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第二部『箱舟』
最上志恩の場合ーその④
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戦いはその日別の場所で距離をとって戦っていた他の二人を除けば真紀子が周りを圧倒して終わった。そればかりか、真紀子は戦いの過程で気絶した志恩を連れ去ったのである。
「悪いが、志恩は借りていくぜ、そんな顔をするなよ。用が終わったらババアの元に帰してやるからよ」
真紀子は悪びれる事もなく言ってのけた。そのまま志恩を脇に抱いて真紀子は路地裏を後にした。
真紀子に脇に抱かれた志恩が目を覚ましたのは見知らぬベッドの上であった。
普段自分が使っているベッドとは対照的に寝心地の良いマットレスにシーツ、そして上等の掛け布団が掛かっていた。
志恩が辺りを見渡すと、部屋の中は驚くほどにものがなかった。強いていうのならば本棚が置いてあり、その中に難しそうな本が置いてある事くらいだろうか。
英語や中国語で書かれた難しそうな本以外では何やら仰々しい題名の付いた難しそうな本が並んでいる。姉の趣味だろうか。そんな事を考えていると、扉が開いて先程よりも楽なシャツにジーンズというラフな格好の姉が現れた。
「飯だぜ、食うか?」
姉の事だから断ったとしても連れて行くだろう。志恩は首を縦に動かして、真紀子の元へと付いていく。
食卓の上にあったのはトマトソースの掛かったパスタに小さなフランスパンの入ったグリーンサラダ。そしてインスタントのオニオンスープであった。
「志恩、あたしの作った料理好きだったよな?久し振りだぜ、遠慮する事はねぇよ、たっぷり食いな」
志恩は罪悪感に苛まれていたが、腹の虫が鳴り、無意識のうちに料理に手を伸ばしていた。
志恩がパスタを啜ると、口の中一杯にトマトの旨味が広がった。そればかりではない。麺の旨味も殺される事なく活かされていたのだ。姉はそこまで計算して料理したのだろう。
それからサラダ、スープの順番で食べ終え、最後に残ったパスタを平らげて夕食を食い終えた。
同時に真紀子が戦闘時の衣装に姿を変えた。だが、その割には武器も出さず、兜も姿を変えて早々に外したのである。
真紀子は軍服の姿で志恩の元へと近寄り、わざとらしく両手を後ろ手に組み、志恩にその姿を近付けていく。
真紀子はわざと自身の豊満な胸を志恩の体にあて、艶麗な彼女であるからこそ、その姿は本当に魅力的であった。
露骨な誘惑に志恩が頬を赤くしていると、真紀子はそんな弟の思惑を見切ったかの様に美しく細い手で志恩の頬を優しく撫でていく。
「お、お姉ちゃん……」
「ダメだ。あたしの側にいろ」
真紀子の桜色に染めた綺麗な唇は明らかに囁いていた。それから志恩の髪を優しく撫でていく。
骨抜きになって抵抗ができなくなってしまった志恩を抱えて先程のベッドに向かおうとした時だ。真紀子は心変わりがしたのか、志恩をそのまま椅子に座らせ、代わりに紅茶と茶請けの菓子が載ったお盆を持って現れた。
真紀子は軍服姿のまま志恩にお茶を淹れ、側にある菓子を勧める。
ジャムの入った外国製のクッキーであるので、志恩も初めて見るのだろう。クッキーを見て志恩は目を輝かせていた。
「食っていいぞ」
真紀子の許可を得て、志恩はクッキーを口にしていく。ジャムなどの甘味が口一杯に広がっていき、志恩を至福の時間へと誘っていったのである。
とろける様な甘さとはこのクッキーの事を指していうに違いない。
