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第三部『未来への扉』
女王陛下の異世界紀行 パート2
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早朝に起きると言うのは辛いものがあった。やはり、日の出ないうちから目を擦ると言うのは辛かった。だが、鷹山愛はそれでも起きずにはいられなかった。
何故なら、彼女自身が今日は学校を休んで、異世界からの客人とかつて敬愛していた兄と姉を案内する役目を与えられたからだ。
愛は10年前は5歳であったが、二人と過ごした温かい時間の事は今でも鮮明に覚えていた。
愛が2歳か3歳の時に二人の膝を借りながら、自分の好きなテレビ番組を観ていた事はいい思い出であるし、その際に彼女自身が楽しい思いをしていたのも覚えている。だが、愛は知っていた。
二人が兄妹と言う関係を超えて互いを愛し合っていた事も。
二人の関係は恋人そのものであり、周りのどんなカップルよりも愛には仲睦まじしいカップルに見えていた。
小さな愛はそんな二人の気持ちを知っていたのだろう両親にはその事を黙っていた。
だからこそ、二人がある日、自ら死を選んだ時には大きなショックを受けたのと同時に、自分自身が気不味い思いをしなくて済むと思うと少しだけ胸を撫で下ろしていたのを覚えていた。
だが、直ぐに元の悲しみを失った思いの方がその思いを上回り、彼女は一週間の間、悲しみから立ち上がれなかったし、小学校に上がってからも暫くの間引きずっていた。
小学校に上がってからは亡くなった二人の兄と姉の代わりに二人が好きだった漫画を集め始めた。
それだけでは飽き足らずに、様々なマンガやライトノベル、アニメを見始めた。
二人の死を埋めると言う目的もあったのだろうが、愛にとってこれらの作品を見ている間は嫌な事を忘れられた。
愛はそんな事を考えていると、その兄が自分の目の前で大きく手を振っている事に気付く。
「どうしたんだ?愛、さっきからボッーとして」
「な、何でもないよ!それよりも、今日は凄い所に連れて行って上げるよ!スカイツリーって言ってね、東京タワーよりも高い建物が出来たんだよ」
愛の説明に二人の兄妹とその兄妹が異世界から連れて来た客人三人はバスの中で東京の街並みを見ながら、目を輝かせながら見つめていた。
愛は五人の客人を十日に渡って案内していた。案内した場所は東京の有名な場所とその周辺の関東の有名なスポット。
日光東照宮や浅草寺のような日本の宗教に関する施設に異世界からの客人三人は両目を輝かせながら眺めていた。
十日の観光の間、女王一行は何度も本屋に立ち寄り、そこで彼女は政治やら経済やら歴史やらが書かれた本を購入していく。
女王曰く文字は読めないが、後で研究しながら読んでいけば読めるだろうと言う事であろう。
ライトノベルや漫画しか読まない彼女からは思わず驚くような難しい本を抱えながら女王とその一行は鏡を使って元の世界へと戻っていく。
そして、二人の兄と姉もここに残らずに女王について行く道を選び、異世界へと戻っていく。
二人が帰った後に泣き崩れる両親の姿が愛は忘れられなかった。
「悪い事しちゃったかな?」
ディリオニスは元の世界に帰ってから、自分の部屋に帰ってきて、寝巻き姿になり、ベッドに寝転んでいる同じく寝巻き姿のマートニアに話し掛ける。
「仕方が無いよ。あたし達はもう死んでいるんだよ。あのままあそこで生きるのはどうかと思うし、それに……」
マートニアは次の言葉を紡ぐ代わりに強引に兄の唇を奪う。
兄から唇を引き離すと、彼は困ったように口をパクパクと動かしていく。
それを見たマートニアは優しく彼の頭を撫でながら、
「大丈夫だよ。お兄ちゃん……いや、あなたの側にあたしはずっといる……だから、そんな顔をしないでよ」
その言葉を聞いたディリオニスはもう一度彼女の唇に自分の唇を重ねていく。
二人がお互いを愛し合いながら、夜を過ごしていると、二人の心の中に住んでいた二人の英雄が久し振りに声を掛ける。
「キミ達二人は戻らなくてはダメだ」
「戻る?あの世界に?」
「ああ、キミ達の元いた世界に冷酷な真の邪悪なる魔王が蠢いている」
「真の邪悪なる魔王?一体それは?」
「魔王エルミアや北の国の連中の崇拝する神にして、この世界に混乱を巻き起こした災厄の使いだよ」
ジークフリードの話によれば、暗黒の帝王モルドールはまだこの世界の人類がようやく濃厚文明世界を作り始めた頃に様々な怪物を作り出して、世界を荒らし回っていたと言う。
それを止めるために、偉大なる神オーディンから派遣されたのがジークフリードとブリュンヒルデだと言う。
二人は人間の世界で三人の勇敢なる勇者と共にモルドールの軍勢を撃破し、北の間に存在する巨大な見張り台を作成し、彼らを北に追いやったと言う。
