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第二章『共存と滅亡の狭間で』
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結論からいえば悠介がレーザーガンを絞って放っていったビーム光線はあっさりと交わされてしまった。
小型衛星も簡単に修也の攻撃は予想できたらしい。攻撃が来るのを予感してヒョイと飛び上がり、レーザー光線を交わしたのだった。
その後で小型衛星は宿主である『フォールアウト』の周りを飛び回っていた。
それはまさしくどう足掻いてもレーザー光線を当てることができない悠介を挑発しているかのような態度だった。
だが、その人間臭いとも取れるような短絡的な行動がジョウジの中にある確信を持たせるようになった。
(やはり、あの衛星を破壊すればバリアーは壊されるんだ。なら、試してみる価値はあるだろう)
ジョウジはビームポインターを携えると、もう一度小型衛星を狙った。
当てるつもりはない。ただ、怯えさせたかった。その理由は簡単だ。人間臭いという点があるということは攻撃を掠めることで小型衛星を怯えさせることもできるということになる。
ビームポインターは真っ直ぐに人工衛星の元へと向かっていった。今度も余裕を持って交わしきれる。
ジョウジはそう踏んでいたのだろうが、避けようとする瞬間にビームポインターの熱線が微かではあるものの小型衛星の表層を掠めたのだった。
絶対に避けられるはずだった熱線が微かではあったものの小型衛星の体に直撃することになった。
このことは小型衛星を怯えさせるのに十分過ぎた。小型衛星は『フォールアウト』の背後にくっ付いて離れなくなってしまった。その姿は母親から離れないようにそのスカートをがっしりと握る幼児のようだった。
悠介はそうした一連の動きから『フォールアウト』の持つ鉄壁の守りは小型衛星にあるのだということや小型衛星自体には防御力がないのだという確信を持った。
悠介は小型衛星に向かって執拗にレーザー光線を放っていったが、その光線のほとんどは『フォールアウト』の体という防御壁によって防がれることになってしまった。
レーザー光線が強大な壁によって阻まれ、反射していく姿を見て悠介は絶望の感情が湧き出てきた。
このままでは『フォールアウト』の全体が悠介に直撃してしまうだろう。正面からあの固いものが直撃するということだけは避けなくてはならなかった。
悠介が頭を抱えていた時のことだ。ちょうどいいタイミングで悠介と『フォールアウト』との間に一体の敵アンドロイドが投げ込まれてきた。
悠介は投げ込まれてきたアンドロイドを目眩し兼身代わりに活用して同じタイミングで『フォールアウト』の前から抜け出すことができた。
投げ込まれた方向を見つめると、そこには自分に向かって可愛らしく手を振る姉の姿が見えた。
どうやら遠方からでも状況を把握できていたようで悠介の身代わりとしてアンドロイドを投げ飛ばしてくれたのだろう。
身代わりを投げ飛ばしてくれたお陰で悠介は助かることができた。姉には感謝しなくてはならない。
今度は姉に何か奢らなくてはならないかもしれない。また小遣いが減ってしまう。
修也は苦笑することになった。
悠介が姉のいた方向に手を振ろうかと考えた時だ。またしてもブォーンという不穏な音が聞こえてきた。
悠介とジョウジの両名が真上を見上げると、またしても『フォールアウト』がこちらに飛んできたのだ。
悠介は慌てて『フォールアウト』に向かってレーザー光線を放っていったが、相変わらず効果はない。
またジェットエンジンか何かのラーガレット星の技術を使って宙の上から突進でも行うのかと思われたが、今回は勝手が違った。
『フォールアウト』は六本の腕を開放したかと思うと、その掌を広げていった。
すると、『フォールアウト』の掌に敵アンドロイドたちの武器が集まってくるのが見えた。
