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復讐鬼は静かに現れた
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「ほぅ、よもや報酬をつっけ返されなさるとは……子連れの魔獣討伐士ともあろう方が約束を違えようとはな……用意した金貨五百枚では不足という事かな?」
「そうではありませぬ。私があなた様から受け取った金貨をわざわざ突っ返した仔細はある人物をこの私の報酬と引き換えに救ってほしいからでございまする」
「ほぅ、その人物とは誰の事じゃ?」
伯爵が興味深そうに尋ねた。
「伯爵閣下の御令嬢、キャサリン様の思い人、ティミー・ラムボルトンなる人物にございます」
するとその言葉を聞いた途端に伯爵はそれまでの表情を引っ込め、代わりに顔に眉間に皺を寄せ、アイリーンが机の上に置いた金貨の袋を乱暴に突き返す。
「報酬じゃ受け取れ」
「受け取れませぬ。その金はティミーをお離しになるための代金でございますので!」
「お主もわからぬ奴じゃ!」
自分の言い分が通らないとなると、伯爵はそのまま怒りに任せて地面の上に金貨の入った袋を乱暴に叩き付けていく。
どうやら短気な性格は父娘共通であるらしい。
腕に愛娘を抱えたアイリーンは地面の上に落ちた金貨を見つめながらそう思っていた。
アイリーンが親子の似た部分を密かに笑っているのとは対照的に伯爵は密かに怒りから覚め、アイリーンが腕の中に抱える娘を見て、その異様な姿に恐怖心を抱いていたのである。
普通の幼児ならば自分の激昂した瞬間の時の声や態度の変わりようで怯える筈なのだ。だが元王女のシャルロッテは怯えるどころか、自分を品定めでもしているかのようにじっと見つめているではないか。
そんな思いに駆られ、恐怖心に全身を囚われた伯爵は居た堪れなくなり、慌ててその場から去ろうとしたまさにその時である。
まるで天が伯爵の心が動揺した時を狙ったかのように老齢の執事が伯爵にとっての悪いニュースを持って飛び込んできたのであった。
「た、大変でございます!閣下!再開した鉱山開発の事業についてのお話なのですが、現場の人間による報告によると、頑強な岩が開発の邪魔を行なっており、これ以上の採掘は難しいとの事でございます!」
「な、なにぃ!あの開発には我がクラウス家の財産の殆どを注ぎ込んでおるのだ!その岩盤を取り除く方法はないのか?」
この時、伯爵は威厳を持って接しようとしたのだが、それでも動揺はどう取り繕うとも覆い隠せぬものであるらしい。
執事に突き付ける人差し指がプルプルと弱々しく震えていた。
普段は見せない主人の態度を見たためか、執事も思わず言葉を震わせた。
「そ、そのお気を確かに……」
「いらぬお世話じゃ!それで……何か妙案はないのか!?」
「……あ、あるにはあるのでございますが……」
老齢の執事は主人に対してその事が言いにくいのか、口をモゴモゴと動かしながら小さな声で答えようとしたが、逆にその動作が伯爵の神経を逆撫でし、それまでの動揺を怒りで塗り替えてしまったといってもいいだろう。
伯爵は近くの机を勢いよく叩き、執事に対して血走った目で睨みながら低い声で尋ねた。
「はよう申さぬかッ!」
今の執事にとっては修羅を思わせるような主人に対して執事は両肩を震わせながら答えた。
「じ、実はドワーフの親方どもに強力な爆薬を頼めば、破壊も可能ではあるという事が判明しておるのですが……」
「なんじゃ!金か、金ならばよいッ!金ならばいくらでもーー」
「その爆薬を生成するためには金貨五百枚ほどが足りませぬ。ですが、現在の当家は徴税日の前日でして、金庫内は苦しい状況でーー」
「ええい!?たかだか金貨五百枚ではないか!待ってもらう事は叶わぬのか?」
「……それが、ドワーフの者ども期日には五月蝿うございまして……もしクラウス伯爵家が期日を過ぎれば他の者を優先すると……」
伯爵はそのまま怒りに任せて、罪のない机を強く何度も叩いていく。
机が揺れ動き、老齢の執事は主人のいつもの癇癪が起こしたのだと合点して、腰を抜かしてしまったのだが、カンタベルト母娘はすっかりと怯え切っている老齢の執事とは対照的に平然とその様子を見つめていた。
二人が平然と眺めている事が面白くなかったのか、伯爵はより一層強く机を叩き、老齢の執事は慌ただしく部屋の中を歩き回っていく。
執事が頭を抱えて歩き回っていた時だ。ふと足下を眺めた際に先程の押し問答の暁に地面の上にこぼれた金貨が目に止まった。