また、敗北の際にモルドールに手痛い傷を負わせ、彼を自分の姿を象った像の中に追いやったとらしい。
「確か、その像って!?」
「キミの想像通り、あの戦いの際にエルミアがその手に握っていた小さな像だよ。エルミアはモルドールが生み出した最後の怪物であるために、生身の彼を知らなかったんだろう。彼同様に魔物を生成する術も与えられたしね」
ジークフリードの言葉にディリオニスは堪らずに全身を震わせていく。
「も、もう寝るよ!それに、モルドールの件はまたいつか彼を追い掛ける事によって解決するよ!だから、今日はお休み!」
ディリオニスは明日からの訓練に備えるために、そのまま床に着く。
どうやら、それは妹の方も同じらしい。黙って床に着いていた。
それからは三ヶ月の間は何事もなく日々が過ぎ去っていた。
三ヶ月の間、双子の騎士は懸命に剣を振るっていたが、その間に彼らの心の中に眠る二人の英雄が話し掛ける事は無かった。二人は顔を見合わせながら訓練を続けていく。
「まさか、さやかが奢ってくれるなんてね。思いもしなかったよ」
そう居酒屋で愚駄を述べるのは彼女の中学時代の同級生にしていじめ仲間の三月凛子であった。
凜子は茶髪に頭を染めた今風の若い女性と言う風貌の女性であった。服も最新流行の服を身に纏っていた。
「そんな風に言う事も無いじゃん!折角、この西原さやか様が奢ってやっているのにさぁ」
西原さやかは隣の席の凜子に酒を勧めていく。
「やっぱり、さやかの奢ってくれるお酒は美味しいよ!次は何の話だっけ?」
さやかは嬉々とした表情を浮かべながら、興奮気味に鼻を真っ赤にしながら話していく。
「あの話じゃあ無かったかな?ほら、あの女とあいつの昔の友達を呼んで、あれやらした奴」
「あったねー。あれは面白かったよ」
「そう言えば、あの時のメンバーってもうあんただけなんだよね。みんな死んじゃってさ……」
さやかが声の調子を落としながら言った。
「そうなんだ……げ、元気出しなよ!ほら、あたしの分のお酒もあげるからさ……」
さやかは凜子が自分に向かってビールの入ったジョッキを押し出すのと同時に、彼女の腕を掴み、彼女に向かって大きく口元を歪めながら言った。
「いいや、あたしは元気だよ。あんたで最後だから興奮していただけだよ。最後の生贄をようやく差し出せると思ってさッ!」
さやかの背後から大きな影が現れて、凜子を大きく包み込む。
影の下から咀嚼音が聞こえる。店内に居た人々は逃げようとしたが、その前にモルドールが店内を襲い、店内に居た人々を皆殺しにした。
誰もいない店の中でさやかだけが大きな声で笑い続けていた。
何故なら、彼女自身が今日は学校を休んで、異世界からの客人とかつて敬愛していた兄と姉を案内する役目を与えられたからだ。
愛は10年前は5歳であったが、二人と過ごした温かい時間の事は今でも鮮明に覚えていた。
愛が2歳か3歳の時に二人の膝を借りながら、自分の好きなテレビ番組を観ていた事はいい思い出であるし、その際に彼女自身が楽しい思いをしていたのも覚えている。だが、愛は知っていた。
二人が兄妹と言う関係を超えて互いを愛し合っていた事も。
二人の関係は恋人そのものであり、周りのどんなカップルよりも愛には仲睦まじしいカップルに見えていた。
小さな愛はそんな二人の気持ちを知っていたのだろう両親にはその事を黙っていた。
だからこそ、二人がある日、自ら死を選んだ時には大きなショックを受けたのと同時に、自分自身が気不味い思いをしなくて済むと思うと少しだけ胸を撫で下ろしていたのを覚えていた。
だが、直ぐに元の悲しみを失った思いの方がその思いを上回り、彼女は一週間の間、悲しみから立ち上がれなかったし、小学校に上がってからも暫くの間引きずっていた。
小学校に上がってからは亡くなった二人の兄と姉の代わりに二人が好きだった漫画を集め始めた。
それだけでは飽き足らずに、様々なマンガやライトノベル、アニメを見始めた。
二人の死を埋めると言う目的もあったのだろうが、愛にとってこれらの作品を見ている間は嫌な事を忘れられた。
愛はそんな事を考えていると、その兄が自分の目の前で大きく手を振っている事に気付く。
「どうしたんだ?愛、さっきからボッーとして」
「な、何でもないよ!それよりも、今日は凄い所に連れて行って上げるよ!スカイツリーって言ってね、東京タワーよりも高い建物が出来たんだよ」
愛の説明に二人の兄妹とその兄妹が異世界から連れて来た客人三人はバスの中で東京の街並みを見ながら、目を輝かせながら見つめていた。
愛は五人の客人を十日に渡って案内していた。案内した場所は東京の有名な場所とその周辺の関東の有名なスポット。
日光東照宮や浅草寺のような日本の宗教に関する施設に異世界からの客人三人は両目を輝かせながら眺めていた。
