クズ家族、異世界に転移、転生する〜代わりに、借金五千万円返済できなかったら、地獄行きとかマジですか！？〜

勇者一行、尚弥の元へと追い付いていく！逃げるなよ！高岩！

「まさか、ウツボーンが敗れるとはね‥‥それだけじゃあないわ。あの後に強力な部下を向かわせたのに、全部、高岩に破れてるじゃあない」

「だが、案ずるな。我が姪よ」

四天王の紅一点はそれを聞いて慌てて振り向く。そこには財宝の山の上に座る緑色の巨人の姿。

「お、大叔父様！」

どうやら、緑色の巨人は彼女の叔父であるらしい。
そんな叔父の言葉により、彼女はすっかりと安堵の表情を浮かべている。

「この財宝を見ろ、我が姪よ。誰もが我が洞窟に来れば、我が財宝に目を奪われるであろう。そこに夢中になった賊どもを我が拳で潰してやろう」

緑色の巨人は大きな拳を彼女に見せつける。
高岩が金に目がない男という事も知らせているため、彼にはこの計画が絶対に成功するという自信があったのだ。
叔父が口元の端を吊り上げるのと同時に彼女も口元を三日月の型に歪めてみせる。
この時の二人には絶対に成功するという確信があったのだ。


















「地獄で待ってるぜ、マフタリア」

魔王軍の四天王の一人である青色のサイクロプスはキザな台詞を浮かべるのと同時に大きな爆発音を上げて倒れていく。

「ハァハァ、魔王軍の刺客は彼で最後でしょうか？彼は司令官を名乗っていましたし」

「あぁ、確か魔王軍の四天王は紅一点の女の他は全部、オレたちの手で倒してしまった筈だ」

伝説の勇者、剣は途中で自分たちの元へと合流した亜人の少女に向かって告げる。

「だが、魔王の城はまだまだ遠い。それだけに奴らはもっと本気を出し、更に強力な刺客を我々に向かわせるだろう。恐らく、次に来るとするのならば、親衛隊というところかな？」

「そ、そんな、あの変なサイクロプス以上の敵が攻めてくるっていうの！？」

そう叫ぶのは天使のようなという形容詞の似合う白いワンピースを着た美少女、デーロである。
そんなデーロの両腕を握り、彼女の意志を伝えていく。
デーロも口元を一文字に結びながら、彼女の意志を受け継いでいく。

彼女から手を離し、剣を握る彼女の心中は憎悪の炎で燃え上がっていた。

「……尚弥様をあんな風にしたあの男を私は絶対に許さない。そして、尚弥様の人生を壊したあの女も……」

亜人の少女は歯の背後を噛み締めていく。

「尚弥って奴の末路はオレも聞いたよ。気の毒に……」

「尚弥は卑劣な手を使われて、敗れ去ってしまったんだろ？安心しろ、デーロ、マフテリア。オレがあいつを抹殺してやるよ」

槍の王子は二人に向かって激励するかのように言った。
だが、二人はそれを無視して、剣の元へと向かっていく。
背後を向けたのは一時は彼も尚弥を軽蔑していたからだろう。

身から出た鯖とはいえ辛い。槍の王子は密かに涙を流しながら思った。