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第二章『共存と滅亡の狭間で』
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『ゼノン』の装甲を纏った修也はショウに喰らわせたような強烈な右ストレートを愛太郎に向かって喰らわせた。
強烈な一撃を喰らった愛太郎は自身がトイレの中で悠介に喰らわせた拳の何倍も強力な拳を受けて地面の上へとめり込んでいった。なす術もなくピクピクと微かに手を動かす様はギャグ漫画に登場する敵キャラクターのようだった。
彼氏が倒された様子を見て紗希はその場から逃げ出そうとしたものの、足元を熱線で撃たれ、そのまま地面の上へと倒れ込んでしまった。
悠介は動けずにいる紗希の襟を掴み上げると地面の上に向かって勢いよく叩き付けた。紗希もまたピクピクと両手と両足を動かすだけの存在へと変わり果てた。
同時に周囲の人々から悲鳴が上がった。
その悲鳴を聞いて悠介はようやく冷静さを取り戻し、慌てて辺りを見渡していった。そこには地面の上で倒れたまま動こうとしない愛太郎と紗希の姿が見えた。
恐怖に駆られた悠介は堪らなくなり、パワードスーツを地面の上に投げ捨てて、犬のような嗚咽声を上げていった。
近くに警察署があったことからすぐに警察官たちが現れて混乱状態となっていた悠介を警察署へと運んでいった。
「この度はとんだご迷惑をお掛けしました」
謝罪に訪れたフレッドセンは深々と頭を下げた。
「謝って済む問題ではないんですよ。うちの息子は全治三ヶ月の重傷なんですから」
中年の女性は両眉を顰めながら吐き捨てるように言った。
「うちの娘もです。病院で傷をつける姿をご覧になりますか?酷いものですよ」
もう一人の長い髪をたなびかせた意地の悪い顔を浮かべた中年の婦人はフレッドセンを強く睨み付けていた。
「本当に申し訳ございません。私の監督不届きでした」
フレッドセンはもう一度深々と頭を下げた。その横で修也とひろみの両名も社長と共に頭を下げていた。
三人が今いるのは町田市の中央病院である。国際化が進んだ現在では町田市立中央病院というよりは総合メディカルケアセンターとハイカラな名前で呼ぶらしいが、修也たちからすればそんなことはどうでもいいことだった。
修也はフレッドセンの後ろで頭を下げながらここに至るまでの経緯を思い返していた。
警察署から電話を受けた時、修也は自室の書斎安楽椅子に腰を掛けながら市立の図書館から借りた本を読んでいた。
昨日は誘拐事件でバタバタとしていたこともあって、今日は本でも読みながらゆっくりとした一日を過ごそうと考えていた矢先に警察から電話を受けて警察署へと向かっていった。
修也はタクシーを使い警察署へと向かう最中もずっと一人で考えことをしていた。
まさか息子が警察署のある駅の一つ手前の息子にとっても身近な高校の最寄駅で『ゼノン』を使って暴れ回るとは思いもしなかったのだ。
それも相手は『賞金稼ぎ』たちではなくなんの力も持たない一般人、それも顔の見知った同級生であった。
これは敢えて何か別のことで分かりやすく例えるのならば暴力団の組員がなんの力もない一般人を相手に拳銃で脅しを掛けたようなものだったのだ。
面会室の向かい側で青ざめた顔をしていた悠介を怒鳴り付けた後で被害を受けた二人が運ばれていったという病院に向かって走っていった。
それ故に相手の両親も激昂していた。修也とひろみは何度も何度も頭を下げていた。そればかりではない。見舞金の支払いや病院における三ヶ月の治療費や生活費まで支払わされることになった。
例の仕事で大金が手に入ったとはいえ修也にとっては安くない出費である。
更にその上、悠介が使用したパワードスーツの製造元がメトロポリス社の製品だと分かると、社長であるフレッドセンを呼び出そうとしたのだ。
