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新しい時代の守護者編
遠呂智という名の武人
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懸命の戦いが続く。剣と太刀との斬り合い。紋章、破魔式と魔獣覚醒の打ち合い。
それのどれに至っても彼は満足させられていた。元亀天正の戦国の時代でさえ目の前の青年の様な強い剣士は居なかった。
遠呂智は雷を纏わせ、剣を振って青年の強さに敬意を表していく。
遠呂智は考えた。今、ここで死んでも良いか、と
強者とヤイバを混じり合って、死ぬのならば本望。
そう考えた時だ。彼の頭の中。無意識の空間の中に姉の紅葉が彼の頭を強く握り締めて言う。
「あなた、まさかここで死ぬ気じゃあないでしょうね?もし、そうなら許さないわよ」
やめろ。おれはこの最強の剣士に全身全霊の力を注いで倒したい。もしくは倒されたいんだ。
遠呂智は頭の中の姉に反論し、戦いを繰り広げている自分の意識、肉体の元へと戻ろうとしたのだが、彼女はそれを許さない。
元の意識の元に戻ろうとする遠呂智の頭を押さえ付けて、
「待ちなさい。私にあれだけの事をしておいて、逃げるつもりなの?そんなの許されないわ。あなたは私がいる限り、この世に留まり続けなければならない。それがあなたの責務……忘れたわけじゃあないでしょう?」
それを聞いて言葉に詰まる遠呂智。彼は黙った。無意識のうちでも。
答えが出てこなかったのだ。彼女のお気に召す様な良い回答が。
彼女はその場で黙って弟が黙ったのを勝利だと感じたらしい。
彼女は弟に自分の体を押し付けてあの清楚。可愛らしいと評判の顔を彼の近くまでくっ付けて言った。
「あの男には敵わないわ。逃げなさい。大丈夫よ。幾ら、強くてもあの男は所詮人間よ。奏音みたいにそのうち寿命が尽きて死ぬわ」
その言葉を聞いて彼は思い出す。最強の対魔師、木本奏音と共に刃を結び合えなかった事を。
その瞬間に、彼は全てを思い出す。彼は半ば本能的に姉の手を振り切り、自分の体へと戻っていく。
そして、歴代最強の剣士との決着を付けるために直剣を構える。
両者のエネルギーが空中でぶつかり合う。辺りの空間さえも歪めていきそうな勢いだ。
風太郎は戦いを楽しむ遠呂智とは対照的に、彼を倒すために全力を注いでいた。
遠呂智を早く倒すために、何度も太刀を握って何度も左斜め上から、剣を振り上げて遠呂智に斬りつけていく。
今回も遠呂智の剣に弾かれるかと思ったのだが、彼の太刀は彼の剣の上を滑り、遠呂智の体を斬り上げていく。
勿論、他の妖鬼との戦いの様に体そのものを傷付けたわけではない。
だが、彼の太刀は確実に遠呂智の肉体を傷付けていた。
彼の首の下に傷を与え、そのままその箇所に氷柱を叩き込む。
遠呂智は悲鳴を上げながら、剣を振り上げていく。
だが、それでも笑った表情を浮かべている彼は改めて剣を構え直すと、第二の魔獣覚醒を放っていく。
「魔獣覚醒『八卦の陣』」
彼がそう言うと、彼の剣から雷の球が出て、宙の上で八列に並んでいく。
風太郎は刀を振り上げて、風と氷の紋章を出して対抗していく。
風と氷の紋章からは氷の氷柱が彼の八卦の前に飛んでいくが、やはり、氷では分が悪いのか、氷柱が雷の前に消えていく。
風太郎は舌を打って刀を振っていく。今度は風だ。紋章ではなく、ここは破魔式を使う。
破魔式による大きな風は宙で構える雷の球も流してしまったらしい。
風太郎は刀を構えて、斬り掛かっていく。
八卦の陣が消えたのを確認すると、遠呂智も剣を構えて風太郎に斬り掛かっていく。
両者の刃と刃とが結び合うが、それも暫く続いた後に、彼は自らの剣に雷を纏わせていく。
いいや、それだけではない。彼が何やら呟くと、剣と雷とが完全に適合し、彼の剣は雷の様な歪な形へと変わっていく。
「これの名前は魔獣覚醒『雷剣』自らの剣を雷へと姿を変える。あまり強いとは思えぬ魔獣覚醒。不足とは思うが、そこもともこれでお相手しよう」
「……不足なものかよ。最後の最後ですごいものを出してきやがって……」
風太郎は毒を吐くと、刀を構えると今度は紋章を使わずに、氷の破魔式を使用して遠呂智へと斬り掛かっていく。
氷と雷との剣が大きな音を立ててぶつかり合い、辺りに大きな轟音を立てていく。
風太郎が右斜め下から太刀振り上げれば、遠呂智が目の前に剣を構えて防ぎ、風太郎が遠呂智の顔を狙って攻撃を振るえば、遠呂智はそれを剣で受け止める。
