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第二部 第一章
二仙山~篭山炭鉱(二)
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数日後、一清道人と王扇の婚礼がとりおこなわれた。
紅白金銀の艶やかな飾り物、けたたましく鳴り響く爆竹の音の中で、難しそうな顔をした一清道人こと「入雲龍」公孫勝と、もともと美しい容貌に、念入りに化粧を施し花嫁衣装に身を包み、天女もかくやといわんばかりの王扇の、2人の結婚式は盛大なものになった。
特に女院の面々は、翡円、翠円はもとより、少女道士たちも皆、上気した顔でうっとりと見つめたり、ぽかんと口を開けながら手を叩いて祝福している。
ただし己五尾のみは、狐姿での参加となった。
人形になってしまうと、二仙山の男道士に悪影響が出てしまうからなのだが、「解せぬ」という顔つきの狐を見てつい笑ってしまった燕青も、華やかな祝言の雰囲気に心が浮き立つのを感じていた。
その2日後、燕青は一清道人の部屋に呼ばれた。部屋の中には既に、祝四娘と秦玉林が目を輝かせて立っていた。どうやら次の祓いでは、この2人の護衛をすることになったらしい。
何でどう決めたやら、聞けば三つ巴の醜い? 争いの末、孫紅苑が涙を飲んだとのこと。四娘と玉林は、何かとやかましい2人だが、既知《きち》の相手でもあるし、あまり気を使わなくても済みそうではある。
「燕青よ、改めて妻ともどもお主には本当に世話になった。礼を言わせてもらう」
「もったいない、頭を上げてください。むしろ切羽詰まって二仙山に送らせてもらっただけなので」
「どうだ、旅の疲れはとれたかな?」
「はい、おかげで久々にゆったりと過ごさせてもらいました」
「では恐縮だが、またこの子らの護衛を頼みたい」
今回の旅の目的地は東へ約百六十里(80キロ)ほど離れた、景州の町「簡元」である。
簡元にある篭山炭鉱の坑道内に近頃魔物が出るようになり、鉱夫が何人も餌食になっているという。今では石炭を掘ることができず困っているので、これを祓ってもらいたい、という依頼がきたのだ。
宋代、燃料として石炭や、石炭を加工したコークスを使うことが広まり、食や鉱業、陶磁器などさまざな文化が発展した。結果、石炭の採掘が非常に重要な役割をもつようになり、炭鉱が使えなくなるのは各方面で大いに支障を来すことになる。
魔物の正体については、うす暗い坑道で襲われたため、はっきりとはわからないらしい。ただ既に数人の鉱夫の体をバラバラに食いちぎってしまっているという。油断ならぬ相手であるのは間違いない。
「今回は小融と玉林を連れて行ってもらいたい。玉林と紅苑は、お主らが観山寺に行っている間に、近くで2件魔物祓いを経験しておるし、足手まといにはならぬと思う。苦労をかけるがよろしく頼む」
燕青としては覚悟のうえなので、否も応もない。苦笑いしつつ軽く頭をさげ、同意を示した。それを見て一清道人は安堵の色を見せた。
「ところで、今回からお主らに、例の狐以外に連れて行ってほしい動物がいるのだよ」
「へぇ、なんですかそりゃ? 」
一清道人が声をかけると、室外から一人の道士が、左腕に大きな鳥を乗せたまま入ってきた。
鋭い嘴、爪、眼……それは一羽の猛禽であった。
「一清さま、この鷹を連れて行けるんですか? 」
炯々たる眼光で周囲を睥睨する猛禽を見て、四娘は少しひるんでいるが、使鬼神使いの玉林は、元々大変な動物好きである。一目見てその凜々しい姿にすっかり心を奪われ、勢い込んで質問する。
「そうじゃ。この鷹は『海東青』という種類でな。長々訓練してきたが、そろそろ連絡用として使えるようになった。名前は『鸞』という」
海東青は、正式には「海東青鶻という。鶻とは隼の意であり、短距離を飛ぶのにこれほど早い鳥はいない。