流石にこの処置には修也も困惑して、
「ま、待ってください。社長はこの一件には関係ありません!」
と、必死の弁明を行なった。こんなことに社長であるフレッドセンの手を煩わせたくないという修也なりの配慮だった。
だが、二人は修也の言葉になど聞く耳を持たずに、
「でも、責任者であることには変わらないでしょう!?」
と、二人が激昂しながら怒鳴り付けてきたり
そればかりではなく、二人で威圧感を含めた言い方で脅しを掛けた。
「もし、貴社の社長を呼ばないのならばこのことを刑事裁判にしてもいいんですよ」
刑事裁判を持ち出されてしまえば修也としても弱い。自身の携帯端末を使ってフレッドセンを呼び出すより他になかった。
その一件を聞いたフレッドセンは見捨てることもせずにわざわざ病院にまで駆け付け、二人に謝罪の言葉を掛けたのだった。
必死になって謝るフレッドセンであったが、先述した通り二人はそれでも気が治らないらしい。
どうしたらいいのだろう。頭を下げた修也がどうすればいいのかと模索していた時のことだ。
「当然ながら慰謝料は払っていただけますよね?」
「示談金もです。このことを表沙汰にして民事訴訟でも起こされたら貴社の方も困りますよね」
フレッドセンはこの時、一瞬ではあったものの、金銭を要求する二人の中年女性を睨んでいた。
だが、すぐに神妙な顔を浮かべて申し訳なさそうに両肩を強張らせて頭を下げながら無言で表示されたディスプレイを表示し、自身の口座から相手二人の口座に向けて大量の金を振り込んでいった。
中年女性二人は自身の口座に向かって大量の金が自分たちの口座に振り込まれたのを見て満足そうな顔を浮かべて笑っていた。
「まぁ、これでよしとしましょう。けど、傷付いた紗希の気持ちは一生治らないんですよ」
「うちの愛太郎の傷もですよ。愛太郎は将来有望なバスケットボール部のプレイヤーだっていうのに」
愛太郎の母親とも思われる女性が修也を睨み付けながら言った。
修也は睨み付けられながらもこの場は頭を下げてやり過ごすより他になかった。
それからひとしきり大津夫妻やフレッドセンに罵声を浴びせ終えてから自分たちの子どもが眠っている病室へと戻っていった。
二人の背中が見えなくなってから修也は深々とフレッドセンに頭を下げていった。
しかしフレッドセンは気にする様子を見せなかった。明るい笑みを浮かべながら修也に頭を上げるように命令を出した。
「構いませんよ、大津さん。むしろこれで悠介さんを引き抜けると思えば安いものです」
「えっ、あの、そ、それはどういう意味でしょうか?」
「お喜びください。今日のお昼に『マリア』から私の方に連絡がありましてね。悠介さんを正式な『ゼノン』の装着者にしろと啓示を受けたんですよ」
フレッドセンの顔からは笑みが溢れていた。嬉しくて堪らないと言わんばかりの顔をしていた。
「そ、そうでしたか……」
修也は言葉を濁らせた。ひろみに至っては悲しげな視線を地面の下へと漂わせていた。
「おや、お二方ともあまり楽しい感じではなさそうですね」
フレッドセンは首を捻りながら修也の顔を見つめていた。
「い、いえ、そんなことはありませんよ。それにこればかりは悠介の意思ですので」
「仰る通りです」
フレッドセンはそう言うと、わざわざ修也たちと共に警察署にまで悠介を迎えに行ったのだった。
既に示談の件は伝えられたのか、警察官たちはフレッドセンの姿が見えるのと同時に悠介を牢屋から釈放していた。
金の力でなんとか釈放され申し訳なさそうに両肩をすくめる悠介に向かってフレッドセンは問い掛けた。
「悠介さん、どうでしょう? お父様やお姉様と同じように我が社で働いてみませんか?」
悠介の口から言葉は出なかった。首を動かしもしなかったからフレッドセンとしては判断材料がなかった。
