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豊臣家士族会議編
双子ならではの覚悟
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二人の忍びは双子であった。双子である故に二人は離れ離れにはなれぬ悲しき宿命があった。
双子は顔付きや体型だけではなく、その運命までも共にあると言ったのは一体誰なのだろう。
今となっては分からない。少なくとも、それが24世紀を生きる自分たち二人にも及ぶとは思いもしなかった。
少なくとも、当面は縁がない事であろうと思わされた。
だが、成長するに連れて、幼い頃よりも激しい修行を風魔の里にて受ける中で、それが嘘ではないという事が思い知らされた。
というのも、双子の片割れが負傷した場合には必ずもう片方の双子も負傷するからだ。
それだけではない。二人の魔法はもう片方がいなければ必ず成立し得ない魔法であったのだ。
これは果たして『呪い』なのだろうか。二人には分からない。ただ、いずれにしても、今まではこの二人だけの体制で北条首相の敵を沈めてきた。
今回もそうだろうと二人は信じていた。
二人は襖を蹴られて、入口にいた自分たちの二人の動きが一時的とはいえ塞がれた事に気がつく。
その上に自分たちにとってのターゲットである孝太郎が刀を振り上げてきたのだから、たまったものではない。
二人は焦りを感じながらも、頭の中を冷静に処理し、自分たち二人が被った襖から腕と忍刀だけを抜け出させ、孝太郎の刀をそれで避けるのと同時に、素早く襖の中から抜け出す。そして、目の前の廊下で刀を突き付ける孝太郎に対して二人同時に斬り掛かっていくのだった。
孝太郎は慌てて刀でそれを防ぐと、素早く廊下の奥へ奥へと後退していく。
二人は今かとばかりに、体中から電気を放っていく。いや、『電気』という単語はこの場合には相応しくないだろう。
彼らが発しているのは『雷』である。二人は体中から雷を発しながら、孝太郎の元へと迫ってきていたのだ。
バチバチと鳴らしながら、手にはクナイを持っている姿は中々に脅威であったに違いない。
孝太郎は左手の掌を広げて、刀を片手で構えて双子の忍者を迎え撃つ。
双子の忍者は並走しながら、孝太郎の元へと迫っていく。
だが、お互いに距離を取り、二人の間からまんまるな雷の玉を作り出して、孝太郎へと放っていく。
孝太郎はそれを左手の掌の魔法を使用して防ぐが、その次に真横から攻撃を繰り出していく。
孝太郎が先ほど、下がっていったのは旅館の最奥。これ以上、下がれば玄関にまで到達してしまう。
そうなれば、受付にいる無関係な人間を巻き込む事になってしまうだろう。
そうなる事だけは避けなくてはなるまい。孝太郎は一回転させて白閃を円形に描いていく。
つまり、風車のように回らせる事により、左右両方から迫る二人の忍びを迎撃しようと目論んだのである。
だが、その目論見は双子の片割れに成功したものの、もう片方には自身の真横からの攻撃を許す事になってしまったのだ。
すなわち、彼は左方向からの襲撃をモロに当たる事になった。
孝太郎は左の脇腹を抑えながらも、襲った方に対してカウンターとも言えるべきパンチを繰り出して、彼を地面の上に転ばす事に成功する。
だが、右方向から迫ってきていた方はどうも防ぎきれないらしい。
孝太郎が観念して両目を瞑る。このまま目を瞑れば、あの世の景色が見えてくるだろうか。
そんな自身が辿る予定の事を考えていると、彼の近くで轟音が鳴り響く。
孝太郎が振り返ると、そこには拳銃を構えた姉の姿。
姉は孝太郎の姿を見ると、こちらに駆け寄ってきて、彼の脇腹に自身の何でも直す魔法をかける。
たちまち、孝太郎の傷跡はそんなものがなかったかのように塞がっていく。
孝太郎は大きく溜息を吐くと、姉に縋りながら尋ねる。
「どうして、ここが分かった?」
「大きな音がしたの。不安になって、孝ちゃんが行った方に行くと、戦ってたから」
「咄嗟に助けたって事だろ?ありがとうな、姉貴」
孝太郎は姉に向かって優しく微笑むと、彼女の手を借りて立ち上がっていく。
普通の忍びであったのならば、この隙を利用して二人の命を狙うだろう。
