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勇者をも脅す!?強力、恐喝怪人出現
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「そうか、勇者どもがここへやって来たというのか……」
高岩は食卓の席の上で腕を組みながら、息子の義喜から聞いた情報を聞き、心中、密かにその勇者たちへの憎悪の念を燃やしていたのである。
「でも、勝てるの?お兄ちゃんを追放したこの世界の最強の勇者パーティでしょ?」
「安心しろ、菜穂子……勇者だろうが、魔王だろうが、私には五つの色の手袋と車が付いているし、そんな奴らなど恐るるに足りんさ」
高岩は自信満々に言ってのけた。だが、眩い黄金の様な光を放つ父親とは異なり、浮かない顔をする義喜。
彼はいつもヘラヘラとした笑顔を浮かべているのだが、今日ばかりはそんな表情を浮かべてもいられないらしい。
すっかりと落ち込んだ様子の彼は鉛の様な重いため息を吐き、かつて自身が所属していた勇者パーティの事を思い返す。
リーダーの勇者は女神から与えられたという伝説の魔剣を持っているし、サブリーダーも同じ様な武器を持っているらしい。
自分を除く女性パーティのメンバーもそれ相応の実力者揃い。
普段は勇者を讃えているのだが、勇者が危機となれば、その実力を遺憾なく発揮し、敵を薙ぎ倒す。
そんなパーティの恐ろしさを垣間見たためか、義喜は父が自慢げに語る姿も何処となく不安に映ってしまう。
思い浮かぶのは恐ろしい魔物を間剣を用いて瞬時に葬り去る勇者の姿。
おまけに、彼は厳格な性格であり、曲がった事などが嫌いなタイプなのだ。
恐らく、父や妹を見れば、烈火の如く怒り狂うに違いない。
先程の事を思い返してもそうだ。彼は昼間から酒場で酒を煽っている自分に向かって正面から説教をかまし、義喜は大きく肩を落とす事になってしまっていた。
一応、魔王軍の幹部二人がこれまでに倒された幹部の敵討ちを含んだ総攻撃を仕掛けてくるという情報を仕入れる事ができたので、それだけは感謝するべきだろうか。
義喜は手袋を持って、余裕のある笑みを浮かべる父と妹にその事を話すと、二人は深刻な顔を浮かべ、そのまま義喜の肩に手を置く。
「なんて事だッ!奴らに魔王軍の幹部を倒させるわけにはいかんぞ」
「そうだよ!あいつらに魔王軍の幹部を倒されたら、借金を返せないじゃん」
菜穂子があからさまな怒りを含んだ口調で言った。
「それにな。義喜……オレはお前をボロ雑巾のように使い捨てたその勇者パーティとやらが許せないんだ。確かに、お前はモアイみたいな顔をしていてて、変な音楽を歌うけど、かけがえのない息子には変わらないんだ」
高岩は義喜を引き寄せると、彼を強く抱き寄せた。
「……親父ッ!」
義喜の顔色が明るくなっていく。
「安心しろ、お前を捨てた勇者パーティも魔王軍の幹部二人もオレが遠慮なく仕留めてやる。今世では領主をやってる亮一おじさんだって付いてるんだ。何も怖がる事はないさ」
「そうだね、亮一おじさんもいるんだ。そして……流石は親父だよ!伊達に殺人訓練を受けていた事はあるよ」
「そうだよッ!お兄ちゃん!」
菜穂子は胸を張りながら言った。あまりにも堂々とその大きな胸を振ったために、それが揺れた事に高岩は気付いたが、敢えて黙っておく。
だが、菜穂子は公爵令嬢時代に媚を売る時に使っていた人懐っこい可愛らしい笑みを浮かべながら、父の自慢を始めていく。
「お父さんはヒーローで国を守るカッコいい人なんだから、あんな奴らの首元にナイフを突き刺すなんて一瞬だよッ!」
高岩は両頬をピンク色に染めながら、その聖子ちゃんカットの頭をかいていく。
