クズ家族、異世界に転移、転生する〜代わりに、借金五千万円返済できなかったら、地獄行きとかマジですか！？〜

無敵のY談博士、倒す術はあるのか！？

「お、お父さん！例えば、勇者パーティーのショタっ子の前で勇者や他の仲間の処刑を伝えて、絶望の淵に追い込んだ末に、監禁して、自分の足で躾けるシュチェーションはどうかな？」

菜穂子は高岩に向かって警告の言葉を投げかけた筈なのだが、それは彼女の中の秘められたヤバい性癖を捻り出すしかなかった。
それに気を取られたのか、高岩もモロにY談ビームを喰らってしまう。

「エレキギターを背負った革ジャンのお姉さぁぁぁぁぁぁぁん！！」

「盾の人の亜人の少女を盾の人の手から強奪して、足舐めぇぇぇぇぇぇぇ～！！！」

勿論、この兄妹の言葉は本来は父を心配する言葉なのだが、ビームを喰らっているため、二人の本来の性癖が突っ込まれてしまっている。
だが、菜穂子はそれでも、父が心配になったのか、慌てて父の元へと駆け寄り、父に向かって呼び掛ける。

「捕らえた盾の人の仲間の鳥の女の子に盾の人の処刑を伝えて、絶望の淵に叩き込んだ末に盾の人の名前を呼ばせて、罪悪感に追い込みたくはない？」

「いや、全く思わん」

この時ばかりは高岩も冷静な突っ込みを菜穂子に向かって与えた。
だが、ここで奇跡が起きた事も加味しなければならない。そう、高岩は全くと言っていい程にY談を話さなかったのだ。
Y談ビームを喰らったという確固たる事実があるのにも関わらずにだ。
その事実を認識して、目を丸くするのは高岩一家の二人だけではない。ビームを放射させたデュークがそうである。

「ば、バカな。私のビームを喰らえば、話す言葉はY談だけになる筈なんだ。ちゃんと、吸血鬼のアニメを見て、研究したから、そうなるように開発したから、間違いない筈なんだッ！」

「バカもの！そんなものが効く筈がないだろう！おれには家族以上に愛する存在などない！だから、貴様のY談ビームなど効かんのだッ！」

高岩のその言葉を聞いて感動するのは子供二人。
だが、高岩がデュークのY談ビームを受けても平気だったのには理由がある。
それは、女性よりも金であるからだ。彼の心の中にも無論、義喜や菜穂子のような思いがないわけではない。
だが、それ以上に金に対する執着が強いために、Y談が出てくる術がないというのが正しいところだろう。

「これ以上、なにもないのならば、こちらからいくぞ！カモーン！ナイフハンド！ナイフ発射！」

と、高岩の手からナイフが発射され、デュークに向かって襲い掛かっていく。
デュークはそれを弓で地面の上に落とし、慌てて背中を向けて逃げ出す。

「あっ、女子大生のお姉さん！」

「生意気な妹を屈服させましょう！」

各々が口に出した言葉は個人の性癖を醸し出したものであるが、この流れではなんとなく言いたい事もあるだろう。
慌てて、三人は逃げるデュークを追いかけていく。