志恩がクッキーの美味さに酔っていると、真紀子が黙って紅茶を勧める。
「その後でこいつを飲んでみな」
志恩は黙って姉の言われるがままに紅茶を飲み干す。苦いはずの紅茶が上手く感じられたのだ。先に甘い菓子を口に入れる事で、その後に飲む紅茶の苦味が引き立つのである。
志恩が目を輝かせていると、向かい側に座る真紀子が真剣な顔を浮かべていた。
先程の揶揄う様な態度や言動は完全になりを潜ませていた。
志恩もそれを見て同じように真剣な顔を浮かべた。
「なぁ、志恩……お前は未来があるとでも思うのか?」
「お姉ちゃん……未来って?」
「未来は未来だよ、この国の……いいや、そんなチンケなもんじゃ測れない。あたしが言いたいのはこの世界の未来についての事だよ」
「未来って?」
「未来は未来だよ。悪魔たちがよからぬ事を考えていた場合、もしかしたらあたしたちはとんでもないしっぺ返しを喰らうんじゃねーかなと思ってさ」
「しっぺ返しって?」
「悪魔ってのはさぁ、人を落とすのが好きなんだよ。絶頂まで持ち上げてその後に地獄の底へと叩き落とす。それがあいつらのやり方なんだよ。残りの七割の願いを叶えた後に何をするかわかったもんじゃあねぇよ。それこそ人間の絶望した顔を見るためだけに隕石を落とすくらいはやるだろうぜ」
「隕石を?」
「恐竜が滅亡したのも隕石のせいだって話を聞いた事があるぜ……まぁ、悪魔どもからしたら人類を滅ぼすならば一番手っ取り早い手段だろうよ」
「……やめてよ、お姉ちゃん……人類が滅ぶだなんて」
「志恩、マヤの滅亡の予言は知っているよな?」
「う、うん」
「あれの予言の年は来年だぜ」
それを聞いて志恩は戦慄した。思えばゲームの期限は来年の12月ではなかっただろうか。志恩が真意に気が付いて青い顔をしたのを機に真紀子は志恩に持論を投げ掛けていく。
「あたしはさぁ思うんだ。こんな世界滅んじまってもいいんじゃあねぇのかなって」
「滅んでいいだなんて……そんな……」
「だって、そうだろ?人間なんて碌な生き物じゃねーぞ、考えてもみろよ、人間の歴史なんて戦争の繰り返しなんだぞ、どこの国も同じだ。例外なんてない」
「で、でも人間は反省ができる生き物だよ。反省して世界からーー」
「反省?その後も世界各地で戦争が起きてんじゃねーか、それだけじゃあない。公害はどうだ?人間が便利な生活をするためだけに汚ねぇガスを撒き散らして森を枯らしたり、山を切り開いたりしてるじゃねーか」
志恩は反論の余地がなくなったのか、押し黙ってしまった。それを見た真紀子は勝ち誇った様な表情を浮かべて話を続けていく。
「まぁ、戦争や公害もそうだが、一番の不義は道徳や正義だと思うぜ、あたしは」
「どうして?」
「だってよ、人間ってのは正義という大義名分を繰り出せばどんな悪事だって免罪符にできちまうからな、あいつはアバズレだ、あいつは最低の悪人だ、だがら家を漁って泥棒しても、真夜中に包丁持って追い掛けようとも全ての事は放免されちまう。相手は悪党なんだからな、何をしたって許されんだよ。志恩、お前の好きなヒーローたちだって例外じゃねーぞ」
「で、でもーー」
「あぁ、わかってる。後は宗教だな。宗教は人類全員が漬かっている悪質な麻薬だと思うぜ、宗教のために同じ人間同士がこうも残酷になれるって話をあたしは幾つも知ってる」
真紀子はそれを淡々と語り終えると、喉を潤すために黙って紅茶を飲み干す。
志恩は暫く紅茶と茶請けとを黙って見つめていたが、やがて決意を固めたのか大きく目を開いて自身の考えを述べていく。
