87 / 90
木田菜穂子の秘策!これが最後の筈だッ!
しおりを挟む
ギリギリまで踏ん張って、ギリギリまで頑張って、ピンチのピンチの連続……。その次に来る歌詞がなんだったのかは思い出せない。
だが、菜穂子が幼い頃に好きだった巨大ヒーローのもの主題歌であったので、菜穂子の頭の中で焼き付いて離れなかったのだろう。
だが、なぜだろう。先程まで頭の中に浮かんでいた歌詞を思いっきり歌いたくなった。
「ピンチのピンチの連続……あぁ、もう!ここから先が思い出せない!ここから先はあたしが思い付いたものでいくぜ!爆裂魔法が欲しいッ!」
「いやぁ『爆裂魔法』以外の箇所は合ってるけどなッ!お前の行動は完全に版権的にアウ……いや、この場合は最後の最後で歌詞を変えたから、ギリギリセーフなのか!?」
当然、幼い頃に妹の付き添いでその番組を観ていた義喜もその曲を知っていた。
だから、堪らなくなり、突っ込みを入れてしまったのだろう。
そんないつもの調子に向かって微笑むと、菜穂子は剣を構えて、爆裂魔法を詠唱していく。
「天に召します我らが神々よ……天におわします偉大なる天の神よ……どうか、我々に爆裂の力をお与えください……エクスプロージョン・フラッシュッ!」
菜穂子が剣先を向けるのと同時に、凄まじいまでの爆発が発生し、爆発の衝撃と爆風とで高岩一家を城の外へと弾き出していく。
魔王の謁見の間にあったガラクタや瓦礫と共に城の外へと落ちていく高岩一家。
菜穂子はドヤ顔を決めていたものの、地面へと勢いよくぶつかっていく。
一家三人がぶつかったためか、魔王城の付近には人型の穴が開いていた。
断腸の思いで、よじ登った義喜は同じく地面の下から這い上がった菜穂子に向かって激しい突っ込みを入れていく。
「……お前の秘策って、爆発魔法かよ……」
「やっぱり、こういう時に使ってこその爆裂魔法だろうなぁ」
惚れ惚れとした調子で言う妹に義喜は口を尖らせて突っ込みを入れる。
「バカかッ!貴様はッ!何が爆裂魔法だぁぁぁぁぁぁ~!!!あれ、使うなって言ったよなぁぁぁぁ~!!!」
「だって、使わなかったら死んでたじゃろ?」
「使っても死ぬわッ!」
真横から地面から這い上がった高岩が叫ぶ。
人型の地面から飛び上がった高岩の頭は完全に黒焦げのアフロヘアーとなっていた。
「ったく、一話前に張り付いていたシリアスな空気はなんだったんだよ」
義喜の言葉はもっともである。何より、一番気まずいのは菜穂子だろう。
照れ臭そうに頭のを後ろをかいているではないか。
だが、三人が再会を喜び合う中で、不愉快だったのは魔王である。
彼もなんとか一命を取り留めたものの、羽織っていたマントには傷が付き、全身のあちこちに痛みを負っているのだ。
これまでに負けた事のない不敗の魔王が手傷を負わされた。しかも、見た目弱そうな性悪王女に。
彼にとっては計り知れない屈辱であったに違いない。
「おのれ、よくも余に手傷を負わせたな……許さん、許さんぞッ!」
魔王は杖を宙へと掲げると、突如、魔王の上空に暗雲が立ち込めていく。
同時に、雷が魔王へと直撃する。
だが、菜穂子が幼い頃に好きだった巨大ヒーローのもの主題歌であったので、菜穂子の頭の中で焼き付いて離れなかったのだろう。
だが、なぜだろう。先程まで頭の中に浮かんでいた歌詞を思いっきり歌いたくなった。
「ピンチのピンチの連続……あぁ、もう!ここから先が思い出せない!ここから先はあたしが思い付いたものでいくぜ!爆裂魔法が欲しいッ!」
「いやぁ『爆裂魔法』以外の箇所は合ってるけどなッ!お前の行動は完全に版権的にアウ……いや、この場合は最後の最後で歌詞を変えたから、ギリギリセーフなのか!?」
当然、幼い頃に妹の付き添いでその番組を観ていた義喜もその曲を知っていた。
だから、堪らなくなり、突っ込みを入れてしまったのだろう。
そんないつもの調子に向かって微笑むと、菜穂子は剣を構えて、爆裂魔法を詠唱していく。
「天に召します我らが神々よ……天におわします偉大なる天の神よ……どうか、我々に爆裂の力をお与えください……エクスプロージョン・フラッシュッ!」
菜穂子が剣先を向けるのと同時に、凄まじいまでの爆発が発生し、爆発の衝撃と爆風とで高岩一家を城の外へと弾き出していく。
魔王の謁見の間にあったガラクタや瓦礫と共に城の外へと落ちていく高岩一家。
菜穂子はドヤ顔を決めていたものの、地面へと勢いよくぶつかっていく。
一家三人がぶつかったためか、魔王城の付近には人型の穴が開いていた。
断腸の思いで、よじ登った義喜は同じく地面の下から這い上がった菜穂子に向かって激しい突っ込みを入れていく。
「……お前の秘策って、爆発魔法かよ……」
「やっぱり、こういう時に使ってこその爆裂魔法だろうなぁ」
惚れ惚れとした調子で言う妹に義喜は口を尖らせて突っ込みを入れる。
「バカかッ!貴様はッ!何が爆裂魔法だぁぁぁぁぁぁ~!!!あれ、使うなって言ったよなぁぁぁぁ~!!!」
「だって、使わなかったら死んでたじゃろ?」
「使っても死ぬわッ!」
真横から地面から這い上がった高岩が叫ぶ。
人型の地面から飛び上がった高岩の頭は完全に黒焦げのアフロヘアーとなっていた。
「ったく、一話前に張り付いていたシリアスな空気はなんだったんだよ」
義喜の言葉はもっともである。何より、一番気まずいのは菜穂子だろう。
照れ臭そうに頭のを後ろをかいているではないか。
だが、三人が再会を喜び合う中で、不愉快だったのは魔王である。
彼もなんとか一命を取り留めたものの、羽織っていたマントには傷が付き、全身のあちこちに痛みを負っているのだ。
これまでに負けた事のない不敗の魔王が手傷を負わされた。しかも、見た目弱そうな性悪王女に。
彼にとっては計り知れない屈辱であったに違いない。
「おのれ、よくも余に手傷を負わせたな……許さん、許さんぞッ!」
魔王は杖を宙へと掲げると、突如、魔王の上空に暗雲が立ち込めていく。
同時に、雷が魔王へと直撃する。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる