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大無心人間の地獄行き免罪計画!
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高岩がそうして、亜人種の女性から新たな金の無心をしようとした時だ。
不意に体が浮き上がる様な感触に襲われた。そして、気が付けば、彼は見慣れぬ雲の上にいた。
辺り一面が雲の上である。目の前にはお茶やらみかんが載った昔ながらのちゃぶ台が置いてあり、更にその向かい側には真っ白な髭にコサック棒を被った紫色の肌をした老人が座っているではないか。
その姿はかつて、彼が主演として出ていた特撮ヒーロー番組の悪の組織の首領にそっくりだったのだから驚きだ。
「れ、レザークロエル!?しかし、どうして、こんなところに?」
困惑の表情を浮かべる高岩とは対照的に目の前に座るレザークロエルは頬を紅潮させ、眉間に皺を寄せており、怒りの噴火五秒前というところだろうか。
高岩が気になり、顔を覗き込もうとすると、不意にそれは爆発した。
「このバカモンがッ!お前は恥ずかしくないのか!?」
「えっ、ええ!?」
「全く、折角二度目のチャンスを与えたというのに、早々に無心とは……本当にお前は救いようのないクズじゃ」
「く、クズだと……言葉に気を付けてもらいたいッ!」
事実を突かれたというのにも関わらず、高岩は先程の困惑など忘れて、逆上し、雲の上から立ち上がり、両手の拳を構える。
「あんたが誰かは知らないが、オレはグリーンベレーで殺しの訓練を受けた事があるんだッ!お前の頭を拳で打ち砕くなんて、一瞬なんだぞッ!」
「やはり、七十を過ぎても、クズはクズじゃな。事実を突き付ければ、逆ギレとは」
「うるさいッ!悪役の分際でッ!」
高岩は拳を握り締め、席の向かい側に座るレザークロエルに殴り掛かろうとした時だ。
彼の一睨みのために体が動けなくなってしまう。
蛇に睨まれた蛙とは今の様な状況の事を言うのだろうか。
高岩はそう思いを馳せていた。
「言っておくが、ワシは神。お前さんの見ている悪の首領の姿は借りているだけに過ぎん。それで、だ。木田亮二よ。お前の妻を除くお前の一家は地獄行きが決定しておる」
「えっ、ええ!?」
「驚く事もあるまい。多くの人を元妻を除く全員で不幸にしたのだから当然じゃろうて。だが、私は猶予を与える。それは一生分の猶予じゃ。すなわち、前の世界とは価値観も生活観も異なる世界で、どう過ごすのかを聞きたいのじゃ」
「ふざけんな!人をなんだと思っているんだッ!」
高岩はそう叫んで立ち上がったものの、次のレザークロエルの言葉によって彼の憤りはたちまちのうちに消え去ってしまう。
「それをお前さんに金を貸した被害者に聞かせてやりたいものだな」
高岩はうっと唸り、そのまま真下へと視線を泳がせていく。
「ともかくだ。お前とお前の息子と娘はこの異世界転移並びに転生で借金を返せなければ、地獄行きだッ!」
「助けてください!!」
高岩は慌てて泣き付いていく。その姿はかつて、不安を集めてのバースデーパーティーの帰りに参加者たちに無心していた姿そのものである。
情けない姿にレザークロエルの姿を借りた神は大きく溜息を吐いていく。
「お前は本当にどうしようもないなぁ。流石はヒーローの役を卑劣な手段で手に入れただけの事はある」
「言葉に気を付けてもらいたい。あれは直前に『俺たち、こんなの受からなくても、まだ次に受けるものがあるさ。アハハ』とか言った正田くんが悪いんだッ!」
まさかの逆ギレである。あまりの態度の悪さ、人間性の悪さに辟易してしまったらしい。
神はしっしっと手を払い、そのまま高岩直人を地上へと落としていく。
「あ、あの大丈夫ですか?」
気が付けば、先程の女性が心配そうに声を掛けている事に気がつく。
高岩はこのまま無心をしようかと考えたが、神のあの言葉が頭にチラついて離れない。
この転移、転生で前世の借金を返せなければ地獄行きという言葉が。
「いいえ、なんでもありません。それよりも、この近くでお金を稼げる場所はありませんでしょうか?五千万円を返さないと、私は地獄に落とされてしまうんです」
その言葉に驚きを隠せないのは高岩を心配した女性である。
目の前の男性が急に意識を失ったかと思ったら、唐突に『地獄』などという単語を口にしたのだから。
当惑する女性を他所に、高岩は職の無心を続けていく。
「本当に情けない話です。ですが、私を哀れと思うのならば、是非ともお願いします!」
「あ、じゃあ、この街の端に強力な蜘蛛が出てくるらしいので、その討伐の依頼をあそこのギルドで募集していたはずです」
女性が噴水から左へと進んだ場所を指差しながら言った。
「本当ですか!」
高岩は両目の瞳を輝かせながら、そのままスキップをしながら女性が指差したギルドへと向かっていく。
幸いな事に急募の依頼であったので、高岩は所在や登録などを行わさせる事などなく、受ける事ができた。
高岩は自身を持っていた。自分の実力に。殺しの特訓を受けた自身の腕に。