ジョウジは自らのコンピュータを用いて即座に『フォールアウト』の掌に含まれている成分を分析していった。
『フォールアウト』の掌の中に含まれているのは磁石なのだろうという結果が出た。
そしてアンドロイドたちが使う武器の中には磁石が含まれていることも知った。
恐らく敵に追い詰められた際に先に倒されたアンドロイド兵士たちの武器を『フォールアウト』専用の武器として使用するのだろう。
気が付けば千手観音像のように全ての腕の中に武器が収められていたのだ。
それも剣などの前時代的な千手観音像とは異なり、ビームライフルやレーザーガンといった強力な武器ばかりなのだ。
それらの銃口が一斉に向けられる際に出るのは恐怖だけだった。それに抵抗しようとか、対抗しようとかいう意思は絶望感によってかき消されてしまう。
おまけに反撃を試みようとも小型衛星によってその攻撃はあっさりと交わされてしまう。
その上肝心の小型衛星そのものは『フォールアウト』の背後に引っ込んだまま姿を見せないのだ。
小型衛星は嫌なことから逃げて部屋の中に籠るかのように『フォールアウト』の背後に引っ込んで姿を現そうとしなかった。
余程、先ほどのジョウジによる脅しにショックを受けたのだろう。
修也も麗俐も自分たちの周りを取り囲む敵アンドロイドたちとの戦闘に夢中になり、こちらに援護の手を回すような余裕は見られなかった。
救援は来ない。この窮地を乗り切り、逆転をかますことができるような千載一遇の秘策も思い浮かばない。
終わりだ。こうなってしまえば一巻の終わりだ。諦めるしかない。
悠介が覚悟を決め、16年の短い人生を回顧しようとした時のことだ。
「待ちなさい!」
と、どこからか声が聞こえてきた。悠介が声のした方向を振り返っていた。
そこにはもう一人のアンドロイドーーカエデの姿が見えた。
カエデはビームポインターを取り出し、『フォールアウト』に向かって熱線を放射していった。
だが、そんな攻撃が何の意味もないというのは悠介自身が一番よく知っていた。
ハッキリといえば今のカエデの行動は自殺行為でしかなかった。
それ故に悠介は「やめろォォォォ」と無意識のうちに『フォールアウト』に向かって悲鳴を上げていた。
だが、現実は無情である。『フォールアウト』は悠介の言葉に耳を貸すこともなく、真っ直ぐにカエデの元へと向かっていた。
不味い。そう考えた時だ。背後から悠介を突き飛ばすほどのスピードで修也が走ってきたのが見えた。
背後からは敵アンドロイドたちが修也に向かってビームライフルを放っていたのが見えた。
「……仕方がねぇ。あの化け物ロボットの対処はお父さんに任せるとするか」
悠介は自身のレーザーガンを使用して何体かのアンドロイドたちからビームライフルを落とさせた。
それからビームソードを抜き、敵アンドロイドたちの元へと突っ込んでいった。
「悠介さん!」
背後からジョウジの呼び止める声が聞こえてきた。
だが、悠介はジョウジに向かって強い声で返すしかできなかった。
「悪い! オレはこいつらの相手をする! だから、ジョウジさんはおれの代わりにお父さんと一緒にあのデカいロボットを倒しておいてくれ!」
悠介の言葉を聞いたジョウジは慌てて修也を追い掛けていった。
修也はカエデの元に迫ってきた『フォールアウト』の背中を勢いよく蹴り飛ばし、カエデから自分に注意を向けること成功した。
相手はロボットである。そのため表情などが浮かび上がってくることはない。ただ方向を転換してゆっくりと修也の方を見つめていくその動作は怒りの感情さえ向けていたかもしれない。
『フォールアウト』は実際に不機嫌になったかのように修也に向けてビームライフルやレーザーガンを乱射していった。
蜂の巣にされそうになったところを救ったのは咄嗟の機転だった。
修也は『フォールアウト』がビームライフルやレーザーガンを乱射する少し前に上空へと飛び上がっていき、『フォールアウト』の顔面に向かって飛び掛かったのだった。
そしてその頭部に向かって両脚をそろえて強烈な蹴りを喰らわせたのだった。
