思惑交錯チョコレート

秋野小窓

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 ヤバい。まさか、二人でいるところに突撃されるなんて。作戦会議も終わっていないのに。タイミング最悪!

「あ、えっと、どうも~……?」
「やっぱり繋がってたんだな。成田と、えっと、成田さん?」

 成田さんって、私のことだよね。これ、返事しといた方がいいよね?
 愛想笑いで応える。

「は、はーい」
「すんません!俺、どーっしてもあなたのこと、思い出せなくて」

 バッと頭を下げられて、その勢いに少し仰け反る。小松くん、体が大きい上に動きも大きいからちょっと怖い。

 って、え?私、謝られた?

「あ、いや、それは別に……」

 だって、思い出すも何も、もともと面識なかったんだから。私が思い出して欲しかったのは、ケイくんのことで。

 横目でケイくんを見ると、苦虫を噛み潰したような顔。
 どうしよう。私、どうフォローすればいい?

 必死でアイコンタクトを送るが、俯いて視線を逸らせたままの彼とは目が合わない。

「俺、チョコくれたのは成田だと思ってたから。成田って、あの、成田さんじゃなくて、こっちの成田」
「えっ!」

 続けて降ってきた声に思わず反応してしまう。やっぱりケイくんだって気づいていたんだ!

「なんでそう思ったの……?」
「手紙が成田の字だったから」

 さらっと答えが返ってきたが、それってすごいことじゃないんだろうか?
 筆跡で誰か分かるって、普通のこと?私なら、親の字くらいしか分からない。

 ちゃんとケイくんのことを覚えていた。チョコの主だってことも分かっていた。それでも会いたいって連絡先を聞いてきたのは小松くんの方なんだから、つまり……?

「小松くん、ちょっと待って。ケイくんこれからバイトだから。またゆっくり話そう?今日はこの辺で」

 これは、ケイくんとちゃんと話し合わないといけない。やっぱりケイくんは小松くんにきちんと想いを伝えるべきだ。

「あ、すんません。邪魔しました」
「いいえ~。じゃあね」
「はい。成田も、またな」

 爽やかに挨拶をして、ケイくんからの返事がないのも気に留めることなく出ていった。
 なんだ。小松くん、意外といい人?
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