クズ家族、異世界に転移、転生する〜代わりに、借金五千万円返済できなかったら、地獄行きとかマジですか！？〜

やむを得ずに任務を与えたものの、やっぱり、険悪じゃね？

四天王の他の三人たちには高岩の後を追う勇者一行を始末する目的を与えられたが、それでも四天王の残りの三人は不服そうである。

「ちくしょう！あいつ……あの女ばっかり！陛下はオレらを冷遇しておられるのか！？」

「高貴な生まれのお方がそんな口汚い台詞を吐くもんじゃあないぜ。それにな、今の陛下はあの女により判断を鈍らされているだけなんだ。温かい目で見守ってやろうや」

「ヘッヘッ、そういう事ッ！なにせ、陛下はオレやこいつを取り上げてくれた方だからな！今は少しばかり目を曇らされているだけなんだ！」

魔王四天王の中で最も誇りの高い男は考え込んでいるらしい。
そして、次第に口元を三日月の型へと歪めて笑う。

「その通りだ。我々には今、現在新たなる使命が魔王陛下より申し付けられておるな。その事を忘れてはならん」

「アイアイサー」

青い鎧に全身を包んだサイクロプスと思われる風貌の男が勢いよく同意の言葉を述べる。

「ヘッヘッ、オレに任せておきな。オレの軍団ならば、あんなガキどもなんぞ、一捻りよ」

「頼んだぞ、何より、ここら辺で我々が手柄を立てねば、いよいよもって、陛下が次の魔王にあの女を推薦しかねん」

顔を合わせれば喧嘩してばかりの険悪な四天王であるのだが、彼らはある状況に限り一致団結する時がある。
それは、古くはストロ○ガーに登場するデル○ー軍団。少し前の作品で例えれば、ジェッ○マンに登場する次元戦団バイ○ムのように手柄を立てようとする他の幹部の足を引っ張る時である。
だが、そんな四天王であるのだが、今回ばかりはその対立がプラスの方向へと向きそうである。と、いうのも、彼らは今回、対抗して別の手柄を上げようとしているからだ。

果たして、高岩を追う勇者たちにどのような受難が襲い掛かってくるのだろうか。
それはわからない。だが、彼らならば四天王の攻撃などものともせずに向かってくるであろう。そう、彼らはヒーローであり、勇者なのだから。














「偵察によれば、高岩一家はこのルートを船で通るはず。だから、ここに待ち伏せさせておいたわ。追うのをやめさせてね……」

魔王軍四天王の紅一点は偵察から戻ってきた自身の部下に向かって再確認を行う。
彼女の部下である白い仮面を被ったタイツ姿の男は独特の電子音を鳴らしながら首を縦に動かす。

「あんたの情報提供には感謝するわ。お陰で作戦を練り直す事ができたんですもの。フフフ。それから、あんたも頼むわよ。必ず、高岩を殺しなさい」

彼女は自身の背後の湾岸の中で妖艶な笑みを浮かべる緑色の肌をした人魚たちに向かって微笑む。
ウツボーンの特性としては人間の女性よりも大きく上の外見をしている事や下半身が魚の尾となっている事などが挙げられるが、人魚族と大きく異なる特性はその肌にあるだろう。
彼女らの肌は薬で染まったかのように全身を緑色で覆われていたのである。

そんな彼女たちの特性としては海の上で自在に嵐を起こす事、そしてその嵐を利用して船へと近寄り、乗組員を海の底へと沈める事にある。