41 / 75
第七章
青州観山寺(七)
しおりを挟む
観山寺は禅寺で、夕飯は全員揃って食堂で食べるのだが、その際に僧侶たちに常廉から燕青と四娘が紹介され、今回のいきさつについての説明がなされた。
結局、常廉と常栄以外の僧侶は己五尾を見ていないので、「ひとめ見たかった」ような表情を浮かべる僧侶もいたが、とりあえずの決着がついたことで一様にほっとした様子である。
粥、漬物、豆腐に野菜の煮付けで夕食をとり、しばらく常廉と歓談したあと、燕青も四娘も、宿坊の一室で久しぶりに安心してぐっすりと眠った。
(一応燕青は黒糸で扉と指を結わえて寝ることは忘れていなかったが)
早朝、四娘は体が揺れる感覚で目が覚めた。
寝台の下からずしり、ずしりと鈍い振動が伝わってくるのである。初秋なのでまだ夜明けが早いにしても、まだ五時くらいであろうか。何の響きなんだろうと疑問に思い燕青の方を向くと、すでに床から起き出し扉の所に立って外を見ている。
眠い目を擦りながら四娘も外を見て思わず息をのんだ。
黄色い衣を着た僧侶たちが数十名、四角く等間隔に並び拳法の型を演じていたのだ。力強く突き出す拳とともに、石畳に踏み込む「震脚」の揺れが、地面を伝わり四娘を起こしていたのである。
石畳のあちこちが、これまた等間隔で凹んでおり、長年ここで修行してきた僧侶たちの功夫のほどが知れる。
常廉は黄衣の上から緋色の袈裟をつけ、床几に座って弟子たちの練習を見ている。
ひとり、数十人の僧侶に対面し、「奮!」「破っ!」と気合いを入れている大男がいる。歳のころなら三十代前半、身の丈七尺弱ほど。両肌脱いで上半身裸になっている。
鍛え上げられた分厚い筋肉のうえに、ふんわりと皮下脂肪の乗った、いかにも実戦向きの体つきである。おそらく師範格なのであろう。青々と剃り上げた頭、厳つい顔に太い眉毛、口元に髭を生やし迫力満点の演武であった。
やがて休憩時間となり、僧侶達はそれぞれ水を飲んだり汗をぬぐったりしている。夜着から着替えた二人は常廉に近寄り朝の挨拶をした。
和やかに談笑する三人のところに、先ほどの大男が近づいてきた。
「燕青殿、この男は常慶と申す。弟子たちの師範を勤めておる。」
大男は燕青に合掌し
「常慶と申します。このたびは経堂の妖物を払っていただき、まことにありがたく存じます」
燕青より頭二つ以上大きな常慶は、低く渋い声で挨拶してきたが、目はしっかりと燕青の全身を見据えていた。燕青は燕青で、
(値踏みされているな)
と感じてはいるが、敵意は感じられなかったので、気づかぬふりをして笑顔で拱手で応えた。
その様子を見ていた常廉は、何に気づいたものやら
(ふむ……これは頼んでみるとするかな)
「燕青どの、ひとつ頼まれてくれぬか。昨日からお願いばかりで恐縮なのだが」
「なんでしょう?」
「どうじゃろう、そこの常慶と仕合いをしてもらえぬだろうか?」
常廉によれば、常慶は他の弟子を教える立場ではあるが、持ち前の巨体と怪力で別格の強さを誇っている。本気で相手が出来るのは常廉だけで、常廉にしても油断をすれば押し切られてしまうこともあるほどの猛者だ。また、同じ相手とばかりでは技術の向上につなげづらい。
武術の進歩には「守破離」の三段階があるとされる。
まず師匠の教えを「守」り、教えられた中身を自分なりに工夫して「破」り、やがては教えを「離」れて一派を成す、という流れである。常慶は「破」の段階に至れず伸び悩んでいるのだという。
自分が相手をして、どれほど役に立つかはわからないが、常廉にしても常慶にしても、まったく邪気のない好人物のように感じる。それに飲馬川の山塞で、周侗老人と対打をおこなったり、技を教わってから、切ったはったの命のやりとりとは別の、純粋な武の修練を段々面白く感じてきつつあった。
「わかりました。一手ご教授ねがいます」
それを聞いた常慶、仁王のようなごつい顔でにこりと笑った。
「ありがたい、こちらこそよろしく」
と、そのときである。
「師範、少々お待ちください!」
向かい合おうとした常慶に後ろから声がかかった。
