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第二章『共存と滅亡の狭間で』
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「……次はキミだ」
修也はビームソードの先端を突き付けながら言った。ソグの使役していた人喰いアメーバは今や衆議院の会場の端々に飛んでいった。
もうソグを守る用心棒はどこにもいないのだ。修也はゆっくりと歩いていった。
この間にソグに罪悪感を覚えさせるつもりであったのだ。
だが、修也の予想に反してソグは罪悪感覚えるどころか、平然とした顔で修也を出迎えようとしていた。
ソグの手の内に一つのカプセルが握られているのが見えた。
嫌な予感がした。修也がその手に握られているカプセルを落とそうとレーザーガンを向けた時のことだ。
ソグは気怠そうな顔を浮かべながら、
「あー、面倒だなぁ。お陰でこいつを使わなくちゃあいけなくなったじゃあないか」
と、そのカプセルの先端を押して地面の上に放り投げた。
カプセルが地面の上に転がり落ちていくのと同時にソグの体が人型の等身ともいうべきサイズのアメーバへと変わっていった。
カプセルトイを押すのと同時に水色のブヨブヨとした戦闘スーツとヘルメットを身に纏った『怪人』が現れたのだった。
この鎧の装甲は硬質ではなく、例の人喰いアメーバの皮膚を用いて作成された軟質の鎧であった。
戦闘スーツの装甲代わりにドロドロとした液体が地面の上にまで垂れてはいたが、きっちりと戦闘用のベルトは巻けるらしい。ベルトには鉛筆のような形をした武器と同じく筒だけの武器が下げられていた。
ベルトから落ちた液体から嫌な音が聞こえている。酸でも含んでいるのだろうか。
修也が考察を深めていると、ソグは鉛筆のような筒を手に持ち、その先端を修也に向けて放っていった。
同時に赤いビーム光線が発射され、背後にあった衆議院の扉を粉々に粉砕していった。どうやらソグが手に持ったのはジョウジやカエデが護身用にと携帯していたビームポインターであったらしい。
ただそれでも地球の物よりは性質が上であるらしく、ビームポインターの熱線が壁を飴細工のように溶かしていた。
「ば、バカな!?」
「大津さん、気が付いた? これが我々の科学力さ。せいぜい楽しんでくれよ」
予想外の性能を受け、兜の下で目を丸くする修也に対してソグはもう一度ビームポインターを向けていった。
修也はこの時ビームポインターの発射距離の中にいた。その上で先ほどの攻撃に呆気を取られてしまい、避けることができなかった。
ただ、この時修也にとって幸運であったのは勇敢なる衆議院議員のうち一人が真横からソグに向かって飛び掛かっていったことだろう。そのためソグのポインターから生じた照準が微かに揺れ、修也をその場から脱したことにあったのだった。
だが、その報いは当然ながら飛び掛かった議員の一人に押し寄せる羽目になった。
ソグは両足を蹴って自身の両足に覆い被さった議員を跳ね飛ばし、そのポインターを使って撃ち殺したのだった。再び衆議院内で騒めきが湧き立っていった。
「クソッタレ!」
修也は目の前で人を殺されたという焦りもあったことで思わず汚い言葉を吐いてからソグに向かってレーザーガンからレーザー光線を放っていった。
無論、地球とラーガレット星との科学力には大きな差がある。たとえ逆立ちしても勝つことができない大きな差だ。地球のレーザー光線による攻撃で傷を付けることは不可能であった。
が、それでも注意を修也の方へと向けることはできた。レーザー照射による攻撃を受けたことによってソグは修也の方を見つめてニヤニヤと笑っていた。
それからもう一度ビームポインターを修也に向けた。修也はそれよりも先にレーザー光線を放ったが、ソグには傷一つ付かなかった。
その光景を見た修也は思わず絶望感に襲われることになったが、それでも負けじとばかりに何度も引き金を引いていった。
