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エピローグ『悪魔の使者たちは黄昏時に天国の夢を見るか?』
ルシファーの場合ーその②
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「あぁ、ごめんよ。どこまで話をしたっけ?」
ルシファーが笑い過ぎて出た涙を人差し指で拭いながら周りの面々に向かって問い掛けた。
「……マルチバースの話が出て、あんたがゲームを開いている理由が志恩が聞くまで」
美憂の回答にルシファーは親指を立てて見せると、そのまま解説を続けていく。
「OK、OK、それでボク自身が企画するゲームなんだけどね、ボク自身はずっと間近で参加者として或いは企画者として契約した人たちが殺し合う姿を見てずっと見てきたよ。傑作だったなぁ」
ルシファーによれば最初のゲームは二足歩行を始めた人類の祖が初めて石の上で骨を壊して武器を作る場面から始まったのだという。
ルシファーの話によれば人類最初の戦争を主導したのはルシファーであり、その由来はこのゲームであったらしい。ルシファーが奪い合いを教えてからというもの人類は略奪の喜びに取り憑かれ、勝利した後に叶えられる七割の願いが勝利への喜びに繋がったとされている。
ルシファーや悪魔たちは原子の人類たちを発展に導く代わりに殺し合いのゲームに参加させたのだという。
三割の前払いともいえる願い、優勝した者にのみ叶えられる七割の願い。
それらの願いによって人々は欲望を満たしてきた。
「ある者は願いで強力な武器を願った。その結果にできたものが青銅器や鉄だよ。学校の歴史の授業で習ったろ?」
「まさか、あれまでお前たちだったとはな……」
ルシファーは口を開く恭介に対してチッチッと指を振り、得意そうな笑顔を浮かべて話を続けていく。
「それだけじゃあないよ。それよりも前に火を与えたのもぼくらだ。寒いところでも温まりたいという願いを叶えたんだ。絵を描きたいと願ってそれを教えたのもボクらさ。みんなが殺し合いと引き換えに願ったんだ。こうして人々は悪魔に頼りっぱなしになり、そして嬉々としてゲームに乗ったんだ。自分たちが少しでも有利になるためにね」
そればかりではない。噂によれば自分たちホモ・サピエンスがネアンデールタール人という先人人類を全滅させたのも悪魔たちによる指導が原因であったらしい。
ルシファーはその時の事を回顧して、
「あの時のゲームでネアンデールタール人が勝っていたらキミたちは影も形もなかっただろうね」
と、得意気に腕を組みながら言った。
その時のルシファーの顔がどことなく不気味に思えた。その口元の笑みが計り知れない恐怖ともいえる感情が沸き立っていき、恭介たちを震えさせた。
だが、ルシファーは話をやめようとはしない、それどころかますます話がしたくなったらしい。ニコニコと罪のない様な笑顔を浮かべて話を続けていく。
「けど、ゲームも路線変更がなされる様になってね。世界の河川沿いで四大文明と呼ばれる文明が生まれ始めた頃から都市やら何やらが色々とできて、参加者たちを移動させなくちゃあならなくなった」
「……四大文明だと?お前ら人類創設の文明の中でも殺し合いをさせてたというのか?」
真紀子が両眉を上げながら尋ねる。心底から驚いた様子の真紀子に対してルシファーは淡々とした口調で答えた。
「その通り、黄河、エジプト、メソポタミア、インダス……どこもゲームには最適の場所だったよ。みんな身勝手な願いで殺し合って……あぁ、楽しかったなぁ」
「……ひ、酷い……」
百合絵が率直な感想を口に出す。
「酷いだって?フフッ、それは誤解だよ。血を好んできたのは人間だし、人間が人間に対して酷い事をしてきたのも人間のエゴだ。ボクらは関係ないッ!」
ルシファーのその言葉にその場に居た一堂が押し黙ってしまう。歴史の教科書を紐解いてみれば人類の愚かな歴史というのは数えきれない。誰もが反論の言葉を思い付かなかった時だ。咄嗟に志恩が立ち上がってルシファーの言葉に反論の言葉を浴びせた。
