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バイカー抗争編
激突! ジャック・レッドニオとアース・モンタナ
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孝太郎は三人と別れてから、作戦を自分の暗い部屋でおさらいする。
二人の計画はこうだった。まず、ジャック・レッドニオの総長たる片桐健人とアース・モンタナの総長たる淀川健一は白籠市の外れにある桂馬川(この川は21世紀の終盤あたりに、魔法師により作られた人口の川である)に各々の構成員を引き連れ、向かった所を絵里子率いる白籠市のアンタッチャブルが検挙するという作戦だ。
「計画に無理はない……問題は二人の総長の能力がどれ程のものかだ……」
孝太郎は刈谷阿里耶と同様の能力ならば、あまり大したことはないだろうと予測する。
(正直言って奴の糸の能力はしょぼかった……アレでよく組長になれたなと思うくらいだったが……)
そう、考えた孝太郎の脳裏には一瞬黒幕がいるだろうと考えたが、一瞬でその考えを忘却の彼方へと追いやる。
(幾ら何でも、考え過ぎだな、何でもかんでも陰謀のせいにされたら、どれだけ市長が黒幕として便利過ぎるぜ)
孝太郎は自分の馬鹿げた考えに笑い、次に当日の様子という本来の問題へと立ち返る。
「二人の能力の他は問題や聡子の能力に任せれば、良いだろう……オレとしては二人の総長を捕縛するだけだッ!」
孝太郎は自分の拳をギュッと握り締める。不思議と迷いはなかった。
当日の朝。桂馬川にはジャック・レッドニオ。アース・モンタナ。総勢1100名の人間が川を挟んで睨み合う。
ジャック・レッドニオの勢力は650名。アース・モンタナの勢力は450名。アース・モンタナの方がやや劣勢であったが、彼らには絶望の顔色が浮かんでいる姿は見られない。
少し上の丘から、双眼鏡を片手に抗争が始まるのを確認している孝太郎はその、アース・モンタナの構成員が異常な軍団のように映る。
「一体どういう事だ?勢力差は200名……普通なら、絶望に酔いしれていても、おかしくは無いはずだ……だが、奴らはどこか落ち着いていやがる。どうなっているんだ?」
孝太郎の独り言が聞こえたのか、絵里子が口を挟む。
「恐らく、アース・モンタナには何か秘策があるのよ、彼らにしか分からない……」
絵里子がそう呟いた時だ。ジャック・レッドニオが陣取る川の右側から、大声が聞こえる。声の主は恐らくジャック・レッドニオの総長片桐健人。
「おい、お前らァ! 弱小のアース・モンタナのクズどもに告ぐッ!おれ達にサッサと降伏しろッ!おれ達の勢力差は200名だッ!副総長の緩和路線で調子に乗らせちまったのは、こっちの落ち度だがよぉ~オレが刑務所に行っている間に、色々なところに進出するのはお門違いだと思うぜェ~! 」
と、ここで健人が拡声器を下す。次に、アース・モンタナが陣取る左の方から、これまた拡声器を使ったような大声が聞こえる。
「いいや、貴様らだけでこの街のガソリンを陣取るなんてずる過ぎるぜッ!オレらにはお前に宣言するッ!お前らこそ、ガソリンを独り占めするクズどもだとなッ!」
その言葉に怒りの表情を見せたのは、片桐健人。
「いいだろう、貴様らにオレらの恐ろしさをたんまりと教えてやるよッ!」
健人の言葉に革ジャンとジーンズとブーツという形の構成員たちが鉄パイプやら、ナイフやらを取り出す。
「面白ェ~! お前らも出しやがれッ!」
健一の言葉にアース・モンタナの構成員たちも武器を取り出す。
「「よし、突撃だァ~! 」」
健人と健一の言葉に、二つの暴走族の構成員たちが川を渡り、戦国時代の足軽や武士のように雄叫びを上げ、お互いを叩き合おうとしている。
「よし、今だッ!」
孝太郎の指示に、白籠市のアンタッチャブルたちが抗争に介入する。
孝太郎は拳銃と自分が警察官であることを証明する警察手帳(これは20世紀から変わらない警察の伝統芸である)を見せながら、川の方へと向かう。
これには、二人の総長も驚愕の表情を見せる。
