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ビッグ・ホース・レーシング編
大いなる大会の開始
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「孝ちゃん! ちゃんと見ているのよ! 」
絵里子は既に息を荒げている弟に注意の言葉を投げかける。
「分かっているよ。姉貴……オレとしてはちゃんとやっているつもりなんだがな……」
孝太郎は誘導に使うための蛍光棒を精一杯振っている素ぶりを見せて、一応はやっているという感じを演出する。
「それなら、いいんだけれど……お願いだから、ちゃんとしてよね。今回の大会には日本だけではなく、イタリアと中国の名だたる選手も参加しているんだからッ!」
「へいへい」
孝太郎はどうして、自分が目の前を埋め尽くすほどの人を巨大なドームの中に誘導しているのかを必死に思い出す。
今日は確か、日本で一年に一度だけ開かれる日本全国競馬大会の初日であったからだ。
日本全国競馬大会とは各地を代表する中央大学の競馬部が集まり、その中での一位を決める大会であり、日本中の熱気がビッグ・トーキョーに一番集まる日だとも言われている(最も、オリンピックの年には日本で二番目にビッグ・トーキョーに熱気が集まる日だと言われるが)
それに加えて、毎年の最下位近畿中央大学の競馬部に何と、臨時で助っ人が現れたのだ。
助っ人の名前はエミリオ・デニーロ。
有名なジョッキーであり、競馬界の貴公子とも名高い婦人受けする甘いマスクを有する男でもあった。
それに加えて、北京からの留学生が1人。
周孟風と呼ばれる中国大陸の天才ジョッキーであった。
彼も美男子と言えば、美男子ではあったが、エミリオのように万人の女性に受け入れられる美貌ではない。
どちらかと言えば、いわゆるゴツい体つきの男を好む女性向けの顔と体格を持った男であった。
「この2人が今回の台風の目になりそうだな……」
孝太郎がそう考えていると、更に人が押し寄せる。
どうやら、考え事をしている余裕はないようだ。
孝太郎は頭を抱えながら、仕事に意識を戻す。
同時刻。ビッグ・トーキョーホテル街。
「まんまとハマってしまったわけなの?」
1人のいかにも気の強そうな女性は視線を中華テーブルの下に向けている、短髪のモデルのような美人に詰問する。
それで足りなかったと見たのだろう。女性は強く机を叩き、
「ねぇ! 聞いているの!?あんたのせいよ! あんたのせいであたし達は終わりになってしまったのよ。まだね、九頭龍東日本支部の金を使って、失敗してしまったのなら、いいわ……だけれど、ボルジアの金を使うなんて……あんたマヌケもいいところよッ!」
気の強そうな女性はもう一度地面を叩く。
微かに詰問していた女性の肩が震え出す。
だが、肩が震えたところで止めるわけにはいかない。
何度も何度も女性は地面に視線を向けている女性に尋問を繰り返す。
謝罪の言葉のみを述べる女性の姿に嫌気が指したのだろう。
気の強そうな女性の右側に座っていた、顔の半分のみに仮面を付けた白髪の男性が気の強そうな女性の肩を持ち、
「まあまあ、ここら辺でいいでしょう?後で良美にはキツいお仕置きを下すと言うことで……」
「ふん、並みのお仕置きじゃあ済まないわよ! 顧客にあなたのお仕置きされる様子を映し出しても、返済には遠く及ばないのよ……それくらい、あんたのミスはデカイの! 」
「まあまあ、ミス……取り返せない失態ではありませんよ。日本全国競馬大会なる大会を我々有利に進めさせればいい話ではないですか?折角、我々からも自慢の兵隊を1人派遣したのですから」
丁度、彼女の正面に座っていた黒人の男の提案により、彼女は何とか良美への詰問を辞めたようだ。
