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水の惑星『カメーネ』
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「しかし、何もない場所だなぁ」
悠介は宇宙船のハッチを開いて、地面の上に足を下ろすのと同時に何気なしと言わんばかりの口調で言い放った。
「仕方がないじゃん。だって、この星の人口は地球よりも少ないんだもん。それに文明だって地球よりもずっと遅れてるじゃん。人と人とのやり取りだってそんなに活発じゃないはずだよ」
麗俐はフレッドセンに連絡を入れているカエデに変わって、交易に必要な荷物を運び出しながら、心底からつまらなそうな顔を浮かべてなんの気力もなく辺りを見回す弟に対してもっともな説明を行ったのだった。
「ちぇ、火星にはあんなに建物や人があったっていうのに」
「ボヤいてないで手伝いなよ。これもあたしたちの一環なんだからね」
「チッ、うるせぇ、姉様だよ」
「なんか言った?」
「いや、別に、おれは何をしようかなぁ」
実姉の恐ろしい迫力を前に、悠介が惚けた口調で宇宙船の中へと戻ろうとした時のことだ。
「誰かァァァァ~!! 馬車を停めてェェェェ~!!!」
と、突然向こう側から悲鳴が聞こえてきた。無論、その言葉の意味は分からない。だが、大きな声だったのと明らかな恐怖の色が混じった声だったのでその場にいた全員が異変に気が付き、声が聞こえた方向へ視線を向けていった。
すると、修也たちの前には車輪が外れ、圧倒だけとなってしまった馬に向かって必死に鞭を放つ若い女性の姿が見えた。
悲鳴を上げ続けている姿から察するに彼女の乗っていた馬車が暴走してしまったことは明らかだ。
「ちくしょう!」
悲鳴を聞き、居ても立っても居られなくなった悠介は咄嗟に自身の持つロトワングのカプセルを押し、装甲を纏っていった。
悠介はそのまま神話に登場する怪物のように暴れ狂う馬車の方向へと向かっていった。それから制御を失って暴れる馬を身を挺して止めた。悠介によって半ば強制的に動きを止められた馬は突然のことに動揺してその場で前脚を大きく上げて暴れ回っていた。
それを悠介はメットの下で唇を噛み締め、己の弱さを押さえ付けながら必死に押さえ付けたのだった。
これで馬車は制御されることになったのだが、馬が暴れたことによる衝撃で馬車馬車の主が馬車の上から勢いよく投げ出されてしまったのだ。後方に向かってボールのように飛び、地面の上へと落ちていこうとする馬主を悠介は自らの体を張って止めたのだった。
悠介は馬車の主人を受け止める際に大事なバスケットボールの試合のことを思い出した。バスケットボールの試合においては敵の投げたボールが自身のコートに上に落ちればそれで相手に得点が入ることになってしまう。接戦ならば絶対にそのボールを地面の上に落としてはならないのだ。今の状態はその時の状態と同じだといってもいいだろう。
悠介は大事な試合の時に感じた緊迫感とボールを受け止める時の感覚を思い出し、全神経を集中はへ、馬車の主の姿を捉えた。
それから必死になって位置を見出し、馬主の元へと駆け寄っていった。
悠介は真上から落ちてくる馬車の主を正面から受け止めることになったのだ。当然、馬車の主の体重がのしかかってくることになる。その負荷に耐えられなくなり、悠介は馬車の車輪の跡が付いた草原の上を転がっていった。
それでも悠介は馬車の主を守るため自らの体を盾にして体の上を滑っていったのだからその姿勢には敬意を表さざるを得まい。
「悠介!」
修也は愚かな行動を取った息子の元へと慌てて駆け寄って行ったが、幸いなことに悠介は無事であった。
悠介はパワードスーツのメットの下で口元を緩めながら馬主へと問い掛けた。
「ヘヘッ、あんた、怪我がなくてよかったな」
馬主はそんな悠介に対して必死の形相を浮かべて、何かしらの言葉を喋っていたのだが、悠介はその言葉を理解していなかった。不思議そうな顔で首を傾げている。
