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卵を狙う強力詐欺怪人出現!
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「義喜!菜穂子!こっちに来てみろ!卵だぞ!巨大な卵だッ!」
高岩は自身の体よりも大きな白色の卵を指差しながら興奮気味に叫ぶ。
「本当だ。こりゃあ、大きいな」
「本当、これだけで何個くらい卵焼きを作れるんだろ」
規格外の大きさに戸惑う二人を他所に、高岩は満面の笑みを浮かべながら、彼ら二人に手を伸ばす。
「何をしているんだ。早くこっちに来なさい」
「…‥そ、そうだな。菜穂子、行こうぜ」
「う、うん」
戸惑う菜穂子を他所に高岩が卵へと向かおうとした時だ。
不意に卵の表面が剥がれ始め、高岩は凄まじい衝撃と共に弾き飛ばされてしまう。
飛ばされて顎を打つ高岩とは対照的に、卵の殻を割って、この世に現れた雛は元気な声を上げて鳴いていた。
当然、高岩からすれば、自分を弾き飛ばすなどという行動は自分に対する宣戦布告に他ならない。
自衛隊で殺しの訓練を受けたと自称する彼はナイフハンドからナイフを取り出し、孵化したばかりの雛へと襲い掛かっていく。
勿論、ここの雛は産まれたばかりである。当然、ろくな抵抗などできるわけがない。
哀れ、人間の心を持たない詐欺師のために無惨な死体へと変貌するかと思われた直前に転機は訪れた。
高岩の体が縄に縛られてしまったのだ。縄で縛られた事により、遠心力を失った高岩は地面の引力に引き付けられ、地面の上を転がっていく。
慌てた二人の子供が背後を振り向くと、そこには鋭い瞳を浮かべる亜人の少女の他に高岩がセザルドとトライバーもろとも倒そうとした勇者たちの一行。
そればかりではない。菜穂子からすれば、公爵令嬢時代の因縁の相手が槍を構えているではないか。
菜穂子は人差し指と声の両方を震わせながら槍の王子に向かって尋ねる。
「ま、まさか、あなた……モース様?」
「名前を呼ぶな。赤豚。お前に名前を呼ばれるだけで虫唾が走る」
彼は槍を構えながら海底の底の海水よりも冷ややかな声で言った。
義喜は前の街のあった王国とそこの王子の名前を思い出す。
記憶を取り戻す前の菜穂子は公爵令嬢であり、彼と婚約者であった筈。
菜穂子の言うモースは王子であるのと同時に、槍を扱う勇者でもあった。
巷では『槍の王子』と呼ばれるのはこのためだと思われる。
義喜の中の朧げな記憶を繋げたものであるのと、情報源が巷の噂であるため、彼は未だに確信を持てずにいた。
義喜がボンヤリとしていると、その槍の王子が無言で妹に向かって槍を突き刺そうとしているではないか。
義喜は慌てて背中に背負っていたバイオリンを取り出し、彼の元へと音符爆弾をぶつけていく。
それは彼の足元で小さな爆発を起こし、結果として彼を転倒させる事に成功させる。
「菜穂子ッ!逃げるんだッ!」
兄の言葉に従って逃亡する菜穂子の元へと襲い掛かるのは彼の槍の穂先。
あわや、貫かれるかと思われたその瞬間、真横からナイフが飛び、彼はそれを弾き飛ばすために菜穂子から穂先を避けねばならなかった。
彼が慌てて、真横を振り向くと、そこには必死の顔を浮かべた高岩の姿。
モースはこの時に察した。彼が縄で縛られた際にその手からナイフを離していなかった事を。
「……娘になんて事を……許せんッ!貴様の死で償ってもらおうか!」
「あぁ、誰かと思えば、赤豚の寄生先のジジイか……なにが娘だ。気色悪い」
「言葉に気を付けてもらいたいッ!」
高岩は辺りの空気が振動せんばかりの勢いで叫ぶ。