しばらくの間は難しい顔を浮かべていたが、すぐにいつも通りの穏やかな顔を浮かべて言った。
「仕方がありません。いきなり会社で働けと言われても難しいでしょうしね。しばらく必要な日数を与えます。その間にどうするべきかを考えておいてください」
フレッドセンはそう言うと、入り口に向かい警察署の前に停めていたと思われる社長専用のベンツの中に乗り込むと、そのまま警察署を後にした。
「ねぇ、あなた、今日社長にいくらお金を立て替えてもらったの?」
「慰謝料と示談金ってところかな。……うちの会社は日本でも有数の企業だが、それでも決して安い金ではないだろうな」
「もしかしたらこのお金は悠介の身請け金だったりしない?」
「そ、そんなことはないさ」
修也は声を震わせながらひろみの疑問に答えた。
だが、確実にそうだと言い切れないこともまた事実である。もちろんフレッドセンとしても好調な会社に傷を付けられないためにもお金を払ったのだと思われるが、フレッドセンの場合はそれ以上に悠介を雇うために必要な身請け金として払ったのならば辻褄が合うのだ。
修也に借りを作っておけば親である修也も断りにくいであろうし、悠介自身も刑事告訴を免れたということでフレッドセン本人もしくはメトロポリス社に借りを作ることになる。
修也から悠介による傷害事件を聞いた際にフレッドセンは密かに笑っていたに違いなかった。
それだけフレッドセンは悠介に対して期待を寄せていたに違いなかったのだ。
だが、有難いけれども迷惑な話である。
修也は警察署の裏側、青白い街頭の光に照らされた暗い部屋の中で悠介に向かって問い掛けた。
「なぁ、悠介。お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいって、おれは……」
悠介は答えづらそうにしていた。当然だろう。修也もひろみも悠介の口から出る答えを待っていた。
しかし肝心の悠介自身はどう答えていいのか分からなかった。フレッドセンから受けた恩と修也たちの気持ちとの間で板挟みになっていたのである。
強烈な一撃を喰らった愛太郎は自身がトイレの中で悠介に喰らわせた拳の何倍も強力な拳を受けて地面の上へとめり込んでいった。なす術もなくピクピクと微かに手を動かす様はギャグ漫画に登場する敵キャラクターのようだった。
彼氏が倒された様子を見て紗希はその場から逃げ出そうとしたものの、足元を熱線で撃たれ、そのまま地面の上へと倒れ込んでしまった。
悠介は動けずにいる紗希の襟を掴み上げると地面の上に向かって勢いよく叩き付けた。紗希もまたピクピクと両手と両足を動かすだけの存在へと変わり果てた。
同時に周囲の人々から悲鳴が上がった。
その悲鳴を聞いて悠介はようやく冷静さを取り戻し、慌てて辺りを見渡していった。そこには地面の上で倒れたまま動こうとしない愛太郎と紗希の姿が見えた。
恐怖に駆られた悠介は堪らなくなり、パワードスーツを地面の上に投げ捨てて、犬のような嗚咽声を上げていった。
近くに警察署があったことからすぐに警察官たちが現れて混乱状態となっていた悠介を警察署へと運んでいった。
「この度はとんだご迷惑をお掛けしました」
謝罪に訪れたフレッドセンは深々と頭を下げた。
「謝って済む問題ではないんですよ。うちの息子は全治三ヶ月の重傷なんですから」
中年の女性は両眉を顰めながら吐き捨てるように言った。
「うちの娘もです。病院で傷をつける姿をご覧になりますか?酷いものですよ」
もう一人の長い髪をたなびかせた意地の悪い顔を浮かべた中年の婦人はフレッドセンを強く睨み付けていた。
「本当に申し訳ございません。私の監督不届きでした」
フレッドセンはもう一度深々と頭を下げた。その横で修也とひろみの両名も社長と共に頭を下げていた。