修也からすれば改心の一撃ともいえる攻撃だったのだが、肝心の『フォールアウト』そのものは機械である故か何も感じていない様子だった。
小型衛星も簡単に修也の攻撃は予想できたらしい。攻撃が来るのを予感してヒョイと飛び上がり、レーザー光線を交わしたのだった。
その後で小型衛星は宿主である『フォールアウト』の周りを飛び回っていた。
それはまさしくどう足掻いてもレーザー光線を当てることができない悠介を挑発しているかのような態度だった。
だが、その人間臭いとも取れるような短絡的な行動がジョウジの中にある確信を持たせるようになった。
(やはり、あの衛星を破壊すればバリアーは壊されるんだ。なら、試してみる価値はあるだろう)
ジョウジはビームポインターを携えると、もう一度小型衛星を狙った。
当てるつもりはない。ただ、怯えさせたかった。その理由は簡単だ。人間臭いという点があるということは攻撃を掠めることで小型衛星を怯えさせることもできるということになる。
ビームポインターは真っ直ぐに人工衛星の元へと向かっていった。今度も余裕を持って交わしきれる。
ジョウジはそう踏んでいたのだろうが、避けようとする瞬間にビームポインターの熱線が微かではあるものの小型衛星の表層を掠めたのだった。
絶対に避けられるはずだった熱線が微かではあったものの小型衛星の体に直撃することになった。
このことは小型衛星を怯えさせるのに十分過ぎた。小型衛星は『フォールアウト』の背後にくっ付いて離れなくなってしまった。その姿は母親から離れないようにそのスカートをがっしりと握る幼児のようだった。
悠介はそうした一連の動きから『フォールアウト』の持つ鉄壁の守りは小型衛星にあるのだということや小型衛星自体には防御力がないのだという確信を持った。
悠介は小型衛星に向かって執拗にレーザー光線を放っていったが、その光線のほとんどは『フォールアウト』の体という防御壁によって防がれることになってしまった。
レーザー光線が強大な壁によって阻まれ、反射していく姿を見て悠介は絶望の感情が湧き出てきた。
このままでは『フォールアウト』の全体が悠介に直撃してしまうだろう。正面からあの固いものが直撃するということだけは避けなくてはならなかった。
悠介が頭を抱えていた時のことだ。ちょうどいいタイミングで悠介と『フォールアウト』との間に一体の敵アンドロイドが投げ込まれてきた。
悠介は投げ込まれてきたアンドロイドを目眩し兼身代わりに活用して同じタイミングで『フォールアウト』の前から抜け出すことができた。
投げ込まれた方向を見つめると、そこには自分に向かって可愛らしく手を振る姉の姿が見えた。
どうやら遠方からでも状況を把握できていたようで悠介の身代わりとしてアンドロイドを投げ飛ばしてくれたのだろう。
身代わりを投げ飛ばしてくれたお陰で悠介は助かることができた。姉には感謝しなくてはならない。
今度は姉に何か奢らなくてはならないかもしれない。また小遣いが減ってしまう。
修也は苦笑することになった。
悠介が姉のいた方向に手を振ろうかと考えた時だ。またしてもブォーンという不穏な音が聞こえてきた。
悠介とジョウジの両名が真上を見上げると、またしても『フォールアウト』がこちらに飛んできたのだ。
悠介は慌てて『フォールアウト』に向かってレーザー光線を放っていったが、相変わらず効果はない。
またジェットエンジンか何かのラーガレット星の技術を使って宙の上から突進でも行うのかと思われたが、今回は勝手が違った。
『フォールアウト』は六本の腕を開放したかと思うと、その掌を広げていった。
すると、『フォールアウト』の掌に敵アンドロイドたちの武器が集まってくるのが見えた。
ジョウジは自らのコンピュータを用いて即座に『フォールアウト』の掌に含まれている成分を分析していった。
『フォールアウト』の掌の中に含まれているのは磁石なのだろうという結果が出た。
そしてアンドロイドたちが使う武器の中には磁石が含まれていることも知った。
