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怪物退治の作法
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面食らったのは男の方である。なにせ、稀代の悪女とされる女が世間で知られる母親のように自身の娘をあやしに向かったからである。
この隙を突けば、あの女は直ぐにでも葬る事ができるだろう。
だが、男の冒険者としてのプライドか、あるいは心の底にある僅かな道徳心がそれを許さない。剣を持つ手が震えて、子供をあやす母親を殺す事に躊躇いを感じてしまうのだ。
彼の仲間も同じ感情を抱いたらしい。
目の前の光景を前に、男と同様に手を出すのを自分同様躊躇っているらしい。
微かな道徳心やしようのないプライドを頭から無理矢理に引き離し動こうと思っていても、手が震えてしまい頭の指示を聞こうとしない。下唇を噛み締めていると、女児の泣く声が止む。
男が正気に戻ったのはアイリーンが剣を携えてこちらに戻ってきた時だ。
彼女は律儀に頭を下げて、戦闘の最中に関わらず娘をあやしていた自分の非礼を詫びた。
男は彼女が頭を下げたという事実に対し、自分に降伏をしたと錯覚した。
降伏したという幻想のために、アイリーンが頭を下げた際に話していた言葉が耳に入らなかったらしい。
彼は万事解決かと思い込み浮かれていたので、頭を上げた彼女が再び剣を鞘から抜こうとしていた事には驚きを隠しえなかった。
勘違いのために既に戦意を失っていた男はあくまでも戦意を向ける彼女を慌てて引き止めていく。
彼女は意表を突かれたらしく、思わず両眉を上げる。
「どういう事ですか?」
「待ってくれ、おれたちはあんたの事を誤解していたらしい。あんたは稀代の悪女で、この国を災禍に導こうとしていたどうしようもない悪人だと思ってた。だが、さっきのあんたの姿を見て、おれは自分が誤解していた事に気が付いた」
男はそう言うと、武器を下ろして地面の上に膝を突く。
そこに無邪気な笑顔を浮かべて、アイリーンの愛娘であるシャルロッテが彼の頭を撫でていくではないか。
それが引き金となり、男の冒険者の涙を溜める堤防というのは完全に崩壊してしまったらしい。
大きな声で泣き叫び、地面の上に突っ伏す。
涙が枯れんばかりの勢いで泣いた後に彼はシャルロッテを強く抱き締めていく。
そして、立ち上がり、アイリーンとシャルロッテの両名に改めて先程の非礼を詫びる事になった。
謝罪が済み、少し打ち解けると、似たような職に就いているためか、二人の話題は自然と、例の怪物の話題となった。
「あんたがあの怪物を始末する事はない!おれや仲間に任せておけ!」
「いいえ、これは私が引き受けた依頼ですので、助太刀は無用です」
「いいや、あんたが死ぬとこの子も死ぬんだぞ!あんたはこの子を一人ぼっちにするつもりか!?」
男の激昂する声に二人の仲間たちも同調の声を述べていく。
だが、彼女は表情を変えることも無く淡々とした調子で答えた。
「……それが宿命とあらば」
「あんた、それでもーー」
更に食ってかかろうとする冒険者に対し、アイリーンは氷のように冷たい視線を向ける。
畏怖を感じた三人が黙るのを確認し、先程と同じ口調で続けた。
「我ら親子は一蓮托生、修羅の道を歩む者であり、互いにその事をわかっております。ですので、ご遠慮願います」
彼女はそういうと、すっかりと眠っているシャルロッテをベッドの上に寝かせ、三人に帰るように進める。
納得がいかないのは部屋を追い出された三人である。
「ブロンテ様!ここはあの子を助け出すべきでは!?」
「そうです!あんな酷い人に育てられるあの子が不憫でならないわ!」
「落ち着け、今我らが動いたところで、なんにもできん」
ブロンテはそう言って仲間を咎めつつも、頭の中では見えない算盤を使って既にアイリーンからシャルロッテを救い出す方法を弾いていた。
