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2か月後。季節は進み、すっかり寒くなってきた。
「氷魚、これどっち?」
「それはキッチンだな」
「りょーかい」
例の事件で二人で住んでいたことが大家さんにバレ、傷が治るまでという猶予付きで退去を求められた。もともとベッドも部屋も狭かったこともあり、きちんと一緒に住むための部屋を見つけ、今日からいよいよ新居だ。
リンは仮住まいではなく、ここに住民票も移すことになった。今度は広さも十分だし、セミダブルではあるが大きめのベッドを買い直した。
「氷魚ー、ベッド届いたよー」
「はーい」
業者に奥まで運んでもらう。組み立て済みのベッドは、随所に施してある梱包を外せばすぐに使える。
寝具もまとめて買ったから、一式新品だ。
「開けてみる?」
「うん!」
マットレスにカバーをつけ、枕も2個セットする。
そして、掛け布団はもちろんーー………。
「うわぁ!こんな膨らむ!?」
「ふっかふかだな~」
奮発して買った羽毛布団を二人でベッドに被せる。
リンと顔を見合わせて笑う。と。
「おい!」
いつかのように、リンがベッドにダイブした。
「いきなりベッドに衝撃与えるなよぉ~買ったばっかだぞ」
「えへへ。気持ちいいよー!」
「今横になったら間違いなく寝る」
昨日は荷造りでロクに寝ていないのだ。
「いいじゃん、ちょっと寝ようよ」
ふかふかの布団の海から、愛しい人が誘惑してくる。
「まだガスの業者来てないから駄目」
「ちぇっ」
「開栓の立ち合い終わったら、昼寝するか」
「やったー!」
これが俺たちの幸せの象徴。
いくら布団でくるんでも、傷は消えないけれど。
「手伝ってください?おふとんさん」
「あははっ!はーい」
俺たちは、ここから始まるんだ。
●おしまい●
→次ページよりおまけ
「氷魚、これどっち?」
「それはキッチンだな」
「りょーかい」
例の事件で二人で住んでいたことが大家さんにバレ、傷が治るまでという猶予付きで退去を求められた。もともとベッドも部屋も狭かったこともあり、きちんと一緒に住むための部屋を見つけ、今日からいよいよ新居だ。
リンは仮住まいではなく、ここに住民票も移すことになった。今度は広さも十分だし、セミダブルではあるが大きめのベッドを買い直した。
「氷魚ー、ベッド届いたよー」
「はーい」
業者に奥まで運んでもらう。組み立て済みのベッドは、随所に施してある梱包を外せばすぐに使える。
寝具もまとめて買ったから、一式新品だ。
「開けてみる?」
「うん!」
マットレスにカバーをつけ、枕も2個セットする。
そして、掛け布団はもちろんーー………。
「うわぁ!こんな膨らむ!?」
「ふっかふかだな~」
奮発して買った羽毛布団を二人でベッドに被せる。
リンと顔を見合わせて笑う。と。
「おい!」
いつかのように、リンがベッドにダイブした。
「いきなりベッドに衝撃与えるなよぉ~買ったばっかだぞ」
「えへへ。気持ちいいよー!」
「今横になったら間違いなく寝る」
昨日は荷造りでロクに寝ていないのだ。
「いいじゃん、ちょっと寝ようよ」
ふかふかの布団の海から、愛しい人が誘惑してくる。
「まだガスの業者来てないから駄目」
「ちぇっ」
「開栓の立ち合い終わったら、昼寝するか」
「やったー!」
これが俺たちの幸せの象徴。
いくら布団でくるんでも、傷は消えないけれど。
「手伝ってください?おふとんさん」
「あははっ!はーい」
俺たちは、ここから始まるんだ。
●おしまい●
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