「……確かに人間というのは問題があるかもしれない。けれど、それでも人は前に進む事ができる生き物なんだ。間違えもするし、残酷にだってなれる。けれど、反省して前に進める……それが人間のいいところなんだッ!ぼくは……ぼくはそんな人間を信じたいッ!それだけだよ」
真紀子はそれを聞いて暫くは黙っていたが、やがてすぐにパチパチと両手を叩いて志恩を褒め称えた。
「素晴らしい。素晴らしい。やっぱりお前はヒーローだよ、志恩。救いようのない外道の悪役を徹底的に倒きのめして困っている人を救うスーパーヒーローだ」
「お姉ちゃん……」
「やっぱり、お前はあたしの可愛い弟だよ。なんせお前が赤ん坊の頃から面倒を見てきたんだからな。ンで3歳くらいの頃から好きになったヒーロー番組を今でも見てるし、このゲームにだって殺し合いを止めるために参加してる。大したタマだよ。オメーは」
真紀子は立ち上がって志恩の額に優しく口付けを与える。どうやら志恩の意見を聞けて満足した事で議論は終焉を迎えたのだろう。真紀子は先程の表情を取り払って優しげな笑顔を浮かべていた。
「今夜はもう寝な、明日の朝にババアの元に帰してやる」
「お姉ちゃんは?」
「飯の後片付けと仕事の処理で今夜は徹夜だよ。だから、オメーはあの寝室を使いな」
真紀子はそう言って志恩の前から立ち去ろうとしたのだが、志恩はその真紀子を呼び止めた。
「そういえば、お姉ちゃんはどうして今回ぼくを攫ったの?」
「……今夜の事を伝えて、あんたと問答がしたかったつーのもあるけど、一番の悩みは塾で見せたあの暗い顔が気になってな、絶対にテストの点だけじゃねーだろ?」
志恩は答えない。
「……まぁ、いいや、どのみち明日の朝飯の席で聞く予定だったんだ。朝食の席ではその事について聞かせてもらうぜ」
真紀子はそう言って食器を持って台所に向かっていく。
言いたい事を言えて満足したためか、志恩にはその足取りがどこか軽く見えた。
「悪いが、志恩は借りていくぜ、そんな顔をするなよ。用が終わったらババアの元に帰してやるからよ」
真紀子は悪びれる事もなく言ってのけた。そのまま志恩を脇に抱いて真紀子は路地裏を後にした。
真紀子に脇に抱かれた志恩が目を覚ましたのは見知らぬベッドの上であった。
普段自分が使っているベッドとは対照的に寝心地の良いマットレスにシーツ、そして上等の掛け布団が掛かっていた。
志恩が辺りを見渡すと、部屋の中は驚くほどにものがなかった。強いていうのならば本棚が置いてあり、その中に難しそうな本が置いてある事くらいだろうか。
英語や中国語で書かれた難しそうな本以外では何やら仰々しい題名の付いた難しそうな本が並んでいる。姉の趣味だろうか。そんな事を考えていると、扉が開いて先程よりも楽なシャツにジーンズというラフな格好の姉が現れた。
「飯だぜ、食うか?」
姉の事だから断ったとしても連れて行くだろう。志恩は首を縦に動かして、真紀子の元へと付いていく。
食卓の上にあったのはトマトソースの掛かったパスタに小さなフランスパンの入ったグリーンサラダ。そしてインスタントのオニオンスープであった。
「志恩、あたしの作った料理好きだったよな?久し振りだぜ、遠慮する事はねぇよ、たっぷり食いな」
志恩は罪悪感に苛まれていたが、腹の虫が鳴り、無意識のうちに料理に手を伸ばしていた。
志恩がパスタを啜ると、口の中一杯にトマトの旨味が広がった。そればかりではない。麺の旨味も殺される事なく活かされていたのだ。姉はそこまで計算して料理したのだろう。