海東とは、現在のロシア沿海州周辺を指す地名である。まだ遼国が女真族(後の金)に圧政を強いていた時代、遼の天子達が鷹狩りに使うため愛玩していた。そのため、遼は長年、砂金や真珠など女真族に課した様々な貢ぎ物のひとつとして、この鷹を捕獲し献上するよう命じてきたのである。
のちの金国が、遼国に対して強烈な敵愾心を抱くようになる理由のひとつでもあった。
「四娘、玉林、二人とも燕青に迷惑がかからぬよう注意しろよ。急ぎ支度にかかれ」
「はいっ! 」
少女道士ふたりは満面の笑顔で、手を取り合って部屋を出て行った。
海東青の鸞は、部屋の隅に置かれた止まり木で毛繕いをしている。
ところがその後、一清と燕青が四方山話をしているところに、のんきに子狐姿の己五尾が入ってきたものだからさあ大変。
羽音一番、獲物と思いこんだ鸞が止まり木を蹴って襲いかかる。己五尾は慌てふためいて狐姿のまま部屋中を逃げ回る。衝立を蹴倒し障子に穴を空け、線香は倒れ茶器は割れ、という大騒動。
とうとう追い詰められた己五尾は、ひょいととんぼ返りで人の姿に変化する。
鸞は驚いて、止まり木に戻ったのだが、とたんに漏れ出す己五尾の淫気。慌てて部屋から逃げ出す一清と燕青。
美女姿の己五尾も続いて外に出、扉を閉めてから改めて子狐姿に戻り、面目ないと頭を下げる。燕青と一清はほっとひと息ついたのだが、その時改めて、今回の旅について別の困難に気づいてしまった。
今回燕青は、白兎馬に四娘と玉林を交代で乗せ、玉林にも乗馬に慣れてもらうつもりであった。燕青自信は徒歩で馬を引き、己五尾は狐姿でついてこさせようと考えていたのだが、これに上空から鸞が追従してきたのでは、いつまた鸞と己五尾が揉めるか分からない。
更にいえば、ここに玉林の使鬼神である天狗の「讙平」を顕現させたらどうなる?狐と天狗と東海青の三つ巴が始まるのでは?
想像するに、少女道士2鏢師1、馬1魔物1鷹1霊獣1という、「西遊記」の一行以上に奇妙奇天烈な一団のできあがり、である。
ふたりはその図を想像してみた。
「ううん、わしが言うのもなんだが、大変な依頼になってしまったな、すまぬ燕青」
「まぁ……なんとかなるでしょう」
と燕青が嘆息したちょうどそのころ。
東京開封府、禁裏にほど近い某所、石造りの地下室。薄暗い灯明の中で、文官風の衣をまとった人物が、静かに話し始めた。
「高大尉からのご依頼である。この仕事は黒猴軍第2隊に委ねる。しかと承れ」
「はっ」
文官風の男、皇城司指揮の「閻霧」である。彼の前に跪く4人は、皇城司のうち破壊工作、暗殺を専門に請け負う、「黒猴軍」全3組のうちの一隊。
閻霧が抑揚のない、くぐもった声で伝える。
「今回の相手、まず名は燕青という。梁山泊軍で歩兵軍頭領をしていた男で、方臘との戦いののち、野に下ったらしい。特徴としては小柄で色白、花の彫り物があり、『浪子』と綽名される色男だという。高大尉によれば、拳法を使うらしく一筋縄ではいかぬ相手らしい」
「はっ」
低頭のまま答えた黒衣の逞しい男。第2隊の頭領で「曹琢」という。その後ろに同じく黒衣で控える男2名女1名。この4人が閻霧率いる黒猴軍第2隊である。閻霧はさらに続けた。
「いまのところ、燕青とやらの所在は不明だが、薊州の康永という町の廓で騒ぎがあって、店の主人やら客やらが複数殺され、女郎が攫われた事件があり、その犯人が腕利きの小柄な色男だったという情報がある。関係があるかもしれぬ。まずそこから調べてみよ」
「御意」
「可能であれば生け捕りにして連れてこい。無理であれば殺してもかまわん。よいな」
「心得ました」
4人が頭を下げ、あげてみるとそこに閻霧の姿はなかった。数年仕えてきた黒猴軍の面々にも、閻霧のことはまったくわかっていないのである。
ふう、とため息をつき、曹琢が立ち上がる。残りの三人が立ち上がったのを確認し、声をかけた。
