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人と異形とが争いを繰り広げる惑星『ボーガー』
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「……和平というのはこの場合成立するのでしょうかね?」
背後にいたジョウジがか細い声で問い掛けた。その声は確実に無理だとわかっているの一応は聞いてみたというもので間違いなかった。
「いや、これはどう足掻いても不可能だろうぜ」
悠介がカプセルを握り締めながら言った。微かな希望は悠介の返答によって木っ端微塵に打ち砕かれることになった。それを裏付けるかのように修也たちを見つけた猿の兵士が槍を握り締め、勢いよく地面の上を蹴って悠介の元へと向かって来た。
「……ジョウジさん下がってください」
修也はカプセルを握り締めながら背後にいたジョウジに向かって言った。ジョウジは素直に首を縦に振って修也たちの背後へと隠れたのだった。
修也と悠介はカプセルを握り締めた右手を大きく突き上げてそのままパワードスーツを放出し、無言で着用して向かっていった。
この間の時間は猿たちからすれば彼らが身に付けている藤の蔓を身に付けて作る鎧を装着する時間より遥かに短い時間であった。それどころか握り飯を頬張るよりも遥かに短い時間だ。それであるにも関わらず、目の前には藤の蔓を編んで作った鎧よりも強力な鎧を纏った二人の戦士が立ち塞がっている。
猿たちは思わず足を引いてしまった。が、それよりも前に指揮官らしい猿が剣のようなものを振り上げ、大きな声で鼓舞する姿が見られた。
それを聞いた猿たちは野生の本能のためか声を張り上げて修也たちへと向かっていく。槍や矛を握り締めながら迫ってくる姿は焦りさえ感じられた。
だが、修也たちはそれを恐ろしいとは思わなかった。両者ともに西部劇に登場するガンマンのように足に付けてあったガンベルトからレーザーガンを抜き取ると、あっと息を吐かせる暇もなく猿たちを葬り去ったのであった。
指揮官の猿は部下をなんの感情も持たれることなく、あっさりと始末されたことに対して憤りを感じたらしい。指揮官の猿は剣を抜くと、文單や顔淵、そして昼間に皇女を襲った男と同様に超能力を使い始めた。
指揮官の猿は右手の掌の上に小さな雲を発生させた後にそれを頂上へと投げ付けたのだ。すると、それまで掌に乗るサイズであった雲が勢いよく膨張していき、巨大な雲へと変貌していったのであった。そうは言ってもそのサイズはまな板とほとんど変わらなかったものの、雲のあちらこちらからはゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。
消し炭よりも真っ黒な底の部分とコピー用紙よりも真っ白な白とが混ざり合った絶妙なコンストラスタを作り上げているように修也たちには見えた。
だからといって修也たちがその雲になんの警戒も持たずに近づくはずがなかった。
迫ってくる小さな雲は明らかに異常な色をしていたし、ゴロゴロと異様な音が鳴る雲は雷雲であるということを二人は日本に伝わる古くからの伝承によって知っていた。
そのためあの雲から雷が落とされるよりも前に先手を打ち、指揮官の猿を倒しに向かおうとしたが、それよりもピシャッと鋭い音を立てて剣よりも鋭い雷が落ちていく方が早かった。
幸いなことに雷は直撃しなかったもののパワードスーツは金属製品である。ぶつかればひとたまりもないのだ。
腰を抜かしたくなる衝動を堪え、修也は第二の雷が落ちるよりも前に指揮官の猿を仕留めるためレーザーガンを構えた時だ。
指揮官の猿は本物の猿のように家々の天井の上へと登っていき、キャキャっと修也たちを嘲笑ってみせた。
「く、くそっ!」
悠介は思わず毒舌を吐いたものの、そんなものを口にしたところで何も変わらないということは今の自分が一番よく知っていた。