だが、ソグは平然とした顔で修也に向かってビームポインターを向けた。
このまま終わりかもしれない。修也が覚悟を決めて両目を閉じた時のことだ。
「あれ? なんだ、これ?」
と、ソグの口から予想だにしない言葉が出てきた。ビームポインターの操作に詰まっている姿を見るにどうやらレーザー詰まりを起こしているらしい。
レーザー詰まりとは一昔前でいうところの弾詰まりに代わって作られた言葉である。
弾丸の代わりにレーザーガンのエネルギーパックによるエネルギーが弾倉にきちり込められていないという状況になり、引き金を引いてもレーザー光線もしくは熱線が発射できずに詰まってしまう状態のことを示す言葉である。
どうやら地球だけではなく他所の星でも同じようなことが起きるらしい。
修也はこの機会を逃さなかった。レーザーガンを腰のベルトに下げ、代わりに両手でビームソードを構えながらソグの元へと突っ込んでいった。
ソグは目の前から修也が切り掛かってきたのを察すると、すぐにビームポインターを捨て、代わりに腰に下げていた水筒のような銀色の水筒のような筒を手に取った。
そして筒を右手で持って勢いよく振るうと、光身の刃が剥き出しになっていった。
これはビームソードであったのだ。意表を突かれてしまった。
驚いた顔を浮かべる修也に向かってソグはビームソードを構えながら向かってきた。
両手で握りながらこちらに向かって襲い掛かってくる姿は100年以上前に公開された懐かしのSF映画に敵や味方のキャラが武器として用いるライトセイバーという武器を思い出した。
ここからは便宜上、ソグの持つ武器を名作映画に準えて『ライトセイバー』と表記させてもらいたい。
そんなライトセイバーを振り上げてきたソグの攻撃を受け止めたものの、修也は背後に押されてしまい、体を国会議事堂の壁に大きくぶつけてしまうことになった。
『メトロイドスーツ』の装甲ごと壁へと押し当てられてしまった修也は呻めき声を上げていった。
「ぐっ、クソ……」
「終わりだよ」
ソグはライトセイバーを逆手に握り締めて、修也の体を貫こうと試みた。
修也はそんなソグの体を二本の脚を使って蹴り飛ばし、自分の元から遠ざけていった。
それから自身の態勢の立て直しとソグを衆議院から引き離すという目的を兼ねて修也は国会議事堂の外へと駆け出していった。
目標は国会議事堂の外にある駐車場である。『フォールアウト』の残骸が残る場所でソグと決着を付けたかったのだ。
自身を交渉役に任せた株主とやらには申し訳ないが、もうソグを相手に交渉が通じるとは思っていなかった。
修也は衆議院の扉の外でソグと伊達首相との会話を耳にしていたのだ。
そして会話が一段落したところで突入してきたのである。
修也としてはビームソードであの鎧ごと貫いてソグを片付ける算段でいた。
だが、国会議事堂の中央広間で突然ソグが足を止めた。
日本を作った総理大臣の姿を模った三つの銅像が置かれ、中央には赤いカーペットが敷かれた豪華な場所である。
修也が逃げるそぶりを見せてもソグは追い掛けてこようとしなかった。
妙に感じた修也が背後を恐る恐る振り返っていくと、そこには立ちどったままこちらを睨んでいるソグの姿が見えた。
「どうしたんだ? 追ってこないのか?」
修也はわざと挑発するように問い掛けたが、ソグは立ち止まったままだ。
まさか、自分の意図を見抜かれてしまったのではないか。
不安の音が修也の心を襲っていく。ドクドクと嫌な音が胸を打っていった。
「おい、どうしたんだ?」
修也が問い掛けた時のことだ。ソグが突然鎧から粘液を飛ばしてきた。
修也はビームソードで粘液を叩き落としていった。
「ねぇ、大津さん。今ここで決着を付けようよ。大津さんに不都合がなければの話だけど」
やはり修也の意図は読まれていたらしい。流石は宇宙人である。修也は苦笑しながら言った。
「……私は別に不都合はない。ただ、ここは神聖な場所だからねぇ。できれば外に来てほしいんだ」
「なるほどねぇ。まぁ、理由は分かったよ。外に出てやってもいいよ」