言葉が通じないという状況を見かねたのか、ジョウジが慌てて通訳に入っていった。
「その方は悠介さんに『助けてくれてありがとうございます。あなた怪我はありませんか?』と聞いています」
「あっ、そういうこと? それならおれは大丈夫だよ」
悠介はメットを脱いで馬車の主に向かって自身の安否を伝えるため、満面の笑顔を見せた。
だが、すぐにその顔からは笑顔が消え、代わりに稲妻にでも打たれたかのように大きく口を開けて馬主を見つめていた。
というのも、悠介が助けた馬車の主は日本はおろか地球でも見たことがないような美しい姿をした女性であったからだ。
アクアマリンのような青く美しい瞳に、桜色の小さな可愛らしい唇、スラっとした高い鼻、腰にまで長く下ろした金色の髪、陶器のように透き通るような白い肌。モデルどころか、彫刻のように引き締まったプロモーション。どれをとっても美しかった。古代ギリシャの神話に登場する女神のようだ。
誰もが賞賛の言葉を浴びせるような王女を見て、恋に落ちないはずがなかった。悠介がその女神のような女性に見惚れていた時だ。
他ならぬ女性本人が悠介の肩を強く揺すったのだった。
「ハッ、えっ、な、何!?」
悠介は咄嗟にことに頭が追いつかなかった。自身の意中の相手に突然肩を揺さぶられたことで強く動揺したらしい。
会話が通じないかのように吃音を吐くだけとなっていた。
「彼女は『どうしたの?』と問い掛けていますよ」
その時、助け舟を出したのはまたしてもジョウジだった。
「あっ、えっ、もしかしておれに問い掛けてるの?」
悠介は分かりやすく自身を人差し指で差しながら問い掛けた。それに対して目の前の女性は小さく首を縦に動かしたのだった。
「私の名前はシーレ。栄光あるクリスタニア王国の第一王女です。あなたが何者かは知りませんが、己が身を呈して助けていただいたことに関して、本当に感謝しております」
ジョウジの通訳を通し、シーレ王女の言葉は一字一句正確に伝えられた。
「いえいえ、そんな……困ってる人を助けるのは人として当然のことですよ。あっ、おれは大津悠介と言います。地球という星から交易のためにやってきました」
ジョウジの翻訳により、シーレも悠介が何者であるのかを知った。彼女は歓喜の顔を浮かべていた。
「では、父が以前より仰られていた天からの使者というのはあなた方のことなのですね!?」
「えぇ、そうだと思います。現にあなた方に喜んでもらえるような物もたくさん用意していますよ」
悠介の言葉は嘘ではない。事実『スコーピオン号』の中には惑星カメーネの人々向けた地球の商品が積み込まれていた。
用意した商品はゴムボートに水中眼鏡、浮き輪、干し肉といった水の星の住民に喜ばれそうなものばかりだ。食べ物というのならば保存がきく日本の漬け物や菓子類などが備えられている。
他にも王族への個人的な贈り物として日本刀や扇子、鎧兜、刺身醤油といった日本でしか生成できない工芸品や食品、武器などがある。中には訪問の日の夕食として王族たちに食してもらうため雉の肉を使った吸い物や鮑を使った小鉢料理、からすみなどがある。そうした懐石料理に合う日本酒選びにも抜かりはない。
用意されたのは『白牡丹』と呼ばれる高価な日本酒である。
こうした各惑星の王族に提供するための商品の厳選にも手を抜かないのがフレッドセンの社長としての力量が現れている。
もちろん、こんな素晴らしいものを本当にタダで渡すわけがない。代償としてカメーネにおいて家々の建築に使う白亜の石やクレスタリア王国でしか生成できない工芸品等を運べるだけ運ばせてもらうことになっている。
他にも水瓶とセットでカメーネの新鮮な水をもらう事も予定している。地球で特製のミネラルウォーターとして生成するつもりだそうだ。
前回の交易でそれらの品を地球に運んだ時、人々からミネラルウォーターや白亜の石が高評価を受けたことはしっかりとデータに残っている。また、クレスタリア王国の工芸品を運んだ時に地球のマニアたちから好評であった。
今回の貿易でもそうした工芸品やカメーネでしか採掘できない石を持ってこいとの厳命をフレッドセンから受けている。