だが、二人は双子。その上に二人同時でなければ例の魔法が使えないという事情もある。
だから、倒れた左方向からの襲撃者を姉弟が邂逅する時間を利用して助け起こしていたのだ。
しかも、助け起こして戻る未来まで同じであったとするのならば、事前に二人を助け起こす事など到底無理だろう。
二人は互いに武器を構えながら互いを牽制し合う。
双子の忍びは各々の手にクナイを、二人はそれぞれ刀と拳銃とを手に持って。
無意味ともいえる睨み合いが続いた後に、戦闘のコングを鳴らしたのは双子の忍者の方である。
二人は先程と同様に体全体を壊れかけの充電器のようにバチバチと鳴らしながら、並走をして姉弟の元へと向かっていく。
二人は直前で雷の玉を放つと同時に、飛び上がり、二人の真上から飛び掛かっていく。
孝太郎は刀を盾に、絵里子はその場から下がった上に真上に向かって何度も銃を放つ事により、最悪の事態を防ぐ。
それから、降りてきて、奇襲を仕掛けてきた忍びの片割れの腹に向かって強烈な蹴りを喰らわせる。
蹴りは油断していたという事もあり、肉体的にも精神的にもかなりのダメージを与えたと思われる。
男は再び天井へと飛び上がり、自身の片割れを呼び寄せて、もう一度天井へと戻っていく。
二人が天井に上がっていくのを見届けると、孝太郎は荒い息を吐く姉に向かって言った。
「大丈夫か?姉貴?」
「あたしは平気。けど、孝ちゃんの方こそ大丈夫?」
「平気さ、姉貴を守るためなら、おれはどんな事だってやってやるから……」
孝太郎は歯を軋ませながら、一瞬の間だけ、幼き日の自分へと意識を飛ばしていく。
あの時は恐ろしかった。同時に今でも悔しい思いが溢れ返っていく。
あの時の自分は自らの魔法を上手く使う事ができなかった。だから、姉を深く傷付けてしまった。その上、姉が責任を感じるようになった。
自身を愛おしく思ってくれるのもあの時の事が影響しているに違いない。
だからこそ、今は姉を守りたい。自分を唯一、気に掛けてくれる肉親を。大切な人を。
が、絵里子はそんな孝太郎の思いとは裏腹に彼の背中にもたれ、拳銃を構える。
「孝ちゃん、あたしだってあなたを守りたいの、だから、今回は……ううん、今回『から』お姉ちゃんも一緒に戦うよ」
「……姉貴。あぁ、頼む」
孝太郎は快活に笑うと、前方に刀を構えた。
双子は顔付きや体型だけではなく、その運命までも共にあると言ったのは一体誰なのだろう。
今となっては分からない。少なくとも、それが24世紀を生きる自分たち二人にも及ぶとは思いもしなかった。
少なくとも、当面は縁がない事であろうと思わされた。
だが、成長するに連れて、幼い頃よりも激しい修行を風魔の里にて受ける中で、それが嘘ではないという事が思い知らされた。
というのも、双子の片割れが負傷した場合には必ずもう片方の双子も負傷するからだ。
それだけではない。二人の魔法はもう片方がいなければ必ず成立し得ない魔法であったのだ。
これは果たして『呪い』なのだろうか。二人には分からない。ただ、いずれにしても、今まではこの二人だけの体制で北条首相の敵を沈めてきた。
今回もそうだろうと二人は信じていた。
二人は襖を蹴られて、入口にいた自分たちの二人の動きが一時的とはいえ塞がれた事に気がつく。
その上に自分たちにとってのターゲットである孝太郎が刀を振り上げてきたのだから、たまったものではない。
二人は焦りを感じながらも、頭の中を冷静に処理し、自分たち二人が被った襖から腕と忍刀だけを抜け出させ、孝太郎の刀をそれで避けるのと同時に、素早く襖の中から抜け出す。そして、目の前の廊下で刀を突き付ける孝太郎に対して二人同時に斬り掛かっていくのだった。
孝太郎は慌てて刀でそれを防ぐと、素早く廊下の奥へ奥へと後退していく。
二人は今かとばかりに、体中から電気を放っていく。いや、『電気』という単語はこの場合には相応しくないだろう。
彼らが発しているのは『雷』である。二人は体中から雷を発しながら、孝太郎の元へと迫ってきていたのだ。
バチバチと鳴らしながら、手にはクナイを持っている姿は中々に脅威であったに違いない。
孝太郎は左手の掌を広げて、刀を片手で構えて双子の忍者を迎え撃つ。
双子の忍者は並走しながら、孝太郎の元へと迫っていく。
だが、お互いに距離を取り、二人の間からまんまるな雷の玉を作り出して、孝太郎へと放っていく。
