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クリスマス番外
20:潤side(*)
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言い淀むように、貴矢さんが口を開く。
「引かないで、聞いてほしいんだけど」
「……はい」
「誰かと使ったわけじゃなくて。一人で使った」
一人で……?なんで?
「どういうことですか?」
「えーと、ちょっと待ってて」
膝の上から降ろされ、ソファで待っていると、貴矢さんが寝室から何かを手に戻ってきた。赤いシマシマの物体。
「こういうの、見たことある?」
手渡され見てみると、実物は初めて目にするが、知っているものだった。
「いわゆる、オナホってやつなんだけど……」
「これ、有名なやつですよね。聞いたことあります」
僕でも名前を知っているくらいだから、一般的に使われているものなのかもしれない。誰かと使ったわけじゃないなら、僕はもうスッキリ解決の気分なのだが、貴矢さんはバツの悪そうな顔をしている。
「悪ふざけでいろんなコスプレ衣装もらうって言ったでしょ?あれと同じノリで、結構プレゼントや景品でもらうんだよ。これもホラ、使ってないでしょ」
なんだか使ったらいけないものみたいに聞こえるけど、そんなに隠すことなのかな?それに……。
「でも貴矢さん、使ったんですよね?これと、ローション?」
「……これじゃないけど、そう」
あれ?僕何か悪いこと言っちゃったかな?
貴矢さん、気まずそうだ。
「今までは、発散したくなったら適当に相手見つけてたから、全然使うことなかったんだよ。潤と付き合ってから、そういえば何個かあったなあと思って」
「浮気の代わりに使ってくれてたんですよね?引いたりしないですよ」
だからもう大丈夫、と思って言ったんだけど、かえって貴矢さんを焦らせてしまったようだ。慌てて訂正される。
「浮気の代わりじゃないよ!浮気なんかしたいとも思ってない。そうじゃなくて、欲望のままに潤を傷つけないように、自制のために使ってるっていうか」
「今も使うことあるんですか?」
「……このところ、会えてなかったからね」
そっか。会えないときは仕方ないかも。
でも、そうじゃないときは……。
「できれば、僕のこと呼んでくださいね」
これに貴矢さんを奪われてたまるもんか。自制なんてしなくていい。貴矢さんは僕を傷つけたりしないんだから。そうだよね?
「引かないで、聞いてほしいんだけど」
「……はい」
「誰かと使ったわけじゃなくて。一人で使った」
一人で……?なんで?
「どういうことですか?」
「えーと、ちょっと待ってて」
膝の上から降ろされ、ソファで待っていると、貴矢さんが寝室から何かを手に戻ってきた。赤いシマシマの物体。
「こういうの、見たことある?」
手渡され見てみると、実物は初めて目にするが、知っているものだった。
「いわゆる、オナホってやつなんだけど……」
「これ、有名なやつですよね。聞いたことあります」
僕でも名前を知っているくらいだから、一般的に使われているものなのかもしれない。誰かと使ったわけじゃないなら、僕はもうスッキリ解決の気分なのだが、貴矢さんはバツの悪そうな顔をしている。
「悪ふざけでいろんなコスプレ衣装もらうって言ったでしょ?あれと同じノリで、結構プレゼントや景品でもらうんだよ。これもホラ、使ってないでしょ」
なんだか使ったらいけないものみたいに聞こえるけど、そんなに隠すことなのかな?それに……。
「でも貴矢さん、使ったんですよね?これと、ローション?」
「……これじゃないけど、そう」
あれ?僕何か悪いこと言っちゃったかな?
貴矢さん、気まずそうだ。
「今までは、発散したくなったら適当に相手見つけてたから、全然使うことなかったんだよ。潤と付き合ってから、そういえば何個かあったなあと思って」
「浮気の代わりに使ってくれてたんですよね?引いたりしないですよ」
だからもう大丈夫、と思って言ったんだけど、かえって貴矢さんを焦らせてしまったようだ。慌てて訂正される。
「浮気の代わりじゃないよ!浮気なんかしたいとも思ってない。そうじゃなくて、欲望のままに潤を傷つけないように、自制のために使ってるっていうか」
「今も使うことあるんですか?」
「……このところ、会えてなかったからね」
そっか。会えないときは仕方ないかも。
でも、そうじゃないときは……。
「できれば、僕のこと呼んでくださいね」
これに貴矢さんを奪われてたまるもんか。自制なんてしなくていい。貴矢さんは僕を傷つけたりしないんだから。そうだよね?
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