「一体どういう事だ!?どうして、オレらの戦争にお巡りが介入するんだッ!」
と、健一は言ったが、それに応対できる部下は一人もいない。
「おい、どうなっていやがるッ!」
健人も驚きの声を上げたが、健一と対照的になっている点は真由美というこの事態を告げる人物がいるという事だろう。
真由美は健人の頭に銃口を突きつけながら、言った。
「あんたは罠に嵌められたのは、この抗争を終結に向かわせるためには、警察の力が必要だった」
真由美の言葉に、健人は動じることもなく平静な調子で言った。
「ふっ、オレを警察に売ったんだな?オレの強さを舐めていたらしいなッ!」
健人は右腕から金色のオーラを放つ。そして、腕を振り回すと……。
「一体どういう事!?あっ、あたしが拘束されているなんて……」
「オレの魔法は緑を自由自在に操れる緑の絶対支配者! お前を拘束するなんて事は朝飯前なのさッ!なんせ、この川の岸辺は緑でできているからな……アース・モンタナの連中がやって来たら、これを披露しようかと思っていたんだが……ちょうどいい、お前を見せしめに殺し、アース・モンタナの奴らにオレに逆らう事がどんなに無意味かという事を教えてやるよッ」
健人は真由美の拘束を強くする。
「あっ、アァァァァァァァァァァァ~! 」
真由美は思わず悲鳴を上げてしまう。
「くっくっ、オレを裏切った罪は重いぜ、ジャック・レッドニオ一の魔法師と言われるお前もこの拘束じゃあ、魔法を使えんだろ?」
その余裕ぶっこいた面を必ずぶっ飛ばしてやろうと真由美は強く縛られながらも、必死に考えた。
だが、近くに銃弾が飛び交い、健人はその銃弾に驚き、思わず意識を真由美から、銃が発砲されたと思われる方角へと向ける。
「ふふ、お前なのか?オレを逮捕しよというマヌケは?」
「そうよ、彼女を放しなさい……」
銃を発砲したのは、絵里子だった。真由美の悲鳴を聞くに耐えられずに駆けつけてきたのだ。
「オレを捕らえた気でいるらしいな?お前にもお仕置きは相応しいらしいな、なぁ~に、オレはいい子にしていれば、女には紳士的な人間なんでね、お前にも悪いようには、させねぇよ」
「いいえ、あなたはここであたしに捕らえられるのよ」
その、絵里子の言葉に健人は顔の色一つ変えずに、「やってみろ」と一言だけ呟く。
二人の計画はこうだった。まず、ジャック・レッドニオの総長たる片桐健人とアース・モンタナの総長たる淀川健一は白籠市の外れにある桂馬川(この川は21世紀の終盤あたりに、魔法師により作られた人口の川である)に各々の構成員を引き連れ、向かった所を絵里子率いる白籠市のアンタッチャブルが検挙するという作戦だ。
「計画に無理はない……問題は二人の総長の能力がどれ程のものかだ……」
孝太郎は刈谷阿里耶と同様の能力ならば、あまり大したことはないだろうと予測する。
(正直言って奴の糸の能力はしょぼかった……アレでよく組長になれたなと思うくらいだったが……)
そう、考えた孝太郎の脳裏には一瞬黒幕がいるだろうと考えたが、一瞬でその考えを忘却の彼方へと追いやる。
(幾ら何でも、考え過ぎだな、何でもかんでも陰謀のせいにされたら、どれだけ市長が黒幕として便利過ぎるぜ)
孝太郎は自分の馬鹿げた考えに笑い、次に当日の様子という本来の問題へと立ち返る。
「二人の能力の他は問題や聡子の能力に任せれば、良いだろう……オレとしては二人の総長を捕縛するだけだッ!」
孝太郎は自分の拳をギュッと握り締める。不思議と迷いはなかった。
当日の朝。桂馬川にはジャック・レッドニオ。アース・モンタナ。総勢1100名の人間が川を挟んで睨み合う。
ジャック・レッドニオの勢力は650名。アース・モンタナの勢力は450名。アース・モンタナの方がやや劣勢であったが、彼らには絶望の顔色が浮かんでいる姿は見られない。
少し上の丘から、双眼鏡を片手に抗争が始まるのを確認している孝太郎はその、アース・モンタナの構成員が異常な軍団のように映る。
「一体どういう事だ?勢力差は200名……普通なら、絶望に酔いしれていても、おかしくは無いはずだ……だが、奴らはどこか落ち着いていやがる。どうなっているんだ?」