それからサラダ、スープの順番で食べ終え、最後に残ったパスタを平らげて夕食を食い終えた。
同時に真紀子が戦闘時の衣装に姿を変えた。だが、その割には武器も出さず、兜も姿を変えて早々に外したのである。
真紀子は軍服の姿で志恩の元へと近寄り、わざとらしく両手を後ろ手に組み、志恩にその姿を近付けていく。
真紀子はわざと自身の豊満な胸を志恩の体にあて、艶麗な彼女であるからこそ、その姿は本当に魅力的であった。
露骨な誘惑に志恩が頬を赤くしていると、真紀子はそんな弟の思惑を見切ったかの様に美しく細い手で志恩の頬を優しく撫でていく。
「お、お姉ちゃん……」
「ダメだ。あたしの側にいろ」
真紀子の桜色に染めた綺麗な唇は明らかに囁いていた。それから志恩の髪を優しく撫でていく。
骨抜きになって抵抗ができなくなってしまった志恩を抱えて先程のベッドに向かおうとした時だ。真紀子は心変わりがしたのか、志恩をそのまま椅子に座らせ、代わりに紅茶と茶請けの菓子が載ったお盆を持って現れた。
真紀子は軍服姿のまま志恩にお茶を淹れ、側にある菓子を勧める。
ジャムの入った外国製のクッキーであるので、志恩も初めて見るのだろう。クッキーを見て志恩は目を輝かせていた。
「食っていいぞ」
真紀子の許可を得て、志恩はクッキーを口にしていく。ジャムなどの甘味が口一杯に広がっていき、志恩を至福の時間へと誘っていったのである。
とろける様な甘さとはこのクッキーの事を指していうに違いない。
志恩がクッキーの美味さに酔っていると、真紀子が黙って紅茶を勧める。
「その後でこいつを飲んでみな」
志恩は黙って姉の言われるがままに紅茶を飲み干す。苦いはずの紅茶が上手く感じられたのだ。先に甘い菓子を口に入れる事で、その後に飲む紅茶の苦味が引き立つのである。
志恩が目を輝かせていると、向かい側に座る真紀子が真剣な顔を浮かべていた。
先程の揶揄う様な態度や言動は完全になりを潜ませていた。
志恩もそれを見て同じように真剣な顔を浮かべた。
「なぁ、志恩……お前は未来があるとでも思うのか?」
「お姉ちゃん……未来って?」
「未来は未来だよ、この国の……いいや、そんなチンケなもんじゃ測れない。あたしが言いたいのはこの世界の未来についての事だよ」
「未来って?」
「未来は未来だよ。悪魔たちがよからぬ事を考えていた場合、もしかしたらあたしたちはとんでもないしっぺ返しを喰らうんじゃねーかなと思ってさ」
「しっぺ返しって?」
「悪魔ってのはさぁ、人を落とすのが好きなんだよ。絶頂まで持ち上げてその後に地獄の底へと叩き落とす。それがあいつらのやり方なんだよ。残りの七割の願いを叶えた後に何をするかわかったもんじゃあねぇよ。それこそ人間の絶望した顔を見るためだけに隕石を落とすくらいはやるだろうぜ」
「隕石を?」
「恐竜が滅亡したのも隕石のせいだって話を聞いた事があるぜ……まぁ、悪魔どもからしたら人類を滅ぼすならば一番手っ取り早い手段だろうよ」
「……やめてよ、お姉ちゃん……人類が滅ぶだなんて」
「志恩、マヤの滅亡の予言は知っているよな?」
「う、うん」
「あれの予言の年は来年だぜ」
それを聞いて志恩は戦慄した。思えばゲームの期限は来年の12月ではなかっただろうか。志恩が真意に気が付いて青い顔をしたのを機に真紀子は志恩に持論を投げ掛けていく。
「あたしはさぁ思うんだ。こんな世界滅んじまってもいいんじゃあねぇのかなって」
「滅んでいいだなんて……そんな……」
「だって、そうだろ?人間なんて碌な生き物じゃねーぞ、考えてもみろよ、人間の歴史なんて戦争の繰り返しなんだぞ、どこの国も同じだ。例外なんてない」
