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耳にまとわりつく粘着質な声。
『京は締まりがよくて最高だろう?』
夢の中で、銀杏並木での一件が再生されて目が覚めた。夢だから記憶とは微妙に違っていたが、あらためて思い返すと、奴の左手には指輪が光っていなかったか……?
ーーあいつ、既婚者か……?
それなら、柳井さんが恋人の元に身を寄せないのも説明がつく。
ーー柳井さん、なんであんなやつがいいんだよ……。
日曜に会えなかった相手、きっとあいつだよな?家庭があるなら週末に会えないのも納得だ。
あいつに会おうとしてずっと待っていた柳井さん。帰ってきたときの落ち込み方を見ても、あいつよりも柳井さんの方が惚れているんだろう。
いろいろと合点がいって、すっかり目が覚めてしまった。トイレに行こうと体を起こした瞬間、ドキリとした。ベッドの淵に突っ伏すように柳井さんが寝ている。
俺が寝たか確かめて、そのまま寝てしまったのだろうか。今日は俺のせいで寝る時間が遅くなってしまったから、彼も疲れていたんだろう。
布団に寝かせるべきか、起こしてしまうくらいならこのまま上掛けを掛けてやった方が親切か。とりあえず、毛布を掛けてトイレに向かった。
トイレから戻ると、柳井さんは自力で布団に戻っていた。
「すみません、起こしちゃいましたか?」
小声で話しかけてみるが、返事はなかった。もう寝ているようだ。
「おやすみなさい」
静かにベッドに戻って眠りにつく。
恋人がいるということは、俺はそのポジションにはどう頑張っても収まれないということだ。今はただの同居人。
でも、あいつが恋人なら、俺にもチャンスはあるということでもある。男も恋愛対象になることは確定だ。それに不倫なら、いつか終わりも来るだろう。今は呆れられてばかりの俺だが、機が熟すまで、少しずつ魅力をつけていくしかない。
あの男……柳井さんよりも年上だったよな。ああいう大人な人が好きなんだろうか。
俺を見て、趣味が変わったかと言っていた。ということは、俺は柳井さんのタイプとはかけ離れているということなんだろう。年齢はどう頑張っても追いつけないが、頼れる男になりたい。
柳井さん、俺、頑張ります……。
『京は締まりがよくて最高だろう?』
夢の中で、銀杏並木での一件が再生されて目が覚めた。夢だから記憶とは微妙に違っていたが、あらためて思い返すと、奴の左手には指輪が光っていなかったか……?
ーーあいつ、既婚者か……?
それなら、柳井さんが恋人の元に身を寄せないのも説明がつく。
ーー柳井さん、なんであんなやつがいいんだよ……。
日曜に会えなかった相手、きっとあいつだよな?家庭があるなら週末に会えないのも納得だ。
あいつに会おうとしてずっと待っていた柳井さん。帰ってきたときの落ち込み方を見ても、あいつよりも柳井さんの方が惚れているんだろう。
いろいろと合点がいって、すっかり目が覚めてしまった。トイレに行こうと体を起こした瞬間、ドキリとした。ベッドの淵に突っ伏すように柳井さんが寝ている。
俺が寝たか確かめて、そのまま寝てしまったのだろうか。今日は俺のせいで寝る時間が遅くなってしまったから、彼も疲れていたんだろう。
布団に寝かせるべきか、起こしてしまうくらいならこのまま上掛けを掛けてやった方が親切か。とりあえず、毛布を掛けてトイレに向かった。
トイレから戻ると、柳井さんは自力で布団に戻っていた。
「すみません、起こしちゃいましたか?」
小声で話しかけてみるが、返事はなかった。もう寝ているようだ。
「おやすみなさい」
静かにベッドに戻って眠りにつく。
恋人がいるということは、俺はそのポジションにはどう頑張っても収まれないということだ。今はただの同居人。
でも、あいつが恋人なら、俺にもチャンスはあるということでもある。男も恋愛対象になることは確定だ。それに不倫なら、いつか終わりも来るだろう。今は呆れられてばかりの俺だが、機が熟すまで、少しずつ魅力をつけていくしかない。
あの男……柳井さんよりも年上だったよな。ああいう大人な人が好きなんだろうか。
俺を見て、趣味が変わったかと言っていた。ということは、俺は柳井さんのタイプとはかけ離れているということなんだろう。年齢はどう頑張っても追いつけないが、頼れる男になりたい。
柳井さん、俺、頑張ります……。
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