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街の端の決闘!パワハラ鬼野郎の最期か!?
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巨体の赤ん坊となれば、かつて、自身が演じたヒーローの武器ではいささか分相応であるかもしれない。
例えば、前世でいうところのロボットで戦う五人のヒーローや或いは宇宙から来た人類に味方する宇宙人の出番であるかもしれない。
少なくとも、等身大のヒーローの出る幕ではないだろう。
脇でワイワイと騒ぐ子供たちや冒険者たちをよそに、高岩が目の前の怪物に頭を悩ませていると、彼の目の前になんと、銀色に輝くミッション車が現れたではないか。
「おおお!!これは!!」
高岩が目を輝かせていると、天から声が聞こえてきた。
「これはお主が前世で使用していた国産の高級車じゃよ。債権者の人たちを危ない目に遭わせたこともあるな……だが、案ずるな。そんな前科には考慮せずに、ちゃんと鬼川には対抗できるように衝撃波が出るようにしておるから」
高岩はその声に従って、扉を開き、神が用意した車へと乗り込む。
そして、アクセルを踏み、赤ん坊の姿をした怪物の元へと突っ込む。
やがて、車が怪物の腹へと直撃すると、赤ん坊の姿をした怪物は言葉にもならない悲鳴を上げていく。
「うっ、ギャァァァァァァ~!!!」
「見たかッ!これがオレの運転技術だッ!どうだ!?貴様など人たまりもないぞ!」
「お、おのれ……腹が痛い」
「これが貴様が他の鬼たちに与えてきた苦しみだッ!」
「ほざくなッ!ヒョロヒョロの親父の分際でッ!」
赤ん坊状態の鬼はその手で高岩ごと車を押し潰そうとするのだが、高岩の乗る車は押し潰そうとしても潰れる気配は見えない。
まるで、見えない力に防がれているように、押し潰そうとしても押し上げられてしまうのだ。
「ば、バカな!」
「喰らえぇぇぇぇ~!!」
高岩はアクセルを踏み込む。そして、より一層の力が加わり、四足歩行の鬼を攻撃していく。
初めこそ、赤ん坊状態の鬼は必死に車の突進を押し留めようとしたのだが、次第に両手だけでは押し止められずに、足を用いてようやくのところで高岩の乗る車を押し留める。
「貴様ぁぁぁぁ、しつこいぞ!そろそろ、諦めろ」
「いいや、貴様を倒して賞金を得るまでは……間違えたッ!貴様を倒して、人々の笑顔を見るまではこの突進を止めようとはしないぞッ!」
「貴様、本音を漏らしおったな!実際のところ、この私を倒して、莫大な数の賞金で豪華な刺身や焼き肉を食うのが目的に違いあるまい!?」
鬼川のこの言葉は的を射ていた。実際の高岩の脳裏に浮かぶのは子供の笑顔などという立派なものではなく、網の上で焼き上がるカルビだのホルモンだの、近海で釣り上げられた鮪を用いての刺身や寿司である。
そればかりではない。彼は船の形をした皿の上に盛られた刺身のお造りを食べる妄想もしていた。
だからだろうか。高岩のアクセルを踏む足が微かに弱っていくではないか。
鬼川はこの隙を逃さなかった。両手に力を込めて、そのまま車をひっくり返す。
だが、車は起き上がったのだからやはり、なにかしらの補正が彼の車にはかけられているのだろう。
鬼川はそう思わざるを得ない。
聖子ちゃんカットの既に老齢の佳境へと入りかけた親父は車の中から鬼川に向かって叫ぶ。
「この私が死ぬものかッ!少なくとも、義喜と菜穂子が結婚し、孫に恵まれるまでは絶対になッ!」
「小癪なッ!世迷言はその酷く見窄らしい聖子ちゃんカットを直してから言えッ!」
鬼川はそう叫びながら、再び両手を構えて、高岩の乗る車を迎え撃つ。
例えば、前世でいうところのロボットで戦う五人のヒーローや或いは宇宙から来た人類に味方する宇宙人の出番であるかもしれない。
少なくとも、等身大のヒーローの出る幕ではないだろう。
脇でワイワイと騒ぐ子供たちや冒険者たちをよそに、高岩が目の前の怪物に頭を悩ませていると、彼の目の前になんと、銀色に輝くミッション車が現れたではないか。
「おおお!!これは!!」
高岩が目を輝かせていると、天から声が聞こえてきた。
「これはお主が前世で使用していた国産の高級車じゃよ。債権者の人たちを危ない目に遭わせたこともあるな……だが、案ずるな。そんな前科には考慮せずに、ちゃんと鬼川には対抗できるように衝撃波が出るようにしておるから」
高岩はその声に従って、扉を開き、神が用意した車へと乗り込む。
そして、アクセルを踏み、赤ん坊の姿をした怪物の元へと突っ込む。
やがて、車が怪物の腹へと直撃すると、赤ん坊の姿をした怪物は言葉にもならない悲鳴を上げていく。
「うっ、ギャァァァァァァ~!!!」
「見たかッ!これがオレの運転技術だッ!どうだ!?貴様など人たまりもないぞ!」
「お、おのれ……腹が痛い」
「これが貴様が他の鬼たちに与えてきた苦しみだッ!」
「ほざくなッ!ヒョロヒョロの親父の分際でッ!」
赤ん坊状態の鬼はその手で高岩ごと車を押し潰そうとするのだが、高岩の乗る車は押し潰そうとしても潰れる気配は見えない。
まるで、見えない力に防がれているように、押し潰そうとしても押し上げられてしまうのだ。
「ば、バカな!」
「喰らえぇぇぇぇ~!!」
高岩はアクセルを踏み込む。そして、より一層の力が加わり、四足歩行の鬼を攻撃していく。
初めこそ、赤ん坊状態の鬼は必死に車の突進を押し留めようとしたのだが、次第に両手だけでは押し止められずに、足を用いてようやくのところで高岩の乗る車を押し留める。
「貴様ぁぁぁぁ、しつこいぞ!そろそろ、諦めろ」
「いいや、貴様を倒して賞金を得るまでは……間違えたッ!貴様を倒して、人々の笑顔を見るまではこの突進を止めようとはしないぞッ!」
「貴様、本音を漏らしおったな!実際のところ、この私を倒して、莫大な数の賞金で豪華な刺身や焼き肉を食うのが目的に違いあるまい!?」
鬼川のこの言葉は的を射ていた。実際の高岩の脳裏に浮かぶのは子供の笑顔などという立派なものではなく、網の上で焼き上がるカルビだのホルモンだの、近海で釣り上げられた鮪を用いての刺身や寿司である。
そればかりではない。彼は船の形をした皿の上に盛られた刺身のお造りを食べる妄想もしていた。
だからだろうか。高岩のアクセルを踏む足が微かに弱っていくではないか。
鬼川はこの隙を逃さなかった。両手に力を込めて、そのまま車をひっくり返す。
だが、車は起き上がったのだからやはり、なにかしらの補正が彼の車にはかけられているのだろう。
鬼川はそう思わざるを得ない。
聖子ちゃんカットの既に老齢の佳境へと入りかけた親父は車の中から鬼川に向かって叫ぶ。
「この私が死ぬものかッ!少なくとも、義喜と菜穂子が結婚し、孫に恵まれるまでは絶対になッ!」
「小癪なッ!世迷言はその酷く見窄らしい聖子ちゃんカットを直してから言えッ!」
鬼川はそう叫びながら、再び両手を構えて、高岩の乗る車を迎え撃つ。
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