「師範がお相手するほどの力の持ち主か、まずは私と戦らせていただきたく存じます」
拱手して深々と頭をさげた僧侶がいた。常慶は体に溜めつつつつあった「気」をふぃっとゆるめ、
「常成か、燕青どのに失礼であろう、控えよ」
とたしなめた。
燕青は苦笑いしながら
(そういえば俺も、盧俊義様にあちこち連れられていっては、いろんな人に鍛えてもらったなあ。この山の坊さんたちみんな、新しい相手に飢えているんだろう)
「私は構いません。むしろ経験になってありがたく存じます。修行になるかどうか分かりませんが、お相手仕ります。」
それを聞いた常廉も常慶も、安堵の表情を浮かべ、
「大変失礼した。良い経験になって当方もありがたい。よろしくお願いいたす」
常成と燕青は向かい合い、両手を合わせ互いに頭を下げてからすっと構えた。
「破っ!」
気合いと共に常成が目まぐるしく突きを繰り出してきた。顔面、胸、顔面、顔面、みぞおち、顔面、脇腹・・・・・・巧みに上下に打ち分けてきて、狙いも正確である。
燕青はそれらを手刀、掌底、前腕部などで払いのけつつ、時折掌打で反撃した。本気で倒すための打ち込みではないが、常成はそれらをすべて受け止め、次の瞬間には急所めがけた反撃を打ってくる。なかなか油断できる相手ではない。
(脚を使うか)
常成が顔面を突いてきた右の拳を払いのけると同時に相手の右側へ回り込み、空いた右側頭部へ左足裏を使った「反蹬腿」の蹴りを放った。常成は慌てて頭を下げて蹴りを避けたが、頭を通り過ぎた左足は一旦空中で止まり、そのまま「擺脚」の蹴りに変化させ、今度は常成の左側頭部を襲った。
慌てて常成は左手を挙げてこの蹴りを防ごうとしたがこれも誘い。左手に当たりそうになった瞬間に蹴りが真下に変化し、それとともに残った右足が外側へ跳び、完全に常成の左側へと体勢が入れ替わり、がら空きになった左脇腹へ燕青の右の拳が突き込まれ、当たる寸前でぴたりと止まった。
「それまで!」
常慶の鋭い声が響いた。常成は自分の左脇腹に当てがわれた燕青の拳を見てあわてて跳び退き、
「参りました」
と手を合わせ頭を下げた。
見ていた僧侶たちは「おおっ!」と声を挙げたが、なにせ血気盛んな若者たちである。
「次は某と!」「いやいや愚僧こそ!」「ぜひお手合わせ願いたい!」
我も我もと弟子達が手を挙げてきて、燕青はすっかりむくつけき筋肉隆々な坊主頭の集団に囲まれてしまった。
それを見て四娘は呆れて大欠伸をし、小声で独り言ちた。
「なんだって男って、ああいうのが好きなんだろう」
「全くそのとおりでおじゃるな」
「うわっ!」
驚いて跳び上がった。見るといつの間にか横に子狐が座っているではないか。昨晩は何処へ行ってたものやら、妙に毛艶が良くなり、気のせいか一回り大きくなっているように見える。
「びっくりした、あんた一体どこ行ってたのよ!」
「この下の村で、若い男三人ほどから精気をもらってきたでおじゃる。きっと今頃良い夢を見ていることじゃろうて」
「まさか殺してないんでしょうね!」
「なぁに、ちょいと夢の中に入り込んで、淫夢を見せてやっただけじゃよ。男どもは果てる時に精を放つが、同時に体全体から精気があふれ出るのじゃ、それをいただくことで妾にも気が満ちる、それだけの話よ。直接精をもらうわけではないのでおじゃる」
「へぇ、そうなんだ」
「そうじゃよ、だから男は精を放ったあと妙に疲れた感じになるじゃろ?」
「し、知らないわよそんなこと。なんにしても嫌らしいわね、不潔よ!」
「ほぉ、ではおぬし、燕青どのと睦まじく交合するのも不潔だからできぬ、と申すか?」
「い、いやそれとこれとは別よ、あんたは相手が誰でもいいんでしょ!」
「妾は夢の中に出ただけ。直接男どもとは触れあってもおらんぞ?何が不潔じゃ?」
「と、とにかく何だか嫌らしいのよ!」
結局、常廉と常栄以外の僧侶は己五尾を見ていないので、「ひとめ見たかった」ような表情を浮かべる僧侶もいたが、とりあえずの決着がついたことで一様にほっとした様子である。