その言葉を聞いて安堵の息を吐いた時だ。無言でソグがライトセイバーを構えながら修也の元へと突っ込んできた。
修也はビームソードの先端を突き付けながら言った。ソグの使役していた人喰いアメーバは今や衆議院の会場の端々に飛んでいった。
もうソグを守る用心棒はどこにもいないのだ。修也はゆっくりと歩いていった。
この間にソグに罪悪感を覚えさせるつもりであったのだ。
だが、修也の予想に反してソグは罪悪感覚えるどころか、平然とした顔で修也を出迎えようとしていた。
ソグの手の内に一つのカプセルが握られているのが見えた。
嫌な予感がした。修也がその手に握られているカプセルを落とそうとレーザーガンを向けた時のことだ。
ソグは気怠そうな顔を浮かべながら、
「あー、面倒だなぁ。お陰でこいつを使わなくちゃあいけなくなったじゃあないか」
と、そのカプセルの先端を押して地面の上に放り投げた。
カプセルが地面の上に転がり落ちていくのと同時にソグの体が人型の等身ともいうべきサイズのアメーバへと変わっていった。
カプセルトイを押すのと同時に水色のブヨブヨとした戦闘スーツとヘルメットを身に纏った『怪人』が現れたのだった。
この鎧の装甲は硬質ではなく、例の人喰いアメーバの皮膚を用いて作成された軟質の鎧であった。
戦闘スーツの装甲代わりにドロドロとした液体が地面の上にまで垂れてはいたが、きっちりと戦闘用のベルトは巻けるらしい。ベルトには鉛筆のような形をした武器と同じく筒だけの武器が下げられていた。
ベルトから落ちた液体から嫌な音が聞こえている。酸でも含んでいるのだろうか。
修也が考察を深めていると、ソグは鉛筆のような筒を手に持ち、その先端を修也に向けて放っていった。
同時に赤いビーム光線が発射され、背後にあった衆議院の扉を粉々に粉砕していった。どうやらソグが手に持ったのはジョウジやカエデが護身用にと携帯していたビームポインターであったらしい。
ただそれでも地球の物よりは性質が上であるらしく、ビームポインターの熱線が壁を飴細工のように溶かしていた。
「ば、バカな!?」
「大津さん、気が付いた? これが我々の科学力さ。せいぜい楽しんでくれよ」
予想外の性能を受け、兜の下で目を丸くする修也に対してソグはもう一度ビームポインターを向けていった。
修也はこの時ビームポインターの発射距離の中にいた。その上で先ほどの攻撃に呆気を取られてしまい、避けることができなかった。
ただ、この時修也にとって幸運であったのは勇敢なる衆議院議員のうち一人が真横からソグに向かって飛び掛かっていったことだろう。そのためソグのポインターから生じた照準が微かに揺れ、修也をその場から脱したことにあったのだった。
だが、その報いは当然ながら飛び掛かった議員の一人に押し寄せる羽目になった。
ソグは両足を蹴って自身の両足に覆い被さった議員を跳ね飛ばし、そのポインターを使って撃ち殺したのだった。再び衆議院内で騒めきが湧き立っていった。
「クソッタレ!」
修也は目の前で人を殺されたという焦りもあったことで思わず汚い言葉を吐いてからソグに向かってレーザーガンからレーザー光線を放っていった。
無論、地球とラーガレット星との科学力には大きな差がある。たとえ逆立ちしても勝つことができない大きな差だ。地球のレーザー光線による攻撃で傷を付けることは不可能であった。
が、それでも注意を修也の方へと向けることはできた。レーザー照射による攻撃を受けたことによってソグは修也の方を見つめてニヤニヤと笑っていた。
それからもう一度ビームポインターを修也に向けた。修也はそれよりも先にレーザー光線を放ったが、ソグには傷一つ付かなかった。
その光景を見た修也は思わず絶望感に襲われることになったが、それでも負けじとばかりに何度も引き金を引いていった。
だが、ソグは平然とした顔で修也に向かってビームポインターを向けた。
このまま終わりかもしれない。修也が覚悟を決めて両目を閉じた時のことだ。
