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第一章 魔法学校入学前

12.慈悲

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「〈光の剣ライトソード〉」
 
 すると私の手の中に光の集合体が集まり、それが光の剣を形取り、光の剣を生成。
 文字通り『光の剣』が私の手の中に収まる。
 例えるなら某海軍大将が能力で生成した剣。
 
 光の速度で殴られた事あるかい?

 みたいな事言う奴ね。

 まあ、これ言うとしたら、私じゃなくてアテナの方なんだけどね?
 パッシブスキル〈光速〉で光の速度で歩行出来るじゃん。
 一秒で地球3周出来るじゃん。
 某海軍大将と同じ能力じゃん。
 まんま自然ロギア系じゃん。
 ふざけんな! 完全に私アテナの下位互換じゃんか!
 エー●と赤●じゃんか。
 でも直で光触ってるのに、痛みないし、私もひょっとして自然ロギア系?
 ............って茶番もここまでにしましょうか。

 私は目の前の傭兵に意識を移す。
 凝視する。
 傭兵は生まれたての子鹿のように、プルプルと震えていた。
 まあ、私みたいな美少女が目の前に来ればねえ...........って、ただの恐怖か。
 動物の本能。
 生存本能。
 それが彼に警告を促している。
 死は間近だと。
 
「助けてくれ! 俺はただ頭頂に命令されただけなんだ!」

 それを見て私は更に傭兵の評価を下げた。
 金の為なら無実の人を殺し、戦利品と称し、無実の女性を犯し、物資を奪う。
 報酬で得た金で酒を浴び、贅沢の限りを尽くす。
 それらは彼等が自分の判断で選んだもの。
 誰に強制されたものでもない。
 なのに彼は罪を仲間に擦りつける。
 確かに傭兵はハブレ者の集団だ。
 はなから仲間意識は無いのかも知れない。
 利害が一致してるから組んでるだけのビジネスパートナー的。
 でもだとしても、自分の命可愛さに他者を差し出すのは醜い。
 愚か。
 ヘドが出る。
 前世の嫌な記憶が蘇った。

「分かりました、貴方を救済しましょう」
「そうか! ありが..........」

 スパン。
 
 ..............ゴトン。
 
 光の速度で剣を振り下ろされる。
 傭兵が御礼を言い終わる前に、傭兵の首が地面に落下。
 血が天に向かって噴き出す。
 公園の中央に陣取る噴水のように。
 噴き出す雫はどこまでも綺麗で、暖かい。
 私とアテナの全身を真っ赤に染め上げる。
 核を失った身体が、遅れて地面に倒れこむ。
 転がった顔には喜びが宿ったまま。
 彼は痛みを、死を理解する事なく、この世を去ったのだ。
『救われる』と喜びを抱いたままで。
 なんて彼は幸せ者なのだろうか。
 そして私は何て慈悲深いのだろう。
 苦しめる事なく、死を理解させる事なく、イカせてあげるなんて。

「死を持って救済とします」

 私はそうにニッコリと微笑み、次のターゲットへと足を進める。
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