粥、漬物、豆腐に野菜の煮付けで夕食をとり、しばらく常廉と歓談したあと、燕青も四娘も、宿坊の一室で久しぶりに安心してぐっすりと眠った。
(一応燕青は黒糸で扉と指を結わえて寝ることは忘れていなかったが)
早朝、四娘は体が揺れる感覚で目が覚めた。
寝台の下からずしり、ずしりと鈍い振動が伝わってくるのである。初秋なのでまだ夜明けが早いにしても、まだ五時くらいであろうか。何の響きなんだろうと疑問に思い燕青の方を向くと、すでに床から起き出し扉の所に立って外を見ている。
眠い目を擦りながら四娘も外を見て思わず息をのんだ。
黄色い衣を着た僧侶たちが数十名、四角く等間隔に並び拳法の型を演じていたのだ。力強く突き出す拳とともに、石畳に踏み込む「震脚」の揺れが、地面を伝わり四娘を起こしていたのである。
石畳のあちこちが、これまた等間隔で凹んでおり、長年ここで修行してきた僧侶たちの功夫のほどが知れる。
常廉は黄衣の上から緋色の袈裟をつけ、床几に座って弟子たちの練習を見ている。
ひとり、数十人の僧侶に対面し、「奮!」「破っ!」と気合いを入れている大男がいる。歳のころなら三十代前半、身の丈七尺弱ほど。両肌脱いで上半身裸になっている。
鍛え上げられた分厚い筋肉のうえに、ふんわりと皮下脂肪の乗った、いかにも実戦向きの体つきである。おそらく師範格なのであろう。青々と剃り上げた頭、厳つい顔に太い眉毛、口元に髭を生やし迫力満点の演武であった。
やがて休憩時間となり、僧侶達はそれぞれ水を飲んだり汗をぬぐったりしている。夜着から着替えた二人は常廉に近寄り朝の挨拶をした。
和やかに談笑する三人のところに、先ほどの大男が近づいてきた。
「燕青殿、この男は常慶と申す。弟子たちの師範を勤めておる。」
大男は燕青に合掌し
「常慶と申します。このたびは経堂の妖物を払っていただき、まことにありがたく存じます」
燕青より頭二つ以上大きな常慶は、低く渋い声で挨拶してきたが、目はしっかりと燕青の全身を見据えていた。燕青は燕青で、
(値踏みされているな)
と感じてはいるが、敵意は感じられなかったので、気づかぬふりをして笑顔で拱手で応えた。
その様子を見ていた常廉は、何に気づいたものやら
(ふむ……これは頼んでみるとするかな)
「燕青どの、ひとつ頼まれてくれぬか。昨日からお願いばかりで恐縮なのだが」
「なんでしょう?」
「どうじゃろう、そこの常慶と仕合いをしてもらえぬだろうか?」
常廉によれば、常慶は他の弟子を教える立場ではあるが、持ち前の巨体と怪力で別格の強さを誇っている。本気で相手が出来るのは常廉だけで、常廉にしても油断をすれば押し切られてしまうこともあるほどの猛者だ。また、同じ相手とばかりでは技術の向上につなげづらい。
武術の進歩には「守破離」の三段階があるとされる。
まず師匠の教えを「守」り、教えられた中身を自分なりに工夫して「破」り、やがては教えを「離」れて一派を成す、という流れである。常慶は「破」の段階に至れず伸び悩んでいるのだという。
自分が相手をして、どれほど役に立つかはわからないが、常廉にしても常慶にしても、まったく邪気のない好人物のように感じる。それに飲馬川の山塞で、周侗老人と対打をおこなったり、技を教わってから、切ったはったの命のやりとりとは別の、純粋な武の修練を段々面白く感じてきつつあった。
「わかりました。一手ご教授ねがいます」
それを聞いた常慶、仁王のようなごつい顔でにこりと笑った。
「ありがたい、こちらこそよろしく」
と、そのときである。
「師範、少々お待ちください!」
向かい合おうとした常慶に後ろから声がかかった。
「師範がお相手するほどの力の持ち主か、まずは私と戦らせていただきたく存じます」
拱手して深々と頭をさげた僧侶がいた。常慶は体に溜めつつつつあった「気」をふぃっとゆるめ、
「常成か、燕青どのに失礼であろう、控えよ」
とたしなめた。
燕青は苦笑いしながら
(そういえば俺も、盧俊義様にあちこち連れられていっては、いろんな人に鍛えてもらったなあ。この山の坊さんたちみんな、新しい相手に飢えているんだろう)
