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聖杯争奪戦編
土人形(ゴーレム)ーその②
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孝太郎は井川が何かしようとしている事を察した。
(右腕をおれに向けている。アイツは何かしらの魔法を使うつもりだな、だが、井川がどんな魔法を使うのかは分からない)
孝太郎の推測は当たっていたと言ってもいいだろう。この時点で井川がどんな魔法を使うのかは分からなかったから。
同時に井川も孝太郎が自分に魔法を使おうしている事を察して、土人形を使うタイミングを考える事にした。
(アイツはおれがどんな魔法を使うのかは知らない、だから、使うタイミングにもよるんだな、問題はどこで使うか……)
井川は取り敢えずは右腕を引っ込める。
だが、井川の右腕を引っ込めるという行動は孝太郎にも伝わってしまう。そして、意図を見抜かれてしまった。
(アイツは恐らく、魔法の事をおれに見透かされないようにしているんだな)
孝太郎は一か八か井川に魔法を使わせようと、拳銃の銃口を額に向ける。
(おれは犯人を捕まえる時はちゃんとした法の裁きを受けさせるのが主義だ。ハッキリ言って射殺したり、魔法で殺したりするのは好みではない、だから、これはあくまでも脅しの領域……どこまで通用するかな)
孝太郎はなるべく井川に目を合わせないようにして、銃口を向ける事にした。
井川はそんな孝太郎の思いを知らずに射殺されてしまうという観念に囚われてしまう。
(どうする、あの男はあの刈谷阿里耶と本多太郎を逮捕した男なんだ……いざとなれば、おれを射殺する覚悟だってある筈だ……そうなった場合におれがあの銃弾を避けられる可能性はゼロだ)
井川はポーカーに勝つために幼稚なイカサマを仕掛けるいかさま師のように慌てた。
(土人形を使うタイミングは今、しかないッ!)
井川は右腕を地面に勢いよく叩きつけ、土人形を作り出す。そして、ほぼ同時に孝太郎は銃口を井川の右脚に変えて、発砲する。
だが、銃弾は1936年に公開された映画『ゴーレム』に出てくる土人形のコスプレをし人間のようなものにより阻まれてしまう。
「これが、お前の魔法か?」
「そうとも、ちょいと胡散臭いようだがね……それでも、ちゃんと土から生まれているんだぜ、土で出来ているんだ」
二度も強調するのは土で出来ている事をキチンとこちらに知らしめるためだろう。
孝太郎は解説ありがとよと心の中で感謝をしてやる事にした。
「まぁ、ここらでお前を始末してやるからな、丁寧に説明してやったのは冥土の土産とやらに聞かせてやったに過ぎんからな」
井川は指をパチンと鳴らしてから、土人形を向かわせる。
孝太郎は動いてきた土人形に向かって、破壊の右腕で脇腹を破壊する。
だが、土人形はタダでは転ばない。孝太郎に向かって持っていた土で出来た槍を突こうとしたのだ。
孝太郎は回避し損ね、左腕を傷付けてしまう。
(あの土人形め、土のくせに威力は本当の槍みたいに、鋭いぜ……)
孝太郎は左腕を見ながら、そう考えた。
(問題はあのゴーレムの弱点だな、どんな生き物にしろ、兵器にしろ何か弱点はある筈だからな……でも、やはりおれの魔法で一気に削り取った方が……)
だが、土人形は待ってはくれないようだ。あの鋭い土の槍で孝太郎を刺そうとする。
孝太郎は右方向に転がり、槍を回避するのだが、ゴーレムは諦めないようだ。もう一撃とばかりに孝太郎の心臓に狙いを定めている。
(マズイな、やはり弱点を待ってはいられない、おれの魔法で破壊するしかない)
孝太郎はゴーレムが槍を突き刺そうとしたタイミングで、右腕で槍を破壊し、勢いのままにゴーレム本体を破壊する。
「これで、形勢逆転かな?」
孝太郎は銃口を向けながら言った。
「ふん、オレを甘く見るなよ、おれの魔法がこんなところで終わると思われているとは、心外だな……」