そのため王女と仲良くしておいて損はないだろう。
シーレと悠介が仲良く話している姿を尻目にジョウジは既にそうした交易を有利にする計算を終えていた。
ジョウジが悠介を促そうとした時のことだ。
「そうだわ。お礼にあなた方を私自らが宮殿にご案内しましょう。御礼にもならないかもしれないけれど、王女の私があれば関所なんて簡単に通れるわよ!」
シーレは腕を捲りながら逞しげに言った。
願ったり叶ったりである。ジョウジは口元に微かな微笑を浮かべながらシーレの提案を受け入れたのだった。
悠介は宇宙船のハッチを開いて、地面の上に足を下ろすのと同時に何気なしと言わんばかりの口調で言い放った。
「仕方がないじゃん。だって、この星の人口は地球よりも少ないんだもん。それに文明だって地球よりもずっと遅れてるじゃん。人と人とのやり取りだってそんなに活発じゃないはずだよ」
麗俐はフレッドセンに連絡を入れているカエデに変わって、交易に必要な荷物を運び出しながら、心底からつまらなそうな顔を浮かべてなんの気力もなく辺りを見回す弟に対してもっともな説明を行ったのだった。
「ちぇ、火星にはあんなに建物や人があったっていうのに」
「ボヤいてないで手伝いなよ。これもあたしたちの一環なんだからね」
「チッ、うるせぇ、姉様だよ」
「なんか言った?」
「いや、別に、おれは何をしようかなぁ」
実姉の恐ろしい迫力を前に、悠介が惚けた口調で宇宙船の中へと戻ろうとした時のことだ。
「誰かァァァァ~!! 馬車を停めてェェェェ~!!!」
と、突然向こう側から悲鳴が聞こえてきた。無論、その言葉の意味は分からない。だが、大きな声だったのと明らかな恐怖の色が混じった声だったのでその場にいた全員が異変に気が付き、声が聞こえた方向へ視線を向けていった。
すると、修也たちの前には車輪が外れ、圧倒だけとなってしまった馬に向かって必死に鞭を放つ若い女性の姿が見えた。
悲鳴を上げ続けている姿から察するに彼女の乗っていた馬車が暴走してしまったことは明らかだ。
「ちくしょう!」
悲鳴を聞き、居ても立っても居られなくなった悠介は咄嗟に自身の持つロトワングのカプセルを押し、装甲を纏っていった。
悠介はそのまま神話に登場する怪物のように暴れ狂う馬車の方向へと向かっていった。それから制御を失って暴れる馬を身を挺して止めた。悠介によって半ば強制的に動きを止められた馬は突然のことに動揺してその場で前脚を大きく上げて暴れ回っていた。
それを悠介はメットの下で唇を噛み締め、己の弱さを押さえ付けながら必死に押さえ付けたのだった。
これで馬車は制御されることになったのだが、馬が暴れたことによる衝撃で馬車馬車の主が馬車の上から勢いよく投げ出されてしまったのだ。後方に向かってボールのように飛び、地面の上へと落ちていこうとする馬主を悠介は自らの体を張って止めたのだった。
悠介は馬車の主人を受け止める際に大事なバスケットボールの試合のことを思い出した。バスケットボールの試合においては敵の投げたボールが自身のコートに上に落ちればそれで相手に得点が入ることになってしまう。接戦ならば絶対にそのボールを地面の上に落としてはならないのだ。今の状態はその時の状態と同じだといってもいいだろう。
悠介は大事な試合の時に感じた緊迫感とボールを受け止める時の感覚を思い出し、全神経を集中はへ、馬車の主の姿を捉えた。
それから必死になって位置を見出し、馬主の元へと駆け寄っていった。
悠介は真上から落ちてくる馬車の主を正面から受け止めることになったのだ。当然、馬車の主の体重がのしかかってくることになる。その負荷に耐えられなくなり、悠介は馬車の車輪の跡が付いた草原の上を転がっていった。
それでも悠介は馬車の主を守るため自らの体を盾にして体の上を滑っていったのだからその姿勢には敬意を表さざるを得まい。
「悠介!」
修也は愚かな行動を取った息子の元へと慌てて駆け寄って行ったが、幸いなことに悠介は無事であった。
悠介はパワードスーツのメットの下で口元を緩めながら馬主へと問い掛けた。