ここに落ちている金貨の枚数は記憶が正しければ金貨五百枚。
ちょうど、不足している金額と同額ではないか。これで不足分を賄えば、鉱山の開発が上手くいくのではないか。
執事は思わず生唾を飲み込む。
伯爵も執事と同じ感情を抱いたらしい。先程から机を叩きつつも、その目は床にばら撒かれた金貨に釘付けになっていた。
それまでの事を考えておきながら伯爵の心中にあったのは意地であった。
伯爵からすればあれ程の事を言っておきながら、今更その金を戻してくれなどというのは些か見聞が悪い。
それに、こんな所でこの金を懐に収め、娘を狙うラム酒の工房の息子を解放するというのも癪なのだ。
それでも伯爵が意地に囚われないの頭の中で蠢くのは『破滅』という縁起でもない言葉があるからだろう。
というのも、鉱山開発が上手くいかなければ破産という結末が訪れ、そのまま貴族の資格なしと国から貴族の身分を剥奪される事も想像に難くない。
こんな時に真横に立って居る二人の母娘がニヤニヤと意地の悪い笑みでも浮かべてくれていたのならば、それに反発して金を受け取らない事もできたかもしれない。
だが、二人は何も言わない。置物か何かのように見つめているだけだ。
つまり、決めるのは自分だけであると主張したいのだろう。
伯爵は悩みに悩み抜いた末に貴族である事を選んだ。
彼は男泣きをしながら五百枚の金貨を慌てて床から拾い集め、集まった金貨を乱暴に執事へと突き出す。
「これで、ティミー・ラムボルトンを解放させていただけますか?」
アイリーンは金貨の入った袋を抱えた執事が部屋から出ていくのと同時に伯爵に再確認を行う。
「……勝手に連れて行け」
伯爵は投げやり気味に言った。
ティミーは屋敷の地下牢に繋がれており、既にボロボロの身であったが、母娘の手引きにより外へと連れ出されるのと同時にようやくその元気を取り戻したらしい。
そして、そのままカンタベルト母娘に連れられて恋人のキャサリンと再開したのだった。
二人して抱き合う姿を見つめた後に、彼女は我が子を連れて何も言わずに立ち去ろうとした時だ。
背後から感謝の声が聞こえてくる。
アイリーンはその言葉に一瞬だけ、口元を微笑の型に歪めた後に振り返って言った。
「おめでとうございます。後はあなたのお父様にお酒を渡すだけですね」
「ええ、ですが、伯爵様のお酒など、私のお金では……」
「キャサリン嬢の事をお忘れですか?」
その事を聞いて、ハッと息を呑むのはキャサリン。
彼女はティミーと仲良さそうに腕を組みながら、太陽のような眩しい笑顔を浮かべながらワインセラーへと向かっていく。
仲の良い二人の姿を見ながら、アイリーンは安堵の笑みを密かに零す。
今の伯爵の後にキャサリン。もしくはティミーが婿養子となって、伯爵となり、領地を継げばいいものになるだろう。
キャサリンはじゃじゃ馬ではあるものの、頭の切れる女性だ。手引きの際に聞いたのだが、どうやら鉱山の開発にかかるための不足分の話の事を老齢の執事に教えたのは彼女なのだ。
なんでも、お忍びで屋敷から抜け出した時に街を離れ、中止になった鉱山の近くに行った時にその情報を仕入れたらしい。
他にも二人でラム酒の工房とやらを受け継いで酒造りの職人となるのも悪くはないのではないだろうか。
領地を受け継ぐのと同様で、これも二人ならば大丈夫だろう。
少なくとも、愛に狂って政道を無視し、暴走する元夫とその元夫に近寄り、聖女様と称されてチヤホヤとされて調子に乗って居るエリスなる女と比べればずっとマシな夫婦になるに違いない。
アイリーンは笑い合う二人の若い恋人の姿を眺めながら、乳母車を押しながら、その地を去っていく。
「な、何用じゃ!何故にわしを狙うのか!?その理由を教えよ!」
盗賊の親玉と思われる黒い髭を顎と口元に生やした男は必死に剣を振るうのだが、その剣は成す術もなく、怪物の剣によって弾かれてしまう。
その怪物は通常の人間や亜人よりも低い背をしており、亀のような顔に亀の上半身を持っている上に亀の甲羅を背負っているのだ。そのくせ両足で人間のように立ち上がっているのだから性質が悪い。
その不気味な亀の怪物は盗賊の親玉を手に持つ大きな剣の一振りで冥界へと送り終えると、一人、夜の道の上で不敵な笑みを浮かべていく。
「フフ、この辺り一番の盗賊の親玉もこのザマとは情けない。もはや、この世にわしを殺せる者はおらぬだろう。フフ、首を洗って待っておるがよいぞ!必ずや、あの哀れなわしの弟の仇を討ってやろうではないか!」
