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部屋を出て、長い廊下を歩く。隣には、一緒に追い出されたおじいちゃんがいた。
「ごめんね、おじいちゃん」
「聖女様?」
「アタシ、敬語とかお世辞とか苦手でさ。おじいちゃんのことも悪く言われちゃって、ごめんね」
「聖女様……」
話も聞かないし見た目で判断するし、つい切れちゃったけど、おじいちゃんまで巻き込んでちょっと反省。
でもおじいちゃんは、優しく笑ってくれた。
「聖女様は、私の事を庇ってくださいました。嘘のつけない、真っ直ぐで心優しいお方です」
「おじいちゃん……」
「それに、畏れながら……おじいちゃんと呼ばれると孫のようで嬉しくて、ですな」
ふふ、と笑うおじいちゃんに、ユイは嬉しくなった。
「ユイも、本当のおじいちゃんみたいで嬉しいよ!」
RPGっぽい世界に来てちょっと驚いたけど、ユイを召喚した人がおじいちゃんで良かった。
おじいちゃんの部屋に行くと、黒髪で背の高いイケメンが立っていた。青いマントがかっこいい。
「王宮騎士団、第二部隊団長のレオルグと申します。本日より聖女様の護衛を担当致します」
そう言って頭を下げる。おじいちゃんはニコニコ笑ってるから、おじいちゃんの方が偉くて、多分知り合いなのかな?
アタシは挨拶をしようとして。
「よろしくね、レオ……、レオちゃんって呼んでもいい?」
名前、覚えらんなかった。それにこっちの方が親しい感じじゃん?
でもユイを見て、戸惑ったような顔をした。
「あ、やっぱダメ? ごめんね」
「いえ、お好きなようにお呼び下さい」
レオちゃんは驚いてただけで、何だか嬉しそうだ。ユイは首を傾げた。
「レオちゃん、若いのに団長なんだ。すごいね」
「そんな……恐れ入ります」
「護衛って大変そうだけど、無茶はしないでね? 怪我したらダメだよ?」
ユイの知ってるRPGゲームでは、ナイト属性は仲間の盾になって代わりにダメージを受ける。実際に目の前のレオちゃんがそうなると思うと、すごい可哀想。痛そう。怪我なんてして欲しくない。
「聖女様……。勿体なきお言葉……」
膝をつくレオちゃんと慌てるアタシを、おじいちゃんはやっぱりニコニコと見つめていた。
「ごめんね、おじいちゃん」
「聖女様?」
「アタシ、敬語とかお世辞とか苦手でさ。おじいちゃんのことも悪く言われちゃって、ごめんね」
「聖女様……」
話も聞かないし見た目で判断するし、つい切れちゃったけど、おじいちゃんまで巻き込んでちょっと反省。
でもおじいちゃんは、優しく笑ってくれた。
「聖女様は、私の事を庇ってくださいました。嘘のつけない、真っ直ぐで心優しいお方です」
「おじいちゃん……」
「それに、畏れながら……おじいちゃんと呼ばれると孫のようで嬉しくて、ですな」
ふふ、と笑うおじいちゃんに、ユイは嬉しくなった。
「ユイも、本当のおじいちゃんみたいで嬉しいよ!」
RPGっぽい世界に来てちょっと驚いたけど、ユイを召喚した人がおじいちゃんで良かった。
おじいちゃんの部屋に行くと、黒髪で背の高いイケメンが立っていた。青いマントがかっこいい。
「王宮騎士団、第二部隊団長のレオルグと申します。本日より聖女様の護衛を担当致します」
そう言って頭を下げる。おじいちゃんはニコニコ笑ってるから、おじいちゃんの方が偉くて、多分知り合いなのかな?
アタシは挨拶をしようとして。
「よろしくね、レオ……、レオちゃんって呼んでもいい?」
名前、覚えらんなかった。それにこっちの方が親しい感じじゃん?
でもユイを見て、戸惑ったような顔をした。
「あ、やっぱダメ? ごめんね」
「いえ、お好きなようにお呼び下さい」
レオちゃんは驚いてただけで、何だか嬉しそうだ。ユイは首を傾げた。
「レオちゃん、若いのに団長なんだ。すごいね」
「そんな……恐れ入ります」
「護衛って大変そうだけど、無茶はしないでね? 怪我したらダメだよ?」
ユイの知ってるRPGゲームでは、ナイト属性は仲間の盾になって代わりにダメージを受ける。実際に目の前のレオちゃんがそうなると思うと、すごい可哀想。痛そう。怪我なんてして欲しくない。
「聖女様……。勿体なきお言葉……」
膝をつくレオちゃんと慌てるアタシを、おじいちゃんはやっぱりニコニコと見つめていた。
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