井川は二回三回と同じ地面に右腕を叩きつけている。
(あのゴーレムを今度は三体、いや四体は製造したらしいな……だが、今のオレならばいける筈だぜ)
孝太郎は銃を一旦ズボンの後ろのポケットにしまい、鋼鉄の将軍を使用し、捨て身の攻撃に打って出る。
「無駄な事を……やれッ!」
井川の号令によって、ゴーレム達が一斉に襲い掛かる。
だが、孝太郎は距離を少しも置こうとしない。むしろ、積極的にゴーレムに近づいているようだ。
井川は孝太郎がついに気が触れたのかと考えたのだが、攻撃を止めるわけにもいかずに、ゴレームたちに孝太郎を槍で貫ぬくように命令する。
しかし、どうした事だろう。ゴーレムの槍は孝太郎に刺さらない。
井川は先程、仲間の銃に全く動じない孝太郎の姿を思い返す。
(しまった、アイツには何か攻撃を退ける強力な魔法を持っているんだな……)
井川は歯を食いしばりながら、孝太郎が進んでくるのを確認した。
井川はタダでは済まさんとばかりにAK47を使用し、ゴーレムたちを援護する。
だが、そんな時だ、携帯端末が鳴り響く。電話の主は村西秀夫だった。井川は村西にいまは交戦中だと伝えると、孝太郎に銃口を向けたが、孝太郎は自分との距離を着実に進めていた。
「チクショォォォォ~!!! 」
井川は雄叫びを上げると、更に孝太郎との距離を置く。
土人形も孝太郎の魔法で次々と破壊されていく。
「こうなれば、奥の手だッ!」
井川は自分の魔法の最大の強みであるある陣を敷く事にした。
ゴーレムたちに指示を出すと、ゴーレムたちは一旦孝太郎から離れていく。
そして、井川は次々に新しいゴーレムを生成していく。
「驚いたな、おれを包囲する気なのか?」
孝太郎は周りをゴーレムに取り囲まれている状況で眉ひとつ動かさずに言う。
(強がっていられるのも今のうちさ、大量のゴーレムたちに槍を突き立てられ、お前は串刺しだよ)
井川は腕を組みながら、孝太郎を見つめていた。
そんな勝利の確信を得る井川と同様に孝太郎も勝者の笑みを浮かべていた。
これくらいで、自分を殺す気なのだろうか。この程度のもので自分が死ぬとでも思っているのだろうか。孝太郎の心にはそんな思いで満ち溢れていた。
不敵な笑いを浮かべていると、ゴーレムの一体が孝太郎の頭上から、槍を突き刺そうとする。
孝太郎は横に転げて、難を逃れる(囲まれていると言っても、転がれるくらいのスペースはあるのだ)
だが、それを皮切りに次々にゴーレムは襲ってくる。
孝太郎はその一つ一つを右腕で、破壊していき、あっという間にゴーレムを片付けてしまう。
「ゴーレムはもうおしまいかい?」
その言葉に井川は本気で焦ってしまう。このままでは捕まってしまうのではないだろうか。いや、この調子では確実に捕まってしまう。目の前の刑事にはそれくらいの力があるのだ。
かつて、刈谷阿里耶を護送する時に見た映像ではそこまで強そうな男には見えずに、こんな奴が白籠市を牛耳っていた大物ヤクザを捕まえたのかと拍子抜けしたのだが、後に本多太郎逮捕のニュースを聞き、彼は凄まじく強い警官なのだと改め直した。
そして、今はそれを確信せずにはいられない。
「もう、終わりだな……」
奥の手を破られては、もう井川に対抗手段は残っていない。ハァと溜息だけを吐いてから、両腕を突き出し、逮捕してくれというポーズを見せる。
「潔いな」
「あとは昌原会長が何とかしてくれるさ、あの人はおれを救ってくれた人だからな……」
井川は遠い日の記憶を思い返す。井川は元はお寺の子供で、実家はそれなりに裕福であったが、彼の生活は裕福とは言い難いものだった。父親は鬼のような人物で、高校二年生の時に学校を辞めさせられ、例え風邪を引いても、毎日ランニングさせた後に8時間も勉強されられ、食事で粗相をすれば、屋根裏部屋に放り込まれた。
そんな生活が嫌になり、井川は家を飛び出し、三年の放浪の後に昌原に拾われたのだった。
