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決戦!高岩!セザルドを打倒せよ!
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「あんな奴にセザルドが倒せるものか」
勇者は高岩にやられた傷が疼く中、面会に訪れた仲間の一人に向かって言った。
「セザルドは恐ろしい拳法の使い手だぞ……あんな心の底が泥水のように腐り切った男が勝てるわけがない」
そう言い切った後に勇者はひどく咳き込む。尋常ではないような咳が続く中、仲間たちは窓の外を見遣った。
窓の外に広がるのは穏やかな午後の光景。
なんの変哲もない光景である。だが、そこに見えないところでは勇者の言う腐り切った男が魔王軍の幹部を相手に戦っているのである。
誰だって不安くらいは覚えるだろう。
事実、勇者たちの不安は的中したらしい。
現在のところ、高岩は女好きの魔王軍の幹部を相手に苦戦を強いられていたのである。
セザルドは普段はお女好きのちゃらけた三枚目である。だが、いざとなれば、切れる二枚目となり、自身の敵に対して容赦のない攻撃を振るう。
高岩はそんな切れた二枚目となったセザルドを前に大苦戦していたのである。
ナイフハンドも借り物ハンドも通じない。かろうじて通じるのはメールハンドのみ。
だが、産卵期の鮭のように勢いよく流れ込んでくる無心メールにも彼は動じる様子を見せようとはしない。
なんともないと言わんばかりの表情を浮かべて、自身の元へと向かって来るではないか。
父親の危機に慌てたのは子供たち。
「く、クソ、このままじゃあ、親父がッ!」
「あたしに任せて、こうなれば、マグマよりも熱い爆裂魔法をーー」
「それだけはやめろッ!だが、このまま何もしなければ親父が殺されちまうのは確かだしな……」
義喜は顎の下に人差し指と親指を当てながら、うーんと唸り声を上げていく。
「そうだッ!あいつは女好きだったなッ!菜穂子、耳貸せ」
義喜は自分が思い付いた言葉を彼女の耳元で囁いていく。
「えっ!?冗談でしょ!?」
「冗談じゃあない!本気だッ!菜穂子、お前、盾の人や騎士のイケメン王子を誘惑したみたいにあいつも誘惑してみろッ!」
「いや、無理だって!」
「いけるって!前世のデブメガネのお前よりも今のお前の方がずっと可愛いからッ!」
「デブメガネで悪かったなッ!妖怪モアイッ!」
菜穂子は義喜の頬を思いっきり殴り飛ばしたものの、父親は救う手段はそれにしかないと判断し、意を決して、色仕掛けを行う。
甘え、媚びた態度で上目遣いで相手を見つめ、さりげなく舌足らずの言葉で喋り掛ける。
セザルドは当初こそ、高岩の娘という事で青白い光を両目の瞳から発していたのだが、やがて、菜穂子の態度を見て、命乞いをしているのだと判断したに違いない。
鼻の下を伸ばしながら、菜穂子を手招きする。敵討の感情よりも、すけべ心の方に彼の中の天秤が落ちたに違いない。
「いいぞ、来い。オレの元でお酌をしろ」
「はぁ~い」
菜穂子は『お酌』という言葉で、かつて、盾の人を騙した時の事を思い出す。
これを逆手に取れば、いけるかもしれない。
勇者は高岩にやられた傷が疼く中、面会に訪れた仲間の一人に向かって言った。
「セザルドは恐ろしい拳法の使い手だぞ……あんな心の底が泥水のように腐り切った男が勝てるわけがない」
そう言い切った後に勇者はひどく咳き込む。尋常ではないような咳が続く中、仲間たちは窓の外を見遣った。
窓の外に広がるのは穏やかな午後の光景。
なんの変哲もない光景である。だが、そこに見えないところでは勇者の言う腐り切った男が魔王軍の幹部を相手に戦っているのである。
誰だって不安くらいは覚えるだろう。
事実、勇者たちの不安は的中したらしい。
現在のところ、高岩は女好きの魔王軍の幹部を相手に苦戦を強いられていたのである。
セザルドは普段はお女好きのちゃらけた三枚目である。だが、いざとなれば、切れる二枚目となり、自身の敵に対して容赦のない攻撃を振るう。
高岩はそんな切れた二枚目となったセザルドを前に大苦戦していたのである。
ナイフハンドも借り物ハンドも通じない。かろうじて通じるのはメールハンドのみ。
だが、産卵期の鮭のように勢いよく流れ込んでくる無心メールにも彼は動じる様子を見せようとはしない。
なんともないと言わんばかりの表情を浮かべて、自身の元へと向かって来るではないか。
父親の危機に慌てたのは子供たち。
「く、クソ、このままじゃあ、親父がッ!」
「あたしに任せて、こうなれば、マグマよりも熱い爆裂魔法をーー」
「それだけはやめろッ!だが、このまま何もしなければ親父が殺されちまうのは確かだしな……」
義喜は顎の下に人差し指と親指を当てながら、うーんと唸り声を上げていく。
「そうだッ!あいつは女好きだったなッ!菜穂子、耳貸せ」
義喜は自分が思い付いた言葉を彼女の耳元で囁いていく。
「えっ!?冗談でしょ!?」
「冗談じゃあない!本気だッ!菜穂子、お前、盾の人や騎士のイケメン王子を誘惑したみたいにあいつも誘惑してみろッ!」
「いや、無理だって!」
「いけるって!前世のデブメガネのお前よりも今のお前の方がずっと可愛いからッ!」
「デブメガネで悪かったなッ!妖怪モアイッ!」
菜穂子は義喜の頬を思いっきり殴り飛ばしたものの、父親は救う手段はそれにしかないと判断し、意を決して、色仕掛けを行う。
甘え、媚びた態度で上目遣いで相手を見つめ、さりげなく舌足らずの言葉で喋り掛ける。
セザルドは当初こそ、高岩の娘という事で青白い光を両目の瞳から発していたのだが、やがて、菜穂子の態度を見て、命乞いをしているのだと判断したに違いない。
鼻の下を伸ばしながら、菜穂子を手招きする。敵討の感情よりも、すけべ心の方に彼の中の天秤が落ちたに違いない。
「いいぞ、来い。オレの元でお酌をしろ」
「はぁ~い」
菜穂子は『お酌』という言葉で、かつて、盾の人を騙した時の事を思い出す。
これを逆手に取れば、いけるかもしれない。
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