彼女は机の上に置かれていた、キューバ王国製のタバコを手に取り、
「問題はどうやって、近畿中央大学を勝たせるかなのよ……」
「あ、あの……他の選手のバスを襲わせるという手はどうでしょうか!?そうすれば、出場はできないかと……」
「出場はできない?よくもぬけぬけと言えたものね、良美……あいつらならば、小日本の警察に護衛されて、ちゃんと会場に入ったわよ……」
その声は明らかに不快そうなものであり、尚且つ百回殺しても飽き足らないというような憎しみの込もった声であった。
良美は上司の恐ろしさに震えてしまい、足をブルブルと震わせている。
其の貧乏揺すりが女性支部長の怒りという名の炎に油を注いでしまったようだ。
彼女は手元にあった湯呑みを良美に向かって放り投げる。
良美は顔と服にかかった中国茶にまみれながら泣き出す。
「本当に嫌だわ、何でこんな奴をこんなポジションに任命しちゃったのかしら……」
女性支部長は指をパチンと鳴らし、扉の前に立っていた黒ずくめの服と黒色のサングラスを掛けた男にライターの火を点けさせる。
彼女にとって全くもって不快な一日であった。
「損失ですか?」
今は日本の精神病院に入院させられた、かつての一等執事トミー・モルテに代わり就任したエミリオ・デニーロはロンバルディア王国から旅立つ前に確かにジョー・ボルジアに尋ねたのを覚えている。
「その通りだ。愚かにも奴らは我々からの金を勝てもしないレースに注ぎ込みおったのだ。日本円にして、一億の損失を食らってしまっただろう」
ジョー・ボルジアは吸っていた葉巻を力強く握り締め、正面を目を見開きながら見つめていた。
「お言葉ですが、金は?」
「戻らんな、奴らが大穴だと信じ込み、勝てもしないグループに大金を注ぎ込んだのだからな」
エミリオはボルジア家とは現在のところは友好関係にある国際犯罪シンジゲート九頭龍の事を思い浮かべる。
中華系の犯罪組織ではあるが、その手腕はまさに国際的であり、ボスの一龍は有能であれば、人種に関係なく重用する男であり、構成員や幹部クラスの人物に中国人以外が多い事も裏社会ではよく知られている事であった。
(ぼくとしては、九頭龍との対立は避けたい……だが、このレースに敗北さえすれば、公爵閣下は必ずこの怒りを九頭龍に向けるだろう……だとすれば)
エミリオはここでありったけの勇気を振り絞り、口を開く。
そして、自分が大穴のチームに向かい、そのチームを優勝させる事を告げた。
「そうか……頼むぞ」
ボルジアは何の感情も込めずに言う。それから、エミリオに背中を向けて、握り潰した葉巻を地面に捨てて、新たな葉巻を吸い出す。
エミリオはそれから、振り向く事もせずに空港へと向かう。
死地へと向かう兵隊の気分を良く理解した瞬間であった。
「今回のレースは学生の皆さんが、精一杯の力を振り絞り、良い大会を築き上げる事を心から応援しております! それでは、ここで衆議院議員の……」
参議院議員の佐藤瑞季の演説が終了する。
彼女の演説に会場中の人間特に女性陣の拍手が沸き起こる。
彼女は自由三つ葉葵党所属の議員であり、長年の女性の権利主張に加えて、現在は竹部政権の閣僚の1人のセクハラ問題を追及している最中だと言う事もあり、女性陣からの人気は高い。
男性陣からもその古典美術のお手本の彫刻品のように美しい顔と礼儀作法の本に登場する女性のような佇まいが人気を博している。
孝太郎は怒ったら、意外と怖そうだなと考えながら、佐藤議員の警備を担当していた時だ。彼女は演説台の階段から降りるなり、こちらに向かってきて、握手をするための右手を差し出し、
「あなたが中村孝太郎さんですね?フフフ、よく存じておりますわ、あなたが刈谷阿里耶や本多太郎の逮捕に尽力した」