孝太郎の独り言が聞こえたのか、絵里子が口を挟む。
「恐らく、アース・モンタナには何か秘策があるのよ、彼らにしか分からない……」
絵里子がそう呟いた時だ。ジャック・レッドニオが陣取る川の右側から、大声が聞こえる。声の主は恐らくジャック・レッドニオの総長片桐健人。
「おい、お前らァ! 弱小のアース・モンタナのクズどもに告ぐッ!おれ達にサッサと降伏しろッ!おれ達の勢力差は200名だッ!副総長の緩和路線で調子に乗らせちまったのは、こっちの落ち度だがよぉ~オレが刑務所に行っている間に、色々なところに進出するのはお門違いだと思うぜェ~! 」
と、ここで健人が拡声器を下す。次に、アース・モンタナが陣取る左の方から、これまた拡声器を使ったような大声が聞こえる。
「いいや、貴様らだけでこの街のガソリンを陣取るなんてずる過ぎるぜッ!オレらにはお前に宣言するッ!お前らこそ、ガソリンを独り占めするクズどもだとなッ!」
その言葉に怒りの表情を見せたのは、片桐健人。
「いいだろう、貴様らにオレらの恐ろしさをたんまりと教えてやるよッ!」
健人の言葉に革ジャンとジーンズとブーツという形の構成員たちが鉄パイプやら、ナイフやらを取り出す。
「面白ェ~! お前らも出しやがれッ!」
健一の言葉にアース・モンタナの構成員たちも武器を取り出す。
「「よし、突撃だァ~! 」」
健人と健一の言葉に、二つの暴走族の構成員たちが川を渡り、戦国時代の足軽や武士のように雄叫びを上げ、お互いを叩き合おうとしている。
「よし、今だッ!」
孝太郎の指示に、白籠市のアンタッチャブルたちが抗争に介入する。
孝太郎は拳銃と自分が警察官であることを証明する警察手帳(これは20世紀から変わらない警察の伝統芸である)を見せながら、川の方へと向かう。
これには、二人の総長も驚愕の表情を見せる。
「一体どういう事だ!?どうして、オレらの戦争にお巡りが介入するんだッ!」
と、健一は言ったが、それに応対できる部下は一人もいない。
「おい、どうなっていやがるッ!」
健人も驚きの声を上げたが、健一と対照的になっている点は真由美というこの事態を告げる人物がいるという事だろう。
真由美は健人の頭に銃口を突きつけながら、言った。
「あんたは罠に嵌められたのは、この抗争を終結に向かわせるためには、警察の力が必要だった」
真由美の言葉に、健人は動じることもなく平静な調子で言った。
「ふっ、オレを警察に売ったんだな?オレの強さを舐めていたらしいなッ!」
健人は右腕から金色のオーラを放つ。そして、腕を振り回すと……。
「一体どういう事!?あっ、あたしが拘束されているなんて……」
「オレの魔法は緑を自由自在に操れる緑の絶対支配者! お前を拘束するなんて事は朝飯前なのさッ!なんせ、この川の岸辺は緑でできているからな……アース・モンタナの連中がやって来たら、これを披露しようかと思っていたんだが……ちょうどいい、お前を見せしめに殺し、アース・モンタナの奴らにオレに逆らう事がどんなに無意味かという事を教えてやるよッ」
健人は真由美の拘束を強くする。
「あっ、アァァァァァァァァァァァ~! 」
真由美は思わず悲鳴を上げてしまう。
「くっくっ、オレを裏切った罪は重いぜ、ジャック・レッドニオ一の魔法師と言われるお前もこの拘束じゃあ、魔法を使えんだろ?」
その余裕ぶっこいた面を必ずぶっ飛ばしてやろうと真由美は強く縛られながらも、必死に考えた。
だが、近くに銃弾が飛び交い、健人はその銃弾に驚き、思わず意識を真由美から、銃が発砲されたと思われる方角へと向ける。
「ふふ、お前なのか?オレを逮捕しよというマヌケは?」
「そうよ、彼女を放しなさい……」
銃を発砲したのは、絵里子だった。真由美の悲鳴を聞くに耐えられずに駆けつけてきたのだ。
「オレを捕らえた気でいるらしいな?お前にもお仕置きは相応しいらしいな、なぁ~に、オレはいい子にしていれば、女には紳士的な人間なんでね、お前にも悪いようには、させねぇよ」
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