だからこそ慌てて建物の中へと舞い戻ったのである。これは修也やジョウジも同じだった。落雷から身を守るため建物の中へと身を潜めた。扉を閉めたので雲は容易には入ってくることができないだろう。一先ずは安心である。
悠介は両肩の力を落とし、玄関のすぐ近くの壁に背中を預けていたし、修也も腰を下ろして一息を吐いていた。
それでもすぐに気を張り詰め直したので完全なリラックスムードに突入したと言われれば否定の言葉をあげたくなる。
少なくとも今の段階ではまだそう言い切れるかもしれない。ジョウジがそんなことを考えた時のことだ。
ふと耳を澄ませると、扉や壁の辺りから大きな音が聞こえてきたことに気が付いた。嫌な予感がしたジョウジが慌てて扉を開くと、そこには猿たちが近くの家々からかき寄せてきたと思われる丸太を使って宿屋の壁を叩き壊そうとしている場面が視界へ飛び込んできたのだ。
幸いなことにまだ壁には蜘蛛の巣が張っている姿を思わせるような小さくて微かなヒビが入っただけであった。本懐は免れられたのは幸いであったというべきだろう。
ジョウジはビームポインターを構えながら攻撃を繰り出している猿たちの元へと向かっていった時だ。自身の真上に先ほどの平べったい形をした雷雲が音を立てていることに気が付いたのである。
「し、しまった……こういう作戦なのかクソッタレ!」
ジョウジはこの時になって自分がいかに愚かであったのかを自覚させられた。つまるところ猿たちは確実に雷雲からの落雷を浴びせさせるために立て籠っている宿屋を破壊して誘き出そうとしていたのだ。
猿のくせに随分と癪なことをする……。ジョウジが存在しない下唇を噛み締めそうになった時のことだ。落雷がゴロゴロと音を立て始めた。
ジョウジは近くでニヤニヤと笑う意地の悪い兵士の一体へと飛び掛かったかと思うと、その体を落雷に向かって押し上げた。その様子は盾にして守っているかのようであった。
いや、実際猿の兵士はジョウジにとって落雷を交わすための最適の盾となった。凄まじい音を立てた後には消し炭となった猿の遺体がジョウジの真上にあった。
ジョウジは猿の遺体を乱暴に地面の上へと放り投げた後で周辺で丸太を握り締めている猿たちを全滅させようと動こうとした。
だが、不意に躍動感を感じたかと思うと気が付けば自身の体は地面の上を転がる羽目になっていたのである。
状況が理解できず、一時的とはいえ頭上に立ちめく暗雲の存在も忘れ、ジョウジが半ば反射的に周辺を見渡していた時のことだ。
背後から気配を感じ慌てて振り向いた。そこにはいやらしい笑みを浮かべる猿の指揮官が立っていた。
「フフッ、どうかな? 私の気は? 人間どもにも見劣りはせんはずだぞ」
「気?」
ジョウジは初めは猿の指揮官が発した『気』という言葉の意味が理解できずに首を傾げたが、その後になって猿の指揮官の言葉の意味が理解できた。
(どうやら、超能力のことをあの指揮官は『気』と評しているようだな……)
ジョウジが指揮官の言葉の意味を理解した時のことだ。またしてもゴロゴロと雷の鳴る音が聞こえてきた。
「しっ、しまった!!」
ジョウジは咄嗟に猿の指揮官に向かってビームポインターを向けて熱線を放ったものの、猿の指揮官はまたしてもジョウジの努力を嘲笑うかのように地面の上を飛び上がり、そのまま家々の屋根の上を走っていった。これでは猿の指揮官へ追い付くことは難しいだろう。
「ま、待て!」
ジョウジは追いかけようとしたものの、目の前に雷が落ちたことで自身が今どうした状況にあるのかを思い出した。
冷や汗をかきながらも近くにいた猿たちへ向かって熱線を放っていく。
今のジョウジの頭の中にあったのは自分たちの安息の地を破壊しようと目論む猿たちの排除だった。そのためには自分の身がどうなろうが構わないとさえ思っていた。普通の人間であれば逃げ出すような状況下であっても他人のことを考えて動くその姿は賞賛に値するものだ。
だが、勇気と蛮勇とはまた別に判断するものである。ジョウジが殿を務める軍団長の如き奉仕の精神で駆け出そうとした時のことだ。