「ええ、そうですよ」
「なら、良かったわ! あなたとお話したくて! 握手してもらえるかしら?」
孝太郎としても断るわけにもいかない。丁寧に自身の右手を差し出す。
絵里子は既に息を荒げている弟に注意の言葉を投げかける。
「分かっているよ。姉貴……オレとしてはちゃんとやっているつもりなんだがな……」
孝太郎は誘導に使うための蛍光棒を精一杯振っている素ぶりを見せて、一応はやっているという感じを演出する。
「それなら、いいんだけれど……お願いだから、ちゃんとしてよね。今回の大会には日本だけではなく、イタリアと中国の名だたる選手も参加しているんだからッ!」
「へいへい」
孝太郎はどうして、自分が目の前を埋め尽くすほどの人を巨大なドームの中に誘導しているのかを必死に思い出す。
今日は確か、日本で一年に一度だけ開かれる日本全国競馬大会の初日であったからだ。
日本全国競馬大会とは各地を代表する中央大学の競馬部が集まり、その中での一位を決める大会であり、日本中の熱気がビッグ・トーキョーに一番集まる日だとも言われている(最も、オリンピックの年には日本で二番目にビッグ・トーキョーに熱気が集まる日だと言われるが)
それに加えて、毎年の最下位近畿中央大学の競馬部に何と、臨時で助っ人が現れたのだ。
助っ人の名前はエミリオ・デニーロ。
有名なジョッキーであり、競馬界の貴公子とも名高い婦人受けする甘いマスクを有する男でもあった。
それに加えて、北京からの留学生が1人。
周孟風と呼ばれる中国大陸の天才ジョッキーであった。
彼も美男子と言えば、美男子ではあったが、エミリオのように万人の女性に受け入れられる美貌ではない。
どちらかと言えば、いわゆるゴツい体つきの男を好む女性向けの顔と体格を持った男であった。
「この2人が今回の台風の目になりそうだな……」
孝太郎がそう考えていると、更に人が押し寄せる。
どうやら、考え事をしている余裕はないようだ。
孝太郎は頭を抱えながら、仕事に意識を戻す。
同時刻。ビッグ・トーキョーホテル街。
「まんまとハマってしまったわけなの?」
1人のいかにも気の強そうな女性は視線を中華テーブルの下に向けている、短髪のモデルのような美人に詰問する。
それで足りなかったと見たのだろう。女性は強く机を叩き、
「ねぇ! 聞いているの!?あんたのせいよ! あんたのせいであたし達は終わりになってしまったのよ。まだね、九頭龍東日本支部の金を使って、失敗してしまったのなら、いいわ……だけれど、ボルジアの金を使うなんて……あんたマヌケもいいところよッ!」
気の強そうな女性はもう一度地面を叩く。
微かに詰問していた女性の肩が震え出す。
だが、肩が震えたところで止めるわけにはいかない。
何度も何度も女性は地面に視線を向けている女性に尋問を繰り返す。
謝罪の言葉のみを述べる女性の姿に嫌気が指したのだろう。
気の強そうな女性の右側に座っていた、顔の半分のみに仮面を付けた白髪の男性が気の強そうな女性の肩を持ち、
「まあまあ、ここら辺でいいでしょう?後で良美にはキツいお仕置きを下すと言うことで……」
「ふん、並みのお仕置きじゃあ済まないわよ! 顧客にあなたのお仕置きされる様子を映し出しても、返済には遠く及ばないのよ……それくらい、あんたのミスはデカイの! 」
「まあまあ、ミス……取り返せない失態ではありませんよ。日本全国競馬大会なる大会を我々有利に進めさせればいい話ではないですか?折角、我々からも自慢の兵隊を1人派遣したのですから」
丁度、彼女の正面に座っていた黒人の男の提案により、彼女は何とか良美への詰問を辞めたようだ。
彼女は机の上に置かれていた、キューバ王国製のタバコを手に取り、
「問題はどうやって、近畿中央大学を勝たせるかなのよ……」