「あれ? なんだ、これ?」
と、ソグの口から予想だにしない言葉が出てきた。ビームポインターの操作に詰まっている姿を見るにどうやらレーザー詰まりを起こしているらしい。
レーザー詰まりとは一昔前でいうところの弾詰まりに代わって作られた言葉である。
弾丸の代わりにレーザーガンのエネルギーパックによるエネルギーが弾倉にきちり込められていないという状況になり、引き金を引いてもレーザー光線もしくは熱線が発射できずに詰まってしまう状態のことを示す言葉である。
どうやら地球だけではなく他所の星でも同じようなことが起きるらしい。
修也はこの機会を逃さなかった。レーザーガンを腰のベルトに下げ、代わりに両手でビームソードを構えながらソグの元へと突っ込んでいった。
ソグは目の前から修也が切り掛かってきたのを察すると、すぐにビームポインターを捨て、代わりに腰に下げていた水筒のような銀色の水筒のような筒を手に取った。
そして筒を右手で持って勢いよく振るうと、光身の刃が剥き出しになっていった。
これはビームソードであったのだ。意表を突かれてしまった。
驚いた顔を浮かべる修也に向かってソグはビームソードを構えながら向かってきた。
両手で握りながらこちらに向かって襲い掛かってくる姿は100年以上前に公開された懐かしのSF映画に敵や味方のキャラが武器として用いるライトセイバーという武器を思い出した。
ここからは便宜上、ソグの持つ武器を名作映画に準えて『ライトセイバー』と表記させてもらいたい。
そんなライトセイバーを振り上げてきたソグの攻撃を受け止めたものの、修也は背後に押されてしまい、体を国会議事堂の壁に大きくぶつけてしまうことになった。
『メトロイドスーツ』の装甲ごと壁へと押し当てられてしまった修也は呻めき声を上げていった。
「ぐっ、クソ……」
「終わりだよ」
ソグはライトセイバーを逆手に握り締めて、修也の体を貫こうと試みた。
修也はそんなソグの体を二本の脚を使って蹴り飛ばし、自分の元から遠ざけていった。
それから自身の態勢の立て直しとソグを衆議院から引き離すという目的を兼ねて修也は国会議事堂の外へと駆け出していった。
目標は国会議事堂の外にある駐車場である。『フォールアウト』の残骸が残る場所でソグと決着を付けたかったのだ。
自身を交渉役に任せた株主とやらには申し訳ないが、もうソグを相手に交渉が通じるとは思っていなかった。
修也は衆議院の扉の外でソグと伊達首相との会話を耳にしていたのだ。
そして会話が一段落したところで突入してきたのである。
修也としてはビームソードであの鎧ごと貫いてソグを片付ける算段でいた。
だが、国会議事堂の中央広間で突然ソグが足を止めた。
日本を作った総理大臣の姿を模った三つの銅像が置かれ、中央には赤いカーペットが敷かれた豪華な場所である。
修也が逃げるそぶりを見せてもソグは追い掛けてこようとしなかった。
妙に感じた修也が背後を恐る恐る振り返っていくと、そこには立ちどったままこちらを睨んでいるソグの姿が見えた。
「どうしたんだ? 追ってこないのか?」
修也はわざと挑発するように問い掛けたが、ソグは立ち止まったままだ。
まさか、自分の意図を見抜かれてしまったのではないか。
不安の音が修也の心を襲っていく。ドクドクと嫌な音が胸を打っていった。
「おい、どうしたんだ?」
修也が問い掛けた時のことだ。ソグが突然鎧から粘液を飛ばしてきた。
修也はビームソードで粘液を叩き落としていった。
「ねぇ、大津さん。今ここで決着を付けようよ。大津さんに不都合がなければの話だけど」
やはり修也の意図は読まれていたらしい。流石は宇宙人である。修也は苦笑しながら言った。
「……私は別に不都合はない。ただ、ここは神聖な場所だからねぇ。できれば外に来てほしいんだ」
「なるほどねぇ。まぁ、理由は分かったよ。外に出てやってもいいよ」
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