以来、井川は昌原に忠誠を誓ったのだった。
そんな遠い日々を思い返していると、井川は自分の両腕に手錠をかけられたのを確認した。
(右腕をおれに向けている。アイツは何かしらの魔法を使うつもりだな、だが、井川がどんな魔法を使うのかは分からない)
孝太郎の推測は当たっていたと言ってもいいだろう。この時点で井川がどんな魔法を使うのかは分からなかったから。
同時に井川も孝太郎が自分に魔法を使おうしている事を察して、土人形を使うタイミングを考える事にした。
(アイツはおれがどんな魔法を使うのかは知らない、だから、使うタイミングにもよるんだな、問題はどこで使うか……)
井川は取り敢えずは右腕を引っ込める。
だが、井川の右腕を引っ込めるという行動は孝太郎にも伝わってしまう。そして、意図を見抜かれてしまった。
(アイツは恐らく、魔法の事をおれに見透かされないようにしているんだな)
孝太郎は一か八か井川に魔法を使わせようと、拳銃の銃口を額に向ける。
(おれは犯人を捕まえる時はちゃんとした法の裁きを受けさせるのが主義だ。ハッキリ言って射殺したり、魔法で殺したりするのは好みではない、だから、これはあくまでも脅しの領域……どこまで通用するかな)
孝太郎はなるべく井川に目を合わせないようにして、銃口を向ける事にした。
井川はそんな孝太郎の思いを知らずに射殺されてしまうという観念に囚われてしまう。
(どうする、あの男はあの刈谷阿里耶と本多太郎を逮捕した男なんだ……いざとなれば、おれを射殺する覚悟だってある筈だ……そうなった場合におれがあの銃弾を避けられる可能性はゼロだ)
井川はポーカーに勝つために幼稚なイカサマを仕掛けるいかさま師のように慌てた。
(土人形を使うタイミングは今、しかないッ!)
井川は右腕を地面に勢いよく叩きつけ、土人形を作り出す。そして、ほぼ同時に孝太郎は銃口を井川の右脚に変えて、発砲する。
だが、銃弾は1936年に公開された映画『ゴーレム』に出てくる土人形のコスプレをし人間のようなものにより阻まれてしまう。
「これが、お前の魔法か?」
「そうとも、ちょいと胡散臭いようだがね……それでも、ちゃんと土から生まれているんだぜ、土で出来ているんだ」
二度も強調するのは土で出来ている事をキチンとこちらに知らしめるためだろう。
孝太郎は解説ありがとよと心の中で感謝をしてやる事にした。
「まぁ、ここらでお前を始末してやるからな、丁寧に説明してやったのは冥土の土産とやらに聞かせてやったに過ぎんからな」
井川は指をパチンと鳴らしてから、土人形を向かわせる。
孝太郎は動いてきた土人形に向かって、破壊の右腕で脇腹を破壊する。
だが、土人形はタダでは転ばない。孝太郎に向かって持っていた土で出来た槍を突こうとしたのだ。
孝太郎は回避し損ね、左腕を傷付けてしまう。
(あの土人形め、土のくせに威力は本当の槍みたいに、鋭いぜ……)
孝太郎は左腕を見ながら、そう考えた。
(問題はあのゴーレムの弱点だな、どんな生き物にしろ、兵器にしろ何か弱点はある筈だからな……でも、やはりおれの魔法で一気に削り取った方が……)
だが、土人形は待ってはくれないようだ。あの鋭い土の槍で孝太郎を刺そうとする。
孝太郎は右方向に転がり、槍を回避するのだが、ゴーレムは諦めないようだ。もう一撃とばかりに孝太郎の心臓に狙いを定めている。
(マズイな、やはり弱点を待ってはいられない、おれの魔法で破壊するしかない)
孝太郎はゴーレムが槍を突き刺そうとしたタイミングで、右腕で槍を破壊し、勢いのままにゴーレム本体を破壊する。
「これで、形勢逆転かな?」
孝太郎は銃口を向けながら言った。
「ふん、オレを甘く見るなよ、おれの魔法がこんなところで終わると思われているとは、心外だな……」
井川は二回三回と同じ地面に右腕を叩きつけている。
(あのゴーレムを今度は三体、いや四体は製造したらしいな……だが、今のオレならばいける筈だぜ)