「確かに人間はこれまで酷い事をしてきた……血を見る残虐性があるかもしれない……けど、人間はいつだってやり直せる!間違いに気付けるッ!そして神様を信じて生きられる……それが人間なんだッ!」
志恩の言葉に美咲が手を叩いていく。裏表のない純粋な拍手である。
「その通りだ。それにルシファーの言葉にだって信用性はない。ルシファーが嘘を吐いて、人類の発展や栄光を自分たちの功績のような者だと判断してるんだッ!気を付けろ!悪魔は昔からこういう事を言うんだッ!」
その場にいた誰もが安堵の溜息を吐いていく。
だが、それを聞くとルシファーが可愛らしい笑い声を上げていく。
「おやおや、キミたちだってその悪魔と契約しておのれの醜い欲望のために戦っている“サタンの息子”の筈だろ?その事を忘れてもらっては困るな」
「違うッ!私と志恩はこの馬鹿げた戦いを止めるために参加してるんだッ!」
「ハハッ、ご立派、ご立派。けど、忘れないでくれよ。キミたちが戦いを長引かせれば、長引かせるほど不利になるって事をさ」
「それはどういう意味だよ?」
真紀子の問いかけにルシファーが人差し指を宙の上に突き付けながら言った。
「米国や中国などの大国の上で開き掛けている悪魔の紋様の事を忘れないでほしいんだ。あれが開けば爵位を持った悪魔だろうが、中級の悪魔だろうが、下級の悪魔だろうが大挙して押し寄せてくるんだからねぇ」
二人はルシファーの意図を察した。二人が戦いを長引かせたり、止めたりすれば悪魔たちが扉を開いて、今すぐに人々が営む世界へと大挙するのだ、と脅迫している事を。
絶望ともいえる顔を浮かべる二人に対してルシファーは心底から嬉しそうな顔を浮かべている。
「ルシファー。質問なんだが」
「はい、どうぞ、姫川美憂さん」
美憂は教師に取り入るために授業中に手を挙げる生徒とそれをあっさりとスルーする教師の様なやり取りが繰り広げられた後に美憂は淡々と質問を投げ掛けたのである。
「もし、悪魔たちが大挙してきた場合はあたしの母も殺すのか?」
「そりゃあ殺すだろうね」
ルシファーは躊躇う事なく即答した。あまりの呆気のない回答に絶望的な表情を浮かべる美憂に対してルシファーは安心させるかの様に言った。
「でもね、キミの願いさえあればキミの家族は生き残るかもね。そのために尚更キミが勝ち残る事が大事になるだろうね。姫川美憂」
美憂はその言葉を聞くと歯をぎゅっと結びながら椅子の上に座っていく。
どうやら今のルシファーの話を聞いて、ますますその決意を固めたらしい。
真紀子がそれを見て微笑を浮かべていると、恭介が立ち上がってルシファーに向かって問い直す。
「じゃあ、オレの両親は……オレの親父とお袋はどうなる?」
恭介の声は必死であった。当然であろう。恭介の願いには両親の事は含まれていない。彼の願いは姫川美憂を守る事にあるのだから。
ルシファーは焦る表情を浮かべる契約主に向かって嘲笑う様に言った。
「助からないだろうねぇ」
打ちのめされた様な表情を浮かべて長椅子の上に座る恭介であったが、その恭介を慰める様に叫ぶ。
「大丈夫だよ!ボクの願いはみんなのヒーローになる事なんだッ!もしボクが勝ったのならばみんなを救う場面がーー」
そこまで呟いたところで志恩は己のミスに気が付いて慌てて口を防いでいく。
それを知ったルシファーは先程の様な笑い声を上げていく。
「そこまで言ったところで自分のミスに気が付いたようだね?確かに志恩の願いならば大挙する悪魔たちと戦う事も可能だろうねぇ。ある程度までは殲滅できるかもしれないよ」
「つまり、志恩もやる気になったってところかッ!」
真紀子が歓喜の表情を上げて立ち上がる。
「そういう事かもしれないね」
「ちが……ボクはッ!」
「いいや、認めなよ。キミはゲームに乗り気なんだ」
ルシファーの言葉に志恩は肩をすくませた。
あとがき
諸事情のために本日より更に投稿本数を減らせていただきます。大変申し訳ありません!