三人が今いるのは町田市の中央病院である。国際化が進んだ現在では町田市立中央病院というよりは総合メディカルケアセンターとハイカラな名前で呼ぶらしいが、修也たちからすればそんなことはどうでもいいことだった。
修也はフレッドセンの後ろで頭を下げながらここに至るまでの経緯を思い返していた。
警察署から電話を受けた時、修也は自室の書斎安楽椅子に腰を掛けながら市立の図書館から借りた本を読んでいた。
昨日は誘拐事件でバタバタとしていたこともあって、今日は本でも読みながらゆっくりとした一日を過ごそうと考えていた矢先に警察から電話を受けて警察署へと向かっていった。
修也はタクシーを使い警察署へと向かう最中もずっと一人で考えことをしていた。
まさか息子が警察署のある駅の一つ手前の息子にとっても身近な高校の最寄駅で『ゼノン』を使って暴れ回るとは思いもしなかったのだ。
それも相手は『賞金稼ぎ』たちではなくなんの力も持たない一般人、それも顔の見知った同級生であった。
これは敢えて何か別のことで分かりやすく例えるのならば暴力団の組員がなんの力もない一般人を相手に拳銃で脅しを掛けたようなものだったのだ。
面会室の向かい側で青ざめた顔をしていた悠介を怒鳴り付けた後で被害を受けた二人が運ばれていったという病院に向かって走っていった。
それ故に相手の両親も激昂していた。修也とひろみは何度も何度も頭を下げていた。そればかりではない。見舞金の支払いや病院における三ヶ月の治療費や生活費まで支払わされることになった。
例の仕事で大金が手に入ったとはいえ修也にとっては安くない出費である。
更にその上、悠介が使用したパワードスーツの製造元がメトロポリス社の製品だと分かると、社長であるフレッドセンを呼び出そうとしたのだ。
流石にこの処置には修也も困惑して、
「ま、待ってください。社長はこの一件には関係ありません!」
と、必死の弁明を行なった。こんなことに社長であるフレッドセンの手を煩わせたくないという修也なりの配慮だった。
だが、二人は修也の言葉になど聞く耳を持たずに、
「でも、責任者であることには変わらないでしょう!?」
と、二人が激昂しながら怒鳴り付けてきたり
そればかりではなく、二人で威圧感を含めた言い方で脅しを掛けた。
「もし、貴社の社長を呼ばないのならばこのことを刑事裁判にしてもいいんですよ」
刑事裁判を持ち出されてしまえば修也としても弱い。自身の携帯端末を使ってフレッドセンを呼び出すより他になかった。
その一件を聞いたフレッドセンは見捨てることもせずにわざわざ病院にまで駆け付け、二人に謝罪の言葉を掛けたのだった。
必死になって謝るフレッドセンであったが、先述した通り二人はそれでも気が治らないらしい。
どうしたらいいのだろう。頭を下げた修也がどうすればいいのかと模索していた時のことだ。
「当然ながら慰謝料は払っていただけますよね?」
「示談金もです。このことを表沙汰にして民事訴訟でも起こされたら貴社の方も困りますよね」
フレッドセンはこの時、一瞬ではあったものの、金銭を要求する二人の中年女性を睨んでいた。
だが、すぐに神妙な顔を浮かべて申し訳なさそうに両肩を強張らせて頭を下げながら無言で表示されたディスプレイを表示し、自身の口座から相手二人の口座に向けて大量の金を振り込んでいった。
中年女性二人は自身の口座に向かって大量の金が自分たちの口座に振り込まれたのを見て満足そうな顔を浮かべて笑っていた。
「まぁ、これでよしとしましょう。けど、傷付いた紗希の気持ちは一生治らないんですよ」
「うちの愛太郎の傷もですよ。愛太郎は将来有望なバスケットボール部のプレイヤーだっていうのに」
愛太郎の母親とも思われる女性が修也を睨み付けながら言った。
修也は睨み付けられながらもこの場は頭を下げてやり過ごすより他になかった。
それからひとしきり大津夫妻やフレッドセンに罵声を浴びせ終えてから自分たちの子どもが眠っている病室へと戻っていった。