十日の観光の間、女王一行は何度も本屋に立ち寄り、そこで彼女は政治やら経済やら歴史やらが書かれた本を購入していく。
女王曰く文字は読めないが、後で研究しながら読んでいけば読めるだろうと言う事であろう。
ライトノベルや漫画しか読まない彼女からは思わず驚くような難しい本を抱えながら女王とその一行は鏡を使って元の世界へと戻っていく。
そして、二人の兄と姉もここに残らずに女王について行く道を選び、異世界へと戻っていく。
二人が帰った後に泣き崩れる両親の姿が愛は忘れられなかった。
「悪い事しちゃったかな?」
ディリオニスは元の世界に帰ってから、自分の部屋に帰ってきて、寝巻き姿になり、ベッドに寝転んでいる同じく寝巻き姿のマートニアに話し掛ける。
「仕方が無いよ。あたし達はもう死んでいるんだよ。あのままあそこで生きるのはどうかと思うし、それに……」
マートニアは次の言葉を紡ぐ代わりに強引に兄の唇を奪う。
兄から唇を引き離すと、彼は困ったように口をパクパクと動かしていく。
それを見たマートニアは優しく彼の頭を撫でながら、
「大丈夫だよ。お兄ちゃん……いや、あなたの側にあたしはずっといる……だから、そんな顔をしないでよ」
その言葉を聞いたディリオニスはもう一度彼女の唇に自分の唇を重ねていく。
二人がお互いを愛し合いながら、夜を過ごしていると、二人の心の中に住んでいた二人の英雄が久し振りに声を掛ける。
「キミ達二人は戻らなくてはダメだ」
「戻る?あの世界に?」
「ああ、キミ達の元いた世界に冷酷な真の邪悪なる魔王が蠢いている」
「真の邪悪なる魔王?一体それは?」
「魔王エルミアや北の国の連中の崇拝する神にして、この世界に混乱を巻き起こした災厄の使いだよ」
ジークフリードの話によれば、暗黒の帝王モルドールはまだこの世界の人類がようやく濃厚文明世界を作り始めた頃に様々な怪物を作り出して、世界を荒らし回っていたと言う。
それを止めるために、偉大なる神オーディンから派遣されたのがジークフリードとブリュンヒルデだと言う。
二人は人間の世界で三人の勇敢なる勇者と共にモルドールの軍勢を撃破し、北の間に存在する巨大な見張り台を作成し、彼らを北に追いやったと言う。
また、敗北の際にモルドールに手痛い傷を負わせ、彼を自分の姿を象った像の中に追いやったとらしい。
「確か、その像って!?」
「キミの想像通り、あの戦いの際にエルミアがその手に握っていた小さな像だよ。エルミアはモルドールが生み出した最後の怪物であるために、生身の彼を知らなかったんだろう。彼同様に魔物を生成する術も与えられたしね」
ジークフリードの言葉にディリオニスは堪らずに全身を震わせていく。
「も、もう寝るよ!それに、モルドールの件はまたいつか彼を追い掛ける事によって解決するよ!だから、今日はお休み!」
ディリオニスは明日からの訓練に備えるために、そのまま床に着く。
どうやら、それは妹の方も同じらしい。黙って床に着いていた。
それからは三ヶ月の間は何事もなく日々が過ぎ去っていた。
三ヶ月の間、双子の騎士は懸命に剣を振るっていたが、その間に彼らの心の中に眠る二人の英雄が話し掛ける事は無かった。二人は顔を見合わせながら訓練を続けていく。
「まさか、さやかが奢ってくれるなんてね。思いもしなかったよ」
そう居酒屋で愚駄を述べるのは彼女の中学時代の同級生にしていじめ仲間の三月凛子であった。
凜子は茶髪に頭を染めた今風の若い女性と言う風貌の女性であった。服も最新流行の服を身に纏っていた。
「そんな風に言う事も無いじゃん!折角、この西原さやか様が奢ってやっているのにさぁ」
西原さやかは隣の席の凜子に酒を勧めていく。
「やっぱり、さやかの奢ってくれるお酒は美味しいよ!次は何の話だっけ?」
さやかは嬉々とした表情を浮かべながら、興奮気味に鼻を真っ赤にしながら話していく。
「あの話じゃあ無かったかな?ほら、あの女とあいつの昔の友達を呼んで、あれやらした奴」
「あったねー。あれは面白かったよ」
「そう言えば、あの時のメンバーってもうあんただけなんだよね。みんな死んじゃってさ……」
さやかが声の調子を落としながら言った。
「そうなんだ……げ、元気出しなよ!ほら、あたしの分のお酒もあげるからさ……」
さやかは凜子が自分に向かってビールの入ったジョッキを押し出すのと同時に、彼女の腕を掴み、彼女に向かって大きく口元を歪めながら言った。
「いいや、あたしは元気だよ。あんたで最後だから興奮していただけだよ。最後の生贄をようやく差し出せると思ってさッ!」
さやかの背後から大きな影が現れて、凜子を大きく包み込む。
影の下から咀嚼音が聞こえる。店内に居た人々は逃げようとしたが、その前にモルドールが店内を襲い、店内に居た人々を皆殺しにした。
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