全ては翌朝になれば決まるだろう。ブロンテは遺憾に思いつつも床に就いた。
翌朝、朝食を摂りにカウンターへと向かうと、そこには朝食を済ませ魔獣退治の任務へと向かうアイリーンの姿が見えた。
乳母車を押しながら、任務へと向かう姿は歴戦の勇士を思い起こさせた。
剣を腰に下げて、黙々と乳母車を押す姿はベテランの戦士にしか見えないのだ。
ベテランの戦士という空気が漂っているためか、ゴトゴトと乳母車の車輪の音が響く中、ブロンテたち冒険者は見送る事しかできなかった。
乳母車と魔獣討伐師が依頼された森の中に着いたのはその日の午後の事。
アイリーンは腰に下げている剣を鞘から抜き、辺りを警戒する。
彼女の耳は足音ではなく、這いずる音を警戒していた。話によれば足がないはずだから、地面を這いずるのであろうと踏んだのである。
誰に教わったわけでもない。長年父から仕込まれた魔獣討伐師としての勘というものが彼女をその思考へと至らせたのだ。
彼女の警戒が功を奏したのか、真横からズルズルと不快感を感じる音が響き渡っていく。耳の情報が正しければ、音の方向は真下。彼女は音のする方に向かって躊躇う事なく剣を振り下ろす。
かつて『聖女』とされた彼女は悪霊や魔獣を浄化する光の魔法の作用が働くのだ。
それが彼女から振り下ろされた剣に秘められていたのだから、餌だと思って迫ってきた怪物ーーベンシルからすればたまったものではない。
切られた直後から一体のベンシルは光に包まれ、浄化の作用もあり、見苦しい姿を見せることもなく文字通りの消滅を果たす。
あのベンシルが天国の階段を登ったのか、地獄の門をくぐったのかはわからない。
彼女は剣を引くと、辺りを警戒する。
すると、辺り一帯を這いずる音が聞こえた。その数は音から察するに四十程。
察するに、最初の一体目は偵察や斥候といったところだろうか。
だが、案ずる事はない。冷静になり、迎え撃てばいいだけの事である。
アイリーンは黙って両手で剣を握り締めた。
彼女が振るう剣は弧を描き、自身に向かって襲い掛かってくる怪物たちを斬って捨てていく。
共に襲った同胞の半数を斬って捨てられた怪物たちは彼女を狙うのは難しいと判断したらしい。
多くのベンシルはそのまま真上から乳母車の中のシャルロッテへと襲い掛かっていく。
だが、乳母車には魔を防ぐ光の魔法が張られている。それは、透明の光の膜、魔物や魔獣の攻撃のみを撃退する彼女の使う光魔法の応用技ともされるバリア。
彼女が使用するバリアの素晴らしいところは守るだけではない事だ。乳母車に貼られた光の膜のあちこちから光の弾丸が生み出され、真上から襲い掛かってくる怪物たちを浄化していく。乳母車から無差別に放たれていく光弾とアイリーンの剣のために、二体を残してこの辺りに出現した怪物たちは全滅してしまったらしい。
城塞のような防備を施した乳母車や完璧な剣技と魔法を用いて戦うアイリーンの姿に絶望を感じた事、それ以上に多くの仲間を失った事に対する衝撃のようなものを感じたのだろう。
二匹の魔物たちはそれ以上の攻撃を諦め、森の中へと戻っていこうと試みる。
だが、それはアイリーンが許さない。
彼女は地面を蹴って大きく飛び上がり、退却をする怪物たちの前へと立ち塞がる。
残った怪物が倒されるのも時間の問題であった。
一体が光の魔法により浄化され、怪物の恐怖の心は頂点に達した。
慌てて地面を這いながら、巣へと戻っていく。
アイリーンはそれを乳母車を押しながら追撃に向かう。
怪物の巣は森の大木の幹の下であったらしい。文字通り、這々の体で戻った怪物は巣の中へと潜り込む。
彼女が大木の幹の下を覗き込むと、そこに居たのは逃げた一匹だけである。
それには躊躇う事なく剣先を突き刺す。
剣先に突き刺さった怪物は串に刺さった肉のようであったが、光の魔法が作動すると、そのまま何も残さずにこの世から消え去ってしまう。
アイリーンは全滅を確認すると、振り返る事なく剣を鞘に収め、乳母車を押しながら元来た道を戻っていく。