「ジョウジさん! どこへ行くんですか!?」
と、扉から心配そうな顔を浮かべてこちらを見つめる修也の顔が見られた。
「お、大津さん!」
「お一人でどこへ行こうというのですか? 外は危険なんですよ!!」
修也の言葉はジョウジを気にかけるものだった。その気遣いが今のジョウジには身に染みることになった。なんとも言えない嬉しさのようなものを感じたのだ。
やはり自分は今の段階でアンドロイドというよりかは人間でいうところの感情を持っているのだ。自分は一人ではないのだという嬉しさがジョウジを却って前へと駆り立てた。
ジョウジは止めようとする修也を突っ切り、熱線を猿たちへと発射していった。『闇雲に』という言葉や『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』という諺が当てはまるかのような無謀な攻撃である。
心配になった修也はジョウジの後を追い掛けようとしたが、ふと上の方向を眺めると、近くにあった家の屋根の陰から立派な鎧をつけた猿の指揮官がこちらを見て嘲笑っている姿が見られた。
もしかすれば自分でも倒せるかもしれない。修也はこっそりとレーザーガンを抜いて照準を猿の指揮官へと合わせた。
しっかりと狙いは定まっている。修也は躊躇うことなく引き金を引いた。直後にはレーザー光線が放射され、猿の指揮官へと勢いよく向かっていった。
この時咄嗟に身を翻してその場から逃走しようとしたものの、運が悪く背中にレーザー光線が直撃する羽目になってしまった。
背中を撃たれた猿の指揮官は地面の上を情けなく転がっていくと、地面の上に大の字を描いて倒れることになった。日本で伝わる諺とは少しばかり状況が異なるものの、『猿も木から落ちる』というのはこうした状況のことを指して言うのかもしれない。
猿の得意な場所である高所から落ちてきた猿の指揮官に向かって修也はレーザーガンを突きつけながら向かっていく。
確実にとどめを指すためである。その行動に対して修也はまるで躊躇いを見せなかった。
背後にいたジョウジがか細い声で問い掛けた。その声は確実に無理だとわかっているの一応は聞いてみたというもので間違いなかった。
「いや、これはどう足掻いても不可能だろうぜ」
悠介がカプセルを握り締めながら言った。微かな希望は悠介の返答によって木っ端微塵に打ち砕かれることになった。それを裏付けるかのように修也たちを見つけた猿の兵士が槍を握り締め、勢いよく地面の上を蹴って悠介の元へと向かって来た。
「……ジョウジさん下がってください」
修也はカプセルを握り締めながら背後にいたジョウジに向かって言った。ジョウジは素直に首を縦に振って修也たちの背後へと隠れたのだった。
修也と悠介はカプセルを握り締めた右手を大きく突き上げてそのままパワードスーツを放出し、無言で着用して向かっていった。
この間の時間は猿たちからすれば彼らが身に付けている藤の蔓を身に付けて作る鎧を装着する時間より遥かに短い時間であった。それどころか握り飯を頬張るよりも遥かに短い時間だ。それであるにも関わらず、目の前には藤の蔓を編んで作った鎧よりも強力な鎧を纏った二人の戦士が立ち塞がっている。
猿たちは思わず足を引いてしまった。が、それよりも前に指揮官らしい猿が剣のようなものを振り上げ、大きな声で鼓舞する姿が見られた。
それを聞いた猿たちは野生の本能のためか声を張り上げて修也たちへと向かっていく。槍や矛を握り締めながら迫ってくる姿は焦りさえ感じられた。
だが、修也たちはそれを恐ろしいとは思わなかった。両者ともに西部劇に登場するガンマンのように足に付けてあったガンベルトからレーザーガンを抜き取ると、あっと息を吐かせる暇もなく猿たちを葬り去ったのであった。
指揮官の猿は部下をなんの感情も持たれることなく、あっさりと始末されたことに対して憤りを感じたらしい。指揮官の猿は剣を抜くと、文單や顔淵、そして昼間に皇女を襲った男と同様に超能力を使い始めた。
