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第一話

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      小野小町は自分が鬼になったような恐怖心に苛まれていた。
トントンとドアをノックする音が聞こえる。彼女はここが自分の知っている場所ではないと悟りさらに震えた。
「ジャンヌー。礼拝の時間……どうしたんだ? そんなに驚いた顔して震えて」
「お、お主らは誰じゃ?!」
「か、母さん! ジャンヌがおかしくなった!」
長男であるジャクマンの叫びに階下にいた母イザベルは慌てて二階に駆け上がった。
ジャンヌと呼ばれた小野小町を抱き締め熱を計ったり顔色を窺っていた。鏡に映った自分と似た風貌をした二人に小野小町はただ言葉を失っていた。
「熱は……ないようね。顔色も悪くないわ。ジャンヌ、どこか痛いところはある?」
「じゃんぬ、とはどなたじゃ」
「ああ……! 主よ……!」
イザベルは彼女から離れ天を仰いだ。父であり主であるイエス・キリストに救いを求めるように目を閉じた。
ジャンヌの様子が変わった原因をゆっくり考えようにも頭が混乱していてうまく考えれない。
一先ずイザベルはジャンヌを兄に任せ一階まで駆け下り夫の元へ走る。
「あなた! あなた!」
「どうした、イザベル」
「ジャンヌの様子が変なの!」
慌てふためく妻の様子にジャックはただ事ではないと悟るも無理にでも落ち着くように妻に述べた。
深呼吸をして少しばかり落ち着いたイザベルの口から今のジャンヌの様子を聞いたジャックは天を仰いだ。
二階のジャンヌの部屋にいる彼女はいつも通りのように見えた。
「ジャンヌ」
「誰じゃ」
ジャンヌと呼べば誰だなんて返ってくる。これでは押し問答だ。
ジャックは深呼吸をしてジャンヌに尋ねた。「あなたこそ誰だ」と。
「わらわは小野小町と申す」
「オノ……?」
「言いづらいのであれば、気軽に小町と呼ぶがよい」
7歳とは思えぬ風貌で小野小町は話す。上流階級の知識が彼女にはあるがジャック達にはない。

イザベルは夫と相談したうえエクソシストのいる教会に連れていくことにした。
小野小町は仏以外の神を初めて見て幻想な雰囲気に飲まれる。
「お主が神というものか」
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