だが、そんな自信は肝心の蜘蛛本体を見るのと同時に瞬時に遥か彼方へと飛び去ってしまう。
蜘蛛が大きな口を開き、叫ぶ姿を眺めると、高岩はその場から真っ先に逃げ出していた。
不意に体が浮き上がる様な感触に襲われた。そして、気が付けば、彼は見慣れぬ雲の上にいた。
辺り一面が雲の上である。目の前にはお茶やらみかんが載った昔ながらのちゃぶ台が置いてあり、更にその向かい側には真っ白な髭にコサック棒を被った紫色の肌をした老人が座っているではないか。
その姿はかつて、彼が主演として出ていた特撮ヒーロー番組の悪の組織の首領にそっくりだったのだから驚きだ。
「れ、レザークロエル!?しかし、どうして、こんなところに?」
困惑の表情を浮かべる高岩とは対照的に目の前に座るレザークロエルは頬を紅潮させ、眉間に皺を寄せており、怒りの噴火五秒前というところだろうか。
高岩が気になり、顔を覗き込もうとすると、不意にそれは爆発した。
「このバカモンがッ!お前は恥ずかしくないのか!?」
「えっ、ええ!?」
「全く、折角二度目のチャンスを与えたというのに、早々に無心とは……本当にお前は救いようのないクズじゃ」
「く、クズだと……言葉に気を付けてもらいたいッ!」
事実を突かれたというのにも関わらず、高岩は先程の困惑など忘れて、逆上し、雲の上から立ち上がり、両手の拳を構える。
「あんたが誰かは知らないが、オレはグリーンベレーで殺しの訓練を受けた事があるんだッ!お前の頭を拳で打ち砕くなんて、一瞬なんだぞッ!」
「やはり、七十を過ぎても、クズはクズじゃな。事実を突き付ければ、逆ギレとは」
「うるさいッ!悪役の分際でッ!」
高岩は拳を握り締め、席の向かい側に座るレザークロエルに殴り掛かろうとした時だ。
彼の一睨みのために体が動けなくなってしまう。
蛇に睨まれた蛙とは今の様な状況の事を言うのだろうか。
高岩はそう思いを馳せていた。
「言っておくが、ワシは神。お前さんの見ている悪の首領の姿は借りているだけに過ぎん。それで、だ。木田亮二よ。お前の妻を除くお前の一家は地獄行きが決定しておる」
「えっ、ええ!?」
「驚く事もあるまい。多くの人を元妻を除く全員で不幸にしたのだから当然じゃろうて。だが、私は猶予を与える。それは一生分の猶予じゃ。すなわち、前の世界とは価値観も生活観も異なる世界で、どう過ごすのかを聞きたいのじゃ」
「ふざけんな!人をなんだと思っているんだッ!」
高岩はそう叫んで立ち上がったものの、次のレザークロエルの言葉によって彼の憤りはたちまちのうちに消え去ってしまう。
「それをお前さんに金を貸した被害者に聞かせてやりたいものだな」
高岩はうっと唸り、そのまま真下へと視線を泳がせていく。
「ともかくだ。お前とお前の息子と娘はこの異世界転移並びに転生で借金を返せなければ、地獄行きだッ!」
「助けてください!!」
高岩は慌てて泣き付いていく。その姿はかつて、不安を集めてのバースデーパーティーの帰りに参加者たちに無心していた姿そのものである。
情けない姿にレザークロエルの姿を借りた神は大きく溜息を吐いていく。
「お前は本当にどうしようもないなぁ。流石はヒーローの役を卑劣な手段で手に入れただけの事はある」
「言葉に気を付けてもらいたい。あれは直前に『俺たち、こんなの受からなくても、まだ次に受けるものがあるさ。アハハ』とか言った正田くんが悪いんだッ!」
まさかの逆ギレである。あまりの態度の悪さ、人間性の悪さに辟易してしまったらしい。
神はしっしっと手を払い、そのまま高岩直人を地上へと落としていく。
「あ、あの大丈夫ですか?」
気が付けば、先程の女性が心配そうに声を掛けている事に気がつく。
高岩はこのまま無心をしようかと考えたが、神のあの言葉が頭にチラついて離れない。
この転移、転生で前世の借金を返せなければ地獄行きという言葉が。
「いいえ、なんでもありません。それよりも、この近くでお金を稼げる場所はありませんでしょうか?五千万円を返さないと、私は地獄に落とされてしまうんです」
その言葉に驚きを隠せないのは高岩を心配した女性である。
目の前の男性が急に意識を失ったかと思ったら、唐突に『地獄』などという単語を口にしたのだから。
当惑する女性を他所に、高岩は職の無心を続けていく。
「本当に情けない話です。ですが、私を哀れと思うのならば、是非ともお願いします!」
「あ、じゃあ、この街の端に強力な蜘蛛が出てくるらしいので、その討伐の依頼をあそこのギルドで募集していたはずです」
女性が噴水から左へと進んだ場所を指差しながら言った。
「本当ですか!」
高岩は両目の瞳を輝かせながら、そのままスキップをしながら女性が指差したギルドへと向かっていく。
幸いな事に急募の依頼であったので、高岩は所在や登録などを行わさせる事などなく、受ける事ができた。
高岩は自身を持っていた。自分の実力に。殺しの特訓を受けた自身の腕に。
だが、そんな自信は肝心の蜘蛛本体を見るのと同時に瞬時に遥か彼方へと飛び去ってしまう。
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