指揮官の猿は右手の掌の上に小さな雲を発生させた後にそれを頂上へと投げ付けたのだ。すると、それまで掌に乗るサイズであった雲が勢いよく膨張していき、巨大な雲へと変貌していったのであった。そうは言ってもそのサイズはまな板とほとんど変わらなかったものの、雲のあちらこちらからはゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。
消し炭よりも真っ黒な底の部分とコピー用紙よりも真っ白な白とが混ざり合った絶妙なコンストラスタを作り上げているように修也たちには見えた。
だからといって修也たちがその雲になんの警戒も持たずに近づくはずがなかった。
迫ってくる小さな雲は明らかに異常な色をしていたし、ゴロゴロと異様な音が鳴る雲は雷雲であるということを二人は日本に伝わる古くからの伝承によって知っていた。
そのためあの雲から雷が落とされるよりも前に先手を打ち、指揮官の猿を倒しに向かおうとしたが、それよりもピシャッと鋭い音を立てて剣よりも鋭い雷が落ちていく方が早かった。
幸いなことに雷は直撃しなかったもののパワードスーツは金属製品である。ぶつかればひとたまりもないのだ。
腰を抜かしたくなる衝動を堪え、修也は第二の雷が落ちるよりも前に指揮官の猿を仕留めるためレーザーガンを構えた時だ。
指揮官の猿は本物の猿のように家々の天井の上へと登っていき、キャキャっと修也たちを嘲笑ってみせた。
「く、くそっ!」
悠介は思わず毒舌を吐いたものの、そんなものを口にしたところで何も変わらないということは今の自分が一番よく知っていた。
だからこそ慌てて建物の中へと舞い戻ったのである。これは修也やジョウジも同じだった。落雷から身を守るため建物の中へと身を潜めた。扉を閉めたので雲は容易には入ってくることができないだろう。一先ずは安心である。
悠介は両肩の力を落とし、玄関のすぐ近くの壁に背中を預けていたし、修也も腰を下ろして一息を吐いていた。
それでもすぐに気を張り詰め直したので完全なリラックスムードに突入したと言われれば否定の言葉をあげたくなる。
少なくとも今の段階ではまだそう言い切れるかもしれない。ジョウジがそんなことを考えた時のことだ。
ふと耳を澄ませると、扉や壁の辺りから大きな音が聞こえてきたことに気が付いた。嫌な予感がしたジョウジが慌てて扉を開くと、そこには猿たちが近くの家々からかき寄せてきたと思われる丸太を使って宿屋の壁を叩き壊そうとしている場面が視界へ飛び込んできたのだ。
幸いなことにまだ壁には蜘蛛の巣が張っている姿を思わせるような小さくて微かなヒビが入っただけであった。本懐は免れられたのは幸いであったというべきだろう。
ジョウジはビームポインターを構えながら攻撃を繰り出している猿たちの元へと向かっていった時だ。自身の真上に先ほどの平べったい形をした雷雲が音を立てていることに気が付いたのである。
「し、しまった……こういう作戦なのかクソッタレ!」
ジョウジはこの時になって自分がいかに愚かであったのかを自覚させられた。つまるところ猿たちは確実に雷雲からの落雷を浴びせさせるために立て籠っている宿屋を破壊して誘き出そうとしていたのだ。
猿のくせに随分と癪なことをする……。ジョウジが存在しない下唇を噛み締めそうになった時のことだ。落雷がゴロゴロと音を立て始めた。
ジョウジは近くでニヤニヤと笑う意地の悪い兵士の一体へと飛び掛かったかと思うと、その体を落雷に向かって押し上げた。その様子は盾にして守っているかのようであった。
いや、実際猿の兵士はジョウジにとって落雷を交わすための最適の盾となった。凄まじい音を立てた後には消し炭となった猿の遺体がジョウジの真上にあった。
ジョウジは猿の遺体を乱暴に地面の上へと放り投げた後で周辺で丸太を握り締めている猿たちを全滅させようと動こうとした。