後ほど、駆け付けたブロンテたちによれば『そこには何もなかった』という事である。
この隙を突けば、あの女は直ぐにでも葬る事ができるだろう。
だが、男の冒険者としてのプライドか、あるいは心の底にある僅かな道徳心がそれを許さない。剣を持つ手が震えて、子供をあやす母親を殺す事に躊躇いを感じてしまうのだ。
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目の前の光景を前に、男と同様に手を出すのを自分同様躊躇っているらしい。
微かな道徳心やしようのないプライドを頭から無理矢理に引き離し動こうと思っていても、手が震えてしまい頭の指示を聞こうとしない。下唇を噛み締めていると、女児の泣く声が止む。
男が正気に戻ったのはアイリーンが剣を携えてこちらに戻ってきた時だ。
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男は彼女が頭を下げたという事実に対し、自分に降伏をしたと錯覚した。
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彼は万事解決かと思い込み浮かれていたので、頭を上げた彼女が再び剣を鞘から抜こうとしていた事には驚きを隠しえなかった。
勘違いのために既に戦意を失っていた男はあくまでも戦意を向ける彼女を慌てて引き止めていく。
彼女は意表を突かれたらしく、思わず両眉を上げる。
「どういう事ですか?」
「待ってくれ、おれたちはあんたの事を誤解していたらしい。あんたは稀代の悪女で、この国を災禍に導こうとしていたどうしようもない悪人だと思ってた。だが、さっきのあんたの姿を見て、おれは自分が誤解していた事に気が付いた」
男はそう言うと、武器を下ろして地面の上に膝を突く。
そこに無邪気な笑顔を浮かべて、アイリーンの愛娘であるシャルロッテが彼の頭を撫でていくではないか。
それが引き金となり、男の冒険者の涙を溜める堤防というのは完全に崩壊してしまったらしい。
大きな声で泣き叫び、地面の上に突っ伏す。
涙が枯れんばかりの勢いで泣いた後に彼はシャルロッテを強く抱き締めていく。
そして、立ち上がり、アイリーンとシャルロッテの両名に改めて先程の非礼を詫びる事になった。
謝罪が済み、少し打ち解けると、似たような職に就いているためか、二人の話題は自然と、例の怪物の話題となった。
「あんたがあの怪物を始末する事はない!おれや仲間に任せておけ!」
「いいえ、これは私が引き受けた依頼ですので、助太刀は無用です」
「いいや、あんたが死ぬとこの子も死ぬんだぞ!あんたはこの子を一人ぼっちにするつもりか!?」
男の激昂する声に二人の仲間たちも同調の声を述べていく。
だが、彼女は表情を変えることも無く淡々とした調子で答えた。
「……それが宿命とあらば」
「あんた、それでもーー」
更に食ってかかろうとする冒険者に対し、アイリーンは氷のように冷たい視線を向ける。
畏怖を感じた三人が黙るのを確認し、先程と同じ口調で続けた。
「我ら親子は一蓮托生、修羅の道を歩む者であり、互いにその事をわかっております。ですので、ご遠慮願います」
彼女はそういうと、すっかりと眠っているシャルロッテをベッドの上に寝かせ、三人に帰るように進める。
納得がいかないのは部屋を追い出された三人である。
「ブロンテ様!ここはあの子を助け出すべきでは!?」
「そうです!あんな酷い人に育てられるあの子が不憫でならないわ!」
「落ち着け、今我らが動いたところで、なんにもできん」
ブロンテはそう言って仲間を咎めつつも、頭の中では見えない算盤を使って既にアイリーンからシャルロッテを救い出す方法を弾いていた。
全ては翌朝になれば決まるだろう。ブロンテは遺憾に思いつつも床に就いた。
翌朝、朝食を摂りにカウンターへと向かうと、そこには朝食を済ませ魔獣退治の任務へと向かうアイリーンの姿が見えた。