「で、でも人間は反省ができる生き物だよ。反省して世界からーー」
「反省?その後も世界各地で戦争が起きてんじゃねーか、それだけじゃあない。公害はどうだ?人間が便利な生活をするためだけに汚ねぇガスを撒き散らして森を枯らしたり、山を切り開いたりしてるじゃねーか」
志恩は反論の余地がなくなったのか、押し黙ってしまった。それを見た真紀子は勝ち誇った様な表情を浮かべて話を続けていく。
「まぁ、戦争や公害もそうだが、一番の不義は道徳や正義だと思うぜ、あたしは」
「どうして?」
「だってよ、人間ってのは正義という大義名分を繰り出せばどんな悪事だって免罪符にできちまうからな、あいつはアバズレだ、あいつは最低の悪人だ、だがら家を漁って泥棒しても、真夜中に包丁持って追い掛けようとも全ての事は放免されちまう。相手は悪党なんだからな、何をしたって許されんだよ。志恩、お前の好きなヒーローたちだって例外じゃねーぞ」
「で、でもーー」
「あぁ、わかってる。後は宗教だな。宗教は人類全員が漬かっている悪質な麻薬だと思うぜ、宗教のために同じ人間同士がこうも残酷になれるって話をあたしは幾つも知ってる」
真紀子はそれを淡々と語り終えると、喉を潤すために黙って紅茶を飲み干す。
志恩は暫く紅茶と茶請けとを黙って見つめていたが、やがて決意を固めたのか大きく目を開いて自身の考えを述べていく。
「……確かに人間というのは問題があるかもしれない。けれど、それでも人は前に進む事ができる生き物なんだ。間違えもするし、残酷にだってなれる。けれど、反省して前に進める……それが人間のいいところなんだッ!ぼくは……ぼくはそんな人間を信じたいッ!それだけだよ」
真紀子はそれを聞いて暫くは黙っていたが、やがてすぐにパチパチと両手を叩いて志恩を褒め称えた。
「素晴らしい。素晴らしい。やっぱりお前はヒーローだよ、志恩。救いようのない外道の悪役を徹底的に倒きのめして困っている人を救うスーパーヒーローだ」
「お姉ちゃん……」
「やっぱり、お前はあたしの可愛い弟だよ。なんせお前が赤ん坊の頃から面倒を見てきたんだからな。ンで3歳くらいの頃から好きになったヒーロー番組を今でも見てるし、このゲームにだって殺し合いを止めるために参加してる。大したタマだよ。オメーは」
真紀子は立ち上がって志恩の額に優しく口付けを与える。どうやら志恩の意見を聞けて満足した事で議論は終焉を迎えたのだろう。真紀子は先程の表情を取り払って優しげな笑顔を浮かべていた。
「今夜はもう寝な、明日の朝にババアの元に帰してやる」
「お姉ちゃんは?」
「飯の後片付けと仕事の処理で今夜は徹夜だよ。だから、オメーはあの寝室を使いな」
真紀子はそう言って志恩の前から立ち去ろうとしたのだが、志恩はその真紀子を呼び止めた。
「そういえば、お姉ちゃんはどうして今回ぼくを攫ったの?」
「……今夜の事を伝えて、あんたと問答がしたかったつーのもあるけど、一番の悩みは塾で見せたあの暗い顔が気になってな、絶対にテストの点だけじゃねーだろ?」
志恩は答えない。
「……まぁ、いいや、どのみち明日の朝飯の席で聞く予定だったんだ。朝食の席ではその事について聞かせてもらうぜ」
真紀子はそう言って食器を持って台所に向かっていく。
言いたい事を言えて満足したためか、志恩にはその足取りがどこか軽く見えた。
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