だが、不意に躍動感を感じたかと思うと気が付けば自身の体は地面の上を転がる羽目になっていたのである。
状況が理解できず、一時的とはいえ頭上に立ちめく暗雲の存在も忘れ、ジョウジが半ば反射的に周辺を見渡していた時のことだ。
背後から気配を感じ慌てて振り向いた。そこにはいやらしい笑みを浮かべる猿の指揮官が立っていた。
「フフッ、どうかな? 私の気は? 人間どもにも見劣りはせんはずだぞ」
「気?」
ジョウジは初めは猿の指揮官が発した『気』という言葉の意味が理解できずに首を傾げたが、その後になって猿の指揮官の言葉の意味が理解できた。
(どうやら、超能力のことをあの指揮官は『気』と評しているようだな……)
ジョウジが指揮官の言葉の意味を理解した時のことだ。またしてもゴロゴロと雷の鳴る音が聞こえてきた。
「しっ、しまった!!」
ジョウジは咄嗟に猿の指揮官に向かってビームポインターを向けて熱線を放ったものの、猿の指揮官はまたしてもジョウジの努力を嘲笑うかのように地面の上を飛び上がり、そのまま家々の屋根の上を走っていった。これでは猿の指揮官へ追い付くことは難しいだろう。
「ま、待て!」
ジョウジは追いかけようとしたものの、目の前に雷が落ちたことで自身が今どうした状況にあるのかを思い出した。
冷や汗をかきながらも近くにいた猿たちへ向かって熱線を放っていく。
今のジョウジの頭の中にあったのは自分たちの安息の地を破壊しようと目論む猿たちの排除だった。そのためには自分の身がどうなろうが構わないとさえ思っていた。普通の人間であれば逃げ出すような状況下であっても他人のことを考えて動くその姿は賞賛に値するものだ。
だが、勇気と蛮勇とはまた別に判断するものである。ジョウジが殿を務める軍団長の如き奉仕の精神で駆け出そうとした時のことだ。
「ジョウジさん! どこへ行くんですか!?」
と、扉から心配そうな顔を浮かべてこちらを見つめる修也の顔が見られた。
「お、大津さん!」
「お一人でどこへ行こうというのですか? 外は危険なんですよ!!」
修也の言葉はジョウジを気にかけるものだった。その気遣いが今のジョウジには身に染みることになった。なんとも言えない嬉しさのようなものを感じたのだ。
やはり自分は今の段階でアンドロイドというよりかは人間でいうところの感情を持っているのだ。自分は一人ではないのだという嬉しさがジョウジを却って前へと駆り立てた。
ジョウジは止めようとする修也を突っ切り、熱線を猿たちへと発射していった。『闇雲に』という言葉や『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』という諺が当てはまるかのような無謀な攻撃である。
心配になった修也はジョウジの後を追い掛けようとしたが、ふと上の方向を眺めると、近くにあった家の屋根の陰から立派な鎧をつけた猿の指揮官がこちらを見て嘲笑っている姿が見られた。
もしかすれば自分でも倒せるかもしれない。修也はこっそりとレーザーガンを抜いて照準を猿の指揮官へと合わせた。
しっかりと狙いは定まっている。修也は躊躇うことなく引き金を引いた。直後にはレーザー光線が放射され、猿の指揮官へと勢いよく向かっていった。
この時咄嗟に身を翻してその場から逃走しようとしたものの、運が悪く背中にレーザー光線が直撃する羽目になってしまった。
背中を撃たれた猿の指揮官は地面の上を情けなく転がっていくと、地面の上に大の字を描いて倒れることになった。日本で伝わる諺とは少しばかり状況が異なるものの、『猿も木から落ちる』というのはこうした状況のことを指して言うのかもしれない。
猿の得意な場所である高所から落ちてきた猿の指揮官に向かって修也はレーザーガンを突きつけながら向かっていく。
確実にとどめを指すためである。その行動に対して修也はまるで躊躇いを見せなかった。
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