乳母車を押しながら、任務へと向かう姿は歴戦の勇士を思い起こさせた。
剣を腰に下げて、黙々と乳母車を押す姿はベテランの戦士にしか見えないのだ。
ベテランの戦士という空気が漂っているためか、ゴトゴトと乳母車の車輪の音が響く中、ブロンテたち冒険者は見送る事しかできなかった。
乳母車と魔獣討伐師が依頼された森の中に着いたのはその日の午後の事。
アイリーンは腰に下げている剣を鞘から抜き、辺りを警戒する。
彼女の耳は足音ではなく、這いずる音を警戒していた。話によれば足がないはずだから、地面を這いずるのであろうと踏んだのである。
誰に教わったわけでもない。長年父から仕込まれた魔獣討伐師としての勘というものが彼女をその思考へと至らせたのだ。
彼女の警戒が功を奏したのか、真横からズルズルと不快感を感じる音が響き渡っていく。耳の情報が正しければ、音の方向は真下。彼女は音のする方に向かって躊躇う事なく剣を振り下ろす。
かつて『聖女』とされた彼女は悪霊や魔獣を浄化する光の魔法の作用が働くのだ。
それが彼女から振り下ろされた剣に秘められていたのだから、餌だと思って迫ってきた怪物ーーベンシルからすればたまったものではない。
切られた直後から一体のベンシルは光に包まれ、浄化の作用もあり、見苦しい姿を見せることもなく文字通りの消滅を果たす。
あのベンシルが天国の階段を登ったのか、地獄の門をくぐったのかはわからない。
彼女は剣を引くと、辺りを警戒する。
すると、辺り一帯を這いずる音が聞こえた。その数は音から察するに四十程。
察するに、最初の一体目は偵察や斥候といったところだろうか。
だが、案ずる事はない。冷静になり、迎え撃てばいいだけの事である。
アイリーンは黙って両手で剣を握り締めた。
彼女が振るう剣は弧を描き、自身に向かって襲い掛かってくる怪物たちを斬って捨てていく。
共に襲った同胞の半数を斬って捨てられた怪物たちは彼女を狙うのは難しいと判断したらしい。
多くのベンシルはそのまま真上から乳母車の中のシャルロッテへと襲い掛かっていく。
だが、乳母車には魔を防ぐ光の魔法が張られている。それは、透明の光の膜、魔物や魔獣の攻撃のみを撃退する彼女の使う光魔法の応用技ともされるバリア。
彼女が使用するバリアの素晴らしいところは守るだけではない事だ。乳母車に貼られた光の膜のあちこちから光の弾丸が生み出され、真上から襲い掛かってくる怪物たちを浄化していく。乳母車から無差別に放たれていく光弾とアイリーンの剣のために、二体を残してこの辺りに出現した怪物たちは全滅してしまったらしい。
城塞のような防備を施した乳母車や完璧な剣技と魔法を用いて戦うアイリーンの姿に絶望を感じた事、それ以上に多くの仲間を失った事に対する衝撃のようなものを感じたのだろう。
二匹の魔物たちはそれ以上の攻撃を諦め、森の中へと戻っていこうと試みる。
だが、それはアイリーンが許さない。
彼女は地面を蹴って大きく飛び上がり、退却をする怪物たちの前へと立ち塞がる。
残った怪物が倒されるのも時間の問題であった。
一体が光の魔法により浄化され、怪物の恐怖の心は頂点に達した。
慌てて地面を這いながら、巣へと戻っていく。
アイリーンはそれを乳母車を押しながら追撃に向かう。
怪物の巣は森の大木の幹の下であったらしい。文字通り、這々の体で戻った怪物は巣の中へと潜り込む。
彼女が大木の幹の下を覗き込むと、そこに居たのは逃げた一匹だけである。
それには躊躇う事なく剣先を突き刺す。
剣先に突き刺さった怪物は串に刺さった肉のようであったが、光の魔法が作動すると、そのまま何も残さずにこの世から消え去ってしまう。
アイリーンは全滅を確認すると、振り返る事なく剣を鞘に収め、乳母車を押しながら元来た道を戻っていく。
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