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五つの愛の腕で守ってやるぜ!
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「あ、あの男逃げましたよ!」
「本当だッ!確か、あの男、何処から殺しの訓練を受けたとかほざいてませんでした?」
逃げる高岩を他所に口々に各々の感想を述べるのは蜘蛛の討伐に集まった街の冒険者たち一同である。
直前まで、彼は鼻を高くして言っていた。
「大丈夫さ、おれは昔、自衛隊にいてね。ラン○ーのような殺しの訓練を受けたんだ」
前世ならいざ知らず、この世界の住人たちには『ラ○ボー』や『自衛隊』という単語がわかるわけがあるまい。
ただ、そこまで言い切るのだから、相当に強いものだろうとは思っていたのだが、蜘蛛の怪物と対峙した途端にみっともなく尻尾を巻いて逃げ出したのだから、彼らが呆れるのも無理はない。
そんな彼らの期待など知る由もなく、高岩は街の物陰で息を整えていた。
「あ、あんな怪物が居るなんて聞いてないぞ……大体、幾ら自衛隊で腕利きの男だったからって、あんなのといきなり戦えるものか……」
高岩が悪態を吐いていると、不意に頭上から声が掛かり、彼はそれが神の声だと気が付いた。
「全く!このろくでなしめがッ!自分で依頼を受けておいて、逃げ出すとはッ!」
「うるさい!おれを殺す気か!?あんなのと戦って勝てる筈がないだろう!?」
「自衛隊で殺しの訓練を受けたのではなかったのか?」
「あれはあくまでも人間用だぞ!」
高岩は自分が頭上に向かって叫んだ直後にまた溜息が漏れた事に気が付く。
その直後にかつてのヒーロー番組の宿敵の姿を借りていた神とやらは空中から言った。
「一応、お前には借金返済のせめてもの救いとして、特典を授けておる。それを使って、魔物や魔王の手先を倒すといい」
神の話によれば、彼にはかつて、ヒーローを演じていた時にヒーローの武器であった武器付きの手袋を改良したものを与えたのだという。
一つ目は前世での彼の自己都合と屁理屈から構成された強力な魔法の火薬が詰め込まれた金色のミサイルを発射するミサイルハンドという手袋。
二つ目は前世で彼が債権者たちを脅す時に使っていたナイフを無限に発射できるナイフハンド。
三つ目はいざという時には土下座をすれば、強力な見えないバリアが覆うバリアハンド。
四つ目は前世で金の無心を行う時に用いたメールを相手の頭の中へと流し込み、相手の精神をおかしくさせるメールハンド。
最後が相手の魔法や武器をその戦闘時に限り、自身のモノにする事ができる借り物ハンドである。
神による説明を聞き終えていた高岩を憤慨させた。
「ふざけるなッ!どれ一つとしてまともなアイテムがないじゃあないかッ!おれが描かれた漫画に出てきた姉弟子の総司を連れて来いッ!」
「そんなもの、お前には不相応じゃ。ちなみに、五つのカネの腕はお前が念じれば出てくるから、それで敵を倒すようにな」
神の声はそれで終わってしまい、理不尽な境遇に置かれた高岩は怒りに身を任せ、近場の家の壁を蹴っていたではないか。
「クソ、なんで、おれがこんな目に……」
そう言ったものの、高岩に前世でヒーローを演じていた時に使っていたものと似たアイテムが与えられた事は確かである。
落胆しながらも、彼は蜘蛛討伐へと向かう。
街の端では、やはり、大型の蜘蛛に冒険者たちが苦しめられている光景があった。
「己、蜘蛛どもめ、これ以上の暴挙はおれが許さんぞッ!カモン!ミサイルハンド!正義のミサイルを喰らうがいいッ!」
彼がアイテムの名を叫ぶのと同時に、高岩の手には黄金の色に輝く小型のミサイルが付いた手袋が装着され、彼はミサイルが付いた両手を目の前へと突き出す。
同時に、両手から小型のミサイルが発射され、蜘蛛たちに攻撃を加えていく。
小規模の爆発が生じ、蜘蛛はダメージを受けたばかりか、爆発に怯み、冒険者たちの前から離れていってしまう。
「よしッ!トドメだッ!カモーンッ!ナイフハンドッ!」
高岩の両手には黒色の手袋が装着され、そこに付いていたジャックナイフが蜘蛛の頭を目掛けて飛んでいく。
頭を串刺しにされた蜘蛛は最後の意地とばかりに悲鳴を上げて地面の上に倒れ込む。
「見たかッ!これが正義の力だッ!」
高岩は拳を握り締め、得意気な顔を浮かべて叫ぶ。
だが、彼自身は何もしていない。神から与えられた前世で自分が演じていたヒーローの武器を使っただけである。