勝利を確信した怪物は空の上に響き渡るかのようなけたたましい笑い声を上げながら夜の道を歩んでいく。
「そうではありませぬ。私があなた様から受け取った金貨をわざわざ突っ返した仔細はある人物をこの私の報酬と引き換えに救ってほしいからでございまする」
「ほぅ、その人物とは誰の事じゃ?」
伯爵が興味深そうに尋ねた。
「伯爵閣下の御令嬢、キャサリン様の思い人、ティミー・ラムボルトンなる人物にございます」
するとその言葉を聞いた途端に伯爵はそれまでの表情を引っ込め、代わりに顔に眉間に皺を寄せ、アイリーンが机の上に置いた金貨の袋を乱暴に突き返す。
「報酬じゃ受け取れ」
「受け取れませぬ。その金はティミーをお離しになるための代金でございますので!」
「お主もわからぬ奴じゃ!」
自分の言い分が通らないとなると、伯爵はそのまま怒りに任せて地面の上に金貨の入った袋を乱暴に叩き付けていく。
どうやら短気な性格は父娘共通であるらしい。
腕に愛娘を抱えたアイリーンは地面の上に落ちた金貨を見つめながらそう思っていた。
アイリーンが親子の似た部分を密かに笑っているのとは対照的に伯爵は密かに怒りから覚め、アイリーンが腕の中に抱える娘を見て、その異様な姿に恐怖心を抱いていたのである。
普通の幼児ならば自分の激昂した瞬間の時の声や態度の変わりようで怯える筈なのだ。だが元王女のシャルロッテは怯えるどころか、自分を品定めでもしているかのようにじっと見つめているではないか。
そんな思いに駆られ、恐怖心に全身を囚われた伯爵は居た堪れなくなり、慌ててその場から去ろうとしたまさにその時である。
まるで天が伯爵の心が動揺した時を狙ったかのように老齢の執事が伯爵にとっての悪いニュースを持って飛び込んできたのであった。
「た、大変でございます!閣下!再開した鉱山開発の事業についてのお話なのですが、現場の人間による報告によると、頑強な岩が開発の邪魔を行なっており、これ以上の採掘は難しいとの事でございます!」
「な、なにぃ!あの開発には我がクラウス家の財産の殆どを注ぎ込んでおるのだ!その岩盤を取り除く方法はないのか?」
この時、伯爵は威厳を持って接しようとしたのだが、それでも動揺はどう取り繕うとも覆い隠せぬものであるらしい。
執事に突き付ける人差し指がプルプルと弱々しく震えていた。
普段は見せない主人の態度を見たためか、執事も思わず言葉を震わせた。
「そ、そのお気を確かに……」
「いらぬお世話じゃ!それで……何か妙案はないのか!?」
「……あ、あるにはあるのでございますが……」
老齢の執事は主人に対してその事が言いにくいのか、口をモゴモゴと動かしながら小さな声で答えようとしたが、逆にその動作が伯爵の神経を逆撫でし、それまでの動揺を怒りで塗り替えてしまったといってもいいだろう。
伯爵は近くの机を勢いよく叩き、執事に対して血走った目で睨みながら低い声で尋ねた。
「はよう申さぬかッ!」
今の執事にとっては修羅を思わせるような主人に対して執事は両肩を震わせながら答えた。
「じ、実はドワーフの親方どもに強力な爆薬を頼めば、破壊も可能ではあるという事が判明しておるのですが……」
「なんじゃ!金か、金ならばよいッ!金ならばいくらでもーー」
「その爆薬を生成するためには金貨五百枚ほどが足りませぬ。ですが、現在の当家は徴税日の前日でして、金庫内は苦しい状況でーー」
「ええい!?たかだか金貨五百枚ではないか!待ってもらう事は叶わぬのか?」
「……それが、ドワーフの者ども期日には五月蝿うございまして……もしクラウス伯爵家が期日を過ぎれば他の者を優先すると……」
伯爵はそのまま怒りに任せて、罪のない机を強く何度も叩いていく。
机が揺れ動き、老齢の執事は主人のいつもの癇癪が起こしたのだと合点して、腰を抜かしてしまったのだが、カンタベルト母娘はすっかりと怯え切っている老齢の執事とは対照的に平然とその様子を見つめていた。
二人が平然と眺めている事が面白くなかったのか、伯爵はより一層強く机を叩き、老齢の執事は慌ただしく部屋の中を歩き回っていく。
執事が頭を抱えて歩き回っていた時だ。ふと足下を眺めた際に先程の押し問答の暁に地面の上にこぼれた金貨が目に止まった。
ここに落ちている金貨の枚数は記憶が正しければ金貨五百枚。
ちょうど、不足している金額と同額ではないか。これで不足分を賄えば、鉱山の開発が上手くいくのではないか。
執事は思わず生唾を飲み込む。
伯爵も執事と同じ感情を抱いたらしい。先程から机を叩きつつも、その目は床にばら撒かれた金貨に釘付けになっていた。