孝太郎はそれを左手の掌の魔法を使用して防ぐが、その次に真横から攻撃を繰り出していく。
孝太郎が先ほど、下がっていったのは旅館の最奥。これ以上、下がれば玄関にまで到達してしまう。
そうなれば、受付にいる無関係な人間を巻き込む事になってしまうだろう。
そうなる事だけは避けなくてはなるまい。孝太郎は一回転させて白閃を円形に描いていく。
つまり、風車のように回らせる事により、左右両方から迫る二人の忍びを迎撃しようと目論んだのである。
だが、その目論見は双子の片割れに成功したものの、もう片方には自身の真横からの攻撃を許す事になってしまったのだ。
すなわち、彼は左方向からの襲撃をモロに当たる事になった。
孝太郎は左の脇腹を抑えながらも、襲った方に対してカウンターとも言えるべきパンチを繰り出して、彼を地面の上に転ばす事に成功する。
だが、右方向から迫ってきていた方はどうも防ぎきれないらしい。
孝太郎が観念して両目を瞑る。このまま目を瞑れば、あの世の景色が見えてくるだろうか。
そんな自身が辿る予定の事を考えていると、彼の近くで轟音が鳴り響く。
孝太郎が振り返ると、そこには拳銃を構えた姉の姿。
姉は孝太郎の姿を見ると、こちらに駆け寄ってきて、彼の脇腹に自身の何でも直す魔法をかける。
たちまち、孝太郎の傷跡はそんなものがなかったかのように塞がっていく。
孝太郎は大きく溜息を吐くと、姉に縋りながら尋ねる。
「どうして、ここが分かった?」
「大きな音がしたの。不安になって、孝ちゃんが行った方に行くと、戦ってたから」
「咄嗟に助けたって事だろ?ありがとうな、姉貴」
孝太郎は姉に向かって優しく微笑むと、彼女の手を借りて立ち上がっていく。
普通の忍びであったのならば、この隙を利用して二人の命を狙うだろう。
だが、二人は双子。その上に二人同時でなければ例の魔法が使えないという事情もある。
だから、倒れた左方向からの襲撃者を姉弟が邂逅する時間を利用して助け起こしていたのだ。
しかも、助け起こして戻る未来まで同じであったとするのならば、事前に二人を助け起こす事など到底無理だろう。
二人は互いに武器を構えながら互いを牽制し合う。
双子の忍びは各々の手にクナイを、二人はそれぞれ刀と拳銃とを手に持って。
無意味ともいえる睨み合いが続いた後に、戦闘のコングを鳴らしたのは双子の忍者の方である。
二人は先程と同様に体全体を壊れかけの充電器のようにバチバチと鳴らしながら、並走をして姉弟の元へと向かっていく。
二人は直前で雷の玉を放つと同時に、飛び上がり、二人の真上から飛び掛かっていく。
孝太郎は刀を盾に、絵里子はその場から下がった上に真上に向かって何度も銃を放つ事により、最悪の事態を防ぐ。
それから、降りてきて、奇襲を仕掛けてきた忍びの片割れの腹に向かって強烈な蹴りを喰らわせる。
蹴りは油断していたという事もあり、肉体的にも精神的にもかなりのダメージを与えたと思われる。
男は再び天井へと飛び上がり、自身の片割れを呼び寄せて、もう一度天井へと戻っていく。
二人が天井に上がっていくのを見届けると、孝太郎は荒い息を吐く姉に向かって言った。
「大丈夫か?姉貴?」
「あたしは平気。けど、孝ちゃんの方こそ大丈夫?」
「平気さ、姉貴を守るためなら、おれはどんな事だってやってやるから……」
孝太郎は歯を軋ませながら、一瞬の間だけ、幼き日の自分へと意識を飛ばしていく。
あの時は恐ろしかった。同時に今でも悔しい思いが溢れ返っていく。
あの時の自分は自らの魔法を上手く使う事ができなかった。だから、姉を深く傷付けてしまった。その上、姉が責任を感じるようになった。
自身を愛おしく思ってくれるのもあの時の事が影響しているに違いない。
だからこそ、今は姉を守りたい。自分を唯一、気に掛けてくれる肉親を。大切な人を。
が、絵里子はそんな孝太郎の思いとは裏腹に彼の背中にもたれ、拳銃を構える。
「孝ちゃん、あたしだってあなたを守りたいの、だから、今回は……ううん、今回『から』お姉ちゃんも一緒に戦うよ」
「……姉貴。あぁ、頼む」
孝太郎は快活に笑うと、前方に刀を構えた。
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