クズ家族、異世界に転移、転生する〜代わりに、借金五千万円返済できなかったら、地獄行きとかマジですか！？〜

巨人の財宝を奪え！強力土下座怪人出現！

高岩はカネの心を持つ汚い大人である。そんな大人が目の前に広がる黄金を見ればどんな反応をするのだろうか。
当然、飛び付くに決まっている。高岩は迷う事なく黄金の中へとダイブした。

「す、すごい！見ろ！義喜！菜穂子！これでオレたちは永遠の金持ちだッ！」

高岩は目の前に広がる財宝をおもちゃにしながら満面の笑みを浮かべて告げた。

「や、やった！あたし新しい雑誌が欲しかったのよ！もう最高！」

「やったッ！これで新しい服を買えるぞ！もう着てない服があるから、それを処分して、新しいのを買ってやるぞ！」

義喜も躊躇う事なく、黄金の山の中へと飛び込む。
その姿は盗みを終えた後に藤○へと飛び付くルパ○三世のようである。
暫く、三人は財宝の中で戯れていたのだが、その時に彼は知らなかった。財宝の裏にある小窓から覗いている黄色の光の事を。

高岩一家は黄金のおもちゃで気を良くしていたのだが、やがて、隣の岩壁が急に大きな音を立てて開き、そこから巨大な緑色の巨人が現れたではないか。
巨人は高岩を掴むと、厳かな声で告げた。

「お前たち、誰の許しを得て、ここに入ってきた」

自分たちを見下ろす巨大な緑色の城に対し、暫くの間は言葉を失う高岩一家であったが、ようやく高岩が自我を取り戻し、巨人に向かって土下座しながら言った。

「こ、これは失礼しました！まさか、これがあなた様のお宝だとは知りもせずに……私がなんとか償いますので、どうか、義喜と菜穂子の二人は許していただけないでしょうか？」

「ほぅ、お前のその言葉から察するに、その土下座は家族を守るためだと告げるのだな？」

高岩は頬から噴き出す汗が垂れて、地面の上に落ちるのを耳に挟んだ。
同時に自身の胸がドクドクと打つのを確認した。
だが、そこは言っておかねばならない。
高岩は顔を上げ、巨人を睨もうとしたが、巨人の瞳が鋭く自分を刺すのを確認すると、何も言えずに再び額を地面の上に戻していく。

「お願いです！見逃してください！助けてください！」

涙ながらに土下座する高岩を見て、義喜はあぁと嘆き、菜穂子に至っては憎悪を隠しきれない目で巨人を睨んでいた。
すると、巨人は自分に反抗的な態度を取る菜穂子が気に入ったのか、彼女をその大きな腕で掴み上げ、舌舐めずりをしていく。

「ほぅ、お前、オレに反抗的な態度を取るのか、面白いな」

「当たり前でしょ！よくも、お父さんにあんな事をッ！」

「なら、お前が代わりになってくれるのか？」

「はっ、親の罪は子供には無関係なんだが、子供にまで罪を着せるとはあんた、終わってんな」

「さっきと言ってる事が変わってないか？」

緑色の巨人は菜穂子のあまりの態度の変わりっぷりに思わず呆れたような溜息を吐く。

「わかったんなら、離せよ！親の罪は子供には受け継がれーー」

「お前、共犯だろ？何を偉そうに言ってやがる」

巨人の正論に菜穂子は何も言い返せなくなってしまう。
彼女は気まずくなったのか、慌てて大きな巨人の瞳から自身の視線を逸らす。