それまでの事を考えておきながら伯爵の心中にあったのは意地であった。
伯爵からすればあれ程の事を言っておきながら、今更その金を戻してくれなどというのは些か見聞が悪い。
それに、こんな所でこの金を懐に収め、娘を狙うラム酒の工房の息子を解放するというのも癪なのだ。
それでも伯爵が意地に囚われないの頭の中で蠢くのは『破滅』という縁起でもない言葉があるからだろう。
というのも、鉱山開発が上手くいかなければ破産という結末が訪れ、そのまま貴族の資格なしと国から貴族の身分を剥奪される事も想像に難くない。
こんな時に真横に立って居る二人の母娘がニヤニヤと意地の悪い笑みでも浮かべてくれていたのならば、それに反発して金を受け取らない事もできたかもしれない。
だが、二人は何も言わない。置物か何かのように見つめているだけだ。
つまり、決めるのは自分だけであると主張したいのだろう。
伯爵は悩みに悩み抜いた末に貴族である事を選んだ。
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「これで、ティミー・ラムボルトンを解放させていただけますか?」
アイリーンは金貨の入った袋を抱えた執事が部屋から出ていくのと同時に伯爵に再確認を行う。
「……勝手に連れて行け」
伯爵は投げやり気味に言った。
ティミーは屋敷の地下牢に繋がれており、既にボロボロの身であったが、母娘の手引きにより外へと連れ出されるのと同時にようやくその元気を取り戻したらしい。
そして、そのままカンタベルト母娘に連れられて恋人のキャサリンと再開したのだった。
二人して抱き合う姿を見つめた後に、彼女は我が子を連れて何も言わずに立ち去ろうとした時だ。
背後から感謝の声が聞こえてくる。
アイリーンはその言葉に一瞬だけ、口元を微笑の型に歪めた後に振り返って言った。
「おめでとうございます。後はあなたのお父様にお酒を渡すだけですね」
「ええ、ですが、伯爵様のお酒など、私のお金では……」
「キャサリン嬢の事をお忘れですか?」
その事を聞いて、ハッと息を呑むのはキャサリン。
彼女はティミーと仲良さそうに腕を組みながら、太陽のような眩しい笑顔を浮かべながらワインセラーへと向かっていく。
仲の良い二人の姿を見ながら、アイリーンは安堵の笑みを密かに零す。
今の伯爵の後にキャサリン。もしくはティミーが婿養子となって、伯爵となり、領地を継げばいいものになるだろう。
キャサリンはじゃじゃ馬ではあるものの、頭の切れる女性だ。手引きの際に聞いたのだが、どうやら鉱山の開発にかかるための不足分の話の事を老齢の執事に教えたのは彼女なのだ。
なんでも、お忍びで屋敷から抜け出した時に街を離れ、中止になった鉱山の近くに行った時にその情報を仕入れたらしい。
他にも二人でラム酒の工房とやらを受け継いで酒造りの職人となるのも悪くはないのではないだろうか。
領地を受け継ぐのと同様で、これも二人ならば大丈夫だろう。
少なくとも、愛に狂って政道を無視し、暴走する元夫とその元夫に近寄り、聖女様と称されてチヤホヤとされて調子に乗って居るエリスなる女と比べればずっとマシな夫婦になるに違いない。
アイリーンは笑い合う二人の若い恋人の姿を眺めながら、乳母車を押しながら、その地を去っていく。
「な、何用じゃ!何故にわしを狙うのか!?その理由を教えよ!」
盗賊の親玉と思われる黒い髭を顎と口元に生やした男は必死に剣を振るうのだが、その剣は成す術もなく、怪物の剣によって弾かれてしまう。
その怪物は通常の人間や亜人よりも低い背をしており、亀のような顔に亀の上半身を持っている上に亀の甲羅を背負っているのだ。そのくせ両足で人間のように立ち上がっているのだから性質が悪い。
その不気味な亀の怪物は盗賊の親玉を手に持つ大きな剣の一振りで冥界へと送り終えると、一人、夜の道の上で不敵な笑みを浮かべていく。
「フフ、この辺り一番の盗賊の親玉もこのザマとは情けない。もはや、この世にわしを殺せる者はおらぬだろう。フフ、首を洗って待っておるがよいぞ!必ずや、あの哀れなわしの弟の仇を討ってやろうではないか!」
勝利を確信した怪物は空の上に響き渡るかのようなけたたましい笑い声を上げながら夜の道を歩んでいく。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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