2 / 3
奇跡 二話
しおりを挟む
決意をした数週間後。真澄は一人男女用の産婦人科病院に来ていた。佐那は仕事が忙しく「ごめんね」と何度も謝っていた。
そんな彼の背中を蹴るように仕事に行かせ今ここにいる。が、かなり緊張してきた。手汗がやばい。
何度目かの深呼吸をして中に入る。
好奇の目で見られることもなく問診票を渡され書き込む。それが終われば同意書だ。
『あなたはパートナーの子を産む強い意志がありますか?』
その問いにはもちろん。『はい』だ。
すべて書き終え真澄は受付に出した。十分後。とうとう呼ばれた。
急いで診察室に入る。中にいた医師は佐那に似ていた。
「初めまして、芦沢優也といいます」
「あし、ざわ……」
「あなたのことは佐那から聞いています。今回はよく決意してくれましたね。有難うございます」
そういって医師は頭を下げた。真澄は慌てふためき「頭を上げてください」と言う。
真澄の言葉に優也は頭を上げニコリと笑いかけた。その笑顔も佐那に似ていてやましい気持ちはなくともドキリとしてしまう。
「では、説明を始めます。そこにおかけください」
椅子に腰かけ優也の説明を聞こうと耳を傾ける。
「子宮を埋め込むのは大変リスクの高いものです。癒着しない可能性も考えてください。万一癒着しなかった場合。子宮は取り除かれます。身体に悪い影響を与えかねないからです。そして、癒着した場合。女性のように生理が来る可能性もあります。もし、来なくなった場合すぐ当院に来てください。懐妊の可能性が高いからです」
「癒着……しなかった場合、どんな影響があるんですか?」
「……あまり前例は聞きませんが、拒否反応を示し最悪死に至ります」
死。その言葉を聞いて真澄は固まった。そんなに高リスクのものなのか。
でも、でも……。
「これは最悪の場合です。こちらとしてはきちんと相性のいいドナーを選びます。脅すような言い方をして申し訳ありません」
「い、いえ」
「真澄さんはまだお若いですし、どのドナーとも合うかと思います。そこはご安心ください」
そう言って優也は佐那が持ってきたものより詳しく書かれたパンフレットを手渡した。簡単に目を通しながら優也の説明を受ける。
すべて終わり今日はここで診察は終わりだそうだ。
「次回は佐那を連れてお越しください」
「はい」
優也に頭を下げ真澄は診察室を出た。
「ただいま!!」
病院から帰宅し三時間後。佐那が帰ってきた。
「おかえり」
「病院、どうだった?」
「お前の親戚? に会ったよ」
「え、優也兄に?」
親戚かは分からないため疑問符をつけながら言うと佐那は目を見開いた。
かなり驚いている様子だ。
「優也さんは、親戚か?」
「ううん、兄貴」
「え」
「びっくりした? 親に挨拶行ったときいなかったもんね」
そんな彼の背中を蹴るように仕事に行かせ今ここにいる。が、かなり緊張してきた。手汗がやばい。
何度目かの深呼吸をして中に入る。
好奇の目で見られることもなく問診票を渡され書き込む。それが終われば同意書だ。
『あなたはパートナーの子を産む強い意志がありますか?』
その問いにはもちろん。『はい』だ。
すべて書き終え真澄は受付に出した。十分後。とうとう呼ばれた。
急いで診察室に入る。中にいた医師は佐那に似ていた。
「初めまして、芦沢優也といいます」
「あし、ざわ……」
「あなたのことは佐那から聞いています。今回はよく決意してくれましたね。有難うございます」
そういって医師は頭を下げた。真澄は慌てふためき「頭を上げてください」と言う。
真澄の言葉に優也は頭を上げニコリと笑いかけた。その笑顔も佐那に似ていてやましい気持ちはなくともドキリとしてしまう。
「では、説明を始めます。そこにおかけください」
椅子に腰かけ優也の説明を聞こうと耳を傾ける。
「子宮を埋め込むのは大変リスクの高いものです。癒着しない可能性も考えてください。万一癒着しなかった場合。子宮は取り除かれます。身体に悪い影響を与えかねないからです。そして、癒着した場合。女性のように生理が来る可能性もあります。もし、来なくなった場合すぐ当院に来てください。懐妊の可能性が高いからです」
「癒着……しなかった場合、どんな影響があるんですか?」
「……あまり前例は聞きませんが、拒否反応を示し最悪死に至ります」
死。その言葉を聞いて真澄は固まった。そんなに高リスクのものなのか。
でも、でも……。
「これは最悪の場合です。こちらとしてはきちんと相性のいいドナーを選びます。脅すような言い方をして申し訳ありません」
「い、いえ」
「真澄さんはまだお若いですし、どのドナーとも合うかと思います。そこはご安心ください」
そう言って優也は佐那が持ってきたものより詳しく書かれたパンフレットを手渡した。簡単に目を通しながら優也の説明を受ける。
すべて終わり今日はここで診察は終わりだそうだ。
「次回は佐那を連れてお越しください」
「はい」
優也に頭を下げ真澄は診察室を出た。
「ただいま!!」
病院から帰宅し三時間後。佐那が帰ってきた。
「おかえり」
「病院、どうだった?」
「お前の親戚? に会ったよ」
「え、優也兄に?」
親戚かは分からないため疑問符をつけながら言うと佐那は目を見開いた。
かなり驚いている様子だ。
「優也さんは、親戚か?」
「ううん、兄貴」
「え」
「びっくりした? 親に挨拶行ったときいなかったもんね」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる