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「泰歩、明日車使う?」
土曜は俺も休みだから確認してくれたのだろう。
「いえ、出掛けますが電車移動なんで」
明日は勉強会だ。普段車に慣れているせいで電車は面倒だが、駐車場の台数に限りがあるから公共交通機関で来るように、との指定だった。
「日中借りていい?」
「いいですよ。ガソリン少なかったんで入れておいてもらえると助かります」
「了解」
あの男に会いに行く……わけじゃないよな。週末だし。
平常心、平常心。
税法はよく改正されるから、一度覚えても常に情報をアップデートしなければならない。この道を選んだ以上、一生勉強だ。
勉強会を終えて帰宅すると、車はあるが家は暗かった。車を置いて出掛けているのかと思ったが、玄関には柳井さんの靴が並んでいる。
「ただいま~……?」
電気を点け、荷物を置くために寝室に入ると、柳井さんが俺のベッドで寝ている。今週は天体観測にも出掛けたし、その前日には夜更かしさせてしまったから、きっと疲れているんだろう。
それにしても、布団じゃなくて俺のベッド。
ーー匂いとか気になるかなと思ってずっと布団を使ってもらってたけど、もしかしてベッドで寝たかったのかな……?
「ん……」
静かにしていたつもりだったが、気配を感じたのか柳井さんが目を覚ました。
「おはようございます」
無言。目は開いているから起きたんだと思うが、微動だにしない。
「柳井さん……?まだ眠いですか?」
「ごめん、勝手に使った」
寝起きの少し掠れた声。よかった、生きてた。
「全然いいですよ。もう少し寝ますか?」
「いや。夕飯作る」
「一緒に作りましょう」
「うん」
今日はあまり遅くならないように、早めに寝よう。俺は明日も休みだが、柳井さんは仕事だ。
土曜は俺も休みだから確認してくれたのだろう。
「いえ、出掛けますが電車移動なんで」
明日は勉強会だ。普段車に慣れているせいで電車は面倒だが、駐車場の台数に限りがあるから公共交通機関で来るように、との指定だった。
「日中借りていい?」
「いいですよ。ガソリン少なかったんで入れておいてもらえると助かります」
「了解」
あの男に会いに行く……わけじゃないよな。週末だし。
平常心、平常心。
税法はよく改正されるから、一度覚えても常に情報をアップデートしなければならない。この道を選んだ以上、一生勉強だ。
勉強会を終えて帰宅すると、車はあるが家は暗かった。車を置いて出掛けているのかと思ったが、玄関には柳井さんの靴が並んでいる。
「ただいま~……?」
電気を点け、荷物を置くために寝室に入ると、柳井さんが俺のベッドで寝ている。今週は天体観測にも出掛けたし、その前日には夜更かしさせてしまったから、きっと疲れているんだろう。
それにしても、布団じゃなくて俺のベッド。
ーー匂いとか気になるかなと思ってずっと布団を使ってもらってたけど、もしかしてベッドで寝たかったのかな……?
「ん……」
静かにしていたつもりだったが、気配を感じたのか柳井さんが目を覚ました。
「おはようございます」
無言。目は開いているから起きたんだと思うが、微動だにしない。
「柳井さん……?まだ眠いですか?」
「ごめん、勝手に使った」
寝起きの少し掠れた声。よかった、生きてた。
「全然いいですよ。もう少し寝ますか?」
「いや。夕飯作る」
「一緒に作りましょう」
「うん」
今日はあまり遅くならないように、早めに寝よう。俺は明日も休みだが、柳井さんは仕事だ。
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