「私は構いません。むしろ経験になってありがたく存じます。修行になるかどうか分かりませんが、お相手仕ります。」
それを聞いた常廉も常慶も、安堵の表情を浮かべ、
「大変失礼した。良い経験になって当方もありがたい。よろしくお願いいたす」
常成と燕青は向かい合い、両手を合わせ互いに頭を下げてからすっと構えた。
「破っ!」
気合いと共に常成が目まぐるしく突きを繰り出してきた。顔面、胸、顔面、顔面、みぞおち、顔面、脇腹・・・・・・巧みに上下に打ち分けてきて、狙いも正確である。
燕青はそれらを手刀、掌底、前腕部などで払いのけつつ、時折掌打で反撃した。本気で倒すための打ち込みではないが、常成はそれらをすべて受け止め、次の瞬間には急所めがけた反撃を打ってくる。なかなか油断できる相手ではない。
(脚を使うか)
常成が顔面を突いてきた右の拳を払いのけると同時に相手の右側へ回り込み、空いた右側頭部へ左足裏を使った「反蹬腿」の蹴りを放った。常成は慌てて頭を下げて蹴りを避けたが、頭を通り過ぎた左足は一旦空中で止まり、そのまま「擺脚」の蹴りに変化させ、今度は常成の左側頭部を襲った。
慌てて常成は左手を挙げてこの蹴りを防ごうとしたがこれも誘い。左手に当たりそうになった瞬間に蹴りが真下に変化し、それとともに残った右足が外側へ跳び、完全に常成の左側へと体勢が入れ替わり、がら空きになった左脇腹へ燕青の右の拳が突き込まれ、当たる寸前でぴたりと止まった。
「それまで!」
常慶の鋭い声が響いた。常成は自分の左脇腹に当てがわれた燕青の拳を見てあわてて跳び退き、
「参りました」
と手を合わせ頭を下げた。
見ていた僧侶たちは「おおっ!」と声を挙げたが、なにせ血気盛んな若者たちである。
「次は某と!」「いやいや愚僧こそ!」「ぜひお手合わせ願いたい!」
我も我もと弟子達が手を挙げてきて、燕青はすっかりむくつけき筋肉隆々な坊主頭の集団に囲まれてしまった。
それを見て四娘は呆れて大欠伸をし、小声で独り言ちた。
「なんだって男って、ああいうのが好きなんだろう」
「全くそのとおりでおじゃるな」
「うわっ!」
驚いて跳び上がった。見るといつの間にか横に子狐が座っているではないか。昨晩は何処へ行ってたものやら、妙に毛艶が良くなり、気のせいか一回り大きくなっているように見える。
「びっくりした、あんた一体どこ行ってたのよ!」
「この下の村で、若い男三人ほどから精気をもらってきたでおじゃる。きっと今頃良い夢を見ていることじゃろうて」
「まさか殺してないんでしょうね!」
「なぁに、ちょいと夢の中に入り込んで、淫夢を見せてやっただけじゃよ。男どもは果てる時に精を放つが、同時に体全体から精気があふれ出るのじゃ、それをいただくことで妾にも気が満ちる、それだけの話よ。直接精をもらうわけではないのでおじゃる」
「へぇ、そうなんだ」
「そうじゃよ、だから男は精を放ったあと妙に疲れた感じになるじゃろ?」
「し、知らないわよそんなこと。なんにしても嫌らしいわね、不潔よ!」
「ほぉ、ではおぬし、燕青どのと睦まじく交合するのも不潔だからできぬ、と申すか?」
「い、いやそれとこれとは別よ、あんたは相手が誰でもいいんでしょ!」
「妾は夢の中に出ただけ。直接男どもとは触れあってもおらんぞ?何が不潔じゃ?」
「と、とにかく何だか嫌らしいのよ!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
安政ノ音 ANSEI NOTE
夢酔藤山
歴史・時代
温故知新。 安政の世を知り令和の現世をさとる物差しとして、一筆啓上。 令和とよく似た時代、幕末、安政。 疫病に不景気に世情不穏に政治のトップが暗殺。 そして震災の陰におびえる人々。 この時代から何を学べるか。狂乱する群衆の一人になって、楽しんで欲しい……! オムニバスで描く安政年間の狂喜乱舞な人間模様は、いまの、明日の令和の姿かもしれない。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる