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予定どおり、20時前に退勤する。私服に着替え、柳井さんの指示どおりに荷物を積み込んだ。
今日は運転席に柳井さん。俺が助手席だ。
「やっぱりいい車だな」
「そうですか?」
「運転しやすい」
俺の車はSUVだ。柳井さんが乗っていた軽と比べると馬力もあるし、運転席の高さもあるから視界もいいだろう。気に入っていただけて何よりだ。
「もう車買わなくていいんじゃないですか?これ乗ってくれれば」
「そうだな」
冗談半分でそんな提案をしてみると、意外にもノってくれる。
「ペガスス号のせいで、中古車見ててもそれなりのグレードの車に目が行く」
「あー、それでなかなかいいの見つからないんですか?」
「うん」
下手に安すぎるものに手を出すと、車検で結局後から追加費用がかかったりする。状態がよくて安いものはあっという間に成約していってしまうし、予算内で気に入った車を探すのはなかなか大変だ。
このままずっと見つからなければいい。維持費だって掛かるし。
「向こうの家賃払ってるのももったいないし、解約しちゃったらいいんじゃないですか?」
「うん」
調子に乗ってそんなことまで言ってみたら、あまりにあっさり相槌が返ってくる。これは本気に捉えてないな?
「荷物全部うちに運び込むのは難しいですけど、トランクルームとか借りた方が家賃よりは安上がりですよね」
「うん」
「柳井さん?」
「何」
俺、本気なんですけど。そんな簡単にウンウン言わないでください。
「うちに本格的に引っ越してきませんか、って言ってるんですが」
「うん」
「いいんですか?」
「何が」
あれ、なんだか不機嫌になってます?
別に同棲するわけではなく、ルームシェアと考えたら何の問題もないのかもしれないが。一応、柳井さんには恋人がいるわけだし、本当に引っ越してきてくれるとしたら、嬉しさ半分後ろめたさ半分といったところだ。
「……いや、いいならいいんですけど」
今日は運転席に柳井さん。俺が助手席だ。
「やっぱりいい車だな」
「そうですか?」
「運転しやすい」
俺の車はSUVだ。柳井さんが乗っていた軽と比べると馬力もあるし、運転席の高さもあるから視界もいいだろう。気に入っていただけて何よりだ。
「もう車買わなくていいんじゃないですか?これ乗ってくれれば」
「そうだな」
冗談半分でそんな提案をしてみると、意外にもノってくれる。
「ペガスス号のせいで、中古車見ててもそれなりのグレードの車に目が行く」
「あー、それでなかなかいいの見つからないんですか?」
「うん」
下手に安すぎるものに手を出すと、車検で結局後から追加費用がかかったりする。状態がよくて安いものはあっという間に成約していってしまうし、予算内で気に入った車を探すのはなかなか大変だ。
このままずっと見つからなければいい。維持費だって掛かるし。
「向こうの家賃払ってるのももったいないし、解約しちゃったらいいんじゃないですか?」
「うん」
調子に乗ってそんなことまで言ってみたら、あまりにあっさり相槌が返ってくる。これは本気に捉えてないな?
「荷物全部うちに運び込むのは難しいですけど、トランクルームとか借りた方が家賃よりは安上がりですよね」
「うん」
「柳井さん?」
「何」
俺、本気なんですけど。そんな簡単にウンウン言わないでください。
「うちに本格的に引っ越してきませんか、って言ってるんですが」
「うん」
「いいんですか?」
「何が」
あれ、なんだか不機嫌になってます?
別に同棲するわけではなく、ルームシェアと考えたら何の問題もないのかもしれないが。一応、柳井さんには恋人がいるわけだし、本当に引っ越してきてくれるとしたら、嬉しさ半分後ろめたさ半分といったところだ。
「……いや、いいならいいんですけど」
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