「とりあえず行ってみるか、その廓とやらに」
「応」
曹琢の言葉に3人は頷き、一陣の風のように階段を駆け上がっていった。
紅白金銀の艶やかな飾り物、けたたましく鳴り響く爆竹の音の中で、難しそうな顔をした一清道人こと「入雲龍」公孫勝と、もともと美しい容貌に、念入りに化粧を施し花嫁衣装に身を包み、天女もかくやといわんばかりの王扇の、2人の結婚式は盛大なものになった。
特に女院の面々は、翡円、翠円はもとより、少女道士たちも皆、上気した顔でうっとりと見つめたり、ぽかんと口を開けながら手を叩いて祝福している。
ただし己五尾のみは、狐姿での参加となった。
人形になってしまうと、二仙山の男道士に悪影響が出てしまうからなのだが、「解せぬ」という顔つきの狐を見てつい笑ってしまった燕青も、華やかな祝言の雰囲気に心が浮き立つのを感じていた。
その2日後、燕青は一清道人の部屋に呼ばれた。部屋の中には既に、祝四娘と秦玉林が目を輝かせて立っていた。どうやら次の祓いでは、この2人の護衛をすることになったらしい。
何でどう決めたやら、聞けば三つ巴の醜い? 争いの末、孫紅苑が涙を飲んだとのこと。四娘と玉林は、何かとやかましい2人だが、既知《きち》の相手でもあるし、あまり気を使わなくても済みそうではある。
「燕青よ、改めて妻ともどもお主には本当に世話になった。礼を言わせてもらう」
「もったいない、頭を上げてください。むしろ切羽詰まって二仙山に送らせてもらっただけなので」
「どうだ、旅の疲れはとれたかな?」
「はい、おかげで久々にゆったりと過ごさせてもらいました」
「では恐縮だが、またこの子らの護衛を頼みたい」
今回の旅の目的地は東へ約百六十里(80キロ)ほど離れた、景州の町「簡元」である。
簡元にある篭山炭鉱の坑道内に近頃魔物が出るようになり、鉱夫が何人も餌食になっているという。今では石炭を掘ることができず困っているので、これを祓ってもらいたい、という依頼がきたのだ。
宋代、燃料として石炭や、石炭を加工したコークスを使うことが広まり、食や鉱業、陶磁器などさまざな文化が発展した。結果、石炭の採掘が非常に重要な役割をもつようになり、炭鉱が使えなくなるのは各方面で大いに支障を来すことになる。
魔物の正体については、うす暗い坑道で襲われたため、はっきりとはわからないらしい。ただ既に数人の鉱夫の体をバラバラに食いちぎってしまっているという。油断ならぬ相手であるのは間違いない。
「今回は小融と玉林を連れて行ってもらいたい。玉林と紅苑は、お主らが観山寺に行っている間に、近くで2件魔物祓いを経験しておるし、足手まといにはならぬと思う。苦労をかけるがよろしく頼む」
燕青としては覚悟のうえなので、否も応もない。苦笑いしつつ軽く頭をさげ、同意を示した。それを見て一清道人は安堵の色を見せた。
「ところで、今回からお主らに、例の狐以外に連れて行ってほしい動物がいるのだよ」
「へぇ、なんですかそりゃ? 」
一清道人が声をかけると、室外から一人の道士が、左腕に大きな鳥を乗せたまま入ってきた。
鋭い嘴、爪、眼……それは一羽の猛禽であった。
「一清さま、この鷹を連れて行けるんですか? 」
炯々たる眼光で周囲を睥睨する猛禽を見て、四娘は少しひるんでいるが、使鬼神使いの玉林は、元々大変な動物好きである。一目見てその凜々しい姿にすっかり心を奪われ、勢い込んで質問する。
「そうじゃ。この鷹は『海東青』という種類でな。長々訓練してきたが、そろそろ連絡用として使えるようになった。名前は『鸞』という」
海東青は、正式には「海東青鶻という。鶻とは隼の意であり、短距離を飛ぶのにこれほど早い鳥はいない。
海東とは、現在のロシア沿海州周辺を指す地名である。まだ遼国が女真族(後の金)に圧政を強いていた時代、遼の天子達が鷹狩りに使うため愛玩していた。そのため、遼は長年、砂金や真珠など女真族に課した様々な貢ぎ物のひとつとして、この鷹を捕獲し献上するよう命じてきたのである。