ルシファーが笑い過ぎて出た涙を人差し指で拭いながら周りの面々に向かって問い掛けた。
「……マルチバースの話が出て、あんたがゲームを開いている理由が志恩が聞くまで」
美憂の回答にルシファーは親指を立てて見せると、そのまま解説を続けていく。
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ルシファーによれば最初のゲームは二足歩行を始めた人類の祖が初めて石の上で骨を壊して武器を作る場面から始まったのだという。
ルシファーの話によれば人類最初の戦争を主導したのはルシファーであり、その由来はこのゲームであったらしい。ルシファーが奪い合いを教えてからというもの人類は略奪の喜びに取り憑かれ、勝利した後に叶えられる七割の願いが勝利への喜びに繋がったとされている。
ルシファーや悪魔たちは原子の人類たちを発展に導く代わりに殺し合いのゲームに参加させたのだという。
三割の前払いともいえる願い、優勝した者にのみ叶えられる七割の願い。
それらの願いによって人々は欲望を満たしてきた。
「ある者は願いで強力な武器を願った。その結果にできたものが青銅器や鉄だよ。学校の歴史の授業で習ったろ?」
「まさか、あれまでお前たちだったとはな……」
ルシファーは口を開く恭介に対してチッチッと指を振り、得意そうな笑顔を浮かべて話を続けていく。
「それだけじゃあないよ。それよりも前に火を与えたのもぼくらだ。寒いところでも温まりたいという願いを叶えたんだ。絵を描きたいと願ってそれを教えたのもボクらさ。みんなが殺し合いと引き換えに願ったんだ。こうして人々は悪魔に頼りっぱなしになり、そして嬉々としてゲームに乗ったんだ。自分たちが少しでも有利になるためにね」
そればかりではない。噂によれば自分たちホモ・サピエンスがネアンデールタール人という先人人類を全滅させたのも悪魔たちによる指導が原因であったらしい。
ルシファーはその時の事を回顧して、
「あの時のゲームでネアンデールタール人が勝っていたらキミたちは影も形もなかっただろうね」
と、得意気に腕を組みながら言った。
その時のルシファーの顔がどことなく不気味に思えた。その口元の笑みが計り知れない恐怖ともいえる感情が沸き立っていき、恭介たちを震えさせた。
だが、ルシファーは話をやめようとはしない、それどころかますます話がしたくなったらしい。ニコニコと罪のない様な笑顔を浮かべて話を続けていく。
「けど、ゲームも路線変更がなされる様になってね。世界の河川沿いで四大文明と呼ばれる文明が生まれ始めた頃から都市やら何やらが色々とできて、参加者たちを移動させなくちゃあならなくなった」
「……四大文明だと?お前ら人類創設の文明の中でも殺し合いをさせてたというのか?」
真紀子が両眉を上げながら尋ねる。心底から驚いた様子の真紀子に対してルシファーは淡々とした口調で答えた。
「その通り、黄河、エジプト、メソポタミア、インダス……どこもゲームには最適の場所だったよ。みんな身勝手な願いで殺し合って……あぁ、楽しかったなぁ」
「……ひ、酷い……」
百合絵が率直な感想を口に出す。
「酷いだって?フフッ、それは誤解だよ。血を好んできたのは人間だし、人間が人間に対して酷い事をしてきたのも人間のエゴだ。ボクらは関係ないッ!」
ルシファーのその言葉にその場に居た一堂が押し黙ってしまう。歴史の教科書を紐解いてみれば人類の愚かな歴史というのは数えきれない。誰もが反論の言葉を思い付かなかった時だ。咄嗟に志恩が立ち上がってルシファーの言葉に反論の言葉を浴びせた。
「確かに人間はこれまで酷い事をしてきた……血を見る残虐性があるかもしれない……けど、人間はいつだってやり直せる!間違いに気付けるッ!そして神様を信じて生きられる……それが人間なんだッ!」
