私が市街地の中に入っていくと、そこには軍用の武器を持った柄の悪そうな男とそれを率いるフォークナイト・ゲイシーの姿。
私はその意外すぎる光景に思わず言葉を失っていると、タバコを咥えたゲイシーがクックッと笑って、
「久し振りだなぁ~ウェンディ」
と、キラキラと光る真っ白な歯を見せながら私に向かって銃口を突き付ける。
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