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悪役令嬢の娘は遠国の皇子に求婚される
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「皇太子殿下ッ!それにソロモン皇子!この度はご足労いただきありがとうございます!」
メイソン・ルクセンベルク伯爵は顔に媚びるような笑顔を浮かべながらガラス工芸品の見学に現れた遠国の皇太子、ウィルフレッドとその息子であるソロモンを出迎えていた。
ウィルフレッドは若いながらも優秀な皇太子としてその聡明さは伯爵の住う王国にも聞き及ぶ所がある。その皇太子に気に入られれば損はないだろう。
ソロモンは幼いながらも父を尊敬し、そのなす事を学び取ろうとしていた努力の子とされ本国や外国での評判も高い。
明晰な頭脳もさる事ながら王族であるにも関わらず我儘など殆ど言わない事が人気を集めているとされている。
この年齢から我儘を言って敵を作らないという処世術を早くも身に付けている事からも彼の地頭の良さが伺えるだろう。
ウィルフレッドの次はソロモン。遠国の帝国の中では密かにそう位置付けられているらしい。
遠い国の噂であるのにも関わらず王国に住まう伯爵の耳にも届いているという事実が拍車をかけている。
伯爵としてはこのガラス工芸品を遠国の皇太子と皇子に気に入ってもらい、領内のガラス工芸品に伯を付ける事にあるが、和かに会談を行う二人の様子を見るにその目論みが上手く達せられる可能性は高い。
伯爵は貴族にあるまじき揉み手を行いながら二人の接待を行なっていく。
伯爵の屋敷は長方形の形となっており、その周りを守るように高い塀が囲っている。
これだけを見れば他の貴族の屋敷と変わらないが、あえて比較させるのならば、屋敷の二階から周りの景色が一望できる点にあるだろう。
お陰でこの部屋から眺める事のできる街の全体像や街の人々が行き交う様子が見れる事は客人を通す際に自身の力を誇示するための伯爵自身のステータスのようなものとなっていた。
和かに自身の力をアピールしている中に伯爵の中にある不安がよぎった。最近頻繁に出没する武装したゴブリンたちの存在である。
このゴブリンたちは近頃現れては、伯爵の領地を襲う厄介な集団と化していた。
そればかりではない。意図的に工房ばかりを狙っているらしく、お陰で領内の工房の周りには兵士をつけざるを得ない。
よもや、兵士とゴブリンとが工房を巡って熾烈な戦いを繰り広げている様など遠国の皇太子とその息子には見せられるものではない。
だから伯爵は来賓の訪問の前に腕利きの魔物狩人を雇っていたのだ。
世間からの噂を聞くに彼女は魔獣討伐師としての評判よりも、ゴシップ誌の影響のために稀代の悪女という評判の方が随分多い。
実際、伯爵もそれに引っ張られて彼女の仕事ぶりを見てみるまでは悪女としての印象の方が強かった。
だが屋敷の外で討伐の依頼を話す際にたまたま襲ってきたゴブリンたちを一瞬にして倒した手腕を見て彼女の腕を信用し、金貨五百枚という大金を渡してゴブリン退治を任せる事にしたのだ。
周辺のゴブリンは討伐できたのか今日のところはゴブリンたちは姿を見せていない。
このまま二人がいる間は姿を現さないでくれればいいのだから……。
今のところ、伯爵は願う事しかできなかった。
「クソッ!あの女!何者だ!」
リーダー格と思われる白銀の鎧を纏った大柄な体型のゴブリンが寝ぐらと思われる山小屋の中で忌々しげに呟く。
片手にはワインを入れた瓶。その真横には未開封、目の前には飲み干したと思われるワインの瓶が無造作に転がっていた。
彼は片手に持っていたワインが尽きたかと思うと慌てて真横に置いてあった未開封の瓶へと手を出す。
襲撃の失敗を忘れたい。そのためにアルコールを絶えずに杯へと継ぎ足していく。
彼がいよいよアルコールに溺れていた時だ。普段はゴブリンしか足を踏み入れない自身の家の中に二体のオークが足を踏み入れたではないか。
オークの片方は頬に傷を持っており、もう片方はオークとは思えぬほどに利己的な顔をしている。
おまけに二人は本来ならばオークが名乗れないはずの名前を名乗ったではないか。
傷のある方がライアン。利己的方に見える方がミカエルというらしい。
両者は自己紹介を終えるとミカエルの方がゴブリンの親玉へと近付き、その手に持っていたワインの入った瓶を取り上げる。
「な、なにをするか!?」
「お主、今の自分を顧みて、虚しくはならぬのか?」
「今の自分?」
「左様、そのように負けた負けたと子供のように喚いて、酒を浴びている今のお主の現状の事じゃ。頭がそのようでは体はいずれ腐り落ちて崩れてしまおうぞ」
ミカエルのあからさまな挑発に親玉の堪忍袋の尾は完全に切れてしまったらしい。両頬をまだら赤く染めていく。