孝太郎は銃を一旦ズボンの後ろのポケットにしまい、鋼鉄の将軍を使用し、捨て身の攻撃に打って出る。
「無駄な事を……やれッ!」
井川の号令によって、ゴーレム達が一斉に襲い掛かる。
だが、孝太郎は距離を少しも置こうとしない。むしろ、積極的にゴーレムに近づいているようだ。
井川は孝太郎がついに気が触れたのかと考えたのだが、攻撃を止めるわけにもいかずに、ゴレームたちに孝太郎を槍で貫ぬくように命令する。
しかし、どうした事だろう。ゴーレムの槍は孝太郎に刺さらない。
井川は先程、仲間の銃に全く動じない孝太郎の姿を思い返す。
(しまった、アイツには何か攻撃を退ける強力な魔法を持っているんだな……)
井川は歯を食いしばりながら、孝太郎が進んでくるのを確認した。
井川はタダでは済まさんとばかりにAK47を使用し、ゴーレムたちを援護する。
だが、そんな時だ、携帯端末が鳴り響く。電話の主は村西秀夫だった。井川は村西にいまは交戦中だと伝えると、孝太郎に銃口を向けたが、孝太郎は自分との距離を着実に進めていた。
「チクショォォォォ~!!! 」
井川は雄叫びを上げると、更に孝太郎との距離を置く。
土人形も孝太郎の魔法で次々と破壊されていく。
「こうなれば、奥の手だッ!」
井川は自分の魔法の最大の強みであるある陣を敷く事にした。
ゴーレムたちに指示を出すと、ゴーレムたちは一旦孝太郎から離れていく。
そして、井川は次々に新しいゴーレムを生成していく。
「驚いたな、おれを包囲する気なのか?」
孝太郎は周りをゴーレムに取り囲まれている状況で眉ひとつ動かさずに言う。
(強がっていられるのも今のうちさ、大量のゴーレムたちに槍を突き立てられ、お前は串刺しだよ)
井川は腕を組みながら、孝太郎を見つめていた。
そんな勝利の確信を得る井川と同様に孝太郎も勝者の笑みを浮かべていた。
これくらいで、自分を殺す気なのだろうか。この程度のもので自分が死ぬとでも思っているのだろうか。孝太郎の心にはそんな思いで満ち溢れていた。
不敵な笑いを浮かべていると、ゴーレムの一体が孝太郎の頭上から、槍を突き刺そうとする。
孝太郎は横に転げて、難を逃れる(囲まれていると言っても、転がれるくらいのスペースはあるのだ)
だが、それを皮切りに次々にゴーレムは襲ってくる。
孝太郎はその一つ一つを右腕で、破壊していき、あっという間にゴーレムを片付けてしまう。
「ゴーレムはもうおしまいかい?」
その言葉に井川は本気で焦ってしまう。このままでは捕まってしまうのではないだろうか。いや、この調子では確実に捕まってしまう。目の前の刑事にはそれくらいの力があるのだ。
かつて、刈谷阿里耶を護送する時に見た映像ではそこまで強そうな男には見えずに、こんな奴が白籠市を牛耳っていた大物ヤクザを捕まえたのかと拍子抜けしたのだが、後に本多太郎逮捕のニュースを聞き、彼は凄まじく強い警官なのだと改め直した。
そして、今はそれを確信せずにはいられない。
「もう、終わりだな……」
奥の手を破られては、もう井川に対抗手段は残っていない。ハァと溜息だけを吐いてから、両腕を突き出し、逮捕してくれというポーズを見せる。
「潔いな」
「あとは昌原会長が何とかしてくれるさ、あの人はおれを救ってくれた人だからな……」
井川は遠い日の記憶を思い返す。井川は元はお寺の子供で、実家はそれなりに裕福であったが、彼の生活は裕福とは言い難いものだった。父親は鬼のような人物で、高校二年生の時に学校を辞めさせられ、例え風邪を引いても、毎日ランニングさせた後に8時間も勉強されられ、食事で粗相をすれば、屋根裏部屋に放り込まれた。
そんな生活が嫌になり、井川は家を飛び出し、三年の放浪の後に昌原に拾われたのだった。
以来、井川は昌原に忠誠を誓ったのだった。
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