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高岩と悪の幹部の力比べ対決
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「き、きたぞ!せ、先生方!出番ですぞ!」
亮一はどこぞの悪代官のような台詞を吐きながら、自身が金で雇った冒険者たちを計七名の魔王軍幹部の元へと差し向けていく。
彼らが立ち向かうのを見送ると、亮一は更に背後に控えさせていた私兵たちに向かってがなり立てていく。
「お、お前たち、何をしておる!かかれ!かからなかッ!」
亮一の言葉を聞いた兵士たちは槍やら剣やらを構えて、魔王軍へと切り掛かっていく。
大勢の冒険者や兵士たちが亮一に追い立てられていく中、高岩はその様子を静観していた。
気になって声を掛けたのは息子の義喜。
「親父、一緒になって行かなくていいのか?」
すると、高岩は余裕を含んだ笑みを見せながら言った。
「いいか、義喜……父さんはな、コース料理でいうところのメインディッシュなんだ。彼らはオードブルやスープ、サラダなんだよ。そればかりじゃあないぞ、こうして、父さんはあの化け物どもの体力が減るのを待っているんだ」
「そんなもんなのかな?」
義喜が首を傾げるのと、世界的に有名な戦闘員の悲鳴と類似したものが聞こえるのは殆ど同時である。
冒険者や兵士たちはちぎっては投げられ、ちぎっては投げられとされ、殆どが地面の上に転がされているではないか。
おまけに投げられる前に大抵の人たちが顔を殴打されているので、ますますあの骨の戦闘員を思い起こさせてしまう。
或いは時代劇で主役に斬られていく弱い侍か何かだろうか。
ガンダ○シリーズでいうところのザ○のパイロットと例えてもいいかもしれない。
とにかく、彼らは弱かった。涙目になり、助けを求める手を伸ばしながら向かっていた一人が言った。
「お、オレたちじゃあ、無理があった……助けてくれぇ~」
「じゃあ、金を貸せ」
高岩がそう言ったのと彼の頭に義喜の拳がよぎるのは殆ど同時であった。
「だから、これ以上、金を借りたら、オレたち地獄に落ちるんだよ!!」
「すまん、そうだった」
高岩は頭の後ろをさすりながら恥ずかしそうに言った。
「やいッ!お前たち!ここから先は拳法の使い手である岸友也が相手をするッ!いくぞッ!」
高岩は意気込むのと同時に両手にナイフハンドとミサイルハンドを装着していく。
『拳法の使い手』などと呼称しておきながら、結局は飛び道具に頼るところがこの男の情けなさを表しているだろう。
だが、この男にはそんなプライドなどない。
彼は容赦なく、その両手からナイフとミサイルを発射していく。
続々と放たれるミサイルとナイフを相手に顔を顰める二人の幹部。
だ暫くの間はひたすらに攻撃を防いでいた二人であったが、やがて、トライバーの堪忍袋の尾が切れたのか、彼は空中から巨大な剣を召喚して、自分たちを襲うミサイルを破壊し、ついでナイフを地面の上へと弾きと落としていく。
自分の放った武器が全て落とされるか、もしくは弾かれてしまい言葉を失い、すっかりと顔を青くさせる高岩に向かって剣先を突き付ける。
「正々堂々と勝負しろ」
この言葉を聞いた高岩はすっかりと顔を赤くさせてしまっていた。いや、既にその顔色は赤を通り越し、緋色へと変わっているではないか。
高岩が怒鳴るのも無理はない。これはかつて、前世で因縁の俳優から投げ掛けれた言葉と全く同じ言葉であったのだから。
亮一はどこぞの悪代官のような台詞を吐きながら、自身が金で雇った冒険者たちを計七名の魔王軍幹部の元へと差し向けていく。
彼らが立ち向かうのを見送ると、亮一は更に背後に控えさせていた私兵たちに向かってがなり立てていく。
「お、お前たち、何をしておる!かかれ!かからなかッ!」
亮一の言葉を聞いた兵士たちは槍やら剣やらを構えて、魔王軍へと切り掛かっていく。
大勢の冒険者や兵士たちが亮一に追い立てられていく中、高岩はその様子を静観していた。
気になって声を掛けたのは息子の義喜。
「親父、一緒になって行かなくていいのか?」
すると、高岩は余裕を含んだ笑みを見せながら言った。
「いいか、義喜……父さんはな、コース料理でいうところのメインディッシュなんだ。彼らはオードブルやスープ、サラダなんだよ。そればかりじゃあないぞ、こうして、父さんはあの化け物どもの体力が減るのを待っているんだ」
「そんなもんなのかな?」
義喜が首を傾げるのと、世界的に有名な戦闘員の悲鳴と類似したものが聞こえるのは殆ど同時である。
冒険者や兵士たちはちぎっては投げられ、ちぎっては投げられとされ、殆どが地面の上に転がされているではないか。
おまけに投げられる前に大抵の人たちが顔を殴打されているので、ますますあの骨の戦闘員を思い起こさせてしまう。
或いは時代劇で主役に斬られていく弱い侍か何かだろうか。
ガンダ○シリーズでいうところのザ○のパイロットと例えてもいいかもしれない。
とにかく、彼らは弱かった。涙目になり、助けを求める手を伸ばしながら向かっていた一人が言った。
「お、オレたちじゃあ、無理があった……助けてくれぇ~」
「じゃあ、金を貸せ」
高岩がそう言ったのと彼の頭に義喜の拳がよぎるのは殆ど同時であった。
「だから、これ以上、金を借りたら、オレたち地獄に落ちるんだよ!!」
「すまん、そうだった」
高岩は頭の後ろをさすりながら恥ずかしそうに言った。
「やいッ!お前たち!ここから先は拳法の使い手である岸友也が相手をするッ!いくぞッ!」
高岩は意気込むのと同時に両手にナイフハンドとミサイルハンドを装着していく。
『拳法の使い手』などと呼称しておきながら、結局は飛び道具に頼るところがこの男の情けなさを表しているだろう。
だが、この男にはそんなプライドなどない。
彼は容赦なく、その両手からナイフとミサイルを発射していく。
続々と放たれるミサイルとナイフを相手に顔を顰める二人の幹部。
だ暫くの間はひたすらに攻撃を防いでいた二人であったが、やがて、トライバーの堪忍袋の尾が切れたのか、彼は空中から巨大な剣を召喚して、自分たちを襲うミサイルを破壊し、ついでナイフを地面の上へと弾きと落としていく。
自分の放った武器が全て落とされるか、もしくは弾かれてしまい言葉を失い、すっかりと顔を青くさせる高岩に向かって剣先を突き付ける。
「正々堂々と勝負しろ」
この言葉を聞いた高岩はすっかりと顔を赤くさせてしまっていた。いや、既にその顔色は赤を通り越し、緋色へと変わっているではないか。
高岩が怒鳴るのも無理はない。これはかつて、前世で因縁の俳優から投げ掛けれた言葉と全く同じ言葉であったのだから。
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