「おのれッ!愚弄するかッ!」
そして、典型的な悪役の捨て台詞のような台詞を吐いてから、ゴブリンの親玉は地面の上に無造作に置いていた自身の愛刀を手に取ると、そのまま両名に斬り掛かっていく。
だ、両名は武器を抜く事すらせずに足を突き出すだけで親玉の自由を奪い取ってしまう。
ゴブリンの親玉は小屋の地面の上に派手に横転して、顔を地面の上に打ち付けて痛みと屈辱のために彼は両目から大きな涙を溢す。
這々の体で這い上がりながら、親玉は頭を抱えていく。
「おのれッ!どうしてだ……」
「わからぬか?それが今のお主の実力であるからだ。だがお主はここら一帯に出没するゴブリンどものまとめ役……腐っても馳走よ。知っておるか?食物の腐りは魔法をかける事で元に食物に戻す事ができると……」
「……何が言いたい?」
ゴブリンの頭が鋭い目で両者を睨む。
「おれとミカエルがお主という馳走から腐りを取り除く魔法となってやろうというのだ」
ライアンのその言葉を聞いてゴブリンの親玉は途方もない安心を得た。
まるで、鉄壁の壁に囲まれた部屋の中に存在する心地の良いベッドの上で眠っているかのような安心を。
「ここで、あなたと出会ったのも運命です。よければ、ぼくと結婚してください」
ソロモン皇子は跪きながら少女の小さな手をとり、その甲に優しげな口付けを与える。
その様は昔の古い童謡の挿絵に出てくる殆どの人間が憧れとする王子の姿を思い起こさせたが、この場に居た全員がそれを見ても見惚れはしない。それどころか皆あたふたとするばかりである。
なにせ、今この物語のような場面が繰り返されている要因が現実に現れた経緯というのが工房の老婦人が預かっている三歳の娘に王子が一目惚れしてしまっているというものに由来するからだ。
誰もが氷のように固まって動けないと思われていた場面であったが、その中でも真っ先に氷を溶かしたのはその三歳の娘を預かっている老婦人である。
「お、お待ちくだされ、皇子!その子はわしらの子ではなく、お預かりしているお子なのです!その子の親が戻るまではお待ちいただけませぬか?」
ソロモンは少しばかり不服そうな様子ではあったが、父同様の聡明さで知られているので、他の愚かな貴族の例とは大きく異なったらしい。
「わかった」と一言だけ告げて、その日は工房を後にした。
ソロモンが部下と共に去っていくのを見て、老婦人はホッと胸を撫で下ろす。
というのも、あの腕利きの魔獣討伐師から預かったシャルロッテにもしもの事があれば、死んでも死に切れないからだ。
メイソン・ルクセンベルク伯爵は顔に媚びるような笑顔を浮かべながらガラス工芸品の見学に現れた遠国の皇太子、ウィルフレッドとその息子であるソロモンを出迎えていた。
ウィルフレッドは若いながらも優秀な皇太子としてその聡明さは伯爵の住う王国にも聞き及ぶ所がある。その皇太子に気に入られれば損はないだろう。
ソロモンは幼いながらも父を尊敬し、そのなす事を学び取ろうとしていた努力の子とされ本国や外国での評判も高い。
明晰な頭脳もさる事ながら王族であるにも関わらず我儘など殆ど言わない事が人気を集めているとされている。
この年齢から我儘を言って敵を作らないという処世術を早くも身に付けている事からも彼の地頭の良さが伺えるだろう。
ウィルフレッドの次はソロモン。遠国の帝国の中では密かにそう位置付けられているらしい。
遠い国の噂であるのにも関わらず王国に住まう伯爵の耳にも届いているという事実が拍車をかけている。
伯爵としてはこのガラス工芸品を遠国の皇太子と皇子に気に入ってもらい、領内のガラス工芸品に伯を付ける事にあるが、和かに会談を行う二人の様子を見るにその目論みが上手く達せられる可能性は高い。
伯爵は貴族にあるまじき揉み手を行いながら二人の接待を行なっていく。
伯爵の屋敷は長方形の形となっており、その周りを守るように高い塀が囲っている。
これだけを見れば他の貴族の屋敷と変わらないが、あえて比較させるのならば、屋敷の二階から周りの景色が一望できる点にあるだろう。
お陰でこの部屋から眺める事のできる街の全体像や街の人々が行き交う様子が見れる事は客人を通す際に自身の力を誇示するための伯爵自身のステータスのようなものとなっていた。
和かに自身の力をアピールしている中に伯爵の中にある不安がよぎった。最近頻繁に出没する武装したゴブリンたちの存在である。
このゴブリンたちは近頃現れては、伯爵の領地を襲う厄介な集団と化していた。
そればかりではない。意図的に工房ばかりを狙っているらしく、お陰で領内の工房の周りには兵士をつけざるを得ない。
よもや、兵士とゴブリンとが工房を巡って熾烈な戦いを繰り広げている様など遠国の皇太子とその息子には見せられるものではない。