それでも、高岩は歓声を上げる街の冒険者たちに迎えられ、その日一日はヒーローとして過ごしたのである。
「本当だッ!確か、あの男、何処から殺しの訓練を受けたとかほざいてませんでした?」
逃げる高岩を他所に口々に各々の感想を述べるのは蜘蛛の討伐に集まった街の冒険者たち一同である。
直前まで、彼は鼻を高くして言っていた。
「大丈夫さ、おれは昔、自衛隊にいてね。ラン○ーのような殺しの訓練を受けたんだ」
前世ならいざ知らず、この世界の住人たちには『ラ○ボー』や『自衛隊』という単語がわかるわけがあるまい。
ただ、そこまで言い切るのだから、相当に強いものだろうとは思っていたのだが、蜘蛛の怪物と対峙した途端にみっともなく尻尾を巻いて逃げ出したのだから、彼らが呆れるのも無理はない。
そんな彼らの期待など知る由もなく、高岩は街の物陰で息を整えていた。
「あ、あんな怪物が居るなんて聞いてないぞ……大体、幾ら自衛隊で腕利きの男だったからって、あんなのといきなり戦えるものか……」
高岩が悪態を吐いていると、不意に頭上から声が掛かり、彼はそれが神の声だと気が付いた。
「全く!このろくでなしめがッ!自分で依頼を受けておいて、逃げ出すとはッ!」
「うるさい!おれを殺す気か!?あんなのと戦って勝てる筈がないだろう!?」
「自衛隊で殺しの訓練を受けたのではなかったのか?」
「あれはあくまでも人間用だぞ!」
高岩は自分が頭上に向かって叫んだ直後にまた溜息が漏れた事に気が付く。
その直後にかつてのヒーロー番組の宿敵の姿を借りていた神とやらは空中から言った。
「一応、お前には借金返済のせめてもの救いとして、特典を授けておる。それを使って、魔物や魔王の手先を倒すといい」
神の話によれば、彼にはかつて、ヒーローを演じていた時にヒーローの武器であった武器付きの手袋を改良したものを与えたのだという。
一つ目は前世での彼の自己都合と屁理屈から構成された強力な魔法の火薬が詰め込まれた金色のミサイルを発射するミサイルハンドという手袋。
二つ目は前世で彼が債権者たちを脅す時に使っていたナイフを無限に発射できるナイフハンド。
三つ目はいざという時には土下座をすれば、強力な見えないバリアが覆うバリアハンド。
四つ目は前世で金の無心を行う時に用いたメールを相手の頭の中へと流し込み、相手の精神をおかしくさせるメールハンド。
最後が相手の魔法や武器をその戦闘時に限り、自身のモノにする事ができる借り物ハンドである。
神による説明を聞き終えていた高岩を憤慨させた。
「ふざけるなッ!どれ一つとしてまともなアイテムがないじゃあないかッ!おれが描かれた漫画に出てきた姉弟子の総司を連れて来いッ!」
「そんなもの、お前には不相応じゃ。ちなみに、五つのカネの腕はお前が念じれば出てくるから、それで敵を倒すようにな」
神の声はそれで終わってしまい、理不尽な境遇に置かれた高岩は怒りに身を任せ、近場の家の壁を蹴っていたではないか。
「クソ、なんで、おれがこんな目に……」
そう言ったものの、高岩に前世でヒーローを演じていた時に使っていたものと似たアイテムが与えられた事は確かである。
落胆しながらも、彼は蜘蛛討伐へと向かう。
街の端では、やはり、大型の蜘蛛に冒険者たちが苦しめられている光景があった。
「己、蜘蛛どもめ、これ以上の暴挙はおれが許さんぞッ!カモン!ミサイルハンド!正義のミサイルを喰らうがいいッ!」
彼がアイテムの名を叫ぶのと同時に、高岩の手には黄金の色に輝く小型のミサイルが付いた手袋が装着され、彼はミサイルが付いた両手を目の前へと突き出す。
同時に、両手から小型のミサイルが発射され、蜘蛛たちに攻撃を加えていく。
小規模の爆発が生じ、蜘蛛はダメージを受けたばかりか、爆発に怯み、冒険者たちの前から離れていってしまう。
「よしッ!トドメだッ!カモーンッ!ナイフハンドッ!」
高岩の両手には黒色の手袋が装着され、そこに付いていたジャックナイフが蜘蛛の頭を目掛けて飛んでいく。
頭を串刺しにされた蜘蛛は最後の意地とばかりに悲鳴を上げて地面の上に倒れ込む。
「見たかッ!これが正義の力だッ!」
高岩は拳を握り締め、得意気な顔を浮かべて叫ぶ。
だが、彼自身は何もしていない。神から与えられた前世で自分が演じていたヒーローの武器を使っただけである。
それでも、高岩は歓声を上げる街の冒険者たちに迎えられ、その日一日はヒーローとして過ごしたのである。
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