やはり、娘に褒められて嬉しいのだろう。
デレデレとだらしなく笑っている。
高岩は食卓の席の上で腕を組みながら、息子の義喜から聞いた情報を聞き、心中、密かにその勇者たちへの憎悪の念を燃やしていたのである。
「でも、勝てるの?お兄ちゃんを追放したこの世界の最強の勇者パーティでしょ?」
「安心しろ、菜穂子……勇者だろうが、魔王だろうが、私には五つの色の手袋と車が付いているし、そんな奴らなど恐るるに足りんさ」
高岩は自信満々に言ってのけた。だが、眩い黄金の様な光を放つ父親とは異なり、浮かない顔をする義喜。
彼はいつもヘラヘラとした笑顔を浮かべているのだが、今日ばかりはそんな表情を浮かべてもいられないらしい。
すっかりと落ち込んだ様子の彼は鉛の様な重いため息を吐き、かつて自身が所属していた勇者パーティの事を思い返す。
リーダーの勇者は女神から与えられたという伝説の魔剣を持っているし、サブリーダーも同じ様な武器を持っているらしい。
自分を除く女性パーティのメンバーもそれ相応の実力者揃い。
普段は勇者を讃えているのだが、勇者が危機となれば、その実力を遺憾なく発揮し、敵を薙ぎ倒す。
そんなパーティの恐ろしさを垣間見たためか、義喜は父が自慢げに語る姿も何処となく不安に映ってしまう。
思い浮かぶのは恐ろしい魔物を間剣を用いて瞬時に葬り去る勇者の姿。
おまけに、彼は厳格な性格であり、曲がった事などが嫌いなタイプなのだ。
恐らく、父や妹を見れば、烈火の如く怒り狂うに違いない。
先程の事を思い返してもそうだ。彼は昼間から酒場で酒を煽っている自分に向かって正面から説教をかまし、義喜は大きく肩を落とす事になってしまっていた。
一応、魔王軍の幹部二人がこれまでに倒された幹部の敵討ちを含んだ総攻撃を仕掛けてくるという情報を仕入れる事ができたので、それだけは感謝するべきだろうか。
義喜は手袋を持って、余裕のある笑みを浮かべる父と妹にその事を話すと、二人は深刻な顔を浮かべ、そのまま義喜の肩に手を置く。
「なんて事だッ!奴らに魔王軍の幹部を倒させるわけにはいかんぞ」
「そうだよ!あいつらに魔王軍の幹部を倒されたら、借金を返せないじゃん」
菜穂子があからさまな怒りを含んだ口調で言った。
「それにな。義喜……オレはお前をボロ雑巾のように使い捨てたその勇者パーティとやらが許せないんだ。確かに、お前はモアイみたいな顔をしていてて、変な音楽を歌うけど、かけがえのない息子には変わらないんだ」
高岩は義喜を引き寄せると、彼を強く抱き寄せた。
「……親父ッ!」
義喜の顔色が明るくなっていく。
「安心しろ、お前を捨てた勇者パーティも魔王軍の幹部二人もオレが遠慮なく仕留めてやる。今世では領主をやってる亮一おじさんだって付いてるんだ。何も怖がる事はないさ」
「そうだね、亮一おじさんもいるんだ。そして……流石は親父だよ!伊達に殺人訓練を受けていた事はあるよ」
「そうだよッ!お兄ちゃん!」
菜穂子は胸を張りながら言った。あまりにも堂々とその大きな胸を振ったために、それが揺れた事に高岩は気付いたが、敢えて黙っておく。
だが、菜穂子は公爵令嬢時代に媚を売る時に使っていた人懐っこい可愛らしい笑みを浮かべながら、父の自慢を始めていく。
「お父さんはヒーローで国を守るカッコいい人なんだから、あんな奴らの首元にナイフを突き刺すなんて一瞬だよッ!」
高岩は両頬をピンク色に染めながら、その聖子ちゃんカットの頭をかいていく。
やはり、娘に褒められて嬉しいのだろう。
デレデレとだらしなく笑っている。
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