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でも、今日成田は来ていた。誰から連絡が行ったのかは分からない。本人に訊いたが「内緒」と言われてしまった。
成田と最初に仲良くなったのは俺なのに。俺が一番仲良いと思っていたのに。
「なんであの一瞬で嫌われるんだよー!」
ソファの上でバタバタと両足を動かす俺を、り花が冷ややかに見下ろす。
「どうせ無神経なこと言ったんでしょ」
「うっ……」
「あーあ、チョコの人だけは、兄貴のそういう性格も含めて好きになってくれたんだと思ったのにな」
そう。俺はいつも、内面のガサツさが原因で振られている。
最初はありがたいことに、この性格を明るくて面白いと言ってもらえるんだ。親からもらった身長も有利に働いて、好意を抱いてくれる人はあまり途切れることなく現れた。
それも、長くて半年。およそ3か月。付き合い始めて少し経つと、俺のこの能天気さが仇となる。最初はそれもかわいいと言ってくれる人も、失態をくり返すうちに堪忍袋の緒が切れる。
こちらとしては、その都度謝っているし、正直悪気があっての言動ではないから気のつけようがないのだ。
「『この鈍感!』って言われた……」
「ウケる。大正解じゃん」
俺のこと、好きじゃないって。
4年も経てば、気持ちが変わっていることもあるだろう。でも、ブチ切れられる前は、そんなに嫌われている様子ではなかったんだよな。そもそも嫌いなら、「チョコのこと覚えてる?」なんて声かけてこないだろうし。
やはりあの一言がまずかったんだろう。
「雰囲気変わったって言われたら嫌なもん?」
「うーん……たとえば好きな人に会うために、相手の好みに合わせておしゃれ頑張ったのにそれしか言われなかったら、それだけかいっ、とは思うかも」
俺の好みに合わせて……。
「え、俺のために女になったってこと!?」
「は!?嘘、女装してたん!?」
「女装!?あ、女装か!」
なるほど、性転換までしてなくても、男のままで女装していたかもしれないんだ。
「俺に会うために女装してくれてたとしたら……」
ヘラヘラと、雰囲気変わった~?などと言われたら怒るのも無理はない。
「そういうことか~……」
「え、ちょっと!バカ兄ィ!お兄様!女装?女装子だったの?ねえ、その話詳しく!!」
時間を巻き戻してほしい。今度こそ、正しい反応をするから。どうか神様、今日成田に会う前に戻してください。
肩を掴んでガクガクと揺さぶってくる妹のことなど目に入らず、俺は放心していた。
成田と最初に仲良くなったのは俺なのに。俺が一番仲良いと思っていたのに。
「なんであの一瞬で嫌われるんだよー!」
ソファの上でバタバタと両足を動かす俺を、り花が冷ややかに見下ろす。
「どうせ無神経なこと言ったんでしょ」
「うっ……」
「あーあ、チョコの人だけは、兄貴のそういう性格も含めて好きになってくれたんだと思ったのにな」
そう。俺はいつも、内面のガサツさが原因で振られている。
最初はありがたいことに、この性格を明るくて面白いと言ってもらえるんだ。親からもらった身長も有利に働いて、好意を抱いてくれる人はあまり途切れることなく現れた。
それも、長くて半年。およそ3か月。付き合い始めて少し経つと、俺のこの能天気さが仇となる。最初はそれもかわいいと言ってくれる人も、失態をくり返すうちに堪忍袋の緒が切れる。
こちらとしては、その都度謝っているし、正直悪気があっての言動ではないから気のつけようがないのだ。
「『この鈍感!』って言われた……」
「ウケる。大正解じゃん」
俺のこと、好きじゃないって。
4年も経てば、気持ちが変わっていることもあるだろう。でも、ブチ切れられる前は、そんなに嫌われている様子ではなかったんだよな。そもそも嫌いなら、「チョコのこと覚えてる?」なんて声かけてこないだろうし。
やはりあの一言がまずかったんだろう。
「雰囲気変わったって言われたら嫌なもん?」
「うーん……たとえば好きな人に会うために、相手の好みに合わせておしゃれ頑張ったのにそれしか言われなかったら、それだけかいっ、とは思うかも」
俺の好みに合わせて……。
「え、俺のために女になったってこと!?」
「は!?嘘、女装してたん!?」
「女装!?あ、女装か!」
なるほど、性転換までしてなくても、男のままで女装していたかもしれないんだ。
「俺に会うために女装してくれてたとしたら……」
ヘラヘラと、雰囲気変わった~?などと言われたら怒るのも無理はない。
「そういうことか~……」
「え、ちょっと!バカ兄ィ!お兄様!女装?女装子だったの?ねえ、その話詳しく!!」
時間を巻き戻してほしい。今度こそ、正しい反応をするから。どうか神様、今日成田に会う前に戻してください。
肩を掴んでガクガクと揺さぶってくる妹のことなど目に入らず、俺は放心していた。
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