二人の背中が見えなくなってから修也は深々とフレッドセンに頭を下げていった。
しかしフレッドセンは気にする様子を見せなかった。明るい笑みを浮かべながら修也に頭を上げるように命令を出した。
「構いませんよ、大津さん。むしろこれで悠介さんを引き抜けると思えば安いものです」
「えっ、あの、そ、それはどういう意味でしょうか?」
「お喜びください。今日のお昼に『マリア』から私の方に連絡がありましてね。悠介さんを正式な『ゼノン』の装着者にしろと啓示を受けたんですよ」
フレッドセンの顔からは笑みが溢れていた。嬉しくて堪らないと言わんばかりの顔をしていた。
「そ、そうでしたか……」
修也は言葉を濁らせた。ひろみに至っては悲しげな視線を地面の下へと漂わせていた。
「おや、お二方ともあまり楽しい感じではなさそうですね」
フレッドセンは首を捻りながら修也の顔を見つめていた。
「い、いえ、そんなことはありませんよ。それにこればかりは悠介の意思ですので」
「仰る通りです」
フレッドセンはそう言うと、わざわざ修也たちと共に警察署にまで悠介を迎えに行ったのだった。
既に示談の件は伝えられたのか、警察官たちはフレッドセンの姿が見えるのと同時に悠介を牢屋から釈放していた。
金の力でなんとか釈放され申し訳なさそうに両肩をすくめる悠介に向かってフレッドセンは問い掛けた。
「悠介さん、どうでしょう? お父様やお姉様と同じように我が社で働いてみませんか?」
悠介の口から言葉は出なかった。首を動かしもしなかったからフレッドセンとしては判断材料がなかった。
しばらくの間は難しい顔を浮かべていたが、すぐにいつも通りの穏やかな顔を浮かべて言った。
「仕方がありません。いきなり会社で働けと言われても難しいでしょうしね。しばらく必要な日数を与えます。その間にどうするべきかを考えておいてください」
フレッドセンはそう言うと、入り口に向かい警察署の前に停めていたと思われる社長専用のベンツの中に乗り込むと、そのまま警察署を後にした。
「ねぇ、あなた、今日社長にいくらお金を立て替えてもらったの?」
「慰謝料と示談金ってところかな。……うちの会社は日本でも有数の企業だが、それでも決して安い金ではないだろうな」
「もしかしたらこのお金は悠介の身請け金だったりしない?」
「そ、そんなことはないさ」
修也は声を震わせながらひろみの疑問に答えた。
だが、確実にそうだと言い切れないこともまた事実である。もちろんフレッドセンとしても好調な会社に傷を付けられないためにもお金を払ったのだと思われるが、フレッドセンの場合はそれ以上に悠介を雇うために必要な身請け金として払ったのならば辻褄が合うのだ。
修也に借りを作っておけば親である修也も断りにくいであろうし、悠介自身も刑事告訴を免れたということでフレッドセン本人もしくはメトロポリス社に借りを作ることになる。
修也から悠介による傷害事件を聞いた際にフレッドセンは密かに笑っていたに違いなかった。
それだけフレッドセンは悠介に対して期待を寄せていたに違いなかったのだ。
だが、有難いけれども迷惑な話である。
修也は警察署の裏側、青白い街頭の光に照らされた暗い部屋の中で悠介に向かって問い掛けた。
「なぁ、悠介。お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいって、おれは……」
悠介は答えづらそうにしていた。当然だろう。修也もひろみも悠介の口から出る答えを待っていた。
しかし肝心の悠介自身はどう答えていいのか分からなかった。フレッドセンから受けた恩と修也たちの気持ちとの間で板挟みになっていたのである。
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