互角の戦いだ。少なくとも、遠呂智の目には悩みが無いように思えた。
それのどれに至っても彼は満足させられていた。元亀天正の戦国の時代でさえ目の前の青年の様な強い剣士は居なかった。
遠呂智は雷を纏わせ、剣を振って青年の強さに敬意を表していく。
遠呂智は考えた。今、ここで死んでも良いか、と
強者とヤイバを混じり合って、死ぬのならば本望。
そう考えた時だ。彼の頭の中。無意識の空間の中に姉の紅葉が彼の頭を強く握り締めて言う。
「あなた、まさかここで死ぬ気じゃあないでしょうね?もし、そうなら許さないわよ」
やめろ。おれはこの最強の剣士に全身全霊の力を注いで倒したい。もしくは倒されたいんだ。
遠呂智は頭の中の姉に反論し、戦いを繰り広げている自分の意識、肉体の元へと戻ろうとしたのだが、彼女はそれを許さない。
元の意識の元に戻ろうとする遠呂智の頭を押さえ付けて、
「待ちなさい。私にあれだけの事をしておいて、逃げるつもりなの?そんなの許されないわ。あなたは私がいる限り、この世に留まり続けなければならない。それがあなたの責務……忘れたわけじゃあないでしょう?」
それを聞いて言葉に詰まる遠呂智。彼は黙った。無意識のうちでも。
答えが出てこなかったのだ。彼女のお気に召す様な良い回答が。
彼女はその場で黙って弟が黙ったのを勝利だと感じたらしい。
彼女は弟に自分の体を押し付けてあの清楚。可愛らしいと評判の顔を彼の近くまでくっ付けて言った。
「あの男には敵わないわ。逃げなさい。大丈夫よ。幾ら、強くてもあの男は所詮人間よ。奏音みたいにそのうち寿命が尽きて死ぬわ」
その言葉を聞いて彼は思い出す。最強の対魔師、木本奏音と共に刃を結び合えなかった事を。
その瞬間に、彼は全てを思い出す。彼は半ば本能的に姉の手を振り切り、自分の体へと戻っていく。
そして、歴代最強の剣士との決着を付けるために直剣を構える。
両者のエネルギーが空中でぶつかり合う。辺りの空間さえも歪めていきそうな勢いだ。
風太郎は戦いを楽しむ遠呂智とは対照的に、彼を倒すために全力を注いでいた。
遠呂智を早く倒すために、何度も太刀を握って何度も左斜め上から、剣を振り上げて遠呂智に斬りつけていく。
今回も遠呂智の剣に弾かれるかと思ったのだが、彼の太刀は彼の剣の上を滑り、遠呂智の体を斬り上げていく。
勿論、他の妖鬼との戦いの様に体そのものを傷付けたわけではない。
だが、彼の太刀は確実に遠呂智の肉体を傷付けていた。
彼の首の下に傷を与え、そのままその箇所に氷柱を叩き込む。
遠呂智は悲鳴を上げながら、剣を振り上げていく。
だが、それでも笑った表情を浮かべている彼は改めて剣を構え直すと、第二の魔獣覚醒を放っていく。
「魔獣覚醒『八卦の陣』」
彼がそう言うと、彼の剣から雷の球が出て、宙の上で八列に並んでいく。
風太郎は刀を振り上げて、風と氷の紋章を出して対抗していく。
風と氷の紋章からは氷の氷柱が彼の八卦の前に飛んでいくが、やはり、氷では分が悪いのか、氷柱が雷の前に消えていく。
風太郎は舌を打って刀を振っていく。今度は風だ。紋章ではなく、ここは破魔式を使う。
破魔式による大きな風は宙で構える雷の球も流してしまったらしい。
風太郎は刀を構えて、斬り掛かっていく。
八卦の陣が消えたのを確認すると、遠呂智も剣を構えて風太郎に斬り掛かっていく。
両者の刃と刃とが結び合うが、それも暫く続いた後に、彼は自らの剣に雷を纏わせていく。
いいや、それだけではない。彼が何やら呟くと、剣と雷とが完全に適合し、彼の剣は雷の様な歪な形へと変わっていく。
「これの名前は魔獣覚醒『雷剣』自らの剣を雷へと姿を変える。あまり強いとは思えぬ魔獣覚醒。不足とは思うが、そこもともこれでお相手しよう」
「……不足なものかよ。最後の最後ですごいものを出してきやがって……」
風太郎は毒を吐くと、刀を構えると今度は紋章を使わずに、氷の破魔式を使用して遠呂智へと斬り掛かっていく。
氷と雷との剣が大きな音を立ててぶつかり合い、辺りに大きな轟音を立てていく。
風太郎が右斜め下から太刀振り上げれば、遠呂智が目の前に剣を構えて防ぎ、風太郎が遠呂智の顔を狙って攻撃を振るえば、遠呂智はそれを剣で受け止める。
互角の戦いだ。少なくとも、遠呂智の目には悩みが無いように思えた。
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