恐らく敵に追い詰められた際に先に倒されたアンドロイド兵士たちの武器を『フォールアウト』専用の武器として使用するのだろう。
気が付けば千手観音像のように全ての腕の中に武器が収められていたのだ。
それも剣などの前時代的な千手観音像とは異なり、ビームライフルやレーザーガンといった強力な武器ばかりなのだ。
それらの銃口が一斉に向けられる際に出るのは恐怖だけだった。それに抵抗しようとか、対抗しようとかいう意思は絶望感によってかき消されてしまう。
おまけに反撃を試みようとも小型衛星によってその攻撃はあっさりと交わされてしまう。
その上肝心の小型衛星そのものは『フォールアウト』の背後に引っ込んだまま姿を見せないのだ。
小型衛星は嫌なことから逃げて部屋の中に籠るかのように『フォールアウト』の背後に引っ込んで姿を現そうとしなかった。
余程、先ほどのジョウジによる脅しにショックを受けたのだろう。
修也も麗俐も自分たちの周りを取り囲む敵アンドロイドたちとの戦闘に夢中になり、こちらに援護の手を回すような余裕は見られなかった。
救援は来ない。この窮地を乗り切り、逆転をかますことができるような千載一遇の秘策も思い浮かばない。
終わりだ。こうなってしまえば一巻の終わりだ。諦めるしかない。
悠介が覚悟を決め、16年の短い人生を回顧しようとした時のことだ。
「待ちなさい!」
と、どこからか声が聞こえてきた。悠介が声のした方向を振り返っていた。
そこにはもう一人のアンドロイドーーカエデの姿が見えた。
カエデはビームポインターを取り出し、『フォールアウト』に向かって熱線を放射していった。
だが、そんな攻撃が何の意味もないというのは悠介自身が一番よく知っていた。
ハッキリといえば今のカエデの行動は自殺行為でしかなかった。
それ故に悠介は「やめろォォォォ」と無意識のうちに『フォールアウト』に向かって悲鳴を上げていた。
だが、現実は無情である。『フォールアウト』は悠介の言葉に耳を貸すこともなく、真っ直ぐにカエデの元へと向かっていた。
不味い。そう考えた時だ。背後から悠介を突き飛ばすほどのスピードで修也が走ってきたのが見えた。
背後からは敵アンドロイドたちが修也に向かってビームライフルを放っていたのが見えた。
「……仕方がねぇ。あの化け物ロボットの対処はお父さんに任せるとするか」
悠介は自身のレーザーガンを使用して何体かのアンドロイドたちからビームライフルを落とさせた。
それからビームソードを抜き、敵アンドロイドたちの元へと突っ込んでいった。
「悠介さん!」
背後からジョウジの呼び止める声が聞こえてきた。
だが、悠介はジョウジに向かって強い声で返すしかできなかった。
「悪い! オレはこいつらの相手をする! だから、ジョウジさんはおれの代わりにお父さんと一緒にあのデカいロボットを倒しておいてくれ!」
悠介の言葉を聞いたジョウジは慌てて修也を追い掛けていった。
修也はカエデの元に迫ってきた『フォールアウト』の背中を勢いよく蹴り飛ばし、カエデから自分に注意を向けること成功した。
相手はロボットである。そのため表情などが浮かび上がってくることはない。ただ方向を転換してゆっくりと修也の方を見つめていくその動作は怒りの感情さえ向けていたかもしれない。
『フォールアウト』は実際に不機嫌になったかのように修也に向けてビームライフルやレーザーガンを乱射していった。
蜂の巣にされそうになったところを救ったのは咄嗟の機転だった。
修也は『フォールアウト』がビームライフルやレーザーガンを乱射する少し前に上空へと飛び上がっていき、『フォールアウト』の顔面に向かって飛び掛かったのだった。
そしてその頭部に向かって両脚をそろえて強烈な蹴りを喰らわせたのだった。
修也からすれば改心の一撃ともいえる攻撃だったのだが、肝心の『フォールアウト』そのものは機械である故か何も感じていない様子だった。
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