志恩の言葉に美咲が手を叩いていく。裏表のない純粋な拍手である。
「その通りだ。それにルシファーの言葉にだって信用性はない。ルシファーが嘘を吐いて、人類の発展や栄光を自分たちの功績のような者だと判断してるんだッ!気を付けろ!悪魔は昔からこういう事を言うんだッ!」
その場にいた誰もが安堵の溜息を吐いていく。
だが、それを聞くとルシファーが可愛らしい笑い声を上げていく。
「おやおや、キミたちだってその悪魔と契約しておのれの醜い欲望のために戦っている“サタンの息子”の筈だろ?その事を忘れてもらっては困るな」
「違うッ!私と志恩はこの馬鹿げた戦いを止めるために参加してるんだッ!」
「ハハッ、ご立派、ご立派。けど、忘れないでくれよ。キミたちが戦いを長引かせれば、長引かせるほど不利になるって事をさ」
「それはどういう意味だよ?」
真紀子の問いかけにルシファーが人差し指を宙の上に突き付けながら言った。
「米国や中国などの大国の上で開き掛けている悪魔の紋様の事を忘れないでほしいんだ。あれが開けば爵位を持った悪魔だろうが、中級の悪魔だろうが、下級の悪魔だろうが大挙して押し寄せてくるんだからねぇ」
二人はルシファーの意図を察した。二人が戦いを長引かせたり、止めたりすれば悪魔たちが扉を開いて、今すぐに人々が営む世界へと大挙するのだ、と脅迫している事を。
絶望ともいえる顔を浮かべる二人に対してルシファーは心底から嬉しそうな顔を浮かべている。
「ルシファー。質問なんだが」
「はい、どうぞ、姫川美憂さん」
美憂は教師に取り入るために授業中に手を挙げる生徒とそれをあっさりとスルーする教師の様なやり取りが繰り広げられた後に美憂は淡々と質問を投げ掛けたのである。
「もし、悪魔たちが大挙してきた場合はあたしの母も殺すのか?」
「そりゃあ殺すだろうね」
ルシファーは躊躇う事なく即答した。あまりの呆気のない回答に絶望的な表情を浮かべる美憂に対してルシファーは安心させるかの様に言った。
「でもね、キミの願いさえあればキミの家族は生き残るかもね。そのために尚更キミが勝ち残る事が大事になるだろうね。姫川美憂」
美憂はその言葉を聞くと歯をぎゅっと結びながら椅子の上に座っていく。
どうやら今のルシファーの話を聞いて、ますますその決意を固めたらしい。
真紀子がそれを見て微笑を浮かべていると、恭介が立ち上がってルシファーに向かって問い直す。
「じゃあ、オレの両親は……オレの親父とお袋はどうなる?」
恭介の声は必死であった。当然であろう。恭介の願いには両親の事は含まれていない。彼の願いは姫川美憂を守る事にあるのだから。
ルシファーは焦る表情を浮かべる契約主に向かって嘲笑う様に言った。
「助からないだろうねぇ」
打ちのめされた様な表情を浮かべて長椅子の上に座る恭介であったが、その恭介を慰める様に叫ぶ。
「大丈夫だよ!ボクの願いはみんなのヒーローになる事なんだッ!もしボクが勝ったのならばみんなを救う場面がーー」
そこまで呟いたところで志恩は己のミスに気が付いて慌てて口を防いでいく。
それを知ったルシファーは先程の様な笑い声を上げていく。
「そこまで言ったところで自分のミスに気が付いたようだね?確かに志恩の願いならば大挙する悪魔たちと戦う事も可能だろうねぇ。ある程度までは殲滅できるかもしれないよ」
「つまり、志恩もやる気になったってところかッ!」
真紀子が歓喜の表情を上げて立ち上がる。
「そういう事かもしれないね」
「ちが……ボクはッ!」
「いいや、認めなよ。キミはゲームに乗り気なんだ」
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