どうやら、この時の彼の表情には真に鬼気迫っていたらしく、勇者の仲間のうちの何人かがたじろいでいた。
高岩は自身の体よりも大きな白色の卵を指差しながら興奮気味に叫ぶ。
「本当だ。こりゃあ、大きいな」
「本当、これだけで何個くらい卵焼きを作れるんだろ」
規格外の大きさに戸惑う二人を他所に、高岩は満面の笑みを浮かべながら、彼ら二人に手を伸ばす。
「何をしているんだ。早くこっちに来なさい」
「…‥そ、そうだな。菜穂子、行こうぜ」
「う、うん」
戸惑う菜穂子を他所に高岩が卵へと向かおうとした時だ。
不意に卵の表面が剥がれ始め、高岩は凄まじい衝撃と共に弾き飛ばされてしまう。
飛ばされて顎を打つ高岩とは対照的に、卵の殻を割って、この世に現れた雛は元気な声を上げて鳴いていた。
当然、高岩からすれば、自分を弾き飛ばすなどという行動は自分に対する宣戦布告に他ならない。
自衛隊で殺しの訓練を受けたと自称する彼はナイフハンドからナイフを取り出し、孵化したばかりの雛へと襲い掛かっていく。
勿論、ここの雛は産まれたばかりである。当然、ろくな抵抗などできるわけがない。
哀れ、人間の心を持たない詐欺師のために無惨な死体へと変貌するかと思われた直前に転機は訪れた。
高岩の体が縄に縛られてしまったのだ。縄で縛られた事により、遠心力を失った高岩は地面の引力に引き付けられ、地面の上を転がっていく。
慌てた二人の子供が背後を振り向くと、そこには鋭い瞳を浮かべる亜人の少女の他に高岩がセザルドとトライバーもろとも倒そうとした勇者たちの一行。
そればかりではない。菜穂子からすれば、公爵令嬢時代の因縁の相手が槍を構えているではないか。
菜穂子は人差し指と声の両方を震わせながら槍の王子に向かって尋ねる。
「ま、まさか、あなた……モース様?」
「名前を呼ぶな。赤豚。お前に名前を呼ばれるだけで虫唾が走る」
彼は槍を構えながら海底の底の海水よりも冷ややかな声で言った。
義喜は前の街のあった王国とそこの王子の名前を思い出す。
記憶を取り戻す前の菜穂子は公爵令嬢であり、彼と婚約者であった筈。
菜穂子の言うモースは王子であるのと同時に、槍を扱う勇者でもあった。
巷では『槍の王子』と呼ばれるのはこのためだと思われる。
義喜の中の朧げな記憶を繋げたものであるのと、情報源が巷の噂であるため、彼は未だに確信を持てずにいた。
義喜がボンヤリとしていると、その槍の王子が無言で妹に向かって槍を突き刺そうとしているではないか。
義喜は慌てて背中に背負っていたバイオリンを取り出し、彼の元へと音符爆弾をぶつけていく。
それは彼の足元で小さな爆発を起こし、結果として彼を転倒させる事に成功させる。
「菜穂子ッ!逃げるんだッ!」
兄の言葉に従って逃亡する菜穂子の元へと襲い掛かるのは彼の槍の穂先。
あわや、貫かれるかと思われたその瞬間、真横からナイフが飛び、彼はそれを弾き飛ばすために菜穂子から穂先を避けねばならなかった。
彼が慌てて、真横を振り向くと、そこには必死の顔を浮かべた高岩の姿。
モースはこの時に察した。彼が縄で縛られた際にその手からナイフを離していなかった事を。
「……娘になんて事を……許せんッ!貴様の死で償ってもらおうか!」
「あぁ、誰かと思えば、赤豚の寄生先のジジイか……なにが娘だ。気色悪い」
「言葉に気を付けてもらいたいッ!」
高岩は辺りの空気が振動せんばかりの勢いで叫ぶ。
どうやら、この時の彼の表情には真に鬼気迫っていたらしく、勇者の仲間のうちの何人かがたじろいでいた。
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