「ヘヘッ、あんた、怪我がなくてよかったな」
馬主はそんな悠介に対して必死の形相を浮かべて、何かしらの言葉を喋っていたのだが、悠介はその言葉を理解していなかった。不思議そうな顔で首を傾げている。
言葉が通じないという状況を見かねたのか、ジョウジが慌てて通訳に入っていった。
「その方は悠介さんに『助けてくれてありがとうございます。あなた怪我はありませんか?』と聞いています」
「あっ、そういうこと? それならおれは大丈夫だよ」
悠介はメットを脱いで馬車の主に向かって自身の安否を伝えるため、満面の笑顔を見せた。
だが、すぐにその顔からは笑顔が消え、代わりに稲妻にでも打たれたかのように大きく口を開けて馬主を見つめていた。
というのも、悠介が助けた馬車の主は日本はおろか地球でも見たことがないような美しい姿をした女性であったからだ。
アクアマリンのような青く美しい瞳に、桜色の小さな可愛らしい唇、スラっとした高い鼻、腰にまで長く下ろした金色の髪、陶器のように透き通るような白い肌。モデルどころか、彫刻のように引き締まったプロモーション。どれをとっても美しかった。古代ギリシャの神話に登場する女神のようだ。
誰もが賞賛の言葉を浴びせるような王女を見て、恋に落ちないはずがなかった。悠介がその女神のような女性に見惚れていた時だ。
他ならぬ女性本人が悠介の肩を強く揺すったのだった。
「ハッ、えっ、な、何!?」
悠介は咄嗟にことに頭が追いつかなかった。自身の意中の相手に突然肩を揺さぶられたことで強く動揺したらしい。
会話が通じないかのように吃音を吐くだけとなっていた。
「彼女は『どうしたの?』と問い掛けていますよ」
その時、助け舟を出したのはまたしてもジョウジだった。
「あっ、えっ、もしかしておれに問い掛けてるの?」
悠介は分かりやすく自身を人差し指で差しながら問い掛けた。それに対して目の前の女性は小さく首を縦に動かしたのだった。
「私の名前はシーレ。栄光あるクリスタニア王国の第一王女です。あなたが何者かは知りませんが、己が身を呈して助けていただいたことに関して、本当に感謝しております」
ジョウジの通訳を通し、シーレ王女の言葉は一字一句正確に伝えられた。
「いえいえ、そんな……困ってる人を助けるのは人として当然のことですよ。あっ、おれは大津悠介と言います。地球という星から交易のためにやってきました」
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悠介の言葉は嘘ではない。事実『スコーピオン号』の中には惑星カメーネの人々向けた地球の商品が積み込まれていた。
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他にも王族への個人的な贈り物として日本刀や扇子、鎧兜、刺身醤油といった日本でしか生成できない工芸品や食品、武器などがある。中には訪問の日の夕食として王族たちに食してもらうため雉の肉を使った吸い物や鮑を使った小鉢料理、からすみなどがある。そうした懐石料理に合う日本酒選びにも抜かりはない。
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今回の貿易でもそうした工芸品やカメーネでしか採掘できない石を持ってこいとの厳命をフレッドセンから受けている。
そのため王女と仲良くしておいて損はないだろう。
シーレと悠介が仲良く話している姿を尻目にジョウジは既にそうした交易を有利にする計算を終えていた。
ジョウジが悠介を促そうとした時のことだ。
「そうだわ。お礼にあなた方を私自らが宮殿にご案内しましょう。御礼にもならないかもしれないけれど、王女の私があれば関所なんて簡単に通れるわよ!」
シーレは腕を捲りながら逞しげに言った。
願ったり叶ったりである。ジョウジは口元に微かな微笑を浮かべながらシーレの提案を受け入れたのだった。
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