「あ、あの……他の選手のバスを襲わせるという手はどうでしょうか!?そうすれば、出場はできないかと……」
「出場はできない?よくもぬけぬけと言えたものね、良美……あいつらならば、小日本の警察に護衛されて、ちゃんと会場に入ったわよ……」
その声は明らかに不快そうなものであり、尚且つ百回殺しても飽き足らないというような憎しみの込もった声であった。
良美は上司の恐ろしさに震えてしまい、足をブルブルと震わせている。
其の貧乏揺すりが女性支部長の怒りという名の炎に油を注いでしまったようだ。
彼女は手元にあった湯呑みを良美に向かって放り投げる。
良美は顔と服にかかった中国茶にまみれながら泣き出す。
「本当に嫌だわ、何でこんな奴をこんなポジションに任命しちゃったのかしら……」
女性支部長は指をパチンと鳴らし、扉の前に立っていた黒ずくめの服と黒色のサングラスを掛けた男にライターの火を点けさせる。
彼女にとって全くもって不快な一日であった。
「損失ですか?」
今は日本の精神病院に入院させられた、かつての一等執事トミー・モルテに代わり就任したエミリオ・デニーロはロンバルディア王国から旅立つ前に確かにジョー・ボルジアに尋ねたのを覚えている。
「その通りだ。愚かにも奴らは我々からの金を勝てもしないレースに注ぎ込みおったのだ。日本円にして、一億の損失を食らってしまっただろう」
ジョー・ボルジアは吸っていた葉巻を力強く握り締め、正面を目を見開きながら見つめていた。
「お言葉ですが、金は?」
「戻らんな、奴らが大穴だと信じ込み、勝てもしないグループに大金を注ぎ込んだのだからな」
エミリオはボルジア家とは現在のところは友好関係にある国際犯罪シンジゲート九頭龍の事を思い浮かべる。
中華系の犯罪組織ではあるが、その手腕はまさに国際的であり、ボスの一龍は有能であれば、人種に関係なく重用する男であり、構成員や幹部クラスの人物に中国人以外が多い事も裏社会ではよく知られている事であった。
(ぼくとしては、九頭龍との対立は避けたい……だが、このレースに敗北さえすれば、公爵閣下は必ずこの怒りを九頭龍に向けるだろう……だとすれば)
エミリオはここでありったけの勇気を振り絞り、口を開く。
そして、自分が大穴のチームに向かい、そのチームを優勝させる事を告げた。
「そうか……頼むぞ」
ボルジアは何の感情も込めずに言う。それから、エミリオに背中を向けて、握り潰した葉巻を地面に捨てて、新たな葉巻を吸い出す。
エミリオはそれから、振り向く事もせずに空港へと向かう。
死地へと向かう兵隊の気分を良く理解した瞬間であった。
「今回のレースは学生の皆さんが、精一杯の力を振り絞り、良い大会を築き上げる事を心から応援しております! それでは、ここで衆議院議員の……」
参議院議員の佐藤瑞季の演説が終了する。
彼女の演説に会場中の人間特に女性陣の拍手が沸き起こる。
彼女は自由三つ葉葵党所属の議員であり、長年の女性の権利主張に加えて、現在は竹部政権の閣僚の1人のセクハラ問題を追及している最中だと言う事もあり、女性陣からの人気は高い。
男性陣からもその古典美術のお手本の彫刻品のように美しい顔と礼儀作法の本に登場する女性のような佇まいが人気を博している。
孝太郎は怒ったら、意外と怖そうだなと考えながら、佐藤議員の警備を担当していた時だ。彼女は演説台の階段から降りるなり、こちらに向かってきて、握手をするための右手を差し出し、
「あなたが中村孝太郎さんですね?フフフ、よく存じておりますわ、あなたが刈谷阿里耶や本多太郎の逮捕に尽力した」
「ええ、そうですよ」
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