のちの金国が、遼国に対して強烈な敵愾心を抱くようになる理由のひとつでもあった。
「四娘、玉林、二人とも燕青に迷惑がかからぬよう注意しろよ。急ぎ支度にかかれ」
「はいっ! 」
少女道士ふたりは満面の笑顔で、手を取り合って部屋を出て行った。
海東青の鸞は、部屋の隅に置かれた止まり木で毛繕いをしている。
ところがその後、一清と燕青が四方山話をしているところに、のんきに子狐姿の己五尾が入ってきたものだからさあ大変。
羽音一番、獲物と思いこんだ鸞が止まり木を蹴って襲いかかる。己五尾は慌てふためいて狐姿のまま部屋中を逃げ回る。衝立を蹴倒し障子に穴を空け、線香は倒れ茶器は割れ、という大騒動。
とうとう追い詰められた己五尾は、ひょいととんぼ返りで人の姿に変化する。
鸞は驚いて、止まり木に戻ったのだが、とたんに漏れ出す己五尾の淫気。慌てて部屋から逃げ出す一清と燕青。
美女姿の己五尾も続いて外に出、扉を閉めてから改めて子狐姿に戻り、面目ないと頭を下げる。燕青と一清はほっとひと息ついたのだが、その時改めて、今回の旅について別の困難に気づいてしまった。
今回燕青は、白兎馬に四娘と玉林を交代で乗せ、玉林にも乗馬に慣れてもらうつもりであった。燕青自信は徒歩で馬を引き、己五尾は狐姿でついてこさせようと考えていたのだが、これに上空から鸞が追従してきたのでは、いつまた鸞と己五尾が揉めるか分からない。
更にいえば、ここに玉林の使鬼神である天狗の「讙平」を顕現させたらどうなる?狐と天狗と東海青の三つ巴が始まるのでは?
想像するに、少女道士2鏢師1、馬1魔物1鷹1霊獣1という、「西遊記」の一行以上に奇妙奇天烈な一団のできあがり、である。
ふたりはその図を想像してみた。
「ううん、わしが言うのもなんだが、大変な依頼になってしまったな、すまぬ燕青」
「まぁ……なんとかなるでしょう」
と燕青が嘆息したちょうどそのころ。
東京開封府、禁裏にほど近い某所、石造りの地下室。薄暗い灯明の中で、文官風の衣をまとった人物が、静かに話し始めた。
「高大尉からのご依頼である。この仕事は黒猴軍第2隊に委ねる。しかと承れ」
「はっ」
文官風の男、皇城司指揮の「閻霧」である。彼の前に跪く4人は、皇城司のうち破壊工作、暗殺を専門に請け負う、「黒猴軍」全3組のうちの一隊。
閻霧が抑揚のない、くぐもった声で伝える。
「今回の相手、まず名は燕青という。梁山泊軍で歩兵軍頭領をしていた男で、方臘との戦いののち、野に下ったらしい。特徴としては小柄で色白、花の彫り物があり、『浪子』と綽名される色男だという。高大尉によれば、拳法を使うらしく一筋縄ではいかぬ相手らしい」
「はっ」
低頭のまま答えた黒衣の逞しい男。第2隊の頭領で「曹琢」という。その後ろに同じく黒衣で控える男2名女1名。この4人が閻霧率いる黒猴軍第2隊である。閻霧はさらに続けた。
「いまのところ、燕青とやらの所在は不明だが、薊州の康永という町の廓で騒ぎがあって、店の主人やら客やらが複数殺され、女郎が攫われた事件があり、その犯人が腕利きの小柄な色男だったという情報がある。関係があるかもしれぬ。まずそこから調べてみよ」
「御意」
「可能であれば生け捕りにして連れてこい。無理であれば殺してもかまわん。よいな」
「心得ました」
4人が頭を下げ、あげてみるとそこに閻霧の姿はなかった。数年仕えてきた黒猴軍の面々にも、閻霧のことはまったくわかっていないのである。
ふう、とため息をつき、曹琢が立ち上がる。残りの三人が立ち上がったのを確認し、声をかけた。
「とりあえず行ってみるか、その廓とやらに」
「応」
曹琢の言葉に3人は頷き、一陣の風のように階段を駆け上がっていった。
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