だから伯爵は来賓の訪問の前に腕利きの魔物狩人を雇っていたのだ。
世間からの噂を聞くに彼女は魔獣討伐師としての評判よりも、ゴシップ誌の影響のために稀代の悪女という評判の方が随分多い。
実際、伯爵もそれに引っ張られて彼女の仕事ぶりを見てみるまでは悪女としての印象の方が強かった。
だが屋敷の外で討伐の依頼を話す際にたまたま襲ってきたゴブリンたちを一瞬にして倒した手腕を見て彼女の腕を信用し、金貨五百枚という大金を渡してゴブリン退治を任せる事にしたのだ。
周辺のゴブリンは討伐できたのか今日のところはゴブリンたちは姿を見せていない。
このまま二人がいる間は姿を現さないでくれればいいのだから……。
今のところ、伯爵は願う事しかできなかった。
「クソッ!あの女!何者だ!」
リーダー格と思われる白銀の鎧を纏った大柄な体型のゴブリンが寝ぐらと思われる山小屋の中で忌々しげに呟く。
片手にはワインを入れた瓶。その真横には未開封、目の前には飲み干したと思われるワインの瓶が無造作に転がっていた。
彼は片手に持っていたワインが尽きたかと思うと慌てて真横に置いてあった未開封の瓶へと手を出す。
襲撃の失敗を忘れたい。そのためにアルコールを絶えずに杯へと継ぎ足していく。
彼がいよいよアルコールに溺れていた時だ。普段はゴブリンしか足を踏み入れない自身の家の中に二体のオークが足を踏み入れたではないか。
オークの片方は頬に傷を持っており、もう片方はオークとは思えぬほどに利己的な顔をしている。
おまけに二人は本来ならばオークが名乗れないはずの名前を名乗ったではないか。
傷のある方がライアン。利己的方に見える方がミカエルというらしい。
両者は自己紹介を終えるとミカエルの方がゴブリンの親玉へと近付き、その手に持っていたワインの入った瓶を取り上げる。
「な、なにをするか!?」
「お主、今の自分を顧みて、虚しくはならぬのか?」
「今の自分?」
「左様、そのように負けた負けたと子供のように喚いて、酒を浴びている今のお主の現状の事じゃ。頭がそのようでは体はいずれ腐り落ちて崩れてしまおうぞ」
ミカエルのあからさまな挑発に親玉の堪忍袋の尾は完全に切れてしまったらしい。両頬をまだら赤く染めていく。
「おのれッ!愚弄するかッ!」
そして、典型的な悪役の捨て台詞のような台詞を吐いてから、ゴブリンの親玉は地面の上に無造作に置いていた自身の愛刀を手に取ると、そのまま両名に斬り掛かっていく。
だ、両名は武器を抜く事すらせずに足を突き出すだけで親玉の自由を奪い取ってしまう。
ゴブリンの親玉は小屋の地面の上に派手に横転して、顔を地面の上に打ち付けて痛みと屈辱のために彼は両目から大きな涙を溢す。
這々の体で這い上がりながら、親玉は頭を抱えていく。
「おのれッ!どうしてだ……」
「わからぬか?それが今のお主の実力であるからだ。だがお主はここら一帯に出没するゴブリンどものまとめ役……腐っても馳走よ。知っておるか?食物の腐りは魔法をかける事で元に食物に戻す事ができると……」
「……何が言いたい?」
ゴブリンの頭が鋭い目で両者を睨む。
「おれとミカエルがお主という馳走から腐りを取り除く魔法となってやろうというのだ」
ライアンのその言葉を聞いてゴブリンの親玉は途方もない安心を得た。
まるで、鉄壁の壁に囲まれた部屋の中に存在する心地の良いベッドの上で眠っているかのような安心を。
「ここで、あなたと出会ったのも運命です。よければ、ぼくと結婚してください」
ソロモン皇子は跪きながら少女の小さな手をとり、その甲に優しげな口付けを与える。
その様は昔の古い童謡の挿絵に出てくる殆どの人間が憧れとする王子の姿を思い起こさせたが、この場に居た全員がそれを見ても見惚れはしない。それどころか皆あたふたとするばかりである。
なにせ、今この物語のような場面が繰り返されている要因が現実に現れた経緯というのが工房の老婦人が預かっている三歳の娘に王子が一目惚れしてしまっているというものに由来するからだ。
誰もが氷のように固まって動けないと思われていた場面であったが、その中でも真っ先に氷を溶かしたのはその三歳の娘を預かっている老婦人である。
「お、お待ちくだされ、皇子!その子はわしらの子ではなく、お預かりしているお子なのです!その子の親が戻るまではお待ちいただけませぬか?」
ソロモンは少しばかり不服そうな様子ではあったが、父同様の聡明さで知られているので、他の愚かな貴族の例とは大きく異なったらしい。
「わかった」と一言だけ告げて、その日は工房を後にした。
ソロモンが部下と共に去っていくのを見て、老婦人はホッと胸を撫で下ろす。
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